インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「心眼は眠らない その37(GS)」

hanlucky (2005-02-04 05:25/2005-02-04 14:09)
BACK< >NEXT

「確かにこのままじゃ近いうちに私は狙われるかもね・・・」

ある山中にて一人の女が一匹の子狐と会話をしていた。狐と会話など普通どう考えても
おかしいとしかいえないが、どうやらこの子狐、妖狐のようで言葉が扱えるらしい。会話
の内容は先ほどから何やら物騒な単語が飛び交っている。

「いいわ、別に前世のことなんて恨んでいないけど、人間がどうなろうと私の知った事
 じゃないし。」

それに子狐に話しかけている女も人間ではないだろう。何故なら女は人間ではありえない
プレッシャーを放っていたのだから。会話の内容からどうやらこの女と子狐は手を組むと
いった内容であった。

「これが初めての任務?・・・こんな情けなさそうな男を殺せばいいの?」

女は子狐にある男の抹殺を任せようとしているが、子狐は写真の男を見てこんな人間が
自分たちの計画に支障をきたすとは考えられないようであった。確かに写真の男の顔を
見れば貧相でヘタレな感じをかもし出してはいたが。

「わかってるわよ。油断はしないわ、初任務から失敗してたんじゃ恥ずかしいし。」

女は子狐に油断するなと伝える。どうやら写真の男を見た目で判断すると痛い目に合うと
忠告しているようであった。そして話も終わりのようで最後に女は子狐に何か施している
ようであった。

「へ〜まるで前世の力が少し戻ってみたい。流石は元神族といったところね。」

女は子狐に前世の力を少しでも取り戻せるように何か細工を施したらしい。子狐は力が
増したと同時に肉体的にも成長したらしい。子狐の大きさが先ほどより多少大きくなっ
ていた。

「そっそんな睨まないでよ。・・・ごめんなさい、もう言わないわ。そういえばこれか
 らあなたが私の上司になるの?」

女は元神族と言われるのが気に障ったようである。すごい形相で狐を睨む。その威圧感
にビビってしまった狐はすぐに謝る。どうやらこの女が自分に任務を任したのは、この
女は天界にマークされているので下手に動けないらしい。そのため、ノーマークの自分
を仲間に引き込んである計画に支障をきたす存在の抹殺を頼んだのだ。

「まぁ、いろいろあるってわけね。」

最後にそういえば前世の名前を知っていたため今の呼び名を聞いていなかった女が狐に
名前を尋ねた。

「名前?・・・―――よ。こちらこそよろしく―――様。」

そういった後、狐は人間の姿に化けた。


――心眼は眠らない その37――


「ほんま、おおきにやで、横島はん。」
「いや、別に俺はお前の先祖から託されただけやしな〜。」

横島は久しぶりに鬼道と再会して鬼道の先祖から託された紙を現・鬼道に渡していた。ど
うやら鬼道は今まで、ブラックリストから外されたおかげでGS免許を持っている雪之丞
と一緒にGSまがいの事を続けていたらしい。そして久しぶりに二人は横島のもとを訪れ
たのであった。

「しかし、また少し見ねえ間に強くなったんじゃねえか?」
「そやな、何か今までと違って基本がなってるって感じがするわ。」

横島が今まで疎かにしていた基本は思いのほか意味があったらしい。二人は横島は無意識
に発する霊波の流れが洗練されている事に気付いたらしい。

「で、二人はこれからどうするんだ?」
「僕はとりあえず、この地図に書いてある場所に向かいますわ。」
「じゃ、俺はしばらく横島の所で世話になっとくか。」
「おい、雪之丞。何勝手に決めてんだよ!」

いつもの通り、好き勝手に横島の所で寝泊りしようとする雪之丞。横島としては今夜も
悠闇と竜神化問題について論議するつもりであったで何とか追っ払いたい所であった。

「実は最近、金が入ったばかりで食費ぐらい入れてやろうと思ってたんだがな・・・」
「さぁ、雪之丞。のんびりと、くつろいでいってくれ。」

時給が上がっても貧乏性な横島であった。その後も三人は横島の部屋で雑談を交わして
いると玄関の方からノックの音が聞こえてくる。

コンッコンッ

「はぁ〜い、今行きますよ。」
『・・・待て、扉の向こうを霊視して見るのだ。』

横島が玄関の方に向かう前に今まで三人の雑談を聞いていた悠闇が来訪者に何か感づいた
らしい。横島は言われた通り霊視を開始すると、扉の向こうにいるモノが人間ではない事
に気付く。雪之丞、鬼道もそれを教えてもらいいつでも動ける状態を取る。その後、とり
あえず相手の出方を探るために悠闇は横島に気付いてないふりをするように指示する。

ガチャッ

「あの〜横島―――
 「ええ、ねーちゃんやーーーーー!!」
 『何を考えている!?』キャッ!?

扉の向こうにいたモノは横島好みのスタイル抜群の女性であった。人間じゃないとわか
っていても本能がその女性に飛びかかれと命令された横島は見事、女性にダイブを発動
させてしまう。悠闇は横島に先のセリフを言うが何を考えていないのでどうしようもな
いだろう。女性はいきなりの横島の行動に驚くが何とか横島のダイブを回避して今度は
こちらの番だと、悠闇が予想した通りの展開になってしまう。

「いきなり奇襲とはね、あの方の言った通りだったわ。でもこれで終わりよ!!」

ボォォォォ

「ぎゃーーーーー!!!」
『情けないぞ!!』

女性の指から炎が舞い上がる。それに気付いた横島はダイブし終わった最中だったので
かわす事は困難であった。横島が炎に包まれそうになった瞬間、

「何、油断してやがる!!」
「ちょっと情けないで、横島はん。」

部屋にいた雪之丞はすぐに魔装術を使用して横島と炎の間に割ってはいる。鬼道は夜叉丸
を出して矢を放ち女性を威嚇する。女性はいつの間にか先ほどの姿とは違い、女子高生の
姿になっていて中でも特徴的なのがナインテールと変わった髪形であった。横島はそんな
女性の変わりように、

「ちくしょう、詐欺やんけーーーー!!!」

大声で吼えていたが皆には無視された。悠闇は今の炎でアパートに火がついてしまいすぐ
に横島に文珠を使用させる。

《豪》《雨》

「なっ何だっていうの!?」

女性は先ほどまで快晴であったのにいきなりの大雨に驚愕する。そしてその原因が自分の
標的であることを悟り、さらに警戒を強める。

「助かった〜サンキュ、雪之丞、鬼道。」

豪雨は続いており、アパートについた火は段々と消火されていく。横島のアパートが騒が
しいといってもこのままではすぐに近所の皆が集まってくるので三人はすぐに連携を取っ
て戦闘区域をここから変えようとする。

「あっ!?待ちなさい、横島忠夫!!」
『どうやら、狙いはおぬしのようだな。・・・何をやった?』
「何もやっとらん!!・・・と思う。」

こういう時普段の行いがよくわかるというものだろう。思いっきり横島を疑う悠闇。相手
が女性なだけに否定しづらい横島であった。女性は雪之丞と鬼道にも警戒をしつつ横島に
接近しようとするが、どうやら誘導されていることには気付いていないらしい。

「この野郎!!こうなったら―――変化!!」

横島と徐々に距離を離されていることに苛立ったのか女性はいきなり腕が翼になり飛翔し
て一気に横島に狙いを定める。

『どうやら妖狐のようだが・・・もしや?』
「あぁ、また考え中っすか!?うぉ来たぞーーー!?雪之丞、鬼道ヘルプヘルプ!!」

鬼道も何とか矢を放とうとするがうまく敵が旋回して狙いが定まらない上、住宅街なため
下手に討つわけにもいかなかった。雪之丞も攻撃を仕掛けようとするたびに炎が来るので
うまく攻めれなかった。

「もらったわ、喰らいなさい、狐火!!」

ボォォォォォ

妖狐は横島に急接近して至近距離から狐火を放とうとするが、

――サイキックモード発動――

久しぶりにサイキックモードを発動させ狐火が迫り来る瞬間に、横島は妖狐に向きかえり
栄光の手を楯状にして防ぐ。もちろん熱さまで防げるわけ無いのでその場で暴れだす。

――サイキックモード解除――

「わちゃわちゃわちゃあちゃ!?」
『落ち着け、横島。相手の正体だが、厄介な相手だぞ。』

考察も終わったのか悠闇が相手の正体を横島に教えようとするが、今の横島はそんな事聞
いている余裕もないくらい熱さでテンパッていた。

『はぁ〜、相手の正体は金毛白面九尾の妖狐、いわゆる九尾の狐というやつだ。妖狐の
 種族では最高クラスのはずなのだが、まだ成長期のようだな。三人でいけば何とか仕留
 め・・・って聞いておるのか!?』
「熱いもんは熱いんじゃーーーー!!」

横島と悠闇がお決まりのやり取りをしている時、妖狐は必勝のつもりで放った狐火を防が
れたことに驚きを隠せなかった。そしてその瞬間を逃がす鬼道と雪之丞ではない。

シュゥゥン

「くっ、邪魔よ。」
「もらったぜ!!」

鬼道が矢を放ち、妖狐がそれをかわした瞬間、雪之丞が一気に得意の接近戦に持ち込む。
これは二人の必勝パターンであった。妖狐も雪之丞の接近戦の強さにおされ気味であっ
たが、

「私の邪魔をするなーーーーー!!!」

カッ

「なっなんだ!?」

妖狐の姿が急に光って、いきなり雪之丞の目の焦点がおかしくなる。

『しくじった、幻術か!?鬼道、雪之丞に気をつけるのだ!!』

悠闇は妖狐が先ほど行った行為を雪之丞の様子から幻術と判断する。妖狐は幻術に成功
してホッとしたのか雪之丞のそばから離れなかった。鬼道は悠闇に言われたとおり雪之丞
に警戒をしているが雪之丞は全く動かない。

「どうしたんや、伊達はん!?」

鬼道は呼びかけるが雪之丞は反応しない。その間にやっと横島は復活を果たす。妖狐も
考えがまとまったのか、横島たちの方を向き再び空に上がる。その時の表情は何故か薄く
笑みが浮かんでいた。鬼道は立ったまま動かない雪之丞に近づこうとした時、

バァァァァァン

「!!夜叉丸、盾や!!」

いきなり雪之丞は鬼道に向かって霊波砲を放つ。鬼道もすぐに反応して弓矢から剣と盾に
切り替えてそれを防ぐ。この辺りのやり取りは流石と言えるだろう。そして妖狐はその
やり取りを見て声に出して笑い始めた。

「あはは、これで2対2よ。覚悟しなさい、横島忠夫!!」
「ちょっと待てーーー!!何で俺が狙われなきゃいかんのだ!?」

横島は時間稼ぎの意味もかねて妖狐に尋ねる。その間にも雪之丞と鬼道は激しい攻防を
繰り広げていた。現在は鬼道が防戦一方のようである。

「何で、これから死ぬヤツに教えないといけないのよ。お前もこれを喰らいなさい!」
『横島、幻術だ!!』
「まかせろ、考えがある!!」

カッ

先ほどと同じように妖狐の姿が光る。しかし横島には秘策があった。

文珠を使う?

いや違う。答えはもっとシンプルだ。


「目を瞑ればオッケー!」
「ああ、しまったーーーー!!」

アホらしいが大正解であった。妖狐もご丁寧にそれで正解ですといってるような反応を
してしまう。悠闇の邪眼と違い、妖狐の幻術は相手が無防備ならまだしも警戒している
時は目を通さないといけない必要があったため単純かつ明快に目を閉じればそれですむ
ことであった。無論ではあるが元竜神である悠闇には幻術など通じない。

「だったら目を開けたときにもう一度やってやるわよ!!」

そう、問題はこれでは目を開けられないというところであった。目を開ければ幻術、目を
閉じていれば狐火というこのコンボをどうにかしなければいけなかった。妖狐はその場か
ら狐火を放つ。

「もらったわ!!」

だが相手が悪かった。普通の相手ならこの戦法は通じるだろう。何より妖狐は肝心な所
を勘違いしている。

『横島、右!!その次はワレの合図でサイキックソーサーを投げつけろ。』

2対2ではなく3対2である。横島にはもう一つの目が付いていることを妖狐が知る良し
もなかった。妖狐は何度も狐火を放つが回避されるどころか反撃までされてしまう。

「何で何で何で!?何で目を瞑っているのにそんな動きができるのよ!?」

絶対の信頼を置いているからこそ横島は悠闇の指示を疑うことなく実行しているのだ。
しかもその動きは横島が独自で考えて動くよりも洗練されているから性質が悪い。正に
悠闇の指示は生き返ったばかりの妖狐の考えなど全て読んでいると言わんばかりであっ
た。

『場所を変えるぞ、横島。次、左後ろに反転・・・そのまま栄光の手を伸ばして・・・
 そうそれを掴んで一気に縮めろ!!』
「まっ待ちなさい!!」

再び横島は悠闇の指示によって戦場を変える。鬼道と雪之丞の戦いは時間が来れば幻術
が解けると判断したので放置したのであった。

「伊達は〜〜〜〜ん、いい加減戻ってーや!!」

雪之丞も横島と同じようにその時の感情によって霊力が大きく左右されるタイプであった
ため鬼道は防戦一方でも凌げたのであろう。鬼道の頑張りはこの後も10分近く続いた。


『ここまで来ればもう平気だろう。横島、反転しろ。』
「・・・ようやく、止まったわね。」

追走劇は人気のない広場に来るまで続けられた。といって騒ぎが大きくなれば人が寄って
くるので速攻で倒す必要がある。

「心眼、逃げている間に幻術対策としてもう一個考えが浮かんだから任せてくれ。」
『・・・わかった。』

横島はここに来て目を開ける。妖狐はようやく目を開けた横島に幻術を喰らわそうとする
が動物的直感がやめておけといったので今はとどまった。

「何考えているか知らないけど、ここで終わらせて上げるわ。」

妖狐はそういって両手の人差し指に炎を纏う。幻術を使用すれば危険と判断したため、
小細工無しで自分が放てる最大の狐火をお見舞いするつもりであった。

「幻術を使わなくていいんか?」

妖狐は答えない。横島は栄光の手とサイキックソーサーを基本スタイルを取る。あてが外
れはしたが相手が真正面から来るっていうなら自分のペースに引き込んで一気に倒せばい
いだけなのだから。

(さて、この生意気な女子高生にお仕置きしちゃる!!)

やはり内心ではふざけた事を考えている横島であった。

痺れを切らしたのは妖狐の方であった。妖狐は左右に揺さぶりを掛けながら横島に接近
する。だがその程度で揺さぶりで横島の目は誤魔化せない。妖狐は舌打ちをしながらも
う一度体勢を立て直すために距離を取ろうとしたが、ここで横島が動く。

「よし、今だ!!」

横島は妖狐が下がったと同時にサイキックソーサーを投げつける。もちろんその程度の
攻撃は妖狐がかわす事など造作もないが、

バァァァァァンッ

「なっ、しまった!?」

タイミングよくサイキックソーサーを爆発させ相手の視界を遮る。しかし妖狐には優れた
鼻があるためすぐに匂いで霊波を見極めようとする。どうやら真っ直ぐこちらに突っ込
んできているらしい。妖狐はそれならと狐火をそのまま真っ直ぐ放つ。

ゴォォォォォォォォ

最大級の火炎が前方の人影を襲う。そのまま人影は炎に包まれる。あれでは霊波で防御して
も無駄であろう。妖狐は勝負がついたと思いホッとしようとするが、


「案外、あっけなか―――なっ!?」


もちろんこれで終わるわけがない。


「騙しあいで俺に勝とうとなんて―――」


しかしその人影と炎を乗り越えて横島が現れる。人影はそのまま焼け焦げた紙に戻って
いったがどうでもいいだろう。

「―――甘い!!」

そのまま栄光の手を伸ばして一気に決めようとするがここで妖狐は自ら禁じていた幻術
を使用してしまう。

カッ

妖狐を中心に辺りが光に包まれる。


――サイキックモード発動――


《反》《射》

「あぁーーーーー!?」

横島は予定通り妖狐の幻術を《反》《射》させた。そのタイミングは本来なら刹那よう
な時間で行わなければいけないのだが横島にはサイキックモードがある。時間の流れを
咄嗟に遅らせその中で文珠を発動させるのだから失敗するはずが無かった。そのまま
モードを解除して妖狐のもとに向かう。

(ふっふっふ、さ〜てこの女子高生をどうしてやろう・・・)

横島が悪役じみた事を考えていると妖狐が突如自分の爪で自殺を図ろうとする。驚いた
横島がすかさず妖狐を抑えることによって未然に防げたが、妖狐の掛けた幻術は対象を
自殺させるものだったらしい。横島はその事にゾッとするもこの状況をどうすればいい
か悩んでいた。その体勢が膝枕になっていたのは何故だろう。

『・・・今なら楽に倒せるぞ?』
「うっ・・・しかしここまで人間にしか見えんと(しかも結構可愛いし)・・どうすりゃ
 いいんだ?」

悠闇の助言でさらに横島が対処に悩んでいると、妖狐が正気に戻り始めたようだ。

「う・・う〜ん・・・はっ!?」

現在の自分の状況が抹殺対象である男に膝枕されている状況にある事に気付く。すぐに
顔を赤くしながら横島と距離を取る妖狐。

「なっなんで膝枕・・・は置いておいて、何で私を殺していないのよ!?」
「何でって言われてもな〜、なぁ?」
『ワレに振るな。』

そんな事こっちが知りたいわって具合の横島と結局相手を殺せなかった横島の甘さを
何処からしいなと思ってしまう悠闇であった。

「私はアンタを殺そうとしたのに何で私を殺さないのって聞いてるの!!」
「いや、何で助けてもらって怒られなあかんのだ?」

妖狐の言いたい事がわからない横島は首を捻るばかりであった。妖狐は怒りにまかせて
狐火を放ちたいところであったが先ほど全力で放ったためすでに妖力が切れかけていた。
対する横島はまだ余力があるように見える。戦ったところで勝ち目は薄い。

「・・・そういえば狙われている理由を知りたがっていたわね。」
「おっ、教えてくれるのか?」

妖狐は人間に助けられた自分に苛立ちを感じながら話を続ける。

「勘違いするんじゃないよ!!助けてもらった借りは返さないと気が進まないだけなん
 だから!!」
「そんな泣かんでも・・・」

妖狐は涙を浮かべながら自分のルールというモノに従って横島に借りを返そうとする。

「ある方に・・・ああこれは言えない。言ったら私が殺されるから。ある方の計画に
 お前が絶対邪魔をするからその前に殺す必要があるって。」
「なんじゃそりゃ?つまりアレか、わけわからんヤツの決め付けで俺は殺されそうにな
 ったっていうんか!?」

妖狐の説明を聞いて怒る横島であったが、妖狐は話を終わったとでも言うのか背を向け
て何処かに行こうとする。当然横島は呼び止めるが、

「何、やっぱり退治するの?だったらしなさいよ。」
「いや、そんな事しねえけど。」

横島が退治をしないといった時に妖狐は少し安堵する。実はドサクサに紛れて逃げよう
と考えていたのかもしれない。

「え〜とアレだ・・・名前は?」
「はっ?」

何を聞くかと思えば自分の、敵である自分の名前を知りたがる横島に思わず笑ってしま
う。

「あはは、おかしい人間ね。普通、もっと違う事聞くでしょ?」

そう、普通なら例えば妖狐の所属している組織についてや他に誰がいるのかと聞くべき
なのにこの男は自分の名前を知ろうとしている。これが可笑しくなくて何が可笑しいと
いうのか。

「?・・・何か聞いて欲しかったんか?」
「別に・・・私の名前ね―――」


妖狐は腕を翼に変化させながら、


「―――タマモよ。またね、今度会った時こそ覚悟しなさい。」


タマモはそういい残して何処かに飛び去っていった。


――心眼は眠らない その37・完――


おまけ


「で、失敗したと・・・」

タマモは自分の上司とビビリながら対面していた。横島抹殺の任務に失敗したのだから
当然だろう。そんなタマモを上司は溜息をつきながら見つめる。

「あの坊やがタマモを退けるまで成長していたとはね。まぁいいわ。月の計画さえ成功
 させればそれですむ話だしね。」
「そっそれじゃ・・・」

上司は今回の失態を見逃す事に決定したらしい。タマモはようやく安堵する。

「月の制圧までにもう少し、タマモを鍛えておく必要があるわね。わかったかい。」
「はい!よろしくお願いします、メドーサ様!!


あとがき

そんなわけでタマモには敵になってもらいました。味方にしてもあまり目立ちませんし
ね。しかもメドーサにパワーアップしてもらったから原作より遥かに強い上、容姿を
高校生ぐらいになっています。といってもまだまだ経験不足で力に振り回されている
感じですが。

え〜と冒頭で名前伏せましたがバレバレでした?

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル