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▽レス始

「とらぶる・すいーぱー1(GS)」

華辻綺 (2005-02-28 23:50)
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――拝啓

    ナルニアのお袋、ついでに親父、元気でやってますか?
    色々あったけど、俺も元気です。
    突然だけど、今度俺、美神さんの事務所から
    独立することになりました。
    美神隊長(美神さんの母親だ)の話によると
    『高度な政治的判断』がどうとか言う話だけど、
    俺にも詳しい事はよく分かりません。
    何か美神さんが真っ青な顔してたんで
    ヤバそうなのは理解できたんだけど。
    と言っても俺はまだ学生なので、名目上の上司を
    所長に立てて、そこに所属すると言う形を
    とるらしいです。
    詳しいことが決まったらまた連絡します。
    それじゃ、また。

    敬具――


 慣れない敬語を駆使して書いた手紙を郵便局の窓口に預け、横島忠夫はため息をついた。自分にとって美神の事務所は、たまに命の危険を感じるとは言え、基本的には居心地の良い場所だったのだ。別に自分のミスで追い出されたと言う訳ではないらしいのだが、やっぱり納得がいかないものがある。特に、

「よりによってカオスのじーさんと仕事しろって言うんだもんなぁ……」

 そうなのである。最近風の噂でカオスが免許を取得したと言う話は聞いていたが、まさか自分に関係してくるとは思わなかった。協会本部でその話を聞かされたときは唖然としたものである。


「横島くん、君が美神くんの所を離れたくないのは私も良く分かる。しかしだ、他にドクターの事を頼める人物がいないんだよ。特にこの件は誰でも良いと言う訳にはいかないからね」

 話を持ってきた唐巣神父は、すまなそうな顔をしながらいまだ呆然としている横島に事情を説明する。確かにカオス天才だ。実力も経験も十分である。『ヨーロッパの魔王』の名は伊達ではないのだ。故に、特例として研修が免除されるのは当然の話なのだが……。
 問題はカオスの脳ミソが1000年の長い人生で磨耗し、ボケがきているという事である。迂闊に野放しにした場合、協会の威信が揺らぎかねないのだ。かと言ってカオスほどの人物を誰かの下につける訳にもいかず……と、免許の発行はしたものの、協会の方でも色々と持て余していた。
 そこで考え付いたのが、有能な新人をカオスの下につけ、彼の補佐をさせると言う方法である。ただし、唐巣神父の言う通り、誰でも良いと言う訳にはいかない。その条件は三つ。
 GS免許所持者を持ち、いまだ自分の事務所を持っていない見習いないし新人であること、一定以上の実力の持ち主であること(何せ暴走しがちなカオスを止められなければならない)、そして何より、カオスに付き合うだけの図太い神経を持っている事である。二番目の条件もかなり厳しいものがあるのだが、三番目の条件に当てはまる人物は、日本どころか世界中探しても数えるほどしかいない。

「んなことゆーても、ほら、別にピートや雪之丞でも良いじゃないっスか」

 色気豊富な美女と、ミイラ寸前のジジィ。どちらをとるかと言えば言うまでもなく前者である。同じ苦労するにしても、潤いがあるのとないのでは全然違うのだ。引き受けたくない横島は、友人の名前を出して要請を回避しようとする。

「ピートくんはオカルトGメン志望だから、頼むわけにはいかないんだよ。雪之丞くんの方は相変わらずでね、連絡が取れそうもない」

 が、あっさり却下された。ちなみにタイガーはまたGS試験に落ちたので押し付けることが出来ない。世の中と言うのはままならないものである。

「そ、そんな!? いやいや、大体そんな事、あの美神さんが許すはずがないじゃないですか!?」

 『生贄……もとい身代わりを立ててそいつに押し付けよう』作戦が失敗に終わったことを察した横島は、今度は雇用主の名を出して迎撃にかかる。美神は儲ける事以上に損をする事が嫌いなタイプだ。使い勝手の良い横島を他人に取られると聞けば猛反対するだろうと。それは目の前の唐巣神父も身にしみて知っているはずである。これならどうだと、失いかけていた冷静さを取り戻しつつ相手を見やると――。

 硬直していた。

 額どころか全身から脂汗を流し、視線は当てもなく宙を彷徨っている。顔色など蒼白を通り越して土気色だ。おまけに幽体離脱までしかけている。はらはらと抜け落ちた前髪――と呼ぶにはあまりにも生え際が頭頂部に近すぎるが――が数本、空調から吹き出る空気の流れに乗り、舞い踊った。

「か、かかかか唐巣神父??」

 豹変した唐巣神父の様子に驚き、やや吃りながら恐る恐る声をかける。しかし、返事は帰ってこない。
 突いてみる――反応がない。
 ぺしぺし頬を叩いてみる――駄目だ。

「すいません、それじゃ失礼……」
「ちょっと待ちたまえ横島くん!!」

 これ幸いと抜け出そうとした所で相手は意識を回復した。逃亡に失敗した横島は舌打ちしつつ、先ほどまで座っていたソファに再び腰を下ろす。

「あー、なんだ。その、美神くんの事だがね」
「はいはい?」

 どうも奥歯に物が挟まったような調子で話す神父。先ほどの様子と言い、何か嫌な予感がするのだが、それを押し殺して中々話そうとしない神父を促す。


「実は、もう美神くんの許可はとってあるんだよ」


 がたん。


 体が、ソファから滑り落ちた。


ぽすとすくりぷと

何か初っ端から思いっきり外した様な気がしてならない華辻です。
文章らしきものを打つのも久し振りなので出来がアレですが、
これから頑張っていきたいと思います。
取りあえずの目標は、三日以内に完結させる事です――導入部分を(駄目過ぎ)。
それでは。

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