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▽レス始

「GS的今話(4th)〜夢我夢中〜(GS)」

斧 (2005-02-11 02:18/2005-02-11 02:31)
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 バキバキ、と音を立てて魔装術が変形していく。
 垂れるは冷や汗、漏れるは呻き。
 圧倒的霊力を誇るモノがそこに居た――


 ――第4話


「反則ですわーっ!!!」
 弓が叫び、跳んだ。
 直後、拳が床を砕く。
 もともと赤かった鎧はいまや真紅。
 拳から肘までを覆う小手、頭の角も古代のトリケラトプスとでも例えれば近い。さらに、黒いタイツのようだった部分はほとんど無い。かろうじて間接部に見え隠れする程度で、今の雪之丞の姿は大仰な戦国鎧を纏った屍者。背中に入っていった人魂、そこから生えた触腕が禍々しさを増している。
 アレクソウル憑依中魔装術展開雪之丞(長いので以下黒ユッキー)は床を砕くほどの踏み込みでタマモを捕まえた。
「くッ!!」
 直後、金気の炎が触腕を焼き、
「破ァッ!!」
 魔理がそれを粉砕した。
 管のようになっている触腕の中から、強力な霊波が漏れた。
 数瞬遅れていれば、タマモが切断されていたかもしれないと言うほどの霊波。
 頭を振り、二人を打ち払った黒ユッキーの視界に入ったのは魔理だ。
 当たれば即死するほどの威力を持った手刀で魔理が居た空間を薙ぎ、一歩で魔理に肉薄、殴り飛ばした。
 盾にした魔理の左手の霊波カイザーナックル・タイガーファングが易々と砕けた。
 その横からタマモが隙だらけの黒ユッキーに狐火を放つ。
 それをものともせず、黒ユッキーはユラリ、とシロへと向き直った。
 まるで獣。それも狂獣だ。
 すべてがほぼ全力、そして1対1のような動きをしていた。
 普通の人間ならすぐにへばるだろうが、雪之丞は魔装術を使い、肉体をほとんど必要とせず、受ける影響も少ない。
 よって、乳酸漬けになろうが何だろうが霊力が尽きるまでは全力で動ける。
「っ!!」
 無言の気合と同時、シロが霊波刀を振るう。
 7閃。
 それが黒ユッキーの頭部に降り注いだ。
 シロが妙神山で得た力――霊波刀【七支刀】。
 八房には及ばないが、7回同時に斬る力がある。
 雪之丞はそれを魔装だけで受け止め、一瞬本来の雪之丞の動きに戻った。
 どこかアツイ、魂のこもった瞳で叫ぶ。

「サ○キック・ウェイイイブ!!!」

 シロの周囲の空間が軋むような音を立てて圧縮される。
「ぐぁっ…!?」
「なかなかこやつも芸達者だ――」
 黒ユッキーの右手から、わずかな空気の揺らめき。
 透明な鎖だ。それが手のように形どり、シロに巻きついている。
「――このような事が出来るなどっ!!」
 雪之丞の鎧が飛び散った。
 サイキックソーサーを飛ばす要領だ。
 シロは霊波刀を見えない手の中で何とか振るったが、下半身までは防げなかった。傷は浅いが血は多い。放っておけば死ぬ状況だ。
 タマモと魔理はとっさに遮蔽物に隠れ無事。
 弓はキヌをかばい、千の腕で鎧を防ぐ。それだけで腕の大半が折れ飛んだ。
「氷室さんはシロさんの治療!一文字さん、タマモさん!時間を稼ぎますっ!!横島さんをっ!!」
「了解ッ!!」
 魔理は両腕にタイガーファングを展開し直した。
 タマモも手の上に狐火を乗せる。
 再び雪之丞の目から理性の光が消える。
「シャァアッ!!」
 天井に向け、既に魔装を修復した黒ユッキーが飛び上がる。
 そして放つは必殺の蹴り。
 そう、某バッタヒーローの必殺技――
「ライダーキックっ!?」
 ――驚愕のうちにタマモが吹き飛んだ。
 黒ユッキーはそのまま飛び跳ね、カプ○ンのゾンビゲームに出てきた脳味噌丸出しスプラッターの如く壁に張り付く。
「あまりパクリが多いと著作権侵害になりますわよ!?」


『――大丈夫だと思います。一応伏字にはしておきましたし。今回からはそうするつもりです。』
『せやなキーやん。』
「そうだなサッちゃん。キーやんの言う事には逆らわんのが吉だ」
『――あくまでも似ているけど微妙に違う何かです。――あなたは何も見なかった。そう、それでいい


「――はっ!?」
 全員が一瞬ドコカに行っていたらしい。
 黒ユッキーの動きが止まっている。

「好機!」

 弓は全力で腕を再構成した。
 そして放つは――1000の腕によるロケットパンチ!!
 それらは霊波の火を噴き、一斉に直撃した。
 共鳴、そして破砕。
 爆発がただでさえ崩れた外装を吹き飛ばす。
 弓は何者かに感謝し(『いえいえ大した事はしてませんよ』)、警戒を解かずに見る。
 ――やはりと言うべきか、ほぼ無傷。
 右腕の魔装のヒビだけが当たった事――紛れも無く全力の一撃が命中したことを教える。
 暗い。
 夕日は既に沈み、月が輝きかけていた。
「さ、さすがにマズイッ…!」
 魔理が呻いた。
 戦い方は出鱈目だが強い。妙な必殺技もあるし。
「そうだ」
 文珠。それさえあれば――
「あ」
 弓が思わず間抜けな声を上げた。
 文珠が入っているはずのダンボールは、元々、雪之丞の胸くらいの高さに置いてあった。
 そして、あの赤い霊波砲の射軸線上に――つまり、蒸発済み。
「ゆ、」
 ぷちん、と色々切れた。
「雪之丞ッ!!そこに居直りなさいッ!!!成敗して東京湾に呪縛チェーンでぐるぐる巻きにして魚の栄養にして差し上げますわっ!!!」
「は、はいッ!!」『何ッ!!』
 その叫びに、黒ユッキーはガクン、と片膝をついた。
『私に――従えぇえっ!!」
 アレクソウルが叫びと霊気をあげ、雪之丞が再度立ち上がる。
「――もう一歩!」
「無駄だッ!!」
 顔を上げた黒ユッキーは肌の色すら反転していた。
「こいつは完全に掌握した!貴様らでは――」
 ぐん、と雪之丞が加速した。
「――勝てぬよ!!」
 濁った瞳で雪之丞は目標を定めた。魔理だ。
「止めなさいッ!」
 弓が最後の腕二本でその前に立ちふさがる。
「退けっ!!」
腕の一振りで弓は吹き飛ばされた。
「このッ――「遅い」
 触腕が魔理の両手を絡め取った。
 そして、光り輝く黒ユッキーの右手。
 折り曲げられた指から香るは死のニオイ。その辺の魔族でも粉砕しそうな拳撃――雪之丞最強の必殺技、サン・シャイニングフィンガー――それの準備態勢だ。避けることはできない。
「死ぃ――ドガガガガガガガガガ!!!!――ぐぉおっ!?」
 黒ユッキーの背中に御札が雨の如く命中した。
 直後、猛烈な霊気の嵐。
 触腕や鎧が吹き飛び、魔理は逃れた。

「――何をやってるんですケンノー」

 静かな声。
 壊れた壁の向こうに、タイガーが浮いていた。
 ふわり、と彼は着床、黒ユッキーを睨みつけた。
「貴様…タイガー寅吉か」
「魔理しゃん、あまり遅くなるから心配しましたケェ、家にはご飯も作ってありますケンノー。」
 タイガーがやんわりと無視。
 その目で魔理を見て、すべて得心、と頷いた。
「成る程、大方反デタントの神族――それも、下っ端のようですケンノー」
「何を言うか!」
 黒ユッキーが叫ぶ。
「我こそは、西洋における邪教取締役だ!!」
「…交わって赤くなったんですかノー。哀れには思いますケン」
 じゃが、とタイガーが続けた。
「ワッシの魔理しゃんに手を出したのは…許さんケンノー」
「お前に何ができる?こいつのような人外の戦力は持っていないはずだな?」
 タイガーは黒ユッキーの言葉を無視し、右手の破魔札マシンガンを黒ユッキーの胸に向ける。
「…ワッシは、」
「何があろうと!」
 黒ユッキーが鎧を修復し、タイガーの懐に飛び込む。
「コンドルジャー!」
 グワ、とタイガーの体が飛び、黒ユッキーの拳は空を裂いた。
「なっ!?」
「ワッシの右手は杭打機!!!」
 ドガン、と霊気の杭が右肩に突き刺さる。
「ぐぁっ!?」
「ワッシは――虎じゃぁああ!!!
 ガガガガガガガガガガガガ!!!ドゴッ!
 破魔札が撒き散らされ、ついでに黒ユッキーの鼻面にマシンガン(本体11kg)が直撃した。
 痛え、と鼻を押さえた黒ユッキーの視界には…鎧(?)を纏うタイガー。
 白と黒の縞模様、そんなゆったりとしたズボンをはき、手には鋭い霊波の爪。
 顔は妙に表情が豊かそうな虎の覆面。その体躯は2割り増しで大きくなっていた。
 ちなみに鎧は某ラーメン男のよーな胸当てとか、80年代漫画的派手鎧とかそんな感じである。
 虎の咆哮。ふざけてんのかと言いたくなるような姿とは裏腹の鋭さを持つ爪が、ボロボロになった鎧を切り裂く。
 さらに力強い両手が触腕をつかみ、引き千切った。
「くぉっ!?」
「正気に――」
 頭を両手で挟み、
「戻りんしゃいっ!!!」
 頭突き。ひび割れた魔装の合間を縫って、精神感応の波が黒ユッキーの魂を揺さぶる。
「ぐ、ぁああ、あああっ!?』
 暴れ、タイガーの腕を振り払った黒ユッキーからバシッ、とアレクソウル――その上半身が弾き飛ばされた。
『くっ…』
 下半身――と言うか黒い煙だった部分は雪之丞と今だ同化しているが、上半身には防御が無い。
 …体たる雪之丞は思いっきり脳震盪。魂と同化し体を動かすアレクソウルと言えど、脳が動かなければ感覚も無い。素早く動くなど不可能だ。
 そして、目の前には金色の炎――タマモの狐火を右手に宿らせた弓。
『ま、待て、彼奴と儂は一心同体、儂を殺せば彼奴も…!?』
「極楽に――」
 打ち出されしは全体重を乗せたコークスクリュー。
「逝かせて差し上げますわっ!!!」
 ずぎゃぁ、と撲音とともに黒ユッキーの鼻面――さらに彼を殴り倒し、アレクソウルの喉の辺り(とは言っても真っ黒で判別がつかなかったが)を抉り抜いた。
『お゛おオおオ゛…!!!貴゛様…この゛男がどう゛なっでも゛…?!』
 鼻血を出して昏倒した雪之丞には目もくれず、弓は手を引き抜く。
「確かに、生きるモノはそのうち死ぬでしょう。けどね――」
 弓は左手の手刀でアレクソウルと雪之丞の接続を斬り、厳然と言い放つ。
「――私の雪之丞は、この程度じゃ死なないんですのよ」
 虎の霊波爪が、アレクソウルを消し飛ばした。


〜その頃の横島〜


 凄まじく重い――そう形容する他無い空気が、横島に圧し掛かっていた。
 その原因は、小竜姫と母親。小竜姫の両親は娘もこんなオーラを発するようになって、と笑いながらお茶を近所の浮遊霊と飲み交わしている。
 怒る――と言うより、拗ねると言う表現の方が合っているが――表情を見せる小竜姫。こちらはなんとか「嗚呼、拗ねる小竜姫様も可愛いなぁアハハハハハハハハハハ」で受け流せたが。
 問題は、本気の殺気を送ってくる母親。そして、自らの横に座りさらに胸(90オーバー)を押し付ける美神令子(偽者)。
 さらにその偽者は本物と寸分違わず。
 目下の所、横島自身も自分の直感を疑い始めていた。


「――あ、あの…」
 凄まじい緊張の中(大樹は今だキーやんと会談中)、横島が絞り出すように声を上げた。
 ギロリ、じろっ、にっこり。
 そんな擬音が本当に聞こえてきた。
 当然ながら、百合子・小竜姫・似非美神の順である。
「ミ、美神サンハドウシテココニ来タノデショウカアハハハハハハハ」
 その素晴らしいまでの迫力・圧力に横島の言葉も自然と片言っぽくなる。
 あら、と似非美神は首を傾げた。
「当然じゃない」
 嫣然と微笑み、言ったのだ。ずばっと。
「恋人だもの♪」


ピシィイ…


 ――死んだなぁ。
 横島は、とても静かに、穏やかに。そして万感の諦めを込めて言った。
「もしかして――」
 今なら親父の気持ちが理解できるぜ――フ、と呼気を吐き、続きを言い放つ。
「――オラオラですか?」
 答えは当然――イエスだった。


 美神所霊事務所。
 魔理とキヌが崩れた所長室に立っていた。
 二人っきりだ。
 月に照らされた彼女たちは、笑った。
 艶然と、陶然と、暗く、黒く、昏く。
 そして、同時に呟いた。


「「儂の勝ちだ…!!」」


ハイ、VS黒ユッキー・横島君修羅場・アレク潜入成功の巻でした。
草木も眠る丑三つ時に、息抜きに徐々に書き溜めた4話が書きあがっちゃったので。
15・20・3月3日と入試なんですが…イイのかよ俺ッ!?と自己突っ込みは心の奥底の堆肥の肥やしなのです。


ではレス返し。…変なこと書いてないか気になる今日この頃。


>ユキナリ様
 最近私もすっかり小竜姫様派。
 双子の親父もおっちゃんも無口ではないですので、無口にして眼鏡をかけた感じをイメージしてください。


>しょっかー様
 残念って(笑)
 やっぱり大きいのもイイですがあれくらいのもまたグッドですよねぇ…(じゅるり


>偽バルタン様
 しばらく横島君はギャグパート、ユッキー編はシリアスに進めていく予定。
 …今回は台詞も無いですが、次回こそは!


>Dan様
 それすらも罠だったり。
 やっぱり暴走キャラは暴走してこそでしょうかね?まぶらほの宮間嬢とか。


>LINUS様
 なんだかとっても罪悪感が(汗)ま、本命以外は結構余裕ですし何とかなりそうですが。
 シロタマ弓の偽者が出ない理由は、一応次回かその次回で明かす予定。
 …プロットは出来てますが…妄想がレールを作るのです。
 確かにお姉ちゃんはありがちですね…では名前は
い・双頭竜が本性の【双竜姫】
ろ・火炎竜が本性の【薙草姫】
は・飛行竜が本性の【翔竜姫】
 で、立場は
A・お姉ちゃんは実は叔母さんでオバサンと言ったら死ぬからお姉ちゃん
B・近所のお姉ちゃん
C・サルの姉弟子
 さぁどれでも!新しく作るのも可!

 …何とか受かりそうー(過去問って結構自信つきますね


>柳野雫様
 その内西条とサイキ○ク斬もやらせますので(ニヤリ)
 体調ですが、思いっきり風邪引いて鼻がグズグズです。
 もう治りそうですけど、窓開けて寝るってのはさすがに馬鹿でした。


 次回は動く雪之丞パート、焦る横島パートの予定。
 次こそは小竜姫様の大活躍と【受かったー】を書いてみせる!!

 

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