○とは自然との調和の最終系
○○を用いて、魔を討つ
まだ目覚めには・・・遠い。
エピソード十一 第二の○○○○
「ふぅ、いい朝ね」
イスに座りコーヒーを飲みながら美神は窓を見ていた。窓から差し込む光は暖かく優しい光だった。
「美神さん、今日は仕事無いんですか?」
ソファーに座っていた横島が美神に尋ねると、美神はウインクで返した。
「そっスかーーー!今月結構ヤバイんスよねーーー!!」
「ねえ美神、何か速攻で終わらせれそうな簡単な依頼ない?」
凹んでいる横島の肩に手を置きながらタマモが尋ねる。
「さすがに今日は本当にないのよ。たまにはこんな日もあるんだから我慢して」
美神の言葉に耳を垂らしながら落ち込むタマモ。そんなタマモに横島は頭を撫でてやった。室内にいるおキヌが悔しそうな顔で横島に撫でられているタマモを見ていた。
(平和だな)
「まったくだ」
心眼ときたろうは窓側のソファーに座りながらひなたぼっこをしていた(心眼は現在横島から外されています)。
そんな時、不意に事務所のドアが開いた。するとそこからは
「お願い~令子ちゃん~、追われてるの~、かくまって~!!」
目に涙を溜めた冥子の姿があった。
「ど、どうしたのよ冥子!?誰に追われてるのよ。悪霊、それとも妖怪?」
驚きながらも冷静に冥子に尋ねる美神。
「違うの~、もっと怖いの~!!」
「すると、メドーサ級の上級魔族か化け物ね。助っ人代は高いわよ!!」
そう言って神通棍を取り出す。しかし・・・。
「お母様なの~~~~~~~~~~」
≪ドンガラガッシャン≫
冥子の言葉にずっこける美神。立ち上がると美神は急いで自分の部屋に入った。そして出てくると・・・。
「アンタねーーー!!温厚な私でもしまいにゃ放送禁止レベルの行動起こすわよ♯」
何故か手に突撃拳銃『パト○オット』を持っていた(なんでよ!?)。
「み、美神さん抑えて!!冥子さん、一体何があったんスか!?」
「コレ見てよ~!!」
冥子はそう言って一枚の写真を取り出した。するとそこには着物姿の青年が写っていた。
「これって見合い写真っスよね?」
「違うのよ~~。それは見合い写真じゃなくて~~果し合い写真なのよ~~!!」
声と共に事務所のドアを開け冥子の母である六道冥瑠が姿を現した。そして冥瑠は暖炉に隠れている冥子を引っ張りながら答えた。
「果し合い写真?どういう事なの?」
「これはね令子さん~~、式神使いの一族に伝わる古いしきたりなのよ~~」
場所は変わり六道家敷地内の決闘場。そこに髪を後ろに束ねた着物の青年が立っていた。
「鬼道政樹です。よろしゅうお願いします」
「あ~と、え~と、ここは若い人に任せて~」
「お見合いじゃないって言ってるでしょ~~!!」
礼儀正しい政樹に対し、冥子はあたふたし、冥瑠は頭を悩ませていた。
「結構いい男じゃない(横島君とじゃ月とスッポンね)」
「確かにそっスよね」
「そうですか?横島さんに比べたら天と地の差だと思いますけど?」
「私もその意見に賛成♪」
(まぁ横島に比べればかなり落ちるな)
「横島と違って色男だがああいう奴に限って心が微妙に病んでるんだろうな」
見学席側の事務所メンバーは散々なことを言っていた。それを聞いていた政樹が凹んでいたが、まぁ気にしないでおこう。
「これは我が鬼道家と六道家の命運を賭けた真剣勝負。そのようなフニャケタ態度は感心できまへんな」
政樹の後ろに立っていた鬼道父(扱い酷っ!!)が六道親子に対して侮蔑の表情を向けていた。
「政樹!!我が家に代々伝わる式神、夜叉丸を見せてやれ!!」
「はい、父さん!!・・・出て来い夜叉丸!!」
政樹の声と同時に彼の影から政樹の姿に似た式神、夜叉丸が姿を現した。
「所で美神さん。なんか命運を賭けた真剣勝負って言ってますけど、具体的に何をするんスか?」
「これはね、互いが持つ式神を戦わせ、勝った方が負けた方の式神を奪う事が出来るのよ」
「え~と、つまり自分のポ○モンを相手と戦わせて、弱ってきたらモン○ター○ールで捕まえるみたいな事ですね」
「・・・何でおキヌちゃんそんな事知ってるの?(汗)」
「横島さんの部屋にあるので遊んでました♪」
美神はおキヌの言葉に頭を抱えていた。この時同時進行で鬼道父が冥瑠にボロクソに言われていた。
「ほんなら行くで!!行けっ夜叉丸!!」
政樹の指示を受け夜叉丸が冥子に襲い掛かる。すると・・・。
≪ガキィィン≫
突如冥子の影から十二神将の一匹、アンチラが現れ夜叉丸の攻撃を止めた。
「ほう、それがアンチラか。夜叉丸の剣になるには最高の式神や。まずはソイツを貰うで!!」
そう言ってまた夜叉丸に指示をとばす政樹。すると夜叉丸は一気にアンチラに接近する。
「シャーーーーー!!」
アンチラが耳の刃を振りかざすものの、夜叉丸は間一髪で回避しアンチラを蹴り上げた。体勢を立て直そうにもアンチラのダメージは大きかった。
「あんな子と戦ったら怪我しちゃうわ~。戻ってアンチラ~」
「させへんよ!!」
冥子はアンチラを自分の影に戻そうとするが、先に政樹に奪われてしまった。
「アンチラ~!!アンチラ~!!」
泣きながら大事な友達の名を叫ぶ冥子。それとは裏腹に政樹は不敵な笑みを浮かべていた。
「アンチラは死んだわけではあらへんよ。ただ、ワイの夜叉丸の剣となったんや」
政樹の言葉に続くように夜叉丸の右手に一振りの剣が召還される。
「・・・酷い。・・・酷いわ~~~~~!!」
冥子の悲しみに反応し、ビカラ・ハイラ・マコラが姿を現す。しかし・・・。
「こんな闘い方で霊能者とは・・・甘すぎるで!!」
三匹の式神はあっという間に政樹に奪われてしまった。それにより夜叉丸にも変化が起きる。頭部にはハイラ、両肩にはマコラ、両篭手にはビカラが召還された。
「ふぇぇぇん!!私の友達返して~~~~~!!」
本格的に泣き出してしまう冥子。それを見て政樹は呆れた表情に変わる。
「覚えておくんやな。力は持つべき資格がある人間が持つものやと言う事を」
そう言って夜叉丸は冥子に向けて剣を振り下ろした。
≪ガッキィィィィィィィィィィン≫
しかし突如飛来した何かに剣を弾かれてしまった。六道親子と鬼道親子が何かが飛んできた先を見た。その目線の先には・・・額に血管を浮き立たせ、サイキック・ソーサーを展開している横島の姿があった。
「な、なんて事すんのやあんさんは!?」
「じゃかしい!!女の子泣かしておいてそんな台詞を吐くんか!!」
政樹と対峙している横島はマジで怒っていた。闘いの様子を普通に見ていたが、冥子が涙を流し始めてからどんどんぶち切れてきたのである。おかげで今の横島はかなり霊波の出力が上がっていたのである。
「・・・凄い霊波。横島君・・本気ね」
「カッコいい♥横島さん頑張ってーーーーーーーー!!」
「頼むわよヨコシマ♪その力で・・・私を魅せて」
(また成長したか。この男・・・底が知れん)
「ワシの後を継ぐ男に相応しいな」
横島の姿を見て好感度が上がる皆であった。
「これは男女の戦いではない!!神聖な果し合いなのだ、邪魔はしないで貰いたいで!!」
「やかましい!!女の子を泣かしといて神聖もクソもあるか!!てめーは俺の敵だ!!ぜってぇぶっ潰す!!」
そう言ってソーサーを投げつける横島。夜叉丸はそれを避けるが
≪ズドン≫
「がはっ!!」
突如回転し帰ってきたソーサーが夜叉丸の背中を直撃した。何故外れたソーサーが帰ってきたかというと
『絶対に』『外れない』
という言霊を付属していたからである。
「・・・ワケ分からんで。こんな特異な力を持ってるなんて」
政樹は驚きの表情を見せながらもまた夜叉丸に指示を送る。すると夜叉丸は横島に向かって駆け出す。それを見た横島も駆け出す。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「はああああああああああああああああ!!」
横島の霊波を纏った手刀と夜叉丸の剣がぶつかり合う。
≪キン!!ガキンガキン!!ギリリリリリ!!≫
霊波の手刀と剣のぶつかる度で火花が上がる。しかし、やはり肉体では限度があった。
「はあはあはあ。・・・クソッ!!」
横島の腕は剣のダメージが少しずつ出ていた。そのためジャンパーの袖が破れ、そこからは血が流れ出していた。
「このままじゃ横島さんが・・・・!!」
「ねぇきたろう!!なんかいい手段はないの!?」
半泣きのおキヌとイラつくタマモを他所にきたろうは夜叉丸に対抗できる言霊を頭の中で探っていた。すると
(何か・・・奴に対抗出来る剣があれば・・・)
突如聞こえた心眼の呟きに何かを閃いた。そして横島にそれを伝えるためにある言霊を投げつけた。それが横島に当たった瞬間、横島の頭の中にある言葉が浮かび上がった。
「油断やで!!」
その一瞬の隙を見つけた政樹は、夜叉丸の手から霊波砲を放つように指示を送った。・・・・・そして。
≪チュドォォォォォォォォン≫
横島がいた場所で爆発が起きた。
「横島君!?」
「横島さーーーーーーーーーん!!」
「ヨコシマ!?」
(・・・これまでなのか)
四人は横島の生存が絶望的と思った。
「・・・上手くいったな」
しかし一人だけ笑みを崩さないきたろう。その証拠と言わんばかりに、煙の奥には人影があった。煙が晴れていくと、そこには・・・。
右手に白い短剣を持ち
左手に黒い短剣を持った
横島忠夫の姿があった。
「な!?馬鹿な!!あの霊波砲を受けて無傷やと!?」
政樹は目の前の光景を見て驚愕していた。そこへきたろうの無情な声が上がる。
「あんな霊波砲じゃ効くわけないだろう。何せ今横島が持つ双剣はな、『どっかの平行世界にいる英雄』が持つ夫婦剣なんだからな」
きたろうの言葉に固まる政樹。そこをすかさず心眼が指示を出す。
「横島!!その剣を保ちながら“変身”するのだ!!」
「おう!!」
それを聞き横島は精神を集中する。すると下腹部に銀色のベルトが出現した。・・・そして
「変身!!」
力強い言葉と共に叫ぶ。すると、横島忠夫の身に炎が纏っていく。そしてその姿は、炎の空牙へと変わる。それに伴い空牙が両手に持っていた双剣は紅き炎が宿る。
「な!?魔装術やて!!」
突如の横島の変貌に驚きっぱなしの政樹。そんな政樹を尻目に空牙は双剣を構えて駆け出す。そして夜叉丸の前に立ち両肩向けて振り下ろした。
「・・・ちぃ!!」
我に返った政樹はすぐに夜叉丸に指示を出しその剣戟を防ぐ。しかしその剣戟が重過ぎるため防戦一方になってしまった。
「アンタは何のために戦う?」
「御家復興のためや!!それ以外に道なんかあらへん!!」
「それはあのおっさんの願いだろーが!!アンタ自身の意志じゃねーだろうが!!」
「それは・・・・・じゃああんさんは何のために戦うんや!?」
「大切な人たちの・・・幸せだ!!」
「・・・っ!!」
戦いの中で聞いた空牙の言葉に完全に呆然としてしまった。まさかここまでバカな男がいるとは政樹には思ってもいなかった。
(ワイの・・・負けやな)
心でそう思いながら政樹は力を抜く。その瞬間、空牙の双剣が、夜叉丸の両肩口から、切り裂いた。
「ふう、今日みたいなのはもうコリゴリね」
事務所の机に肘をつきながら物思いにふける美神。身体には至る所に包帯が巻かれていた。
「大丈夫ですか?」
「イタタ、何でこうなるのよ」
(恐ろしいものだ)
「ありゃ地獄だぜ」
「俺はもう慣れたから結構楽だったけどな」
様々な意見が飛び交う中、何故か横島だけはケロっとしていた。何故こんな状況になったというと、まず最初にあの戦いの後、政樹は復讐の意志と決別し、どこかへと旅に出て行ったのだ。
「ワイはもう一度自分を見つめ直す。そのためにしばらく旅に出ますわ」
その表情に曇りは一遍もなかった。そしてその後、式神の戻ってきた冥子を横島が泣き止ましていると
(なんか気に食わない。・・・えい)
(横島さんたら、冥子さんの頭を撫でてる。私も!!)
横島と冥子のやり取り嫉妬したタマモとおキヌが横島にくっついたのだ。それにより、冥子安心させるためのナデナデは止まり、それにより・・・恒例のプッツンが発動してしまったのだ(笑)
「何でアンタは毎度毎度問題起こすかーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!こんの丁稚がーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「俺今回何も悪い事してないやんかーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
これに恒例だが横島は美神からのお仕置きを受けたそうだ。ちなみにあの時きたろうが投げつけた言霊に込められた言葉は・・・。
『陰陽剣』『干将』『莫耶』
だったそうな。
「ん?今何か横島はんの声が聞こえたような」
フェリー乗り場にいた政樹はふと空を見上げる。そして、気のせいだと認識しフェリーの中に入っていった。
この時まだ誰も知らない。その政樹が・・・第二のヒーローになる存在だという事を・・・・。
おまけ
「なんやえらい事になってきたな~。まさかまた抑止力が目覚めようとしているで」
「確かに、まさか人界に二つの抑止的存在が確認されるとは」
「三界の崩壊因子の一つであるグロンギだけでなく、第二の崩壊因子である○○○まで目覚めようとしているで、難儀なこっちゃ」
「このままではいずれ神・魔・人界に多大な損害を出しかねません。なんとかして他の抑止的存在を探さなくては」
「そやな。早く揃えんと存在誤魔化すワイ等が大変やからな」
「まったくです」
「やな。まあそれはいいとして・・・・・王手!!」
「あっ!!ヒドイですよサッちゃん!!」
「油断したキーやんが悪いんやで」
神魔の代表者が重要な事を話しながら仲良く将棋をしていた(爆)
あとがき
いや~、時間が掛かってしまいましたおなじみweyです。
さて今回は、中々ネタが決まらず、本気でスランプに陥っていました。難しいですSSは本当に。
あと、止めようと思ったのですがやっぱり元始風水盤編をやっちゃおうと思います(爆)
さて、レス返し行きますです。
<法師陰陽師さん
仲魔はどんどん増えます。収集がつかなくなるぐらいに(汗)
<柳野雫さん
嫉妬は終わりが無いだろう思います。こればかりは横島君の宿命ですから(笑)
<覇邪丸さん
不肖横島忠夫は頑張ります!!
<御気さん
・・・ご想像にお任せしますです。
<無貌の仮面さん
ご推測アヴァロンです。このきたろうはあらゆる世界の言葉を知っているため何でも言霊として発動可能なのです。ちなみに今回の夫婦剣は某運命に出てくる剣です。
<ATK51さん
クウガ版おやっさんでOKです!!二つ目の問いはまだお答えできません。スイマセンです(謝罪)
救世の道は・・・とても険しいです(笑)
<Danさん
風邪治りました(喜)
お仕置きのレベルは最悪放送禁止レベルに上がります(爆)
では次回まで、さらばです