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▽レス始

「陰界第二話 前半(GS+??)」

ルナ (2005-02-17 17:51)
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「んー!!やっぱりボロ儲けの後は気分が良いわぁ!」
 仕事を終え、美神はビール片手に笑った。
「そんなに儲けたんですか?」
 一緒に現場に行きはしたが、横島は報酬の金額を知らない。
 横島の言葉に美神はにへら〜と笑みを浮かべる。
 よっぽど嬉しいのだろう。
「相手は大企業よ、半日で一億!一億!!」
「凄いですねぇ〜」
 二度も言う美神の言葉に横島は笑顔を浮かべた。
「これも横島君のお陰よ、ありがとv」
「そんな事無いですよ、オレはただの荷物持ちですし……」
 そう言って顔を真っ赤にして笑う。
 軽く身体を動かすと、ズボンのポケットに入っている小太刀の鈴が鳴った。
 共に除霊を繰り返して気が付いたのだが……この鈴は退魔の力を秘めているのだ。
 この鈴は悪霊が近づくだけで鳴り、弱い存在ならば消し去る事も可能。
 力の強い存在でも鈴の音で一時的に動きを止める事が出来た。
 そしてただの浮遊霊で悪意が無ければ鳴る事も無く、鈴のお陰で仕事中に不意打ちを受ける事も無いのだ。
 だが、横島以外の手の中ではけして音を発しないので……美神は舌打ちしたが。
「本当よ、いつも有難うね」
 そう言って横島の頭を優しく撫でる。
 黒髪時の横島は素直で子供っぽい、なので対応も自然と優しくなっていた。


 美神令子嬢。
 美神除霊事務所所長。
 この業界ではトップクラスの実力を持っている。
 だが……同時に、ギャラの高額取りでもトップクラスだった。

「それなら……俺の給料、少しは上げて下さいよぉ!」

 一部の者達は美神の事をこう呼んでいた。

『守銭鬼』と……

 髪が燃え上がるような赤へと変色した途端、美神は頭を撫でるのを止めた。
「この前ゴーストスイーパーの助手の相場見て来たんですけど、かっなり俺の給料安いんですけど!」
「あらそう?それは知らなかったわ〜」
 飲んでいた缶をテーブルの上に置き、美神は書類を見始めた。
 ハッキリ言ってちゃんと聞くつもりは無い。

 黒髪時ならば優しくしなければ泣いてしまう。
 だが……赤髪時ならばどんな扱いでも心が痛まない、丁稚扱いでもOK!むしろGO!な勢いだ。
 始めて会った時のタフさとスケベが原因で、赤髪時の時給は『二百円』にされている。
 ハッキリ言って労働基準法違法なのだが……普段の横島への給料はしっかり渡されている。
 給料が削られているのは『赤髪』の横島なのだ。
 ちなみに……給料が安い分、美神は露出の高い服を着ている。
 自らの身体を餌にし、給料の話を封じているのだ。
 最も、見る事は出来るが触ろうものならば切り捨てられるのだが……(それでもすぐに復活する)


 これは横島の人格が『時間』によって変わる事を利用している。
 その時の状況に応じて変わるのだが、基本的に『二時』『四時』『六時』の一時間は赤髪の時間なのだ。(学校内は把握していない)
 普通に助手を数人雇うのと……一人で数人、それでいて一定時間になれば時給が一気に下がる助手。
 その上使える品も持っていて中にも力の強い者が居る!!

 こいつはかなりの拾い物だ!!!と美神は拳を振り上げて喜んだ。


「次の仕事は人骨温泉、露天風呂に霊が出て客が激減してるんですって。
 ギャラは安いけど温泉でノンビリ出来そうね」
 見始めた書類を指差し、美神は笑った。
「……露天風呂……?」

 湯煙……


 その向こうに人影。

 裸の姉ちゃん。

 裸の姉ちゃん。

 裸の姉ちゃん。

 裸の美神さん!!!!


「で。給料がどうしたって?」
「給料がどうしました?」
 今日も……給料の話は流れて行った。


「ぜー……ぜー……ぜー……ぜー……」
 赤き髪を揺らしつつ、横島は歩く。
 きつい山道、重い荷物を背負いつつ……横島は歩く。
 一種の拷問かと思える程の荷物を背に。
 美神は荷物一つ持たず、サッサと先へ行ってしまった。
 もしも一緒なのが黒髪ならば共に連れて行ってくれたかもしれないが。
「あの女……俺の命をへでも思ってねぇんやなぁ……良い尻しとるのに……うぅ」
 標高が高く、疲労で酸素が十分身体に入ってこない横島は倒れそうになりながらも歩き続けた。
 いつもならば既に黒髪に戻っている時間なのだが……

 裸の姉ちゃん!!!
 裸体を拝むまでは絶対に倒れられない!!

 その思いからか……今日は目を覚ましてからずっと赤髪のままだった。


『……あの人……あの人なら……よぉし……』

 そう呟く存在が居ても、横島は気が付かなかった。
 目標はただ、裸体へ向かっているから。

『えい!!』
「うわっ!?」
 突然誰かが突進して来た、その気配に慌てて避けようとするのだが……重い荷物のせいで失敗。
 まるで亀の様な姿にされてしまった。
『大丈夫ですか!?お怪我は?!私ったらドジで!!』
「って今『えい』とか言って無かったか!?おい!!」
 今までギリギリで活動していた横島だったが……限界が来た。

 かくっ

『平気ですか?』
「う……うぅん……」
 どうにか起こして貰い、横島は顔を上げた。
 目を開けると、そこには巫女姿の女の子が居た。
『あれっ……?髪が……っ!』
 女の子は少し不思議そうにしていたが、すぐに胸を抑えて大げさに騒ぎ出した。
『あぁ!!胸が……持病のシャクが!!』
「えぇ!!?そんな、大丈夫?!」
 背負っていた鞄を置き、横島は女の子の背を摩る。
 ハッキリ言って棒読みな騒ぎ方なのだが、横島は気が付かないで慌てた。
『丁度良い所に薬が……取って来て下さいな……』
 女の子の指差す方へ視線を向けると……そこには大きく。

『WELCOME』
『良く効く薬!』
『ご自由にお取り下さい』
『大丈夫!勇気を出して!』
『怪しくない 怪しくないよ!?』

 そう書いた看板が多数置かれ、花まで飾られていた。


 普通ならば怪しいと思うだろう。
 むしろ怪しいと思わない方がおかしい。

 だが……黒髪は良い意味でも悪い意味でも真っ直ぐ、純粋だった。

「本当だ!!良い所に薬がある!!」
 疑いもせず、心から喜んでいた。
 蹲る女の子の背を摩りつつ、満面の笑顔を浮かべる。
「ちょっと待っててね、取ってくるから!」
『っ!?』
 まさかそんな反応を返されるとは思って居なかったのか、女の子は驚きの表情を浮かべる。
 笑顔に驚きつつも……その頬は真っ赤に染まっていた。
『あっ……』
 手が無意識に伸ばされる、横島のジャケットを掴もうと……
 だが、手は届かず……虚空を掻くのみだった。

『……駄目!!!』

「へ?」

 薬まであと一歩、横島は女の子の声に驚いて足を止めた。
 次の瞬間。

 ドゴッ!!

 目の前に落下して来た大岩、もし……もう一歩前に出ていたら……岩の下敷きになっていただろう。
「……ふえ?」
 あまりの事に状況が飲み込めない。
『あぁ……ごめんなさい……ごめんなさい……しくしくしくしく……』
 女の子はそれだけ残し……消えて行った。
 横島はしばしその場に立ち尽くしていた。
「……ここ、何処?」
 別人格時の記憶が無い横島は……ただ呆然とする事しか出来なかった。


「十五・六の女の幽霊?」
 荷物に入っていた通信機で旅館まで来た横島は頷いた。
 大量の荷物は旅館の者に頼み、車で運んで貰った。
 基本的体力は同じなのだが……こちらの横島にあれだけの荷物を持つ気力は無いと判断したのだろう。
「温泉に出るのはムサ苦しい男って話だし……今回とは別件かしら?」
 鍋の肉を食べながら、美神は首を傾げた。
「横島君、妙に物の怪に好かれやすいみたいだし……呼んだのかもね」
 過去に除霊をする為、囮にした事が数回ある。
 美神本人を囮にした場合と横島を囮にした場合。
 ハッキリ言って後者の方が敵がやって来る確立が高いのだ。
「みゅ〜……あの子、オレの事助けてくれたのかなぁ?お礼言いたいのに」
 暖かいお茶を飲みつつ、横島は呟く。
「とりあえず、その女の子の事は忘れて仕事をしましょ?」
「ですね、頑張ります!」
 大きく頷き、横島はお茶を一気に飲み干した。
「……あちゅい」
「一気に飲むからよ」
 舌を出し、横島は小さく震えた。


 除霊道具には『見鬼君』と言う品があり、それには霊気の気配を探る力を持っている。
 美神は見鬼君を片手に風呂場へやって来た。
 一応それ無しでも探せるのだが、こちらの方が楽で疲れないのだ。
「う〜ん……霊の気配は無いわねぇ」
 箱の上に設置された人形が延々と回転を続ける。
「少なくとも、ここに束縛されている霊じゃないみたいね」
「とりあえず、入って見ます?」
 これが赤髪の発言ならば色々と思う所があるだろうが……現在は黒髪なので深い意味は無いだろう。
「そうね……行きましょう」
 風呂場へと足を踏み入れた瞬間。


 ピコピコ!!


 人形が一箇所を示した。
「あ、出た」
 指差した方向に居た者、それは話通りムサ苦しい髭面の男だった。
『自分は明痔大学ワンダーホーゲル部員であります!!
 寒いであります!!助けて欲しいであります!!!』
「にゃあー!!??」
 男は真っ直ぐ横島の腰に抱きつき、叫んだ。
 突然の事に叫ぶ事しか出来ない横島。
「ワンダーホーゲル部員?」
 横島の腰から男を引き剥がし、美神は首を傾げた。
「うわ〜ん!怖かったよぉー」
「はいはい、これもお仕事だから。もうしばらく我慢ね」
 美神にしがみ付き、本気で横島は怯え泣いていた。
 もしも相手が赤髪ならば即座に裏拳が炸裂しただろうが。


「遭難?成る程……じゃあ放置された死体を供養すれば大人しく成仏するのね?」
 美神はまだ怯える横島の頭を撫でながら、男から聞いた話をまとめた。
 途中何度か山の素晴らしさを語られていたが……
『はい!!その通りであります!場所が大体しか分からないでありますが……お願いします!』
 深々と頭を下げ、男は答える。
「ん〜」
 美神は時計に目をやり、横島へ命じた。
「横島君、とりあえず防寒具と山登りの道具を揃えて」
「は、はい!!」
『来てくれるのでありますか!!?』
 横島が命じられるままに旅館の受付へ向かうのを見、美神は笑った。

「えぇ……真紅の横島君がねv」

 どうせ『背中流して上げるv』って言えば行ってくれるだろーし。
 その間は今日みたいに根性で出続けるだろうしv


 後半へ続く・・・


 寒さのあまり……キーボードを何度も打ち間違える今日のこの頃……
 いかがお過ごしですか?
 たまに冗談抜きで胸が痛むので、寒いと軽く生命の危機を感じたりします。

 やっぱり変えたくてもこの辺は変更出来ませんね。
 けど……原作よりも給料が安い。
 本人からしてみれば『そんな変更いらへーん!』って所でしょうが。

 レスは必須アミノ酸、生きていく上での糧……いえ、何でもありません。
 ちょっと今昔のビデオを漁っていて、脳内混乱が起きてます。


Dan様>有難う御座います!!
最初は学生時代の話にしようかとも思ったのですが『めんどい!』って事であぁなりました。
不自然を感じないのでしたら、成功ですね。やったv


紫苑様>今回おキヌちゃんと出会う事は出来ました。
まだ小さい違いですが、段々大きく物語に関わって来ると良いなぁ……と思ってます。
学校の横島は……その時までのお楽しみになれば幸い。


柳野雫様>読み切りの方に繋げるか、一話に繋げるか迷ったんですが……こっちにしました。
本人はかなり変わりましたので、人間関係と周辺の動きを考えぬば!!
とりあえず、幼い横島にキャラが萌え……皆様も萌えて頂ければ良いです!!(そこが一番らしい)


……個人的に気になるのは、ここのピートも……横島ラブになるのでしょうか??

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