タマモの目に涙が溢れ出てくる。自分のせいで横島が傷付いた。自分のせいで横島が苦しんだ。自分が上手く逃げ出してれば、自分があの時メドーサ達に攻撃しなければ、美神達と逃げていれば・・・・・・・・・
Legend of Devil Vol.7 Awakening その1
バタン!!
「美智恵!!」
勢いよくオカルトGメンオフィスの扉を開けて飛び込んできたのは横島を背負ったタマモだった。
「タマモちゃん!? いったいどう・・・・・・よ、横島くん!!?」
「ヨコシマが! ヨコシマが!!」
涙目で訴えるタマモ。しかし相当狼狽えているのだろう上手く言葉が出てこない。伝えたい事が伝わらないもどかしさがタマモを襲う。
「タマモちゃん落ち着いて! いったい何があったの!?」
美智恵はタマモの両肩を掴んで問い掛けた。その真剣な目は真っ直ぐにタマモの目を見つめ、タマモもその目を見て多少冷静さを取り戻したようだ。これまであった事を淡々と語り始めた。
「それでメドーサって言う魔族が襲ってきて・・・・・・・・・」
「ちょっと場所を変えましょうか」
美神の事務所にメドーサが攻めてきた事を聞いた美智恵は一瞬表情を曇らせ場所の移動を提案した。タマモも素直にそれに応じ、オカルトGメンオフィスの医務室へと向かった。
美智恵自体美神の事務所で騒動があったのは知っていた。向かいの事務所なのだから当然といえば当然だが駆けつけたときには誰も居らず壊れた壁だけが残っていた。多少の騒動ならば自分の娘である美神令子だけでもなんとかなるだろうと考えていた美智恵だったがまさか魔族が絡んでいるとは思いも寄らなかった。
医務室では横島をベットへと寝かせバイタルサインチェックを行いそのまま話しを進めた。
「それでメドーサ達の標的は横島くんだった訳ね?」
美智恵の問いにコクンと頷くタマモ。
「それで私が捕まって、ヨコシマが1人でそいつらと戦ったのそれで・・・・・・・・・」
タマモは今回の横島の戦いを語った。自分が見ていた戦いの一部始終と自分を殺めようとした横島ならぬ横島の事を。その話の中には“魔族化”という単語も含まれていた。
「・・・・・・・・・」
「ねぇ! 横島は大丈夫なの!? このまま魔族になんて・・・・・・・・・」
タマモはここに来るまで頭の中で繰りかえされた不安を美智恵にぶつけた。
「確かな事は言えないけどそれはないと思うわ。 今回の事はタマモちゃんが人質となった事で横島くんの怒りが爆発して、その結果に魔族部分が一時的に覚醒したんだと思うの」
「じゃぁヨコシマは?」
「目が覚めればいつもの横島くんになってると思うわ」
その言葉にタマモは安堵した。
「でも時間的に早まったのは確かね」
「わ、私のせいで」
タマモの目に涙が溢れ出てくる。自分のせいで横島が傷付いた。自分のせいで横島が苦しんだ。自分が上手く逃げ出してれば、自分があの時メドーサ達に攻撃しなければ、美神達と逃げていれば・・・・・・・・・様々な後悔の念がタマモを襲う。しかしいくら悔やんでも後の祭り、やり直す事は出来ない。それが一層タマモの心を苦しめた。
「取り敢えず横島くんの事務所に行きましょう。 彼処なら妙神山にも繋がっているから解決策もあるかも知れないわ」
「う、うん」
流れる涙をぬぐいながらタマモは答えた。
美智恵とタマモはオカルトGメン公用車の後部座席に横島を寝かせ横島除霊事務所へと車を走らせた。
続く
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