第8話 「仮面の男」
闘場に進み出るピートに対して横島側から黄色い声援が巻き起こった。
その声に振り返るピートは観客席にやはり笑顔で声援を送ってくれる保安部や薔薇の園の面々を見つけた。
流石に彼らはアリエスのお色気攻撃に耐えるだけの精神力を持っていたらしい。
もっとも加藤でさえ気絶に追い込んだ愛子の技を見ていれば、彼らとてどうなったかわからない。彼女持ちが多いとは言え彼らも健全な男子である。
咄嗟に目の前の乳に釘付けになるのは漢の必然!!
アリエスの陽動は功を奏したと言えよう。
応援団に軽く手を振って闘場の真ん中に立ち対戦相手の少女を観察する。
赤い巫女服を着た少女は芹沢と作戦会議中だった。
やがてそれも終わったのか闘場に進み出る芹沢と御神楽。
「では私が審判をしよう。」と言う芹沢は「それは不公平ではないですか?!」との相沢の抗議を鼻で哂うと軽蔑の視線もそのままに六道理事長の方に向き直った。
「私が審判でかまわないですね?」
「いいですよ〜。」とあっさり肯定されてはしぶしぶ引っ込むしかない相沢である。
その決定に横島側や六女の一部からブーイングが起きるが六道理事長は気にも留めてないようだ。
御神楽は短刀を抜くとそれを除霊部員に突きつけて彼らを挑発するかのように笑った。
勝気な美少女という外見とは裏腹に、その口から毒の篭った言葉を吐き出す。
「霧野さんと氷室さんでしたっけ?何でそんなところで妖怪たちと仲良くしてらっしゃるのかしら?そんな下賎な妖怪とつるむなんて六女の生徒の自覚が足りないですわね。」
「「そんな…」」と反論しようとする少女たちを抑えて、アリエスがズズイと進み出ると手の甲を口に当て「おーっほっほっほっ」と高笑い。
「何よっ!」と気色ばむ御神楽をビシリと指差して、嘲りの口調も露に吐き捨てた。
「恋する乙女が想い人と一緒に居たいと願うのは当然のことですわ。そんなこと女子高生なら当たり前の常識に思い至らないあなたは恋を知らない可哀想な青春を過ごしていると自白したも同然!」
「な?!」
予想外のアリエスの屁理屈に言葉を失う御神楽に、詭弁を使えば美神と同レベルでは?とも思える彼女の追い討ちが決まる。
「ほら。ごらんなさい。言葉に詰まるというのが何よりの証拠!」
ビシッと指さされてたじろぐ御神楽。
他人を非難することはあってもその逆は無かったのだろう、怒りのあまり血の気の引いた顔ながらも反論しようとするが言葉が思いつかない。
あうあうしながらも何とか口を開く。
「人を指差すなんてやはり育ちの悪い妖怪どもね!」
「人に刃物を向けるような馬鹿に言われたくないですわねぇ…」
あっさりと反論するアリエスの台詞に双方の観客席から爆笑が沸き起こった。
それにイラついたか芹沢が強引に割って入ると、アリエスを憎々しげに睨み付け、改めてピートと御神楽に向かい開始線に立つように命じる。
炎術師の家系どおり怒りの炎を燃やす御神楽と対照的に冷静なピート。
いやどちらかと言えば呆れきっていると言うところだろう。
「始め!」の合図とともに距離をとる御神楽は印を結んで短刀をピートに向けた。
「火竜鞭!」
声とともに短刀から放たれた一筋の炎は鞭のようにピートに迫る。
だがその炎の鞭をあっさりとかわすピート。
その顔には苦笑いが浮かんだ。
「へう。凄い熱そうな技ですねぇ…ポリポリ」
「当たれば熱いだろうな…ポリポリ」
おキヌが弁当箱から取り出した漬物をお茶請けに暢気な感想を漏らす除霊部員たち。
「アリエスちゃんの水の術に似ているわね。」
「愛子様それは失敬ですわよ。わたくしはあんな無駄な術は使いません!…おキヌ様、このキュウリのお漬物凄く美味しいですわ!!」
「あはは。ありがとうございます。…ところで無駄って何のことですか?」と問うおキヌにアリエスはキュウリの漬物を咥えたままモゴモゴとなにやら言う。
「はあ?」と怪訝な顔になるおキヌに加藤が答えた。
「もともと鞭とは打撃武器なのだ。確かに巻きつけるなどの使い方も無いではないが鞭の本領はその早さと変幻さ故に防御が至難であることにある。」
「ですが、それゆえに繊細な武器なのですわ。根元から先端までバランスよく重量が配分されていることと、しなやかさを兼ね備えていることが必要なんですの。けれど…ポリポリ」
「ああ、あれはどうみてもタダの紐だな。」とおキヌの弁当箱から玉子焼きを取りながら横島が続けた。
「木行とか紙の妖魔とかなら効果はあるんじゃろうがノー」
「火力が足りませんね。」と魔鈴が鞭の叩いた地面を示す。
そこは多少、焦げたかな?という程度に黒ずんでいた。
「それで無駄ってどういうことなの?」と愛子が漬物を喉に詰まらせ目を白黒させているアリエスにお茶を渡しながら聞く。
貰ったお茶を一気に流し込むアリエスは銭湯で牛乳をかっくらう親父っポイ。
「ングング…ブハァ〜。元々形の無いものを鞭のようにしようとするなら、とてつもない集中力が必要なんですのよ。先に行くに従って細く軽くなるとか、けど先端だけは重くするとか、限られた霊力をそんな使い方するなら本物の鞭に火を纏った方が早いですわ。」
「なるほどねぇ…」
実際に御神楽の手の動きが鞭の先端まで届くのにはなりのタイムラグが発生していた。
その動きには鞭特有のしなやかさなど微塵も感じられない。
長い縄跳びの紐を振り回しているというのが近いかもしれない。
「あなた妖怪のくせにやるわね!」
御神楽の台詞にどう反応して良いのかわからず苦笑いしか返せないピートだったが、根は優しい彼のこと少女の欠点を指摘してやるべく攻勢に出る。
「あなたの技の欠点は防御を考えていないということです。」
穏やかに言うなり細かく場所を移動しながら両手を御神楽にむけ五指を開く。
「ハッ!」
小さな声とともにピートの指先から小型の霊波弾が機関砲のように雨あられと発射される。
咄嗟に炎の鞭で霊波弾を叩き落そうにも、すでに伸びきった鞭はその未熟さゆえに簡単には手元に帰ってこない。
ならばと体をかわそうとする、その判断の遅さが明暗を分けた。
「きゃっ!」
数発被弾し吹っ飛ばされる御神楽。
それを見守る芹沢の顔から血の気が引く。
「今のが新しい技ですかいノー?」
「違うだろ?前に「チチナシ」と戦った時も見せていたし」
「「チチナシ」?…唯様ですか?」
「違い…ませんっ!!えうぅぅぅぅ〜」
アリエスの言葉を否定しようにも否定できずにしゃがみこんで「の」の字を書き出す唯。
正直者だ…。
「でもあの時より洗練されている気がしますね。」
ノーパソに対チチナシ戦の動画を写す摩耶に「「イヤぁぁぁぁ見せんといてぇぇぇ!!」」と縋りつく元ブラ男と元チチナシの核。
後で見せてね。と摩耶にウインクしてから魔鈴が感想を述べる。
「牽制技としては有効ですよね。弱い霊なら一発で祓われそうですし。」
「あの程度の相手なら牽制技でも効くであろう。現に…」
加藤の言うとおり御神楽は相当のダメージを受けたようだ。
それでも足を震わせて立ち上がってくるのは彼女のプライドなのだろう。
「まだ…まだ…負けてないわよ…」
ふらふらと立ち上がり短刀を構えるが、手足の震えは彼女がすでに戦うことは無理だと言うことを如実に現している。
「御神楽!「五月蝿い!!」…なっ…」
審判の分際で御神楽の走りよる芹沢を気力だけで一喝すると、血を吐くような叫びを上げる少女。
「先生言っていたじゃない!妖怪は邪悪だって!邪悪な妖怪を倒すのは正義だって!正義は負けちゃいけないのよ!!だから…だから私たちはやりたくも無いイジメをしてきたんじゃないっ!!」
「ば、馬鹿なことを!」
火之華の沈痛な叫びに芹沢の顔色は紙のように白くなる。
少女の叫びに看過できない単語を聞いて驚く観客たち。
貴賓席も六道理事長を除いて穏やかざる空気に包まれた。
「イジメ…?何のことだ?」と横島の呟きにかすみが目を伏せてポソリと呟く。
「もしかしたら…」
「心当たりが?」
労わるような加藤の声に少しだけ安心したのか語りだすかすみ。
「ええ…最近、自主退学する生徒が増えてきているのよ。先生たちは自己都合って言っていたんだけど…でも…」
「でも…辞めた子は名家でもなんでもない普通の家の子、または先祖に妖怪の血筋を持つ人たちばかり…ではないですか?」
考え込むかすみの言葉を魔鈴が続ける。
聡明な彼女にはことのカラクリがつかめてきているようだった。
場内では火之華が芹沢に向けて力の限り叫び続けている。
いつしか少女の頬には流れる涙の光があった。
「あなたは言ったわよね。栄光ある六道女学院に下等な血はいらないって…このままじゃ学校がダメになるって…君たちのやることは正義だって…だから…だから…正義の私が負けるわけには行かないでしょうが!!」
「だ、黙れ!俺は知らん!」
すでに教師の仮面をかなぐり捨て、蒼白になりながらも否定する芹沢だったが六女側の観客席からも彼を指弾する声が湧きおこる。
「言ったわ!」、「私も聞いたわよ!」、「嘘つきいっ!!」
その声の主たち、それは先ほどから野次を飛ばしていた生徒達だった。
「嘘だっ!」と観客席に向けて絶叫する芹沢を無視してピートは火之華に語りかける。
その目には先ほどまでの呆れの替わりに同情とも慈愛ともとれる色が浮かんでいた。
「あなたは今でもそれが「正義」と思ってますか?」
「わかんないわよっ!でもここで負けたら私たちのやったことは「嘘」になっちゃうじゃない!!」
短刀を振りかぶってヨロヨロと突っ込んでくる火之華を抱きとめるピート。
「もういいんですよ。」
トス…
労わるようなピートの手刀を首筋に受け火之華は涙を流しながら意識を手放した。
「ピート危ない!」
気を失う火之華を抱き哀れむような表情を浮かべるピートに横島の声が飛ぶ。
「くっ!」
咄嗟に少女を庇うピートの肩に小さな矢が刺さった。
「おのれ!外道が!!」
怒りのあまり闘場に向かおうとする加藤を視線だけで制止して、ピートは腕の中で気絶する火之華をそっと横たえ、自分に向かって奇妙な銃を構えている芹沢に向き直った。
ピートに叩きつけられる錯乱した男の声。
「お、お前ら吸血鬼は人を魅了する魔力を使うだろ!それで御神楽を誑かしたんだろっ!!」
「してませんよ…」
「嘘をつけ!妖怪ごときの言うことを誰が信じるかっ!」
「下等な妖怪を排除する…それがあなたの正義ですか?」
「当然だ!」
「僕は「正義」と言う言葉はそれほど好きではありません。いえ…正義の名の下に人を傷つけてもよいという考えは嫌いです。人にはそれぞれの「正義」がある…だが、今のあなたが「正義」という言葉を振りかざすなら、僕は僕の「正義」でお相手しましょう。」
「やってみろ!!」と言うなり銃を乱射する芹沢。
回転する六本の筒を束ねたような拳銃から放たれるのは短い矢、おそらく空気圧式のボウガンと言ったところであろう。
だがその矢は霧と化したピートの体をすり抜けた。
「くそっ!卑怯だぞ!」
銃を構えつつ自分の周りに立ち込める霧を睨みつける芹沢の横で、霧の一部がピートの手の形に実体化すると鋭い爪で芹沢の腕を浅く裂いた。
「くっ!」と傷口を押さえながら飛び下がる芹沢の耳に、霧の中からピートの声が響く。
「あなたの負けです…」
「何を言う!」
闇雲に銃口を向ける芹沢の腕から飛んだ血飛沫が霧の中に吸い込まれる。
恐怖のためか血走った目であたりを見回す芹沢の前、気絶している火之華を庇うように再び実体化するピート。
「そこかっ!」と銃を向けようとした芹沢の右手が意志とはかかわりなくグルリと反転してコメカミに銃口を当てるとピタリと止まった。
「な、何を…」
青ざめつつ必死にもう片方の手で意のままにならぬ自分の手を押さえようとするが、銃口はコメカミに固定されたままビクともしない。
脂汗を流し、酸欠になった金魚のようにパクパクと口を動かすしか出来ない愚かな男にピートが冷たく言い放つ。
「あなたの腕は僕に支配されました…。もう自分で動かすことは出来ません。」
キリキリと引き金を絞る音がコメカミから聞こえる。
「ひいぃぃぃぃぃぃ。止めろぉぉぉぉ!!」
「許して欲しければ正直に言ってください…。嘘をつけば自動的に引き金は引かれますよ。」
ピートのブラフを見破る余裕なんぞ彼にはない。
馬鹿のように首をカクカクと動かして恭順の意を伝えるだけが彼に出来る精一杯なのだ。
「この人にイジメをさせたのはあなたですか?」
「俺はただ三千院理事に言われてっ!」
その言葉に「おう…」という驚愕の声があちこちから漏れる。
それは貴賓席の三千院の周りに座る他の理事たちからも聞こえてきた。
脂汗を流してがっくりとイスに沈み込む三千院理事、その周りに座る理事たちが美しい花園の中に場違いに捨てられた産廃を見たかのような不快な顔をして彼から離れていく。
まるで近くに居るだけで腐臭がうつるとでもいいたげに…。
「それは何のためですか?」
「定員を減らして寄付の多い生徒を中途入学させるためだ!」
「なるほどわかりました…。では、いつの日か主の御許であなたとお会いできますように…」
十字を切りニヤリと笑うピート。
彼をよく知るものにはすぐわかることだが激しく演技臭い。
もっとも偏見に満ちた芹沢には死神の笑みに見えるだろう程度の演技力はある。
そして今はそれで充分だった。
「止めてくれぇぇぇ!!!!」
カチリ
トリガーを引く音を聞いた途端、芹沢は白目を剥くとそのまま昏倒した。
口から泡を吐き股間を薄汚い色に汚して失神する芹沢。
自分が撃った弾の数も数えられない愚かな男に、彼にしては珍しく冷たい目で見つめてピートは呟く。
「正義は勝つ…のではなかったんですか?」
パチパチパチ…
闘場を降りようとするピートに向けて横島側の応援席から拍手が起き始め、そしてそれは六女側応援席にも伝わり、やがて会場すべてが割れんばかりの拍手と歓声に覆われた。
その歓声にピートは万感の思いを胸に秘めて頭を下げる。
自分たちの前に戻ってきたピートに加藤が握手を求め、感激すれば抱きつく癖のあるタイガーを愛子が止め、横島が笑いながら「ほい」と『治』の文字の浮かんだ文珠を投げてよこした。
唯が、アリエスが、かすみが華やかな笑顔を見せる。そんな光景に観客席から再び嵐のような拍手が鳴り響いた。
当分、止みそうも無い拍手の中、闘場にゆっくりと進み出てくるのは六道理事長。
マイクを受け取るとコホンと咳払い一つ。
何事かと静まり返る観客達に向かって穏やかに語りだした。
「今日はとってもいい戦いを見せてもらいました〜。でも〜…」
「「「でも?」」」と不穏な空気を感じ取る除霊部員たちに人の悪い笑みを浮かべると…
「皆さんのためにもプロ同士の戦いを見ておくのも大切だと思うんです〜。」
「プロ同士って…もしかして私?!」と流石にこれは予測しなかったかビックリ目の魔鈴さん。
そんな彼女に理事長は軽く頭を振って否定の意を見せる。
「横島さんです〜。」
「ええっ!俺はプロじゃないっすよ〜。」
突然のご指名に仰天する横島をやんわりと制して理事長は笑う。
「でもでも〜美智恵ちゃんは「戦闘ならプロ級」って言ってましたよ〜。」
「そんなに強くないっすよ…」
「昔はそうかも知れなかったけど〜。今のあなたは頑張って強くなったそうですし〜。それにもう決めちゃいましたし〜。特別ゲストもお呼びしてますし〜。」
「そんなこと言われても…」
渋る横島に「おばさん泣いちゃうかも〜」と六道家必殺の説得術?炸裂。
「あああ…わかりました。」
なにやら理事長の影の中から「ゲッゲッゲッ」と聞きたくない声を聞いてしまった横島に拒否権はない。
「で、相手は誰なんじゃろかいノー」
「それはですね〜」と理事長が答えようとした時、突如として会場に流れる音楽。
♪チャーンチャカチャカチャン!
「「この曲は?!!」と驚く唯と魔鈴さんに「知っているの?」と愛子が問えば妙に興奮した二人から元気な返事が返ってくる。
「へうっ!この曲は『スカイハイ』ですぅ!」
「ええ。往年の名レスラー『千の顔を持つ男』の入場曲!!」
興奮気味の魔鈴の言葉に答えるかのように六女側の客席が割れ、中から出てくるのはメキシカンな覆面をかぶった細身の男。
それなりに年なのだろうが引き締まった体と軽快な動きで闘場に走り寄ってくると、ヒラリと空中前転を決めて闘場中心に降り立った。
「「きゃーーーー」」と謎の覆面に手を振る魔鈴さんと唯。
テープを持っていたら迷わず投げただろう。
それに答えるかのごとく手を振り返すメキシカンにどこか見覚えのある気がする。
「誰ですかいノー」と記憶を探るタイガーに向けて挑戦的な目を向けると、呆然としている六道理事長からマイクを受け取り流暢な日本語で喋りだすメキシカン。
「私はメキシコから来たGS。その名も『ミル・マス唐巣』!!」
「「「本名言ってるやん!!」」」
「あああ…先生ぃぃぃぃ」と崩れ落ちるピート。
「あ、あはは…そういえば昔はプロレスフアンでしたものね〜。」
流石に彼女を持ってしても予想外だったのか額に汗を浮かべて笑う理事長。
どうやらタイガーの虎覆面を見てプロレス魂に火がついたらしい。
覆面だのリングコスチュームだのをいつ用意したかは謎だが。
何だかヤル気が急速に萎んでいく一同とは関係なく「ああ、ミル・マスカラスに会えるなんて…」とウットリの魔鈴さんに相沢もビックリだ。
「ミル・マスカラスって確か70年代から80年代のレスラーじゃ…もしかして魔鈴さんってかなりの年…(とす)…う゛っ…」
相沢の危険な発言は額に刺さった小さな矢によって封じられた。
「ま、魔鈴さん…何を…」と慌てるピートにニヤリと邪な笑いを見せると手にした筒状の物体をさりげなくしまう魔鈴。吹き矢筒に似ているが気のせいだろう…きっと。
コホンと咳払いしてニッコリと笑う現代の魔法使い。
笑顔と裏腹に暗いトーンの口調が怖い。
「女性の年を詮索する人にはパラライズの魔法でお仕置をば…」
(魔法じゃねー!!)とは誰も口には出さない。だってすっげー怖いし。
おキヌちゃんが泡を吹いてヤバい痙攣をする相沢を覗き込んで「ヒッ」と小さく叫ぶ。
「どうしたんだ?」と近寄ってみれば涙目のおキヌがすがり付いてきた。
「横島さん…この人…」と泣きつかれて見れば紫色の斑点を顔中に散りばめてピクピクと痙攣する担任の姿。微妙に溶けかかっている気がしないでもない。
「パラライズ?」と疑問形の横島に懐にしまった筒をもう一度取り出して見つめていた魔鈴がペロっと舌を出した。
「いけない。これはポイズンの魔法でした。」
「毒?!!」
横島が文珠で解毒するまで相沢は痙攣し続けた。
後書き
ども。犬雀です。
六道理事長の思惑はこんな感じて果たされました。最後の最後で狂った気もしますが。
「ミル・マスカラス」…古すぎですか?
色々検索したんですけど、唐巣神父を壊そうとするとこれしか引っ張り出せませんでしたぁ。
最初はユッキーにしようかと思ったんですが、理事長の策の解説を神父に頼もうかと思いましてこっちにしました。
もしユッキー登場だったら神父はこの後で「黒い三連星」のジェットストリームアタックで病院送りになる予定…。とりあえずそちらのフラグは立たなかったようで何よりです。
では…
まずは本編のほうのレス返し。
1>法師陰陽師様
おキヌちゃんの出番は色々と増えていくと思います。
黒くはならないと思いますが…あの二人と関わると壊れていくでしょうねぇ。
2>義王様
芹沢は教師としては終わったでしょう。いろんな意味で…。
3>通りすがり様
芹沢は単なる手ごまですので深く考えておりません。単なる狂信者が利用されたようなもんでしょう。
会の新メンバーは幕間話で増えて行きますです。ええ、もう色々と…w
4>wey様
いえいえ。お気になさらずに。
新しい技は例のアレでございました。霧のおばあちゃんの奴ですね。
「ジャスティスは勝つ!!」
5>AC04アタッカー様
理事長さんは色々と考えておられたようで、アリエスをメンバーとして認めたあたりから胡散臭い話だったりするわけです。妖怪色を強めたかったのかも知れません。
6>wata様
愛子ちゃんは後半でヒロインしてもらうつもりです。
でもヤバ目の展開も考えていたりして…。(ダ・バ系)
まだどっちにするか決めてませんです。
7>オロチ様
間違ってないと思います〜。
犬の次の目標は『明るいH』であります。
8>シシン様
芹沢は霊能者としても戦士としても下の下でありますので、鬼門に瞬殺されると思います。
そういえば鬼門がやたらと外出したがっていると言う裏情報が密偵に放った雀より犬の元にもたらされております。
9>ATS様
弓さんが名家ゆえにその友人たちに手が出せなかったのかも知れません。
下手に手を出すと戦闘力に秀でた鎧の戦士が殴りこんでくる可能性もありましたので、ある意味手を出さなくて正解?
10>ttt様
そのうちに増えていきますです。今のところ予定として「ウ」と「ホ」ですか。
11>十七夜様
ハーレムより共有ですねぇ。犬としては誰が最初にゴールするか?が興味深いです。横島君の道徳観は担任が壊してくれそうですし。
12>クロス様
ですね。敵に応じて戦法を変える。
これが必要かと。
そういう意味では今回の戦いは横島側が一方的に有利でした。
13>なまけもの様
うーむ。読みが鋭くて犬はタジタジであります。
六道理事長の狙いは犬は5つ考えております。
校内の問題の解決、三千院失脚、人と妖の共存の可能性の示唆、生徒のレベル(意識)UP、そして後一つは秘密であります。
犬、上手く書けてましたでしょうか?
14>shin
マヌケは愛であります!と意味不明なことを言いつつ。
悩むより感情で動く方が正解な時にはマヌケは無敵の力を発揮します。
良い方向にも悪い方向にも…ってダメじゃん!
15>ザビンガ様
加藤君は武道に関する解説役を担っていただこうかと…。
安室君は射撃、天田君は戦術、寺津さんは戦略とか。
そんな風にキャラを使い分けていければいいなぁと思ってます。
16>紫苑様
六女は生まれ変わるでしょう。
横島君が人妻に行くには軽巡洋艦「理性」を撃沈する必要が…(汗
でもコードネームは「マダム」ってのもいいかも。
17>ミーティア様
初めては…寸止めでございました。
ですから彼女らにもチャンスは残ってます。一番リードしているのはカッパの姫様ですな。
18>ジェミナス様
まあ芹沢は使い捨てキャラですのでこんな程度のお仕置きで勘弁してください。
19>【赤】様
ロボは今後も登場予定であります。
形は変わると思いますが色々と便利なものなので。
録音とかも出来るんですよ。
強い敵かどうかは内緒ですが一筋縄でいかないのは出てきますです。
さて、今度はピンクの方のレス返しであります。
1>かれな様
過分なお褒めの言葉ありがとうございます。
もし今後18禁を書くときも留意させていただきます。
ちなみに相方の雀は時々割りを食うための分身であります。
2>シシン様
ウシ…いえやっぱしねぇ〜初めてでそんな奥義は…。
お姉さんと少年が困った進化をしちゃいそうです。
3>AC04アタッカー様
いやいやこんなSSを参考になさらないでぇぇぇ。と平謝りであります。
4>紫苑様
霧香さん可愛いですか。最初はもっと経験豊富にしようかと思ったんですが、暴走してくれちゃいまして…(笑
5>なまけもの様
わーん。ごめんよ〜。
でも…今はこれが精一杯…(手のひらから花を出しつつ)
「避妊」は考えたんですけど…一生もんになったら気の毒かなぁと。
ていうかどっちに使うか思いつかなかったんですけどね。
6>MOMOMO様
ふむふむ…いいっすね。タマ…グフッ。