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▽レス始

「妖物のお医者さんR 第5話(GS&動物のお医者さん)」

闇色の騎士 (2005-03-09 08:18/2005-03-10 18:18)
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〜第5話〜


「美衣さん、たとえしばらくご飯が食べられなくても貴女はネズミ捕り(交通違反逮捕キャンペーンにあらず)が得意ですから大丈夫ですね?」
人工幽霊壱号「ユウリ」は畳の上にきちんと正座して、愛猫と差し向かいで言った。

「…」
美衣はなんだかなぁという表情だ。

「ああ、貴女はネズミ捕りが上手だから…そのうちお家にネズミがいなくなって食べ物が無くなってしまうと思うと心配ですぅ…」
よよよよとユウリはわざとらしく目元にハンカチを当てる。

「…おいおい、そんな寸劇やらなくてもちゃんとやっとくよ」
横島は溜息を吐きながら言う。

「大体たかが二日程度の霊力調整のための眠りで大騒ぎしないでくれよ」
「だってぇ…」
ユウリが不満そうに上目使いで、横島を見た。

「あとは引き受けるから、思い残す事無く100年の眠りにでもついてくれ」
横島は手をひらひら振る。

「私はツルリー○三世ですか!?」
ユウリが叫ぶ。

「気にするな」
横島は疲れていたのだろう、妙にそっけない口調で返した。

(毎回つきあってられんわい…)

…訂正、もう慣れっこだからであった。


翌日。

横島が部屋でレポートにわたわたとかかっていたら、シロが足元に纏わりついて来る。
「わぉう!(せんせー!遊ぶでござる!)」
「すまんなシロ、このレポート明日提出なんだ…ああなんでもっと早くやらなかったんだろう、なんだかとってもチクショ〜!」
目の幅と同じ涙をだぁ〜っと流しながら横島は嘆く。

自業自得の見本の様な感じだが、何回も繰り返してしまうのは何故だろう?

……ある意味宿命かも知れない。

「わうん〜(気長に待ってるでござるよ〜)」
気の長いシロ……

ある意味凄い様な気がしないでも無い。

いい子に育ってきたねシロ…

「な〜う(役得ですね…ウフフ)」
横島の膝の上では美衣が丸くなってゴロゴロ喉を鳴らしている。

「最近みんなと遊んでやれてねぇからなあ、ユウリも眠ってるし…」
どこからともなく魔鳥の鳴く声まで聞こえた。

「ちょっと頭の痛い展開だぞこりゃ……」
横島は頭を抱えた、が…

ぴこーん!

「(ビンゴッ!)そうだ!連れて行ける連中だけでも学校に連れて行けばいいんだ!」

このアイデアがのちにしょーもない不幸をある者に運んでこようとは…

藁にも縋りたい気分のこの男が知る由も無い。


翌日、六道大学除霊学部。

「どうしたんです?急に?」
リュックから這い出す美衣を眺めながら、ピートが聞いた。

「うわ〜〜〜ふさふさすべすべ〜〜〜」
冥子がシロを嬉しそうに撫でている。

「構ってやらないとメチャ危険な修行をするからな」
「コッ○リさんですか?キツネ呼ぶんですよね?」
「あのなピート、シロがどーやってやるんだよ…」
天然の友人のボケ(?)に横島がツッコミを入れた。

「まあそのキツネが美人のねーちゃんだったら考えなくも無いんだが……」
真剣に考え始める横島。

こいつも天然では?

「美人の女の人だったらどーするんです?」
ピートが仕返しとばかりに突っ込む。

「…そういやそうか、どうするんだろ俺?」
今度は悩み始める横島。

最早煩悩少年だった頃は遥かなる過去である…

「で〜、危険な修行って〜〜何〜?」
「えっと、つまり…」

最近シロは霊波刀が少し長く出せる様になった。

それで素振りを欠かさないのだが、その課程をプロセス化して見ていくと……

1 口から発生させた霊波刀の出力を上げていく

2 上げきった所であっさりバランスを崩す

3 坂を転がり落ちる

4 そして何処ぞにどかん!と突っ込む

「…それは修行…というか事故じゃ?」
「途中までは確かに(アイツなりの)修行だったんだ」

妖物を学校に連れて来たのは、横島が初めてではない。

魔女学講座教授、魔鈴めぐみの使い魔兼飼い猫「クロ」

霊的格闘学講座希望、一文字魔理の飼い化け虎「タイガー寅吉」(!?)

死霊術師学講座(仮設)希望…というかほぼ確定、氷室キヌの飼い妖狐「タマモ」

その他大勢が除霊学部をうろついている。

ここにくれば同類(と書いて仲間と読む)がいるし、学生も暇な時構ってくれるので寂しくは無いという訳だ。

「そっちにはいないか?」
「2階にはいないようだ」
そんな話をしながら、数人の学生が学部の中をうろうろしている。

「参ったな〜午後心霊手術なのに」
学生の一人が疲労の浮かんだ顔で呟く。

「横島、見なかったか?」
「モノは何だよ?」
連中の一人の問いに、横島が聞き返す。

「猫又…になりかけの猫だってさ」
「あれは違うのか?」
横島は隅で魚を貪っているトラ猫を指した。

「ありゃただの猫だ、それに三毛猫なんだ」
学生の軍団は銘々溜息を吐きながら又散って行く。

ただの野良猫が校舎の中に侵入してるのもどうかと思うが?

また学生が連れてきた妖物の他にも、教授の鍵の掛け忘れで結界から出てしまった奴や…

さらにはそれらの野生化した物があちこちで番を張っているので、寂しくない所の騒ぎではないのである。

大体は人畜無害に近い連中ばかりなので、大学側も特に除霊は行っていない。

たまに野良グレムリンに機械を狂わされたり、野良妖精にからかわれる事もあるのだが…まあ可愛いものだったりする。

「猫は〜〜どこかへ行っちゃったり〜するから〜外へ出さないほうがいいって〜〜お母様が言ってたわ〜」
冥子がまともな事を言うが、美衣が化け猫だという事には気付いてない様子だ。

気付け(ぼそ)


「う〜ん、何処へ置いて行こうか?」
「横島さん!講義が始まりますよ!」
ぱたぱたと走ってきた青っぽい長髪の女性が声を掛けてくる。

彼女の名は氷室キヌ。

優しげな雰囲気と、偽り無き優しさを持つ癒し系美人。

家事全般の達人であり、実家は神社。

何故か価値観が妙に古かったりする所がある天然娘でもあった。


そのせいか、愛称は「おキヌちゃん」である。

「あ…おキヌちゃん、そういえばもうそんな時間か…」
横島はがさがさと準備を始めるが…

「横島さん、美衣は?」
「え?」
ピートに言われて辺りをキョロキョロ見回す横島。

美衣は除霊所の待合室の前にいた。

「美衣!そっちに行っちゃ駄目だ!」
「にぁー?(はい?)」
「こんな所に紛れ込んだら、乱暴な先生に除霊されて酷い目に遭わされるんだぞ」

「横島さん…場所と立場を考えた方が……」
氷室キヌが汗ジトな表情で言う。

待合室がざわめいている…

「困るわ、でも学生さんが言う事だし本当なのね…」
などという声まで聞こえて来る始末だ。

「よ〜こ〜し〜ま〜!」

美神教授がドアを開けて睨んでいる。

その視線に殺気が篭りまくりなのが、彼女の怒りを如実に現していた。

「す、すんません〜〜っ!」
横島は即座に脱兎のごとく逃げ出す!

「……覚えておきなさいよ……」
子供のトラウマになりそうな表情で美神教授が呟く。

「も、もう講義が始まるので…冥子さん!美衣を頼みます!」
ピートも慌てて横島の後を追う。

「あ〜〜二人とも待ってください〜〜〜」
さらにそれを追うおキヌ……

全く騒がしい連中である。

「え〜〜〜冥子困る〜〜〜」
六道冥子の叫びは誰にも聞こえなかった…

暫く美衣を抱いて右往左往した挙句。

「……ここで〜〜いいかしら〜〜?」
冥子は使われていない部屋に美衣を入れる。

そしてドアを閉めようとした時……
「冥子、唐巣先生見なかった?」

美神教授がひょいっと顔を出す。

「え〜〜、確か〜出張に行ってたんじゃ〜?」
「あ、そうだった…」

二人のやりとりの間に、美衣はするりとドアの隙間から外に出た。

そのまま待合室まで来たが誰もいない。

「にう〜…(あら、誰もいない……)」
引き返そうとする美衣の前に数人の学生が出現する。

「あ、こんな所にいたぞ!」
一人が捕縛ロープを構えて叫んだ。

「ここで逃がしたらまた教授からシバかれるし…」
もう一人は半泣きで結界アミを構えている。

美神教授がシロを捕獲したブツと同種類のアイテムだ。

「にゃっ?(こいつら…私を猫又と勘違いしているのね?)」

根本的に化け猫と猫又は違う妖物だ。

化け猫は猫がなんらかの要因で妖怪化したもので、猫又は10年以上生きた猫が変化する。

と伝承にはあるが、最近は医療の進歩などでふつーに猫が10年以上生きる時代…

それに伴い猫又化の条件も厳しくなり、今では20年以上生きた猫がようやく到達出来るという。

まあどちらかと言えば人間でいう仙人に近いのだが、便宜上妖怪に分類されているのであった。

外見上の大きな違いは「尻尾が分かれているかいないか?」なのだが、経験の浅い学生にはイマイチ解っていないらしい。

「ふぎ〜〜!(冗談じゃないわ!)」
美衣は隙を付いて一気にその場を離脱した!

「に、逃がすな〜」
「追え〜〜〜!」

わらわらと追ってくる学生どもを引き離しながら、通路の角を曲がるとそこは…

行き止まりだった!

「にゃにゃっ!にゃ…(しまった!こうなったら……)」
美衣はくるんっと宙を一回転したかと思うと…


「秘技!人間変化!!」

どろろろんっ!!

何と!

美衣は美神教授を越えるナイスバディのボディコン美女に、大・変・身・したのである!

その直後…学生軍団が角を曲がってやってきた。

「い、いない???」
ざわめく学生達。

その横を通り抜けようとした美衣に、その中の一人が声を掛けてくる。
「すみませぇん、猫が来ませんでしたか?」
「いいえ、見てませんよ」
美衣はにっこりと笑って答えた。

「あ、そ、そうですか…すみませんでした(すげえ美人だ…でもこんな美女いたっけ?)」
学生たちは首を捻りながら戻って行く。

「やれやれ…なんとか誤魔化せたみたいね」
美衣はほっとでかい胸を(!)撫で下ろす。

「当然よね、私の術があんな学生なんかに見破れる訳ないし」
とことこ歩きながら内心ほくそ笑む美衣。

これは仕方ない事と言える。

彼らが探していたのは猫又になりかけの「猫」であり、百戦錬磨の化け猫ではない。

それに未熟な学生だったという事もあるため、美衣が高度な術で隠蔽している「妖気」を感知する事などほぼ不可能である。

以上の理由から彼らを「無能」と責めるのは酷だと言う物だ。

「でも、このまま放っておく訳にはいかないわね…まあ暇だし騒ぎの元の猫又を探しておいた方がいいかも」

(それに、横島さんに誉めて貰えるかも知れないし(はぁと))

こうして、美衣の猫又捜索が始まった。


彼女はまず「妖気検知」から始める事にした。

「…………………………何コレ??」

美衣は困惑する。

この大学には色々いるせいで、人間の霊気や妖物の妖気などがごちゃごちゃに混ざりあって何がなんだかさっぱり…という現状であった。

「何なのよここ!これじゃ検知系の妖術は殆ど役に立たないじゃない…」
残された手段は…こまめに「妖気検知」を行いながら、足で探して歩くという地味〜な方法しかない。

「負けないわ!私の平和を取り戻す為、そして横島さんに誉めて貰う為…絶対に捜し出して見せる!」
美衣は珍しく燃えていた。

彼女は取り敢えず待合室の方に戻る。

「猫又はここから逃げ出したらしいから、もしかしたら残留妖気が残ってるかも……」

美衣の読みは当たった。


微かながら「猫又(なりかけ)」の妖気が、待合室の外へ向かって伸びているのを感じとる。

「消えないでよ〜お願い!」
彼女は音も立てずにその「妖気」を追った。


「いやあ、講義が伸びて参りましたね」
「目が疲れました…」
「冥子さん、すんませんでした…美衣は?」
講義から戻って来た横島とピートとおキヌは、使用されてない部屋の前で呆然としている冥子に声をかける。

「ご、ごめんなさい〜〜何処かに出て行っちゃったみたいなの〜〜」
「「「え”」」」
硬直する三人、冥子は泣きそうな顔をしていた。

「取り敢えず探しましょう、そんなに遠くには行っていないはず…」
ピートの言葉に三人は頷き……

「わうん!(拙者も忘れないで欲しいでござる!)」
もとい、二人と一匹は頷き、まずは近くから捜索を始める。

「シロ、美衣の匂いとか解らないか?」
「うぉん!(やってみるでござる!)」
横島の求めに応じ、シロはふんふんと辺りの匂いを探っていく。

数分後…

「くう〜ん…(駄目でござる…匂いやら何やら混じりすぎていて、どれが美衣殿のものだがサッパリでござるよ…)」
首を振るシロ。

ほぼ美衣と同じ結果である。

「駄目か…後は地道に行くしかないな」
「ですね」
「頑張りましょ〜〜」
「はい!」

横島達はその辺りの部屋から見て廻る。

一つ目の部屋。

横島がそっと開けると…

そこには派手な白い鎧の様な物を付けた青年が、両手によく解らない軌跡を描かせている最中だった。

何故か背後に天馬星座(ペガサス)の幻影が浮かび上がっている。

「何じゃこいつ?」

「燃えろ!オレの小宇○!この身に甦れ!究極の小○宙…セブン○ンシズよ!」

「小宇○って書いてこすも?つか何で伏字だらけなんだ?」
「やんごとない事情でもあるんじゃ?」
横島とピートがぼそぼそ話していた時!


「ペェ○サスッ!流星拳!」


青年が叫びとともに拳を鋭く突き出した!


だが。


キラキラキラリン♪

「……………………」

彼の拳からは小さくて綺麗な星がぽろぽろ出ただけで何も起こらなかった。

「駄目か…もうすぐゲームも発売するのに…」
意味不明の言動と共にがっくりと膝を着く青年。

アサリが出るよりかはなんぼかマシだとは思うのだが…?


「はずれ、と」

ばたん!

横島達は見なかった事にして次の部屋へと向かった。

次の部屋。


何故か部屋の真ん中に、ところてんを人型にしたよーな奴が居る。

横には立て札。

「ところ天の助 200円の所を半額でのご奉仕」
と書かれてあった。

「……」
茫然と立ち尽くす横島達。

「オレさぁ、今なら半額の100円なんだけど…」

「「「買いません」」」


ばたん!


更に見なかった事にして、次の次の部屋。


「…何だ?」

部屋は薄暗く、隅っこのベッドの上に少年が座っている。

「泣いてません?あの人…」
横からひょいっと部屋を覗き込んだおキヌが言う。


そう、泣いているのだ。

何故かピンク色の折りたたみ式携帯を握り締めて。

「うぅ…マユ…」
こちらに気付く様子も、見る様子も無い。


「…いたたまれないな、次ぎ行こう」
「はい」

ばたん…

(あの時の俺と同じ目をしている…)

「横島さん?」
部屋を出て立ち止まった横島の顔を、おキヌが見上げた。

「…何でもないよ、行こう」
慌てて笑顔を作り、おキヌの肩を後ろから優しく押しながら答える横島だった。


「結局彼は何だったんでしょうか?」
「さあ〜?冥子知らない〜」
ピートと冥子にそこはかとない疑問が残った様だ。


異世界とリンクでもしてるのか?この辺りは?


次の次の次の部屋。


「勝負でござる!飛天○剣流究極奥義!天かけ…」


「長いっ!(名前が)台詞が被る!!(シロと)」


ぼこっ!


刃が逆に付いている変な刀でいきなり襲ってきた男を、「栄光の手ガントレットver」で容赦無く黙らせる横島。

という事は、某忍者もNGか?

「今更ながら思うんですけど…ここ変人の巣ですね…」
ピートが少し疲れた表情で言った。

「我が学校ながら……これはめちゃくちゃだよ」
横島も溜息を吐きながら答える。

「大丈夫ですか?」
おキヌが横島を気遣う。

「冥子も〜疲れたの〜」
暴走お嬢様はぽてっと近くにベンチに座った

「わうん……(ラチが開かないでござるな…)」
シロは横島を心配そうに見上げる。

「わふ…(美衣殿…何処へ消えたでござるか?)」

「あ!」

ピートが突然声を上げた。

「ん?どーしたピート?」
「横島さん、もしかして手術予定の猫と間違われて連れて行かれたのでは?確か同じ三毛猫だと言ってませんでしたか?……」
ピートよ、半分ビンゴだ。

「じゃ、病院に行ってみるか」
すがるもの無し状態の一行は、除霊所の隣にある心霊医学部の病院に向かって歩きだした。

除霊所の隣に建つ心霊医学部の病院施設…

こんなに近いのは、お互い患者を診る機関として連動しやすくする為である。


一方、美衣はと言うと…

「か〜〜め〜〜〜○〜〜め〜〜」
「うるさいわね!」

くるるんっ…がすっ!

「げぼはぁっ!?」

オレンジの道着を着た男を、容赦なく前転踵落としで黙らせる美衣。

倒れた男の背中には何故か○の中に亀の文字。

「…予想を遥かに上回る変人の巣ねここは」
どことなく疲れた様子である。

どうも(見習い)霊能者には、覚えた(開発した)技を即実戦で試したがる困ったちゃんが多い様だ。

中には霊能者かさえも怪しい存在もあったが。

美衣は疲れつつも次の部屋のドアを開ける。

「………」

そこには、横島達も見たところ天が居た。

何故かだるそうに煙草を吸っている。

(何コイツ?)

横の立て札の値段がしつこいほど書き直されており…

さっきの100円→50円→10円にまで下がっている。

更に、追加で「キャッシュバック!」「今なら携帯が付いて来る!」「今ならくじ引きで豪華商品」という派手な張り紙までしてあった。

果てしなく哀愁を誘いまくりである。

「奥さん…今夜ところてん料理?オレなんかどう?」
それが美衣に馴れ馴れしく語りかけて来た。

「買いません!て言うか誰が奥さんよ!」
即怒鳴り返す美衣だが…

(横島さんさえその気なら…っていやん♪私ったら…)

みょーな妄想にポッと顔を赤らめて身悶えする。

「ううう…また売れ残りかぁ!」
へんなところてんもどきは頭を抱えて叫ぶ。

「絶対売れないと思うけど」
妄想から冷めた美衣が半目できっぱり言い切った。

「ぐはっ!?」
さくさくっとところてんもどきの心にクリティカル!

「くく…もう…もうこんな生活は嫌だぁぁぁぁ!!」
ところてんもどきは何故か大根を振り上げて突進して来る!


「ところてん食えやぁぁぁぁぁぁ!!」


唸る魔剣大根ブレード!


「……」

美衣は静かにブレード状の爪をジャキーン!と延ばした。


「五月蝿い!!!猫神爪術”霞”!!!」


ザンザンザンザンッ!!!


「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


美衣が瞬時に繰り出した無数の斬撃を受けて、ところ天もどきは大根ごとあっさり寸刻みにされて散らばる!


「もう…あの生活に…戻りたくねぇよ…」
という謎の言葉を残して。

猫神爪術とは、美衣が独自に編み出した戦闘術で…

滅多に使用される事は無いが、極めて強力なモノらしい。

後に伝説の開祖として、後世の化け猫達に「ゴッド・マム」と呼ばれ崇拝と尊敬を集めるのだが…

それはさておき。

「ああ、時間の無駄だったわ」

ばたん!

美衣はとっととドアを閉めた。


「!?」
部屋から出た美衣は、微量の自分に似た「妖気」を感じて立ち止まる。

「何処?」
彼女は速攻で周囲を走査し始めた!

「そこ!」
美衣が向けた視線の先、病院らしき建物の前に三毛猫が一匹…

しかも尻尾は二つに分かれかけている。

「見つけたわ…うふふふ…」
恐い笑みを浮かべながら美衣は猫又に近づいて行く。

とそこへ…

「確かこっちだったよな」
「ええ、この先ですね」
「いればいいんですけど…」
「待って〜〜」

どこかで聞いた声が…

「え?横島さん達?まずいわ!」
美衣はくるんと一回転して猫の姿に変化する!

ある理由の為、人間モードに変化出来るのを隠しているのだ。

そして逃げようとした猫又に、必殺の前足がマッハで襲い掛かった!

シャッ!!(唸る爪音)

「ふ〜〜!(お前は逃がさない!)」

ベシャッ!

「ふぎゃっ!?」
あっさり取り押さえられる猫又(なりかけ)

「ぶにゃ〜〜(堪忍や〜〜姐さん〜〜)」
「しゃ〜〜!(誰が姐さんよ!)」
情けない声を上げる猫又もどき(?)を威嚇しまくる美衣。

というか今の美衣を見たら、多分子供でも泣くんじゃないだろうか?と思うくらい鬼気迫っているのだが。


しかし奥さんやら姐さんやら、おかしな呼び方をされまくる日である。


「あ、美衣?と……」
「三毛猫…ですね」


こうして脱走捕獲劇は何とか解決した。

そして…

「あいつを探してくれてたんだな、良くやったぞ美衣」
「にゃ〜〜ん(横島さんの為ですから)」

なでなで…

「ごろごろ……(幸せです〜はう〜…)」

ご希望通り横島に誉められ可愛がられ、ご満悦の美衣なのでした(きょうのわ○こ風)


〜第6話に続く〜


さて、今回もオーソドックスな加筆訂正版でしたが…

これまでと大きく違う点があります。

それは、前回指摘された文中の(笑)や(泣)などの文字を完全に取り払った事なのですが…どうだったでしょうか?

ご意見お待ちしております。


追伸、猫又に関する記述を修正致しました。
確か私の見た記録では100年だったんですが、もう一度調べなおした所…10年というのがポピュラーであるらしい…という感じでした。

しかし、最近の事情を鑑みれば10年ではあまりにも期間が短すぎないか…?という事で少しオリジナル要素を加えております。

法師陰陽師様、ご指摘感謝です♪


それでは前回のレス返しです。


wey様>
そう、何かなのですが…先にもう1つの「副産物」である技が出ます。ちなみに二年も時が経つのは原作の一つである「動物〜」の仕様によりますが、これは後にエピソードを追加できる仕様であると解釈しています(笑)


tanuki様>
そうなんですよ、何で本人だけは避けて通るんでしょうね?もしかして無意識にコントロールしているのかも?リニューアル前の作品は残しておきたかったのですが、そのままでは投稿規程に引っかかってしまう恐れがある為泣く泣く処分いたしました(涙)申し訳ありません;;


ぷろくと様>
貴重なご意見どうもありがとうございました、一応試験的に改訂してみたのですがどうでしょう?


D,様>
いえ、一応命名パターンは名前を略すのが仕様となっておりますので…しかもかなり適当にアルファベットを拾って(おい)実は最初菱沼役は冥子とヒャクメが上がってたんですよね…可哀想なヒャクメ(遠い目)


ATK51様>
冥子は暴走してナンボですから(酷い)あの剣の出番はもう少し後になります、微妙に位置づけが変わってる所がミソです。
田ボが人気演目には…ならないとは思います(汗)この後長い事出番ありませんし(笑)
マジキングは…派手な必殺技だなぁと感心しきり。


紅様>
龍騎編やると隣の掲示板にお引越しの可能性が出ますしね(汗)取り敢えず寝てください…(大汗)


柳野雫様>
自分でも前回ここで披露してたのに違和感がありましたので、ごっそり書き換えました。それとやっぱりタチ悪いからこそ冥子だと思います(爆)


トンプソン様>
それが凄く悩みどころなんですよ、書き直し前はそもそもエピソード自体が削られてますし(汗)今回はネタ出るかなぁ…


アガレス様>
ありがとうございます、何となくフクザツな気持ちですが(笑)ドラマの菱沼嬢は確かにイメージが「う〜ん」な感じでしたね、二階堂はモロハマリだったんですけどねぇ(爆)


武者丸様>
確かに国家機密級の研究成果や研究はごろごろしてますな(汗)


それでは、日曜日予定の第6話でお逢いしましょう〜でわでわ〜〜

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