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「心眼は眠らない その40(GS)」

hanlucky (2005-02-08 23:36/2005-02-09 00:36)
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これは、とある町で繰り広げられたある者にとっては悪夢、ある者にとっては奇跡でも見
ていたような一週間の出来事である。

事の始まりは一人の少年のお茶目な行為が原因であったのだが、それは見事に神の逆鱗に
触れてしまったのだ。その結果、少年は命より大切な、いや、命そのものを奪われ生きる
屍と化したのであった。そしてその事を少年は皆に気付かれるわけにはいかなかった。気
付かれればその時点で彼は何かを失ってしまう。そう、大切な何かを……

今日から、少年のシークレットな日々が始まった。

少年の名前、それは横島忠夫という。


――心眼は眠らない その40――


月曜日〜Monday〜―――


キ〜〜〜ン コ〜〜〜ン カ〜〜〜〜ン コ〜〜〜〜ン

「では、これで終了する。次の授業も遅れるなよ。」

教師はそう言い残して教室からでる。教室はチャイムと同時に活気が戻る。ここまでは本
当にいつもどおりの日常である。しかしこれからが違う。たった今から、クラスメイトは
非日常を体験するのであった。

「さて、次は体育ね。急いで皆、準備に入りましょ!!」
「「「「オーーーー!!!」」」」

リーダー格の女子生徒が他の女子に呼びかける。準備と言われたら言われるまでもなく、
対横島用の覗き対策であった。意気込み女子一同はすぐに女子行為室に向かう。

「おうおう、今日もはりきってんなー。」
「だが、我らが横島はそれでもやるんだろな。」

教室に残った男子生徒が横島に向けて応援ともいえるようなエールを送る。

しかし、

「……今日はパス。つーかそんな事したって燃えねえ。(……燃えたくてもな。)」

横島がそう言った瞬間、教室の時間が止まった。

「「「「「「「……………………」」」」」」」

この地球上の中で今、この空間だけは時間が止まっている。再び、時間を進める事が出来
るのは第三者の登場、または、

「ん? 何かおかしいこと言ったか?」

横島本人の言動だろう。そして、時は再び動き出す。

「何故だーーー!! 今日が世界の終焉だというのかーー!!」
「神様神様神様ーーー!!」
「皆、落ち着くんだ!! こいつはニセモノだ!! そうに決まっている!!いや、そうであってくれ!!」
「横島さーーーん!! 待ってましたよーーー!! ついにこちらの世界に目覚めてくれたんですね!!」
「うぉぉぉぉ!! エミさーーーん!! わっしはここで死ぬかもしれんけんのーーー!!」

たった今、教室は地獄絵図と化した。ある者は卒倒し、ある者は痙攣を起こしてショック
状態に陥ってしまう。酷い者は幼児退行している者もいた。そんな中、一人おかしな事を
言っているような気がするがそれだけは無視して欲しい。

「そこまで、俺が覗きをしないんがおかしいんかーーー!!」
「「「「「当然!!」」」」」

何とか意識を保っていた男子生徒全員がシンクロする。


「さぁ、これでトラップは全て設置できたわね。どこからでもかかってきなさい!!」

リーダー格の女子が全員に指示をする。そんな暇があったらとっとと着替えろよと言い
たいところであるが、ある意味これは恒例行事となっているのでそうもいかないようで
ある。彼女たちの行動は基本的に、

授業が終わってから開始一分半でトラップを仕掛け終わる。

それから3分間でまずはA班が着替える。その着替える速さは対横島の特訓もあってか
一般女子の着替える時間の数分の一ですむ。残りのB班は周囲の警戒、横島の見張り等
を行っている。

次の一分間でA班、B班の役割を交代する。横島はこの交代の隙をつく事が比較的多い
ので最も警戒しなくてはならない時間帯である。

その次の3分は、B班が着替え、A班が守る。

残りの時間で体育館、またはグランドに向かうのであった。

「あら、小鳩ちゃんも体育? 青春よね〜。」
「愛子さん。これって体育の時にいっつもしているんですか?」
「そうね、まぁ私たちも半分ノリでやっているんだけどね。」

小鳩は着替えながら愛子と会話を続ける。和気藹々と談笑していた二人にもうすぐ、悲報
が伝わるとも知らずに……

「……おかしいわ、情報部からは何も連絡来ないの?」
「それがさっきから呼んでるんだけど、携帯にでてくれないのよ。」

時間はすでに半分を過ぎていた。しかし一向に横島は姿を現さない。横島を見張っている
部隊に連絡を入れようとも、携帯は繋がらない。

「もしかして……横島め!! 情報部を狙ったっていうの!?」
「そんな!!―――あっ! 携帯が繋がりました!」

リーダーはすぐに何が起こっているのか聞き出す。そして、情報部からは信じられない
一言が飛び出す。

『ぐす、ヒック……目標は今回、行動に移らないようです……ぐすん。』

どうやら情報部の女子は横島の信じられないセリフを聞いてしまったため、気絶していた
らしい。そして、今もその事を思い出して泣いているが必死にその時の横島の言動をこと
細かく伝える。

「……あの? どうしたの、リーダー?」

リーダーは情報部が命がけで仕入れた情報を聞き呆然としていた。あの横島が覗きをする
のに飽きたとでもいうのか。もしかして自分たちの魅力がなくなったとでもいうのか。
本来なら覗きがなくなって喜ばしい事だというのに、何故かそれを認めたくないようで
あった。

「……皆、よく聞いて。」

リーダーは思いつめた表情でここに宣言する。

「本日を持って我々、横島覗き撲滅部隊は解散します。我々の敵はたった今滅びました。
 ならば私たちが存在する理由もありません。」

何とも誤解を招く言い方だ。それを聞いた女子はどういう事かと詰め掛ける。愛子と小鳩
はそんなまどろっこしい事はせず直接、横島のもとに向かう。小鳩は自分の姿がブルマー
だという事も忘れているようであった。

「横島さーーーーん!!」
「横島くーーーーん!!」

凄まじい勢いで一気に横島がいる教室まで辿り着く二人。すぐにそのまま教室に入る。

「どうしたんだよ、二人とも?」

女二人が男子が着替えている教室に飛び込んできたのだから、驚くのが普通なのだが、
今の横島は違う。全てを悟った感があるのだろう。

「何故!? 何故横島クン、今日に限って覗きに来ないの!?」
「落ち着いてくれよ、愛子。お前、自分で言ってる事がおかしいと思わねえか?」

愛子のセリフは確かにおかしい。しかしこのおかしいセリフも横島に言うならおかしく
ない。無論、普通の横島に言うのならだが。

「横島さんは小鳩が着替えているから覗いてくれなかったんですか!? 小鳩ってそんな
 に魅力ないですか!?」

小鳩は何故か、胸を強調するようなポーズを取りながら横島に言い寄る。それと小鳩も
自分が言っている事がおかしいと自覚しているのだろうか。

「(普段の俺ならこんなポーズ見せられたら飛びかかるんだろうな)……小鳩ちゃんは
 魅力あるよ。だから落ち着いて。」

小鳩のあの谷間を見ても無反応な横島に小鳩は思わず気絶しそうになる。愛子も横島が
小鳩の誘惑が通用しないことに驚愕する。

「おかしいわ!! 今の横島クンはどうかしてるわ!!」
「……そうか、そうだよな。(どうかせん方がおかしいわーーーーーー!!)」

内心では雄叫びをあげる横島であったが、今の自分の症状を誰一人感づかせる事すらさせ
気はない。表面上は適当に相づちをうつだけにする。そんな事より、小鳩と愛子は周りの
男子が着替え中だということにいつ気付くのだろうか。

「こんな……こんな横島クンなんて横島クンじゃないわ!!(こんなんじゃ私の性春計画
 が実行できないじゃない!!)」
「あぁ、愛子……君の知ってる横島忠夫は死んだ。(少なくても一週間は……)」

何処かで聞いたことがあるセリフだが置いておこう。横島はそう言い残して教室から出て
行く。

「止めなくていいんですか?」

脇役P……ではなくピートが小鳩に尋ねる。小鳩は首を縦に振って口を開く。

「帰ってきます。帰ってこなかったら追いかけるまでです。」

パクリかよって誰もがツッコミたいところだが折角いい雰囲気なのでなんとか堪える。

「あの人は……大切な人だから。」

横島は体育の授業に行っただけなのだが。


火曜日〜Tuesday〜―――


「いらっしゃいませ―――っ横島さん、お待ちしてましたよ。」

横島が訪れたのは魔法料理魔鈴であった。名前の通り魔鈴のお店である。横島がここに
訪れたのはたまたまではなく、実は魔鈴から定期的に試食を頼まれていたため今日はそ
の試食の日であったのだ。

客が完全に引いてから魔鈴は試作品を作り始める。

「今日、食べて欲しいのはこの二つなんです。正直な感想をお願いしますね。」

横島に出された料理を味わって食べていく。その顔では料理がおいしいといっているよう
なものである。そして魔鈴はその顔を眺めるのが楽しみであった。

(あれ? 横島さんってこんな感じでしたっけ?)

魔鈴は横島から漂う悲しい雰囲気を察したようである。横島が発するその波動は魔鈴の
料理ですら癒せるものではないようだ。

「横島さん、調子悪いんですか?」
「!! そんな事ないっすよ。いや〜魔鈴さんの料理はいつもサイコーっす!!」

横島は内心の動揺を隠そうとするが、魔鈴からすればバレバレのようだ。ここで魔鈴は
何かを隠している横島にイタズラを思いつく。

「じゃぁ……熱はないですね♪」

風邪なんか引いていないとわかっているのにわざと、自分のおでこを横島のおでこに引っ
付けて熱を測る。ここで普段の横島なら、そりゃ本能が理性をラッシュして一気にオーバ
ーヒートしているところである。ちなみに今の横島はバンダナをしていない。悠闇が見た
いテレビがあったらしくそのままバンダナごと放置されていたようだ。


「魔鈴さん、心配してくれてありがとうございます。(こ……これでも反応してくれんの
 かーーー!!)」
「えっ!?」

今度は魔鈴が驚く。横島なら必ず、オーバーリアクションをしてくると思ったのに、ただ
横島は儚い(本人は死にたくなっている)笑顔で礼を言ってくる。

「それじゃ、魔鈴さん。今日もご馳走様っす。(まずい……呪い関係なしに反応が鈍くな
 っとるぞ。)」

横島はドナドナな気分で家路を帰る。

「ただいま〜。(このままでは折角俺が気付きあげてきたイメージが……)」
『ん、お帰り。どうした? 元気ないが?』
「ズーーーズーーー……おう、飯はうまかった?」

横島は魔鈴のあの行動でも反応しなかった自分に心底嫌気が差してきたらしい。あと五日
もあるのに大変だ。といっても今までのイメージでいいところなど、殆どないのだが。
悠闇も原因は自分だというのに中々神経が図太いようだ。そして、雪之丞は相変わらず
カップラーメンを食っている。

「……ちくしょーーーーー!!」

叫ばずにはいられなかったようだ。


横島が去った後、魔鈴は一人、溜息を吐きながら明日の仕込みをしていた。

「はぁ〜。どうしたんでしょ、横島さん。何かあったのかしら?」

魔鈴は真剣に横島を心配する。横島が自分の命の恩人であることなど抜きにして助けて
あげたいのだろう。しかし、魔鈴にもどうする事は出来ない。何故なら、どうにか出来る
=横島の状態を知る=横島、失踪になってしまうからだ。いや、失踪ですむならまだまし
だろう。最悪……

魔鈴が調査をしない事を祈りたいところだ。


水曜日〜Wednesday〜―――


今、事務所には三人の人間がいた。一人は所長である美神、そして助手の横島、最後は
おキヌと言いたいところだが、今日は違う。

「おばさん、困ってるの〜。」

冥子の母親である六道女史である。六道女史が困っている内容はいつもの如く冥子の事
である。おキヌがいないのは今日から学校に通っているらしい。

「それで横島クンに冥子のサポートをお願いしたいのよ〜。」

といっても今回は、別に除霊の助手を頼んでいるわけではなかった。では何のサポートを
頼んでいるのかというと、実技指導のサポートらしい。

六道女史が経営している中の一つで六道女学院というものがあるのだが、学院には霊能科
というものが存在していた。この霊能科には年中行事でGS試験のような霊的格闘のクラ
ス対抗戦が土曜日に行われるのだが、今年は最後の仕上げとして特別時間割を設けて実技
指導が組み込まれたらしい。

そういうことで建て前上は冥子の実技指導のサポートとなっているがその中には一度暴走
を止めた事がある横島が暴走対策として頼まれているのは明白であった。もちろん、他の
理由もあるだろうが。

本来なら実技指導など美神やエミといった優秀な人間に頼むのが一番なのだが、冥子に人
に何かを教える事によって自分も成長することを期待したのだろう。そして万全を尽くす
ために横島にお呼びがかかったという事らしい。人間の中で暴走を防いだ事があるのは横
島、鬼道だけなのではじめは鬼道に頼む手はずだったのだが、ここ数日行方が掴めないの
で今日になって横島に役が回ってきたのであった。

「それでお願いしていいかしら〜。横島クンの学校にはこちらから伝えておくから午後に
 迎えを送るわ〜。」

六道女史は最後にそう言って了解も取らずに帰っていった。

「……横島クン。」
「なんすか?」

美神はあの館の事件から横島の様子がおかしいとは思っていたが今の横島の態度でやっと
事態の深刻さがわかったようである。

「なんでそんなに普通なのよ!? 女子校よ!! 女子校に行けるっていうのになんでそんなに無反応なのよ!? アンタ、ホントにどうかしたんじゃない!?」

いつもの横島なら赤い涙を流してでも行きたがるような場所にわざわざ向こうから招待さ
れたのだ。それなのに横島は全く興味を示していない。これではむしろ周りの人間が正気
を保つのが難しいというものだ。

「落ち着いてくださいよ、美神さん。」
「これが落ち着けるかーーー!!! アンタ、学校休んで病院行って来なさい!! いいえ、今すぐ私が連れてってあげるわ!!」
「―――!!」

病院=検査=バレる。横島の脳内で一気にこの方程式が組みあがり思わず、後ろに跳んで
美神から離れる。バレるわけにはいかない、バレるぐらいなら―――

「俺は大丈夫です!!」

―――美神さん殺して俺も死ぬ。

横島の必死さが美神にも伝わったのか、これ以上の詮索は出来なかった。

「わかったわ。でも事務所の評判落とすようなことしたらどうなるかわかってるんでしょ
 うね。」
『安心せよ、今の横島にそれはない。ワレが保証する。』

事情を知っている、というか張本人の悠闇が最後にそう言って横島も自分の学校に向かっ
た。

「本当にどうしたのかしら? 調子狂うじゃない。」

理由もなく横島があんな調子になるのは流石に嫌だったらしい。美神はやれやれといった感じで自分も外出する準備にかかる。行き先は今日からおキヌが通う六道女学院。


時刻も昼過ぎになり、六道女史の予告どおり迎えに連れられた横島は六道女学院にいた。
横島は現在、自分がサポートする相手である冥子を待っていた。

「横島クン、久しぶりね〜。」
「ひさしぶりっすね。(女子校か……ふっ、今は全てが空しい……)」

背中に過去を背負う男、横島が待つこと10分でようやく笑顔で冥子が現れる。冥子とし
ては実技指導は除霊なんかよりよっぽど安全なためのんびり出来るからだろう。

「それで俺は何をするんすか?」
「えっと〜〜〜横島クンは私が〜〜〜―――」

長くなるので、簡単にいうと冥子が式神ケント紙を使った高レベルの式神と戦ってその
考察を生徒と一緒にするというものである。横島がすることはあくまでも冥子のフォロー
ということになっている。ここで少し気になる事があるのだが、それは冥子の戦いが生徒
に参考になるのかといったところだろう。

「それじゃ〜今日はA組とB組とC組の指導を行うわね〜。」
(一年生ってことはおキヌちゃんとも会えるのかな。)

二人は実習を行う運動場に向かう。着いてみればそこはブルマーだらけ……少し語弊があ
るようなので正確にいうと体操服姿の女子達がいた。

「A組の皆さん、今日の実技指導を行って下さるGS六道冥子さんとそのサポート役とし
 て来て くださったGS横島忠夫さんです。……では早速ですが、よろしくお願いしま
 すね〜。」
「皆さん〜よろしくね〜。」
「……どうも、横島です。」

運動所で待っていた六道女史が二人の紹介をする。生徒は冥子については理事長の娘とい
うことで知ってはいたが、横島について興味津々であった。見たところ自分たちとほとん
ど年が変わらないというのに、もうすでにGSの資格を持っているのだ。そして女子校と
いうこともあり、自分たちと同年代の男子とも知り合う機会もないため、これで興味を持
つなというほうが無理であった。

(う…う……こんな光景を拝めても俺は……男として失格やーーー!!!)

そして生徒から見れば今の横島の顔は儚げで普段は性格のせいで隠れている二枚目な部分
が現れていたのだ。それは内心はどうあれ、この表情に見とれる女生徒も数名いたほどで
あった。

「それじゃ、冥子がんばりなさいね〜。」

六道女史は冥子と横島が授業で使うよりかなり大きめな結界に入った事を確認して、式神
ケント紙を鳥の形に切り取る。

「始め〜。」
「ヤル気を削ぐ合図やな〜。」

六道女史がケント紙を結界の中に入れたと同時に巨大な怪鳥が現れる。その大きさは全長
4Mほどといったところか。

「シンダラ! アンチラ!」

相手は飛んでいるためこちらも出せる式神は限られてくる。従ってトリのシンダラを攻撃
に使い、ウサギのアンチラを迎撃に使う。横島は最終防衛ラインといったところか。

「アレが六道家に伝わる十二神将!!」

女生徒が冥子が出した十二神将に注目する。相手の怪鳥は自分たちでは適わないレベル、
そんな相手に現役のGSがどのような戦いをするのか見ものであった。

「キェェェェェェェェ!!」

怪鳥は迫り来るシンダラを食らおうとするが、シンダラはその気になれば亜音速で動ける
式神、そう簡単にはやられない。その動きで敵を翻弄するが、体格さがありすぎて致命傷
を与えるにはならない。

『鵺の時より式神の操作がうまくなっているな。』
「そうなんか? あんまり覚えてねえしな。」

冥子も鵺との戦いで横島と一緒なら少しは自分も出来ると思ったらしい。そういうわけで
久しぶりの横島とのタッグで頑張る冥子であった。

(そうよ〜冥子。自分は横島クンとなら出来るって自覚するのよ〜)

六道女史は大事な一人娘のため長いリサーチを重ねてきた結果、横島に合格を押したらし
い。きっかけは冥子と横島の共同除霊であった。それによって横島は数ある婿候補の内の
一人となり今まで調査されてきたのであった。

(どうせなら冥子も純粋に好意を持ってくれる相手がいいわよね〜。)

冥子が横島に好意を持っていることはわかっていた。しかしその感情はまだまだ幼い、
ならばまずは冥子の思いをはっきりさせる必要があると思ったわけだ。今のように少し
ずつ一緒に作業していき、冥子に横島の存在を認めさせる。それが作戦の第一段階であ
った。

(冥子が横島を好きと認識してくれたら後は……)

後は自分の仕事だ、と考える六道女史であった。

「お母様〜。この相手、強すぎるわ〜。」

六道女史が冥子と横島の将来設計をしているといつの間にか、押され気味になっていた。
やはり最高レベルの式神ケント紙で鳥を作ったのは予定通りだったらしい。もし陸上型の
相手ではこうはいかないかった。

(冥子には横島クンが必要ってわかる必要があるのよ〜。これも母の愛よ〜。)

後は予定通りに横島が冥子を助けるだけである。そして今、怪鳥はシンダラとアンチラを
突破した。

『横島!!』
「わかってるよ!!」
「横島く〜ん。」

いくら飛んでいようと自分たちを攻撃するには降りてくる必要がある。それに横島には
サイキックソーサーやサイキックブレットがある。攻めてこないなら餌食になるだけで
あった。しかし横島だけにやらせては意味が無い。

「ダメよ〜横島クンだけで決めちゃ〜。ちゃんと二人で協力してね〜。」
「協力って……冥子ちゃん!! とりあえずメキラ!!」

横島が冥子の代わりに戦うというのも悪くは無いが、それでは弱い。二人仲良く協力す
るとういう形がベストと六道女史は判断したのだ。しかたなく横島は体勢と整い直すた
めトラのメキラの短距離テレポートを使って今までいた位置から反対側に移動する。

「(冥子ちゃんの式神を使って……)って他に何があったけ?」

横島がメキラを覚えていたのは鵺戦で一番自分が活用したからだ。正直、他の式神なんか
名前も一致するかどうか怪しい。

『……メキラを使って相手の後ろを取り、アジラ(リュウ)を使って焼き尽くせばいいだ
 ろう。』
「(アジラ?)……わかった。冥子ちゃん、よく聞いて!!」

横島はあんまりわかっていなかったが単語から式神の一種だろうと判断して冥子に作戦を
伝える。

「流石ね〜やってみるわ〜。」

すぐにシンダラとアンチラを引っ込めてアジラを出す。後はタイミングを見計らうだけで
ある。

「キェェェェェェェェ!!」
「よし、今だ!!」
「はぁ〜い。」

相変わらず緊張感がないな〜と思いつつ冥子の代わりに気を引き締める横島であった。

シュンッ

テレポートして怪鳥の後ろを取るが、

「キャ〜〜〜!! 落ちるてわ〜〜〜!!」
「ぬぉぉぉぉ!?―――って冥子ちゃん!!」

ちょっと失敗して三階ぐらいの高さに移動してしまう。見事、落下していく二人。このま
までは着地した時には怪鳥に攻撃されてしまう。だが時間を稼ぐ手立てがないわけではな
い。

「―――これで!! 後は冥子ちゃんを!!」

横島は何かを怪鳥のほうに投げた後、冥子を抱き寄せそのまま着地に備える。

「キェェェ!!」

だが怪鳥は横島の姿を見つけたのか、そのまま突進してそれに成功する。

「キェ!?」

しかしその瞬間、横島の姿をした者は一枚の紙に戻る。そう、怪鳥が攻撃したのは横島
がとっさに作った横島の姿をした式神であった。その間に冥子と本物の横島は着地に成功
する。普段、美神に突き落とされていたのがここで役に立つとは本人も思っていなかっただろう。

「「「「おぉぉぉぉ!!」」」」

女生徒から歓声があがる。あの高さで一瞬にして自分の分身を作ってその後、人間一人
を抱えながら着地したのだ。お見事としかいいようがないだろう。しかし今の横島は悲
しいかな、その声援に反応せずにすかさず冥子にアジラで攻撃するように指示を出す。

「アジラちゃ〜〜〜ん!!」

竜の式神は伊達ではない。その炎を持って完全に隙をつかれた怪鳥など簡単に焼き尽くす。

「素晴らしいわ〜!!」

思った以上の成果に大喜びの六道女史。生徒たちも早くいろいろ質問したいといった顔を
している。

「それじゃ〜今の戦いの考察をしたいと思います〜。―――っていっても皆それどころじゃ
 ないわね〜。それじゃ〜何か質問がある人〜。」
「ハイッハイ!!」
「は〜い!!」
「先生、先生!!」

流石は女子高生といったところか、凄い勢いで手を上げてくる。

「はい、それじゃ〜そこのあなた〜。」
「やったーーー!!」

女生徒は立ち上がり、皆の代表として一つの質問をする。


「二人は付き合ってるんですか!?」
「えっ!?」


横島の復活までまだまだ先は長い……


――心眼は眠らない その40・完――


おまけ


鬼道は現在、横島から受け取った紙に書いてある場所にいた。

「ここが、ご先祖様の……」

目の前には当時の最高の結界が張られ、中は1000年の時を越えて尚、神聖さを保って
いるだろう。そして結界の中には一つ目の絵が描かれた扉が存在していて、この中に試練
というモノでもあるのだろうか。

(後は、呪文を唱えるんやな。)

紙には場所を示した文字と、どうやらこの扉を開く呪文が書かれていたらしい。

「古より鬼道の者に伝わりし禁忌の地よ!! 試練の時は来た!! 扉を開き我を試し
 たまえ!!」

一節一節唱えていく度に辺りの霊波が乱れる。そして最後の一節を唱え終わった時、扉は
左右に分かれて道を開いた。

「ふ〜〜〜、緊張してきたで。」

鬼道は自分の両頬を叩いて喝を入れる。ここから先些細な油断が死に繋がるかもしれない
のだ。鬼道は周囲を警戒しながら先に進んでいくと、しばらくして一つの霊気を感じる。

「誰や!?」

すぐに後ろに下がり目の前にいると思われる相手の出方を探る。

「へ〜〜、ほんまに僕そっくりや……そやな自己紹介をすましとこか。僕は初代鬼道家当
 主や、ここに来れたということは君が横島はんの知り合いの鬼道かいな?」

「えっ!? ごっご先祖様!!」

鬼道はここで初代鬼道と出会う。


あとがき


月曜日のネタはA.C.Eしてたら浮かびました。
それにしてもオチが物凄く難しいっす。(横島の有り難味がよくわかりました。
早く、元に戻って欲しいっす。(オイ

前話もそうなんですが、雪之丞が悲しい事に中々活躍してくれません。なんとか機会を
設けたいんですが……

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