インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「とらぶる・すいーぱー2(GS)」

華辻綺 (2005-03-06 02:06)
BACK< >NEXT


「……マヂっすか?」

 しばらくの沈黙の後、意識の再建をはたした横島が、そう神父に問いかけた。

「令子くんだって、協会の認可を受けて営業していることに変わりはないんだよ。そう簡単に協会の意向に背く事は出来ない」
「それは……確かに、そうかも知れませんけど。でも、あの美神さんですよ?」

 自分の知る美神令子と言う人物であれば、そう簡単に組織に対して屈したりしないと、横島は確信している。絶対に裏技か何かを駆使して相手を退けるだろうと。もし彼女が何かに対して屈服するとしたらそれは――。
 そこまで思考を推し進めた所で、先ほどの神父の様子を思い出す。唯我独尊を地で行く美神令子が逆らう事の出来ない、数少ない――ほぼ唯一と言っても過言ではない――相手。絵に描いたような人格者である唐巣神父を廃人寸前にまで追い詰める事の出来る相手。

「……美神隊長っスね」

 びくん、と神父の身体が大きく跳ね上がる。ビンゴ。大当たり。的中。クリティカルヒット。

「な、なななななんの事かにゃ横島くん?」

 おお、動揺しとる動揺しとる。美神さんだけならともかく、親まで相手にしたんだし、よっぽど酷い目にあったんだろーなぁ……と、相手の不幸を察し、ほろりと涙を流す。とは言え、自分も人事ではない。目の前の相手との違いは、先に不幸になったか、後で不幸になるのか、それだけの違いしかないのだ。それに、カオスの件に対して彼女が干渉して来た事にも不審を覚える。美神隊長こと美神美智恵の所属はICPO超常犯罪課――通称オカルトGメン――である。公務員である彼女が、民間GSの互助組織であるGS協会の問題に口を挟んでくると言うのだ。どう考えても怪しすぎる。

「誤魔化そうったってそうはいかないっスよ。おっさん……あんたら、また何か厄介事に俺を巻き込むつもりだろ?」

 己の第六感が除夜の鐘もかくやとばかりに警鐘を鳴らす。同時にこれまでの経験から、既に逃げられない場所まで追い込まれている事も強制的に理解させられる。

「いや、別にそう言う訳ではないんだがね……」

 右手で額の汗を拭いながら、神父。おそらく無意識であろう、左手が胃の辺りに伸びているのが余計に痛々しい。

「往生際が悪いぜ、おっさん。なぁ……」

 はっきりしない態度に業を煮やし、ちょっぴりドスを効かせた猫撫で声で問いかける。身体を少し前に倒し、視線は下から睨め上げる様に。駄目押しはわざとらしく掌の中で弄んでいる文珠。込められている文字は――
『禿』。

「――腹ぁ割って話そうや」

 数分後、神父は陥落した。


「……今回の件はどちらかと言うと令子くんの方の問題なんだよ。ドクターの扱いに困っているのも本当だけれどね」

 ここだけの話だよ、と前置きをして神父は語る。

「一週間前、彼女の裏帳簿の存在が外部に流出してね。幸い、大事になる前にもみ消す事が出来たんだが――協会内部に君たちの業務内容の実態がバレてしまったんだ。それで監督責任を問われてしまってね。
 ……ああ、キヌくんとシロくんは問題ないんだ。問題は横島くん、君とタマモくんでね。詳しい事は少々専門的な話になるが……」
「あー、なんか難しそうな話なんでその辺はどーでも良いです。……で、俺とタマモ?」

 いきなり専門的な話をされてついていけるほど自分の頭は高度に出来ていない。

「そ、そうかね。……で、だ。色々話し合った結果、タマモくんはオカルトGメンの方で保護すると言う事に落ち着いた。つまり、美智恵くんが令子くんの代わりをするという形だね。で、君だが――二、三心当たりの事務所を打診してみたんだが、ここでも令子くんの悪名がマイナスに働いて……」
「引き取り手がなかったと」
「ははは……。正確には一箇所だけ引き受けても構わないと回答してきた事務所があるんだが……」
「ん? それって俺が知ってる所ですか?」
「冥子くんのところだが」
「う゛……」

 以前、彼女の所でタイガーと共に働いた一週間を思い出す。あの時は式神を取り上げられた状態だったが、今は12匹すべて揃った状態だろう。六道家に伝わる死の試練も結局意味がなかったので、暴走癖は直っていない。詰まる所、肉体的、精神的な危険度の高さは美神以上。しかし相手は妙齢の女性だ。いやーんな展開がないともいえない。翻ってカオスはジジィ。だが、カオスは冥子ほど危険ではない(とは言え、比較の問題ではある)。また影の中に押し込められるのも勘弁して欲しい所である。潤いをとるか? 安全をとるか? まさに究極の選択。

「もちろん、協会としてはドクターの補助をしてくれた方がありがたいのだけれどね」
「くっ……お、俺は今人生で一番悩んでいるかも知れない……っ!!」

 安い人生である。
 ちなみに客観的に見た場合、六道冥子とドクター・カオスのトラブルメーカー率は同程度であろう。平穏を願うならGSである事を諦めた方が良い。類は友を呼ぶのだ。美神と、何より横島の周りに集まってくる人間がまともであった例はあまりない。

「当初は君を独立させると言う意見も出たんだがね、君が在学中であることを考慮してそちらは保留となった。それに、どちらにしろドクターの補佐は必要なんだ。もしGSを続けるつもりがあるのならば――すまない、引き受けてくれっ」

 そう言って話を締めくくると、神父は頭を下げた。野郎の頼みなど願い下げな横島だが、あいにく神父には一方ならぬ世話になっている。それに、彼も被害者なのだ。美神親子の間に挟まれ、協会からは無理を言われ、体の良いパシリとして矢面に立たされてここにいる彼に、これ以上負担をかけるのは忍びなかった。美神の事務所にはいられない以上、多少の蓄えがある(単独で仕事をする際に報酬の何割か――実際どの程度なのかは知らない――を月給とは別に受け取っていたため)とは言え、卒業までバイトなしで過ごすには少々厳しいという事もある。
 だから。

「あー、もう良いっスよ。引き受けます」

 つい、引き受けてしまった。

 それが、彼の二度目の転機となる。
 今まで以上に波瀾に満ちた、GSと言う人生の。


ぽすとすくりぷと。

くぁ。日本語難しいです。
しかもなんかキャラ造形が微妙。
……早く仕事ネタまでいけると良いなぁ。
水中要塞編とか廃都アーカム編とかプラズマ科学編とか、ネタだけはあるんですけどね。

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル