そう言うとタマモは横島を肩に担ぎオカルトGメンの事務所に向かって走り出した。自らの怪我の事すら忘れたのか全力疾走と言って良い程のスピードだった。
Legend of Devil Vol.6 Counter Attack その6
「やめろ~!! 俺はもう何にも失いたくないんだ!! 俺の手で大切な人を傷つけたくないんだ!! 頼む! やめてくれ!! 頼むからやめてくれよ!!!」
そう叫んだ瞬間、横島の頭の中ではルシオラが復活する為に必要だった唯一のアイテム、魂の結晶を自らの手で破壊した時の映像がフラッシュバックした。そしてそのまま意識が遠のいていくのを感じていた。
「頼、む・・・・・・やめ・・・・・・て・・・・・・くれ」
横島の声は虚しく闇へ吸収されていった。
「グガ・ガ! グゥ? ガァァァ!」
タマモの首を掴む横島の手から力が抜けていく。正気のない横島の表情は苦悶の色を濃くしながら頭の中で何かと葛藤しているようだ。次第にタマモの首を掴む横島の手から更に力が抜け、とうとうタマモを離した。
横島は両手で頭を抱えながら俯き、後ずさりしている。
「ゲホ、ゴホ! ヨ・ヨコシマ?」
横島のてによって呼吸を止められていたタマモは急にその枷を外され、急激に酸素が肺へ入ってくる事で咽せてしまった。その為涙目になりながらも横島へと顔を向けるが、タマモは先ほどの横島の行動と現在の苦しむ姿に困惑していた。
一体何があったの?
まるで見境が無くなってる。 それじゃまるで・・・・・・・・・魔
そこまで考えてタマモの頭にある日の事が思い起こされた。それは横島除霊事務所設立記念パーティーの日、仮病を使ってパーティーをサボって横島の部屋で横島を待っていたあの日の事が。
「ルシオラは・・・・・・・・・」
横島はアシュタロス戦役で起こったことを私に話して聞かせてくれた。
「そんな事って・・・・・・・・・」
「でもそれじゃヨコシマが強くなったってその魔族は復活できないじゃない! 私だってバカじゃないわ! この2年で前世の記憶は取り戻したもの、知識はあるわ。 復活させたって・・・・・・・・・アンタは人間なのよ死んじゃうじゃない! いくら強くても魔族でもない限りそんなの無理よ!」
「!!! アンタもしかして」
「!!!?」
「魔 モガ・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・頼む、みんなには黙っててくれ」
(ヨコシマ・・・・・・・・・)
「ま、まさか!? ヨコシマが魔族に!?」
「グォォォォォ、ガァ! グゥゥ」
そんなタマモを余所にもがき苦しむ横島。両手で頭を抱えたまま転げ回っている。
「グガアァァァアアァァァアァァァ!!!」
ドサ!
突然、大きな奇声と共に横島の体は糸の切れた操り人形のように崩れ落ちた。
「ヨ!ヨコシマ!!?」
タマモは即座に近寄るが既に横島の意識はなくその場に力無くひれ伏していた。
「ど、どうしよう・・・・・・・・・このままじゃ、取り敢えずどっかに運ばなきゃ! ヨコシマの所は遠すぎるし、美神は・・・・・・・・・美神? そうだ美智恵なら!」
そう言うとタマモは横島を肩に担ぎオカルトGメンの事務所に向かって走り出した。自らの怪我の事すら忘れたのか全力疾走と言って良い程のスピードだった。
つづく
あとがき
こんにちは鱧天です。
って言うか短!! 自分でも今回は短すぎたのではないか? と思う程短くなってしまった気がします。 え? いつもそうだって? まぁ確かに1話毎が短いのはいつもの事なんですが・・・・・・・・・
更にまたまた微妙な切り方! こんなんで終わりで良いの!? ってな感じですがこれでCounter Attack(反撃) は終了です。 次回はAwakening(覚醒)でお会いしましょう。 恐らく挿話みたいな感じになると思います。
それではよろしくどうぞ~