小竜姫の考えを読んで、その答えが合っていることを伝えるヒャクメ。小竜姫の顔色が見る見る青くなっていくのがわかった。
Legend of Devil Vol.7 Awakening その2
「もう6時間ですよ」
時刻は午前6時ここは横島除霊事務所、静寂の中メドーサ達によってさらわれたタマモとタマモを取り返す為に敵陣へと乗り込んだ横島の帰りを待つ横島除霊事務所メンバー小竜姫、雪之丞&美神除霊事務所メンバー美神、おキヌ、シロそしてヒャクメ。その静寂を破ったのはおキヌだった。
横島がタマモを救う為に工場跡地へと赴いたのが午前0時。すでにタマモ救出開始から6時間が経過していた。
「ヒャクメ! あんたの心眼でなんか見えないの!?」
美神もかなり業を煮やしていたのか、おキヌの言葉に便乗して声を荒げた。
「無理ね~。 工場跡自体が見えないのね~、私の探査を受け付けない何かを施したのか、若しくは強力な特殊結界で遮ってるのね」
「つまり、こっちからは現状把握は出来ないって事か?」
「そういうことになるのね~」
雪之丞の言葉に頷くヒャクメ。自分の力が使えないことに一番悔やんでいるのは他でもなくヒャクメだろう。
「じゃぁ拙者達は先生の帰りを待つことしか出来ないんでござるか?」
「そういうことになりますね」
今にも泣きそうな顔聞いてくるシロに真剣な面持ちで答える小竜姫。
「そんな・・・・・・・・・」
「あ゛~!! イライラするわね!」
ガン!!
小竜姫の言葉に落胆するおキヌと横島除霊事務所の机にあたる美神。性格的な差がこの辺りに出ているようだ。
「小竜姫ちょっと話しておきたいことがあるの」
「? 今ここでですか?」
「ここではちょっと厳しいのね」
「わかりました」
小声で小竜姫に耳打ちするヒャクメ。普段おおらかな性格で小声で話すことのないヒャクメの行動に真剣さを見たのか小竜姫はコクンと頷いた。
「私とヒャクメでちょっと見てきます。 皆さんはこのまま待機していてください」
「そ、それなら拙者も行くでござる!!」
「わ、わたしも!!」
「・・・・・・・・・ここは小竜姫とヒャクメだけの方が良いわ」
小竜姫達に付いていこうと言うおキヌとシロを引き留めたのは以外にも美神であった。
「私たちの脚じゃ時間ばかりかかってしまうもの、空を飛んで行ける小竜姫達に任せた方が良いわ」
「「うぅ」」
悔しそうな顔で仕方なく諦めを見せるおキヌとシロ。現状判断で一番効率のよい方法を模索出来る事、これが美神が最強のGSと呼ばれる所以なのかもしれない。
「では行ってきます。 雪之丞さん、横島さん達が戻ったらよろしくお願いします」
「おう」
「それで話しというのは?」
事務所の外へ出てきた小竜姫とヒャクメ。小竜姫は先程のヒャクメの言動について問た。
「横島さん、タマモちゃんの救出は出来たみたいなのね」
「本当ですか!?」
喜びの声を上げる小竜姫。しかし次のヒャクメの言葉がその喜びを消し去った。
「うん、タマモちゃんの霊波が感知出来るからそれは間違いないのね。 でも・・・・・・・・・」
「どうしたんですか?」
「横島さんの霊波が極端に小さいのね、精神が眠りついてしまった感じなの」
「ま、まさか!」
「最悪の場合はそれもあり得るのね。 今美智恵さんが横島さん達を連れてこっちの向かってるの。 あと10分もすれば到着するのね」
小竜姫の考えを読んで、その答えが合っていることを伝えるヒャクメ。小竜姫の顔色が見る見る青くなっていくのがわかった。
10分後、オカルトGメン専用車が横島除霊事務所のガレージへと止まった。
つづく
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