無限の魔人 第二十九話 〜式神デスマッチ2〜
「夜叉丸行けっ!」
鬼道の声に従って隣に居た人型の式神が冥子ちゃんに飛び掛った。
「きゃ!」
吃驚している冥子ちゃんの影から一匹の式神が飛び出て、夜叉丸に襲い掛かっていった。
「アンチラ!?」
恐らくあれは主人の命を守る為に飛び出してきたのだろう。
・・・・12匹同時に出ないだけ俺よりましだな・・・。
そういえば何で俺だけ12匹出てくるんだ?
アンチラの刀のような両耳で切り付けたようだが(早すぎて見えない)夜叉丸は手甲のような物で防いでいるようだ。
あれって使い勝手良さそうだな・・・。
アンチラの攻撃を凌ぎ、一旦距離を取る夜叉丸。
『フーーーー!!!』
アンチラは夜叉丸に対して全身の毛を逆立てながら警戒している。
あれってウサギっぽいな・・・・十二支の中にあったっけか。
「やる気らしいね。始めよか、夜叉丸。」
「令子ちゃ〜〜〜〜ん!!」
泣きながら美神さんに助けを求めているが、実際なんであんなに怖がるのかが謎っちゃ謎。
12匹同時攻撃で瞬殺できそうなんだがなぁ。
「やっちゃいなさいよ、あんな奴。」
美神さんは中指立てて冥子ちゃんを鼓舞している?
美神さんも冥子ちゃんが本気になれば鬼道ってやつが敵ではないと思っているらしい。
ぜんっぜん冥子ちゃんを心配する素振りが感じられない。
むしろさっさと終わらせろと・・・いや、俺も同意見なんだが。
ただ働き、ただ働き・・・・。
「いてこませ、政樹!!」
「オーケー!父さん」
「本気でやんなさいよ冥子〜〜〜〜〜!(怒)」
冥さんはかなりご立腹のご様子、顔は笑っているが目は笑っていない。
「みんなやめてよ〜〜〜〜っ!」
かなり追い詰められてるな・・・・。
まぁ、負けてしまっても後で優しく慰めて・・・・心に傷を負った冥子ちゃんに優しく語りかける俺!
これは!これはいけるか!?
よし、やっちまえ鬼道!!
「まずはそいつを倒させてもらう!」
鬼道の掛け声と共に走り出す夜叉丸。
アンチラがいち早く反応し、夜叉丸を迎撃しようと両耳を振る。
『シャーーーーーーーー!!』
アンチラの両耳が交互にバッテンを描きながら夜叉丸に迫る。
夜叉丸は攻撃が来る前に既に動いており、アンチラの攻撃を掠らせもせずに間合いを詰める。
「な、なんで当らないの〜〜!?」
攻撃速度という点では十二神将中最速であるアンチラが掠らせもしない。
「え!?」
遂にアンチラの間近に迫った夜叉丸はアンチラの頭上に飛び上がり、蹴りを放った。
ドガッ
『グギャッ!』
アンチラは蹴りを腹の辺りにもろに受けたみたいだ。
吹っ飛んで転がったまま。
「キャーーーーー!!」
ん?
冥子ちゃんのほうを見てみると両腕で自分を抱き抱えて振るえている。
「痛いよーーー、痛い、痛い〜〜えーーーーん!!」
「げっ、そういえば式神って冥子と直に繋がってて痛覚も・・・・。」
なっ、ってことは今のは夜叉丸に冥子ちゃんが蹴られたって事か?
ぼ、ぼぼぼぼ暴走の危険有り!!!?
「もういやーーーーーーーーーーー!!」
「め、冥子!落ち着きなさいっ!」
「冥子ちゃん、落ち着くんだ!!危ないから!!」
必至の説得?(宥め)虚しく、冥子ちゃんの影からは残りの十二神将が飛び出てきた。
「よーし!今こそ長年の修行の成果を見せるときだ!夜叉丸行けー!」
なんかとってもハイになっている鬼道。
「ちょっと、横島君離れるわよ!」
俺達は冥子ちゃんから距離を取りつつ、夜叉丸VS(12−1)神将を見学をすることにした。
「夜叉丸!取り合えず戦闘能力の低そうな奴から倒すんや!さすがに11匹も同時には無理や。」
夜叉丸は空中に浮きながらピカーっと光っている一つ目の奴に攻撃を仕掛け、吹き飛ばす。
「まず一匹。」
夜叉丸に気づいたのか、のっぺりとした口の無い式神が襲い掛かってくる。
夜叉丸は簡単に懐に入り込むと強烈なボディブローで沈める。
「二匹。」
「離れろ夜叉丸!」
夜叉丸がその場を離れた瞬間、光が突き刺さった。
イグアナのような式神が光を放って攻撃している。
「夜叉丸撹乱するんや!」
言うが早いか、夜叉丸は常に高速移動をしつつ攻撃を避ける。
どうやら冥子ちゃんと一定の距離を取ると式神の攻撃範囲から外れるようだ。
今冥子ちゃんを中心に9匹の式神が円を描くように守っている。
所々守っている範囲が無い所は倒された3匹の場所だろう。
鬼道は冥子ちゃんに必要以上には近づかないようにしながら、一匹ずつ倒していくつもりのようだ。
イグアナ似の式神が夜叉丸の左腕に光線を浴びせる事に成功した。
光線を受けた場所は一瞬で石になってしまった。
・・・・粘土捏ねてあれ使ったら簡単に石像が作れるな・・・いや、石臼とか漬物石とか・・・売った
ら金になりそうだなぁ・・・今度頼んでみようかな、うん。
「夜叉丸!倒れてる式神を使えっ!」
うん?鬼道の指示が変った。
夜叉丸はボディブローで沈めた式神の隣へと動き、式神を担ぎ上げて・・・・・・・・・投げた。
・・
・
イグアナ似の式神は見事潰されてしまいました。
「これで三匹や。」
「かなりやるわね、あの鬼道っての。どうなるのかしらね。」
ぼりぼりっ
ぼり
「式神がなければただのかわい子ちゃんだからな・・・!なんだか邪まな期待をしてしまう俺。」
「あんた、まだこりて無いみたいね?」
ぼりぼり
「いや、これはあくまで若い男の性(さが)と言うべきもので・・・。」
ぱきんっ ぼりぼり
「まぁ、あの子に何か有ったら・・・・六道家が黙ってないわよ?」
ビクンッ!
そ、そういえばそうだった・・・あの六道家・・・。
遠く離れた見学席で煎餅を食べながら観戦している俺たち・・・・手に汗握る・・・いや、手に煎餅を持ちながら全く関係ない話をしていた。
考えに気を取られている間に状況はかなり進んでいた。
夜叉丸が式神投げが気に入ったのか、潰れたイグアナ似を拾って空を飛んでいるエイのような式神に投付けた。
別に式神を投げる必要なんて全く無い気がする。
その辺にある石の方が投げやすそうだし・・。
結果は当らなかった。
いや、飛んで行くイグアナ似の式神を空を飛んでいたエイ似の式神が受け止めたのだ。
「あれじゃ駄目か・・・夜叉丸!今度はそいつを投げるんや!」
鬼道が指示したのはボディブローで沈めた式神。
だから何で投げるんだ?
無限の魔人 第二十九話 〜式神デスマッチ2〜
end
あとがき
ふぅ、ようやく暇な時間を取れるようになりました。
結局前回からまた時間が経ってしまって・・・まぁ、暇つぶしに最初から読んでみる事をお薦めします(え
式神戦まだ終わらないし・・・・あああ。
いつまで引っ張るつもりなんだ鬼道!?(え
次の話は2日後までにはあっぷしまーす。
レス返し
>法師陰陽師さん
娘は多分あっちで元気に・・・・?
龍美と雪之丞とのコンビは両人ともに熱い物を持ってますから、きっと気が合うのでしょう。
>柳野雫さん
クールなユッキーも良さそうですが・・・うーん、目つき悪い&クールだとかなり怖いキャラになりそうで・・・今のままが一番かな。
界人君はまだまだ裏のままっぽい?
>かれなさん
プレッシャーがあろうとも、書くスピードは一切変らなかったりorz
遅れてスイマセン(;´Д`)
>トレロカモミロさん
ラヴパワー・・・うーん、界人と龍美は特別な繋がりがありますからね。例え時間軸が違えど二人を引き離せる物なんて・・・。
私程度に燃えていただきありがとうございます(マテ
今後もがんばっていきまーす。