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▽レス始

「妖物のお医者さんR 第4話(GS&動物のお医者さん)」

闇色の騎士 (2005-03-06 10:05/2005-03-06 10:07)
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〜第4話〜


式神のおかじりが発生した(ええ?)

「御噛りですか?」
「尾噛りだ、式神に丁寧語を使っても仕方ねーだろ…」

二人は六道大学除霊学部、式神使い学講座(仮設)の式神収容施設にいた。

この施設(外見は少し豪華な馬の飼育小屋)は…

最近開発された「量産型十二神将 試作実験体」が飼育(?)されているのだ。


取り敢えず今は、馬型の式神「インダラ」の簡易量産型を実験飼育している最中なのである。

この建物もただの建物ではない。

この中には濃厚な「霊力」が循環しており、式神が常時存在できる「結界」の役目をも果たしているのだ。

ちなみにこの中にシロを入れれば、霊力を吸収して人型を取れるのだが…当然横島が知る由も無い(涙)

しかしながら何分にも六道家秘蔵の式神「十二神将」を、誰にでも扱えるレベルの性能までデチューンを施し…

将来的に増えるであろう「式神使い」の良きパートナーとして実用化するという、超実験的にして前代未聞の事業の為…

予想されるトラブルを最小限に食い止めるという建て前の元…

この建物は核にも耐えるという、とんでもない頑丈さを誇っている(汗)

ちなみに、この試作実験体の愛称は「IR(イル)」と言う。

何?

何処かで聞いたような命名法?

…それは言わないお約束(笑)

で、そんな所で「尾噛り」〜一部の家畜に起こるストレス性の症状で、その家畜が他の家畜の尻尾を噛ってしまう〜が起きた。

家畜レベルかよという突っ込みはさておき。

理由はと言うと……

「俺(僕)達の世話の仕方が気に入らなかったという事(です)か……」
二人は溜息を吐いた。

前の当番の連中からは

「掃除をさぼったんだろ?横島の掃除さぼりは有名だからな」
との暖かい(?)ご指摘を頂いたのだが…

「そんなはずないですよ!冥子さんに教えて貰ってる分彼らよりはマシなはずですよ!」
ピートの言葉に横島は曖昧な表情で頷いた。

「それに…そりゃ昔の話だろーが」
半目で横島が突っ込み返す。

横島とピートは今、実習の一環で式神の当番が当たっているのである。


あれから(第3話)2年が過ぎていた…


「うっわ〜…あそこ以外全滅かぁ」
「取り敢えずは大体受かりましたよ…良かった」
頭を抱える横島と、ほっとしているピート。

「何ぃぃぃ?」

ずごごごごごごごご…

燃え上がる殺意!

「くそぅ!ピートの癖に生意気だぞ!」
「じ、ジャイ○ニズム爆発!?」

ピートが八つ当たりを受けたかどうかは伏せておくとして(おい)


結局六道大学に入学せざるを得なくなった横島は2年の秋、かねてよりの希望通り除霊学部へと進んだ。

どういう訳かピートも六道大学に入学、除霊学部へ進んだ。

「大丈夫なのか?お前は神学部に行きたかったんじゃ?それに吸血鬼の除霊に使うニンニクが嫌いな癖に…」
「大丈夫……じゃないかも知れません…」
ピートは真剣な表情で言った。

「まさか除霊学に決まるとは思わなかったんです」
「…なら何故第一志望に書くんだよ?」
横島は疲れた顔で突っ込みを入れる。

六道大学では、2年の秋の試験で専門の学部が決まる。

それまでは一般霊能学教養をやっているのだが、成績によっては希望の学部に行けない事もあるのだ。

「除霊学に行きたい気持ちはあるけどアレに触ると大ダメージだし…という葛藤が生じましたから、カミサマの言う通りにしたんです」

カミサマって…まさかキー…

いやいや、話を続ける事にします(あせあせ)

「カミサマは…除霊学部に進みなさいと仰った、除霊学は難しいからどうせ受からないと思ったんですけどね…」
「苦労しても知らねーぞ…」

飼育実習はなかなか苦労な事だが(朝8時に始まる、要領が悪いと講義に遅れたりするので大変)

幸運(?)にも横島とピートにはアドバイザーが付いたのだった。

「さーみんな〜ご飯ですよ〜」
そう言ってピートが餌箱に入れて持ってきたのはカプセル型の霊的エネルギー補給ダブレット(カプレット?)である。

その途端!

ざざざざぁっ!!

「うわぁぁ!?」

「イル」達が一斉にピートに飛びかかり、容赦無くバラ撒かれた餌を貪りだしたのだ。

「どうしてちょっとの間我慢出来ないんだ〜!行儀が悪いぞ〜!!」
思わずピートは牙を剥き出しにして叫んだ。

そこへ…

「あの〜〜二人一組で〜〜やらないと〜難しいわよ〜〜」
なんというかほにゃららと間延びした声に二人は扉の方を見た。


そこには清楚な洋服に身を包んだ可愛い女の子が立っている。


彼女の名は六道冥子。

除霊学部のGS課程にいるといった。

この人実はこの学校の理事長の一人娘にして、式神使いとしては天才的な能力を秘めているのだが…

何故か式神を(破滅的に)暴走させまくり、付随する被害が(とんでもなく)甚大なため…

罰として、式神十二神将のうち3体だけの使用に限定されてしまったというトホホな状況にある(とても)困ったヒトなのであった(泣)

「一人が〜おとりになって〜〜外でご飯の〜箱を振るといいのよ〜〜」
みょーに間延びした声で彼女ー六道冥子が言った。

「…じゃ、やってみっか」
横島は取り敢えず外で箱を高々と差し上げた。

「餌箱だぞ〜」
馬どもの視線がそちらにそれた隙に、ピートがこっそりと餌をセットしに行く。

「ごめんな、カラなんだ」
横島は箱をひょいっと横に向ける。

そのとたん、「イル」達は一斉にピートめがけて殺到した!

「え、ええ〜〜〜〜!?」

どかどかどかどか………!

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
たちまちもみくちゃにされるピート。

「あ……」

「イル」達が過ぎ去ったあとにはボロッボロのピートが残されていた………(哀)

「よ〜こ〜し〜ま〜さ〜ん?」
ボロボロになりながらジト目で睨むピート。

「ま、まあ…誰だって失敗はある、うん」
横島はわざとらしく口笛を吹きながら掃除にかかった。


「…なんて事もあったなあ…」
「あったなあ…じゃないですよ!死ぬかと思いましたよ!」
「あんなのでお前が死ぬんなら、とっくに死んでると思うんだが」
二人は軽い言い合いをしつつ横島家に戻ってくる。

横島の部屋で二人は「尾噛り」の原因について考えてみた。

「あんなに苦労して世話をしているのに、何が不満なんですかね?」
「明日の朝冥子さんが来てくれたら相談してみようか」
「しょっちゅう来てくれますからね、余程僕達が頼りなく見えたのかも……」
ピートは軽く溜息を吐いた。

(単に暇だから…じゃねーだろうなぁ…)
思わず心の中で苦笑する横島。

「しかし、アノ人が来てると馬がやや行儀良くなる…つーか萎縮してる様に見えないか?」
「やっぱりキャリアの違いですかね…?」

それとも、あのとろそうでしかもすぐ泣き出しそうな雰囲気に…馬が嫌な気持ちになるのかも知れないが(酷っ)

その時、ひょいっとシロがピートの膝に前足を乗せた。

「わう〜(ピート殿〜遊んで欲しいでござるよ〜)」

「やあ、シロ…かなり大きくなったね」
大きさはすっかり大型犬並になったシロをピートは撫でてやる。

「その大きさでもまだまだ成人には程遠いんだよなあ…どんなねーちゃんになるか楽しみなんだけどな〜」
お気楽に横島が言った。

「わふっ!(任せるでござる!せんせーがきっと飛びつきたくなるくらいイイ女になってみせるでござるよ!)」
あの除霊騒ぎの件からシロは横島を(秘かに)先生と呼んでいる。

何故ならシロのメインウエポンも又「霊波刀」だからだ。

「何かシロ、ご機嫌ですね?」
ばたばたと尻尾を振るシロをピートが不思議そうに見た。

翌日、飼育実習にて。

「イル」を一匹一匹捕まえて霊圧を計る作業に、二人は追われていた。

体重計にも似た形の霊圧計に乗せて計るのだが、この労力がなかなか馬鹿にならない。

「横島さん!あと一匹で終わりなんです!捕まえて下さい!」
呑気に掃除なんぞをしている横島にピートが吠えた。

「またあいつか…何なんだ?」
逃げ回る「イル」の一体を見て横島が顔をしかめる。

そいつは仲間達より少し不細工な感じがするため、良く目立つ存在であった。

その「イル」の前に冥子が立ちはだかった!

「ち、ちゃんと〜〜言うこと聞かないと〜駄目なのよ〜!」

彼女は凄んでいるみたいだが、良く見れば腰は引けていてなんだかガタガタ震えているみたいにも見えたりして…

「……全然大丈夫そうに見えねーな」
横島はこきこきと首を鳴らしながら「イル」に近づく。

「ぶるるる……」
「イル」はジリジリと冥子ににじり寄って来る。

「え?えええ?」

殆ど泣き顔になりながらあとじさる冥子、なんだか少しずつ霊力が上がって行く様な感じがした。

「……?」
横島はその冥子の様子に「嫌な予感」を覚えて駆け出す!

がそれと同時に彼女は盛大に泣き始めた!


「ふぇぇぇぇぇぇ〜〜ん!!」


「ええええええええっ!?」
横島とピートはあまりにも予想外な展開にフリーズする。


だが…


「悪夢」はこれからだった。


「ぶひひひひひ〜〜〜ん!」


「しゃあああああああっ!」


「がるうううううううっ!」


凄まじい雄叫びを上げながら三体の「式神」が冥子の影から飛び出して来る!

それぞれ「馬」「蛇」「虎」をモチーフにした様な姿をしているのだが…

それが見境なく暴れ出し、あろうことかあの「イル」めがけて突進して行ったのだ!

「や、やばっ!?」
横島はとっさに「イル」の前に出て円形の大型霊波シールドを展開した!


「サァァイキックゥッ!シィィールドォォッ!!」


がすがすがすっ!


○谷明ばりの叫びと共に、横島が展開した霊波シールドが式神達の攻撃をハネ返す!

「だ、大丈夫ですか?横島さん!」
ピートが慌てて駆け寄って来る。


「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」


冥子はまだ盛大に泣き叫んでいる(汗)


「「「きしゃぁぁあ!!」」」

荒れ狂う式神!


「ぶひひひぃん!?」

怯えるイル達!

「い、一体何なんだこれは!?」
「僕にも何が何やらさっぱり…」
二人は思いっきり困惑していた。

そりゃそうであろう。

信頼できるハズの先輩がいきなりコレだからして…

彼女の”噂”を知らなかった二人の不幸であった。

「え〜いラチがあかねーぞこれじゃ!ピート!ここは俺が何とかするからお前冥子さんを宥めるなりなんなりしてこの事態を収拾してくれ!」
「わ、解りました!」
ピートは、シールドに集中攻撃をひたすら加えている式神達を迂回して冥子の方に走る。

(つか、あの人本当に年上か?あんなに身も世もなく泣き叫ぶ年上の女(ひと)は始めて見たぞ?)
防御しつつ溜息を吐く横島だったが…

ジジ…ジジジジィ!

突然、展開されているシールドに乱れが生じた!

こういう霊波シールドを広範囲に展開すると、その分防御力は低くなる。

冥子の暴走式神の前に、その抵抗は儚かった。

「シールドがそろそろ限界!?広げすぎたかな?…たった三匹なのになんてパワーだよ!?」
破れる寸前のシールドを解除しつつ、横島は後方へ跳んだ。

「くそ…やるしかないのか?」

(とは言え…)

”剣を抜く時は心せよ それはお前の最強の牙となる だが同時にお前次第で悪夢の凶刃にもなりうるのだから”

(解ってる!解ってるよ師匠!)

「そうだ…今はまだコイツを使う時じゃない!」

呟く横島の右手の甲に蒼い「」の字を象った光が。

左手の甲に「」の字を象った紅い光が浮かび上がる。

どうやら横島の闘争本能に反応しているらしいが…?

「駄目だ!抑えろ俺!」

(間違って式神をやっちまったら、冥子さんにどんな影響が出るか解らねーぞ!)

式神十二神将は普通の式神とは違い、六道家特製の式神であり…冥子と精神的リンクが著しく強い。

横島の攻撃方法は、霊波刀ですら恐ろしく強力な為「奥の手その1」「その2」は更に危険すぎて使いたくない。

ここは何とか回避と防御を駆使して切り抜けるしか無さそうである。


やがて甲の光は何事も無かった様に消えた。


「再シールド展開!」

ばしゅぅぅぅん!

今度は両手に通常の大きさの円形シールドを作り出す!

「来い!」

横島は気迫の篭った瞳で3体を見据えた。

「ピートが何とかするまで耐えればいい!」
ダブルサイキックシールドを構えた横島目掛けて、まずは馬型の式神が襲いかかって来る!

「こいつは…イル?いや違う、角がある…まさかこいつがイルのオリジナルの式神「インダラ」か!?」

流石に赤くはないが(笑)

角付き馬「インダラ」の攻撃をいなしながら、横島が素早く分析する。

「ぶひひん!」
鋭い角で突進を仕掛けてきたインダラをかわし、その背後に立つ。

「思ったより速い!いつまで防ぎきれるか…」

再び突進してくるインダラに…

「サイキック猫だまし!!」

カッ!

目映い光が走ったかと思った次の瞬間、インダラは苦しそうにもがいている!

「ブルル!?」

完全に目が眩んだらしく、しきりに頭を振るインダラ。

「悪ぃな、暫くはそうしててくれ」


「………!」
横島はすぐに残り二体の式神と睨み合う形になる。

その間にピートが、冥子に駆け寄りながら叫ぶ。

「冥子さん!大丈夫だから気をしっかり持って下さい!」
「ふぇぇ?ピートくん?」
冥子はぐすぐす鼻を鳴らしながらも泣き止む気配を見せた。

しかしまだ式神の動きは止まらない。

ダッ!

虎の式神「メキラ」が突然ダッシュしたかと思うと…

ふいに姿を消した!

「な?これは……」
敵を見失った横島だったが、次の瞬間!

メキラは横島の目の前に出現する!

ガキッ!

「ちぃぃ!」

横島のシールドがメキラのキバをかろうじて防いだ。

「くっ」

重い衝撃が腕を突き抜けて行く!

間髪入れずに蛇の式神「サンチラ」が電撃を放って来た!


ピシャァァァアン!

「なんとぉ!?」

バシィィン!

横島は非常識にも電撃をシールドで弾く!

「うわ!?」
冥子に近付こうとしてたピートの前を電撃が走った。

更にメキラがピートの前に出現!

「させるかぁ!」
すかさず横島が左手のシールドを投げる!


ズドゥゥゥン!!


「!?」
足元に着弾して弾けたシールドに驚いたメキラがまた消えた。


「済みません横島さん!」
その隙に又ピートが冥子へと走る。


(何なんだこりゃ…噂には聞いてた通り強いけど、コントロールすべき人間がアレなのに何でこんなそつのない攻撃が出来るんだ?)
戦いながらも疑問を抱える横島。

ちなみに一見連動して動いている様に見える式神達だが、実はてんでバラバラに攻撃しているのだ。

つまり連携している様に見えているだけなのである(笑)

なんという奇跡(?)であろうか。


再びメキラが横島を襲う!

「いい加減にしろぉ!」


ガギィン!


鋭いキバを再びシールドで捌く横島。

(やべぇ…こりゃマジで埒が明かねーぞ?)

人間である横島は疲弊もするし疲労もする、だが式神は使役者のキャパに大きく依存している。

一体六道冥子の霊力キャパシティーはどの程度なのだろう?

底無しだったら…と思うとぞっとする横島だった。


「まだかピート〜!そろそろ(手加減するのも)キツいぞ〜!」

横島の叫びにピートより冥子が先に反応した。

「あれ、横島くん…???」
「やっと着いた!気を確かに持って下さい冥子さん!」
横島とピートの声に、ようやく彼女が泣き止みそうだ。

それに伴い式神の動きが止まる。

「お…やったか?」

その時。

ぽかっ!

誰かが冥子の頭を軽く叩いた。

「冥子…あんたって人は…暴走を止める修行をしろってあんなに言われたでしょ?」
「あう〜〜令子ちゃん〜〜?」
そこに立っていたのは美神教授だった。

相変わらずのボディコンに白衣というとんでもない格好である。

式神も冥子が落ち着いた所で元の影の中に戻った。

「ふ〜〜ホント、やばかった…(アレを使う事態にまで追い込まれなくて済んだか…)」
シールドを消しながら横島は深い溜息を吐く。

「大丈夫?横島クン、まあ大体の事情は見れば解るけど一応説明して頂戴?」
二人は手短に事の詳細を話した。

「つまり、結局の所その「尾噛り」が原因な訳ね?」
「そういう事になるッス」

説明を聞いた美神はぐるうりと建物内を見回す、そしてあの少し不細工な「イル」をビシッと指さした。

「馬相が悪いわね……犯人は…あんたよ!!

「………………」

あまりにも安直な美神の言葉に全員が無言であった。

「そのイルを隔離しておく事ね」
そう言って美神は冥子を引きずって去って言った。

「ああん〜〜令子ちゃん恐い顔〜〜落ちつきましょ〜〜ね?」
「あんたが一番落ち着かないと駄目なの解ってる…?」
そんな他愛の無い会話を残して………

「何か、もっと凄い判定法があると期待したんですけどね…」
「馬相が悪いって…そりゃ少し不細工なのは確かだけど…」
二人はブチブチ文句を垂れながらも、教授の体面をおもんばかって「イル」を隔離したのであった。

ところがドッコイ、意外にも尾噛りがピタリと無くなったのである…!

「やはりコイツが犯人だったんですか…」
信じられないという表情でピートが言った。

横島達4人は再び「イル」の飼育小屋の中にいる。

余談だがその後「イル」達は、横島の指示をキチンと聞く様になったと言う(笑)

「犯人は解った…しかし、ストレスの原因は何だったんだ?」
「アンタが世話をさぼったからじゃないの?」
横島の呟きに美神教授がツッコミを入れる。

「僕達はちゃんとしてましたよ!」
ピートが強い口調で横島をフォローした。

「冥子さんはあのイルが犯人だって知ってたんスか?」
横島の問に冥子はキョトンとした顔で答えた。

「え〜〜?どうしてそう思うの〜?」

「冥子さん、何となくあのイルを気にかけてる様な気がしたからなんだけど…?」

「あ、そういえば……」
美神がポンッと手を叩く。

「先月の霊体構造維持液注射は冥子に手伝って貰ったのよね…」
「え〜〜あれって〜令子ちゃんが〜〜無理やり〜私にやらせたんじゃない〜〜冥子恐かったんだから〜〜」
泣きそうな顔で冥子がのたまう。

「あははは…そういう見方もあるわね、でも解ったわ!冥子が犯人を知ってたんじゃなくて、彼女自身がストレスの原因だったのよ!!」

「ええ〜〜〜酷いわ令子ちゃん〜〜!!」
冥子がいやいやをしながら叫んだ。

「……どういう事です?」
それを見なかった事にして二人が聞いた。

「冥子を見るたびにイルは恐い事を思い出す訳よ、あの注射は大変だったわ…」
さぞ自分が大変だったかの様な口調で言うと、美神教授は遠い目をした(笑)

「いきなりブスッとやればカンタンなんだけど、用意に手間どっている内に感づかれてしまって…アレ、式神でも結構イタいの」

それで、最初の「イル」すなわち不細工な奴が一番繊細だったらしく真っ先にヒステリーを起こし…

それが次々と伝染し、結局は特殊な結界ロープを使い拘束して注射したのだが……

「あのコ〜あんなに繊細だと〜〜大変だと思って〜冥子〜心配してたの〜〜」
冥子は目をうるうるさせながら言った。

「ある朝〜〜やっぱりあのコが騒いでいたから〜〜私〜気になって〜何度か〜見に行ったんだけど〜〜〜…」

そこまで話して、冥子はしゅんとうなだれた。
「ありがた迷惑〜〜だったのね〜…嫌われてたなんて〜…」

「宿命よ!宿命!私達GSのね、式神を維持するために必要な事でも…あいつらにとってはイタい事をする嫌なヤツなのよ」
「でも〜〜あれは令子ちゃんが〜〜」
珍しく抗議する冥子、ダダをこねている子供にしか見えないのがアレなんだが…(苦笑)

「私は初めにやってもう嫌われ済みだったのよ!でなければあんたに頼まないわよ…」
美神教授は疲れた表情で呟いた。

「まあいいじゃない、あんたにはそいつらがいるんだから」
彼女は冥子の影を指す。

「うん!」
冥子は太陽の様な笑みを浮かべる。

(もうまっぴら御免なんですけど……)
横島とピートはこっそり男泣きしていた(涙)

取り敢えず二人の仕事に落ち度がない事は証明された。

「なあピート、俺思うんだけど」
「なんですか?」

「……あの量産計画、ちゃんと実用化されるのか…?」

「…………………」

二人は顔を見合わせて、もう何度目になるか解らない深い深い溜息を吐くのであった。

それから数日後。

「やれやれ、やっと馬が終わりか…横島さん、次は?」
「……牛だ……」

翌日、同じような建物の中で…

牛型式神「バサラ」を簡易化した、量産型試作式神「ブル」の群れの中で涙している二人の姿があったという(笑)


〜第5話に続く〜


今回は微妙に戦闘が変化しております。

まだまだ技は出しません横島クン(笑)

ちょっと重みを持たそうと思ったんですけどね…


今回のボーボボで田ボの声がおキヌちゃんだったことにびみょーに凹みつつ(汗)前回のレス返し行きます〜


紅様>
その後お具合は良くなられたのでしょうか?”騎士王”に関しては一応「間話」という形で出すと思いますが…もしかしたら龍騎編がまるまるGS寄りの展開に差し換わる可能性があります。


トンプソン様>
いますよ、この世界では結構ポピュラーになりつつありますから…愛玩の意味が強まった犬とかに代わって番犬の役割を果たしているんです(笑)


十六夜様>
騎士王の話はリテイクしがいがあって今からうずうずしております。修行編ももっとじっくり書きたいですし妙神山編も入れたい…あああ時間が欲しい(汗)


casa様>
初めまして〜それから数話あってこちらに移転してまいりました、ピートは…男らしくしてもいいんですけど、ヘタレでないと!という人もいらっしゃいまして(笑)フクザツです…;


D,様>
そうなんです、そこが「強くなりたい!」の原動力でもあるんです。美神さんは相変わらずですが、それでもまだ横島の能力を安く使おうと奸智をめぐらせてます(汗)


ATK51様>
あう…みやむーはそこでしたか(汗)すっかり忘れてた…(おい)従来あんなピンチに遭った事がない邪神ですから、上手く交渉出来なかったのはむべなるかなと。
るろ剣ティストは少し取り込んでます、あの演出はかなり心に残りましたから…平衡の守護者が何故奴を封印したかは…後に語られますのでお楽しみに♪彼は基本的にジョーカーなので、これからも以前通り本編に積極的に関わらないのは確かですね。


Dan様>
根本は変わってません、というかよりナイーブになっていると思います。
あとまだ書いてませんがユウリもそれを知っており、彼らに助けられてると言っても過言ではありません。


柳野雫様>
そうなんです、あまりにもヘビーすぎてなかなか受け止められるひとがいないんですよね(涙)ピートには新しい武器などを用意してあげたいんですけどね…首領パッ○ソードとか(おい)


wey様>
マイト換算した事が無いのでなんとも言えないのですが…これからおいおい解っていくと思います、三ヶ月の謎も近々書かれますのでご期待くださいませ〜


武者丸様>
悪の権化に変わらなかったのはやっぱり彼の優しさと蛍の存在が大きかったのではないかと思います。基本的にこの哀しみも苦しみも無かったかの様にふるまうのが現在の彼ですから…それなりに動物〜を意識したつくりには出来ると考えています。


ak様>
大体の場合以前より長くなるとは思いますが、余計かなと思うシーンやセリフは省くこともありますので…話によって変わりますね。


それでは、水曜日予定の次回でお逢いしましょ〜でわでわ〜〜


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