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「横島日誌3(GS)」

マッキー (2005-02-20 02:21)
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シロとタマモの二人も、その夕日のあまりの美しさに見入ってしまった。

仕事の後の心地よい疲労感も手伝って、三人は立ち止ってしばらく夕焼けを眺めた。。

己が師の初仕事を無事に終わらせた満足感から、シロでさえ口を開かずに黙っていた。

日が沈むまでのわずかな時間、ゆったりとした時が過ぎてゆく。


やがて、そんな時間も終わりを告げる。太陽がだんだんとビルの間に沈んでいき、町にぽ

つぽつと明かりが灯っていく。三分ほど経つと、日は完全に沈んでしまった。


「そろそろ行こう。」

そう言おうとして横島のほうを向いたタマモは、驚愕に目を見開いた。思わず目を瞬かせ、彼の横顔をまじまじと見詰める


クールな彼女をそこまで驚かせたもの、それは、日の沈んだ方角を眺める彼の頬を伝う、

一筋の涙だった。


あの横島が・・・泣いている?


タマモは、自分の見たことが信じられなかった。彼と知り合ってからたいした日が経って

いるわけではないが、事務所で見る彼の姿は悲しみなんかとは最も縁遠い存在に思えた。

毎日懲りずに美神にセクハラをして、シロとじゃれあって・・・


そんな彼が、泣いているのだ。いや、彼の涙なら見たことはある。しかしそれは、美神に

折檻されているときに流す滝のようなもので、いわばギャグの一種だ。今彼が流しいて

いるのは、そんなものではない。見ているこちらが悲しくなるような、悲しみの涙だ。


横島が泣いたのは、夕焼けのせいだろう。タマモは、その理由を聞いていいものか迷った。

彼の様子から、他人が踏み込むべきではないと思ったからだ。ここは気付かなかった振り

をして、いつか彼が自分から話してくれるのを待とうと決めた。


しかし、根が単純なシロは、そうは行かなかった。タマモの様子から横島を見た彼女は、

彼に涙の理由を尋ねた。


「せ、先生、泣いているのでこざるか・・・?」

「え?あ、いや、別に・・・目にごみが入っただけだよ。」

彼はあわてて目をぬぐいながら誤魔化した。

「そうでござるか?」


釈然としないシロだったが、人を疑うということを知らない彼女は、その拙い説明に

納得して引き下がる。

もう我慢の限界だった。知りたいという思いが限界を超え、彼女は口を開いた。

「うそよ。」

タマモからの言葉に、二人は彼女のほうを向いた。

「私は人間に取り入って生きて来た妖弧の転生だから、人の大体の感情を読むことぐらい

はできる。さっきのあんたは、明らかに悲しんでいた。ねえ、何をそんなに悲しんでいる

のか、聞いちゃ駄目?」


シロも、その言葉に横島を見詰める。その瞳は、彼女もその理由を知りたがっていると告


げていた。


ややあって、彼は話すことに決めた。

「わかった。でもここじゃ何だから、飯でも食いながら話すよ。とっとと終わらせて店に行こう。」


渡されたお札を壁に貼りながら、タマモは自分の心の動きについて考えていた。さっき彼

に悲しんでいる理由を聞いたのは、好奇心のせいではない。もちろんそれもあるが、一番

の理由は、彼が悲しんでいるところを見たくないという思いだった。彼の悲しみを和らげ

てあげたいと思ったのだ。タマモは、自分が横島に好意を抱いていることを自覚した。


しかし自分は、なぜ彼を選んだのだろう。彼女は、自分でもその理由がわからなかった。


彼女の前世である妖弧は、殷の紂王などの歴史上の大人物に取り入って生き抜いてきた。

転生した途端に命を狙われてきた彼女も、自分を庇護してくれる人物を探していたのだ。

それこそ、アメリカ大統領の愛人になるというように・・・


そんな自分が、横島のどこに惹かれたのだろうか。


彼の持つ、人界でもトップクラスの力か?多分違う。彼のことが気になり始めたのは、彼

の力を知る前からだった。それに、もしそうだとしたら、彼に対し感じるのは、利用でき

るという感情だけだ。自分の想いは、そんな物じゃない。彼自身を好きになったのだ。


その理由は、これからの彼の話の中にある。彼女の直感は、そう告げていた。


結界を作り終わり、三人は電車に乗り、食事に向かった。目的地は二駅ほど行ったところ

にあるファミレスだ。もらった金額からして、もう少し高級な店でも良かったのだが、ス

テーキとキツネうどんがおいてある店というとそれくらいしかない。


店内は日曜日の夕食時にしては空いており、幸い周りに人のいない席に着くことができた。

さすがに一般人の前で、アシュタロスの事件の詳細を話すわけにはいけないだろう。横島

がメニューを選び終わると、女のウェイターが注文をとりに来た。シロタマは、彼女から

みて自分たちはどういう関係に見えているのだろうかと考えた。

兄弟、友人、親戚といったところか?

『コイツがいなかったら、恋人同士に見えるのだろうか?』

二人がそんなことを考えているうちに、料理が届いた。全員が食べ終わり、食後のコーヒ

ーが来ると、横島はいよいよ語りだした。


二人の知らない過去、アシュタロスとの戦いの顛末を・・・


つづく?????

読んでくださいましてまことにありがとう御座います。

どうも一話でたいしたミスが無くて油断していたらしく、二話ではかなりの間違いがありました。修正しましたので、これからも見つけたらご指摘ください。
書いているうちに御汐さんの「YOKOSHIMAN!」がアップされたのですが、やはりあの作品は凄いですね。私もあんな作品が書けるようになりたいと思います。


>D様
その手もいいと思いますが、“シリアス顔の横島”というのが書きたくてああしました。

>ダブル・ソフト様
その通りです。有り難うございました。

>通りすがり様
毎回ご指摘を有り難うございます。タマモの件はとんでもない勘違いでした。うろ覚えのまま書いていたので、タマモの登場は大戦前だと思っておりました。これからはコミックスを確認しながら書きます。美神が金を渡すところも修正しておきました。

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