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▽レス始

「陰界第八話 (GS+??)」

ルナ (2005-02-27 13:44)
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 横島の給料、それは人格によってかなりの差がある。
 なので……手渡しにすれば差がある意味が無くなってしまうので、銀行振込になっている。

 黒髪時のカードと赤髪時のカードは暗証番号が違う。

 よって、他の人格の口座は見る事すら出来ない。

 仕送りの中にある『治療費』も管理しているのは黒髪横島なので……出す事は不可能。

「……残金……七十円……?」
 本日、横島は自分の残金を見て開いた口が塞がらなくなっていた。
 今時の小学生の方が多く持っているかもしれない。

 否。確実に持っている。

「うぅ……こんなんじゃ……死ぬ」
 赤髪にならなければ、死ぬ事は無いのだが……それを教えてくれる者は居ない。
 機械からカードを吐き出させ、横島はふらつきながら美神の事務所へと向かった。
 五話から出番が全く無かったので……機嫌が悪いだろう美神の元へ。


 事務所の前にて、横島は深い溜め息をはいた。
「どうせ……値段交渉をしても、一言『じゃあ辞めれば』とか言われて終わりだろうしなぁ」
 本当は一つ粒でかなり美味しいお得アルバイターを美神が辞めさせる訳が無いのだが。
 こちらも、教えてくれる者は居ない。
「あぁ……どうすれば」
 どうしようも無く、横島は事務所の前に座り込む。
 早く入らねば遅刻になってしまうのだが、そこには気が付いて居ない。

「ちょっとおたく、美神令子の関係者なワケ?」
「へ?」

 座り込んでいる横島へかけられた声、一体誰だろう?と思い顔を上げると……
 そこには褐色の肌を持つ女が立っていた。
「美人の姉ちゃんや!!」
 拳を握り締め、横島は勢い良く立ち上がった。
「ん?その真っ赤な髪……もしかしてアンタが横島?丁度良かった」
 にやりと不適に微笑み、女は横島の顎へと指を這わせた。
「あたし、小笠原エミ。おたくが欲しくて……ここに来たのよ」
「!!?」
 顎を摩る指がくすぐったいが、聞かされた言葉に驚き。

「……身体ですか!?」
 上着を少し脱ぎつつ問いかけた。
「いや……違うって」


「くぅ……久々の出番!」
『へ?どうしたんですか?』
 お茶を運んできたキヌは美神の言葉に首を傾げた。
「あっ!ううん、何でも無いわ。こっちの話」
 運ばれてきたお茶を飲みつつ、美神は笑う。
 そこへ……黒髪の横島が「おはよーございまーす」と入ってきた。
 学校が終わった後で来ようが、朝から来ようが職場では『おはよう』が基本挨拶なのだ。
「あら、横島く……ぶん”!?」
 口に含もうとしたお茶が美神の口から噴射。
 原因は横島の後ろに居た人間を見た事。
「ふにゃあ!?美神さんが人間霧吹きに!?」
『大丈夫ですか!?』
 心配してアワアワする二人を無視し、美神は目の前の女性を思いっきり指差した。
「エミ!呪い専門の貴方がうちに一体何の用事かしら?」
「あら?本業はおたくと同じ、優秀な助手の引き抜き位普通よ?」
 双方、思いっきり睨み合う。
 その間に稲妻招来、横島とキヌは怯えて机の下に隠れてしまう。
「怖いよぉ……」
『あの二人……商売敵なんてじょうか??』
 怯えつつも『怖い物見たさ』で二人を見つめるキヌ。
 横島の方は既に泣いてしまっている。

「スイーパーのつもり?はっ!アンタの呪いで酷い目にあったのは一度や二度じゃ無いのよ?」
「そっちこそ!しょっちゅうあたしの仕事の邪魔ばっかり!営業妨害も甚だしいわ!!」

「呪われた人間に依頼されて祓うのは当然でしょ?!」
「あたしは時々政府や国際機関の依頼で、悪党に脅しをかけてるだけよ!
 金さえ貰えばどんなマフィアにでも尻尾振るおたくとは違うワケ!!」

「何よ!この呪い屋!!」
「そーゆーおたくは地上げ屋みたいなもんじゃなくて!?」

「ふえぇ……」
「っ!!」
 まだ言い足りない美神だったが、横島の気配に慌てて口を塞ぐ。
 机の下に隠れている横島は……キヌに頭を撫でられつつ、大いに泣いていた。
「ご、ごめんね?横島君!この女、いますぐ追い出すからさ!」
「そうね。こっちもおたくを引き抜いて、こんな所サッサと出て行きたいワケ」
 にやりと笑うエミに美神は「はぁ?」と大きな声を出してしまう。
 その声に驚き、涙に勢いが出てしまう。
「何よ、それ!!」
「だから言ったでしょう?横島忠夫を引き抜くって。最も……赤い髪の時にもう話はつけたけど」
 得意そうに自分の髪を撫でる。
「知ってる?おたくの助手をしてる横島の力。
 あの六道冥子の式神を全員懐かせ……低級霊を祓う事が出来る存在……
 加え、並外れた煩悩や妖怪変化に好かれやすい体質……

 今この業界では大人気の存在なワケ」

 笑いながら、エミは一枚の紙をポケットから出す。
「っ!?」
 そこには『小笠原エミの事務所で働く 横島忠夫』と判子まで押されていた。
「もう契約はしちゃってるワケ、おたくがどれだけ頑張ろうとも……横島はうちのメンバーよ」
 赤髪時に交わされた契約とは言え、同じ身体。
 今更破棄も出来ない。
「それで?バイトとは言え……似た職場だから……どっちかを辞めなきゃ駄目よね?」
 泣きじゃくる横島の首に首輪をつけ、エミは笑いながら帰って行った。
「ふえぇーん!」
 訳も分からず、横島は引っ張られていくだけ。
『み、美神さん!?横島さん連れていかれちゃいますよ!?』
 慌てるキヌへ美神は。
「よぉこぉしぃまぁぁぁぁ!!!あの野郎……辞めたきゃ辞めれば良いじゃない!!」
『み、美神さぁーん!!!!?』
 すっかり頭にキていた。


 エミの事務所に連れてこられた横島は……ふかふかのソファーに座らせられ、泣いていた。
「ひっく……」
「エミさん、こんな中学生が役に立つんですか?」
「そうですよ」
「ちょっと叩けば壊れそうじゃないですか」
 横島を囲む三人の男に聞かれ、エミは不適に笑う。
「見てなさい?」
 そう言って藁人形を指差す、そこには一本の髪の毛が刺さっていた。
「これは横島の髪の毛よ」
 思いっきり藁人形を回転させる。
 エミ特製の藁人形はかなりの力が込められており、何かすれば髪の毛の持ち主へ伝わる。
 だが……どんなに回転させても……横島へは何も影響が無かった。

 かわりに鳴り響く鈴の音。

 リン!!

「っ!」
 大きく鈴が鳴ると同時に、エミの手の中の藁人形は燃えて無くなってしまった。
「なっ……エミさんの藁人形が!?」
「そう……話には聞いてたけど、この鈴にはかなりの力が込められてるワケ。
 しかも、この鈴は横島以外には使いこなせないわ」
 燃えて無くなって行く藁人形を見つめ、エミは段々笑いが堪えられなくなって行く。
「今は横島自身の霊力は一般人並だけど……上手く育てればかなりの戦力ってワケ」
「おぉ……」
 その言葉に男達は驚きの声を上げる。


「……それと、こいつは高校生よ」

「「「えぇ!!?」」」

 もう一度、男達は驚きの声を上げた。


 エミの除霊の仕方。

 それは『霊体撃滅破』という必殺技で一気に片付ける方法だった。
 名の通り、悪霊達を一気に撃滅させる技。
 ただ三分間の呪的踊りが必要で、舞っている最中のエミは全くの無防備になってしまう。

 美神の所での助手は主に荷物持ち、見張り……囮(赤髪限定)位な物。
 だが……エミの助手は肉の壁となり、霊の進入を防ぐのが仕事だった。

 その三分間。
 カップラーメンが出来るまでの時間が生死を分けるのだ。

「ひゃあ!?」
 襲ってくる悪霊に悲鳴を上げる、既に目からは涙が流れている。
「前を向け!次が来るぞ!!」
 一応鈴で向かってくる者達は全て祓っているのだが、怖い事に違いは無い。
「ふえ……」
 他の者達の腹目掛けて襲ってくる悪霊達。
 痛みに前のめりに倒れそうになる男達。
 中央で踊るエミ。
「ふぇ……」


「霊体撃滅……」

 エミが力を放つ前に……それは来た。


「うわあああああああああん!!!!」

 リィンッ!!!

 声と鈴の音が重なり、それに合わせて周囲の悪霊達は一瞬で浄化して行った。
 まだその範囲は狭いが……横島は恐怖から鈴の力を高めていた。

「破ー!!!」
 最後の仕上げでエミの身体から閃光が放たれる。
 これで仕事は終わりである。
「ひっく……」
 その場に座り込み、横島は泣きじゃくる。
 無性に保護欲を刺激させる姿に、エミや弱っている男達は頬を赤らめた。


「何?辞めたい?」
 事務所に戻ってきた一同は、横島の言葉に顔を上げた……がすぐに下を向いた。
 至近距離で黒髪時の顔を見てはいけない。
 何故ならば……どんな無理難題でも叶えてやりたくなるからだ。
「何だね?我らの仲間が嫌なのかね?」
 男達も下を向きつつ問い掛ける。
 顔を上げていればちょっとした脅しにもなるのだが……下を向いているので少し滑稽だ。
「だって……オレ、中の人格をどうにかして貰う為に……美神さんの助手してたんです……
 こんな怖い思いする為じゃないもん……」
「まだ一日じゃない、慣れれば強い男になれるわよ?」
 資料をまとめながらエミが「ね?」と微笑みかけるが。
「強くなりたくにゃいもん……」
 確かに、美神と一緒の時も怖い思いは沢山した。
 だが……あちらは中学生時から一緒で信頼関係があった。

 きっと大丈夫!

 そんな思いがあったが……まだエミとは会ってからそんなに時間が経っていないのだ。

 知らない現場 見知らぬ人達  怖い霊達

 様々な不安から、横島は一日で限界に来ていた。
「おたく、この契約書の事覚えてる?」
 笑いながら赤髪が書いた契約書を取り出す。
 すると紙からは大きな鎌を持ったヤク中では?と思える顔をした者が飛び出して来た。
「ふえぇ?!」
『我が名はぁぁぁ!!!契約の神!!『エンゲージ』なるぞ!
 契約の守護者としてここに括られておる!』
 横島の顔へ接近し、持っていた鎌を振り回す。
 何故か息が荒い。
『けけ、契約はあぁぁぁ!!絶対!背く者には死と地獄をぉ!!!』
「分かった?おたくはもう逃げられないってワケ」

 自分には覚えの無い契約書。
 気が付いたらここまで連れて来られていた。
 悪霊達は怖い。

 怖い。
 怖い。
 こわい。
 コワイ。
 怖い。


 こわい


 プッツン。


 幼き心には負担が大きすぎた。
「ふえ……」

 リンッ

 まるで横島に連動するかの様に鈴も鳴り出す。
「むっ……ぎゃー!!?」
 今まで下を向いていた男達が気配を感じ、顔を上げると。

 目の前には巨大な豹・狐・竜・蛇・鹿・鷹・猿・雉・狼・鼬・鼠・牛……

 事務所を埋め尽くす程の獣達が出現していた。
「なっ……これだけの奴ら、何処から!?」
 獣達はまるで横島を守る様に壁を作り、号令一つで飛びかかる準備が出来ていた。
 そして……その合図は。


 リン!!


 鈴が出した。


「「「「『ぎゃー!!!!』」」」」

 一斉に……獣達は事務所内を駆け回った。


『美神さん……今からでも遅くないですよ!横島さんの給料上げてあげましょう?』
 美神の袖を引っ張り、キヌは必死に説得していた。
 しかし、頭に来ている美神はその言葉に「嫌」としか答えない。
『っ……美神さんの……馬鹿馬鹿場馬鹿馬鹿馬鹿場馬鹿馬鹿馬鹿場馬鹿馬鹿馬鹿場馬鹿!!!!』
 泣きながらキヌは叫ぶ、横島は大切な友達で弟的存在だ。
 彼が居ないと嫌なのだ。

 だって……キヌは……

『馬鹿ば……』
「美神さーん!!!」
 キヌの叫びを止めたのは……泣きながら事務所に飛び込んできた横島だった。
「横島君!」
『よ、横島さん!?』

「ふえ……美神さーん!!!」
 その胸に飛び込み、横島は大泣き。
「オレ、美神さんの所に居たいです。美神さんが良いー!!!」
 瞳を多いに潤ませた横島の言葉に、美神は頬を真っ赤にし。

「と……」

 心臓も多いに高鳴らせ。

「当然でしょ?横島君はここのメンバーなんだから」

『えっ?もしかして……美神さん、分かってたんですか?横島さんが戻ってくるって』
 少し動揺しているが、その言葉に迷いは無い。
 確かに、出て行った時は頭に血が上りきっていた。
 辞めたければ辞めれば良いとも言った。
 だが……
「ふふ、赤髪の横島君が普段からメインで行動してるならまだしも。
 基本はこっちなのよ?あんな除霊のやり方に耐え切れる訳無いじゃない」

 横島には中の人格をどうにかする、という目的があるのだ。
 ここを辞める事は出来ないのだ。


「エミさーん!!助けてー!!」
「いでででで!!噛むな!!噛むなー!!!」
「あがっ!!けして人には言えない部分が噛まれそうな危機ー!!!!!!」
「ちぃ!!横島の奴、まだ特殊能力を持ってたってワケ!?
 今度こそ、今度こそ引き抜いてやるぅー!!!」
 獣達に襲われつつ、エミはそんな事を騒いでいた。


 最も、その後……赤髪は美神に折檻され……ほんの少しではあるが給料を上げて貰え。

 他の事務所へ引き抜かれる事は無かった。


 第八話 終


ようやくエミまで出す事が出来ました!!これでピート話に入れます。

次回、季節外れの話に入ります。
寒い時期なのでって事で……その辺はあえて突っ込まないで下さい。
単行本見てると普通に夏の話が入って『どうしよう……』と思っているんですから。
美神の連載当初の季節っていつなんでしょう??春??

親分がまた突っ込みを入れに来ないうちに、レス返しですv


Dan様>あぁ!先に使われてしまった……
愛子が『青春ね!』と言うなら……その子は一体どんな性格なんでしょうねぇ?
恋、その名前を使っても良いですか?

除霊委員では椅子妖怪も加わってたりするんでしょうね……きっと。
そんで赤髪が出てくると「きゃv」って感じに……青春ですねぇv

山神アキラ様>爆裂ハンターですね。
魔法攻撃を受けると身体の中の魔獣が出てくるって設定結構好きです。
繰り返しで少しでも笑ってもらえれば幸いです。
自分には驚くような展開が書けないので……

AC04アタッカー様>一緒に学校外へ行く時は……掃除の時みたいに運ぶんでしょうね。
(机の上に椅子を乗っけて)
愛子の腕力が原作以上につきそうですねぇ……

柳野雫様>古来より、多くの人間が出入りする場所は妖かしが出やすいのです。
多くの思いが交錯する場所、それは学校。
なので学校には多くの妖怪が住んでいるのです。(別サイトで妖怪話を書いてるのでv)
赤髪は知り合えばその内面の良さが分かってくるので、原作と同じですねv
先生は原作のノリのままです、けど黒髪相手ではちょっと扱いが甘めで。

紫苑様>カオスは頭が大ボケなんで、うっかり先生のままでは恐ろしい事に。
なんてったって……何か妖怪が来たら。
『こんな事もあろうかと!!』と言って懐からスイッチを取り出し。

『この学校を変形メカに改造しておいたぞぃ!!!』
「戦隊物!!?」
「錬金術は何処へ!!?」

『行け!!!学園メカよ!!我が頭脳の素晴らしさを世間へアピールじゃあ!!!!』

・・・・・・・・やばいっす、楽しそう……


あまりにもハイペースすぎるので、次回は出来るだけ遅めに……

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