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▽レス始

「心眼は眠らない その35(GS)」

hanlucky (2005-02-02 23:09/2005-02-03 07:36)
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グォォォォォォ

現在オキヌの部屋はわけもわからないうちに亡霊に埋め尽くされていた。
その亡霊たちは怨念が溶け合い一つになろうとする。

「オキヌちゃん、だいじょ―――」
「早苗おねえちゃん!!来ちゃダメーーーー!!

オキヌの呼びかけも遅くオキヌを助けに来た早苗は亡霊の体当たりによって吹き飛ばされ
た。どうやら亡霊たちはすでに自我を無くしているようでオキヌの言葉は通じなくなって
いた。

「ここにいたら皆が危ない・・・あの人なら―――」

オキヌは誰かを思い出そうとする。しかしもやがかかり後少しの所で思い出しきれない。
しかしここにいては早苗の身が危険であるので窓から庭に飛び出て亡霊を引きつける。

「そうだ、東京。あそこなら―――」

オキヌが心に浮かべた場所は美神除霊事務所であった。


――心眼は眠らない その35――


「お願いします。」
『断る。』

事務所に向かう横島は再び心眼に戻った悠闇に何かお願いをしているようであった。
何故心眼に戻っているのかというと六道当主が作ってくれた式神も悠闇の媒体には
合わず結局は横島のバンダナに戻ってしまったのであった。悠闇曰く、

”やはり、ここが一番落ち着くな”

と言う事らしい。もちろん横島が悠闇の式神を作成したらそこに憑依することは可能で
あるが、そんな事すれば横島に襲われる事間違いない上、美神と現在バイト中愛子が黙
っていなかった。始めは事務所に住むことに決まりそうになっていたが、そこは悠闇が
横島の修行に差し支えるさらどうやらで結局はバンダナ状態でアパートにて落ち着くこ
とになった。

どちくしょーーー!!小竜姫さまの寝姿といい心眼といい、なんでそんな色っぽくない姿なんやーーーー!!!こんなん生殺しやーーーー!!!
『生殺しって・・・別に何かできるわけでもなかろう。』

しかし横島からすればたまったものではない。悠闇の正体が美女と知ったのに、しかも
その相手とバンダナ状態とはいえ同棲するのだ。なら竜神にならんかいと叫んでいたが
悠闇は断固拒否。おかげで横島は悶々する日々が続いてた。ちなみに悠闇の姿を知って
いるのは神族を除けば、美神、横島、愛子の三人だけであった。そして現在、横島は何
とか悠闇に竜神化してもらおうと必死であった。

『そういえば何故、おぬしは悠闇と呼ばぬのだ?』
「ふん、バンダナ状態のヤツには心眼で十分や!!ちゃんと女になってくれにゃぜってー
 呼ばん!!」
『む・・・いいだろう。そこまで言うのなら除霊が無い日にでもなってやろうではない
 か!!』
「本当か!?」

横島が真名を呼んでくれない事が気に障ったのか軽い挑発に乗ってしまった悠闇。横島
はしてやったりとガッツポーズをする。こんな感じでお決まりのコントをしながら事務所
に向かっていると突如、異変を感じる。どうやら、右手側から大量の霊団がこちらに接近
していた。

「おい心眼!!こっちに近づいてくるけど俺なんかやったんか!?」
『いや・・・この霊波は・・・・・・・オキヌどのか!?』

オキヌという言葉に横島はすかさず反応し、どういう事か悠闇に問いただす。
どうやら霊団はオキヌを追っているらしい。横島はその事を知るとすかさずオキヌの方
に向かう。

「うぉっ!?アレは多すぎやろ!!」

路地を曲がると前方にはオキヌとオキヌを追う霊団がいた。横島はすかさず文珠を取り出
す。

「オキヌちゃん、早くこっち!!」
「えっ!?」
『なるほど、どうやら幽体が肉体と完全に重なっていないのか。しくじったな、中々例の
 ない反魂の術、もっとしっかり見ておくべきだったか・・・』

オキヌが霊団に追われる訳はまだしっかり幽体と重なっていないオキヌの体を悪霊が
奪おうとしていたからだ。そしてそれに伴って関係ない浮遊霊や別の悪霊まで霊団に
吸収されていき今では一般のGSはおろか美神でも手に負えない状態になっていた。

「(この人、どこかで見たことが・・・)あの、何処かで?」
「オキヌちゃん、ちょっと待って!!今このGS横島忠夫が助けてあげるからな!!
 (そしてオキヌちゃんにカッコいいところを見せて惚れさせちゃる!!)」
『・・・下らん事を考えてると仕損じるぞ。』

なんとかオキヌをこちらに来させて、理由こそ情けないがヤル気満々の横島であった。
オキヌの前に立って霊団を睨みつける。

「さて心眼、どうしよう?」
『いきなり頼るな、まぁしかしこれだけ数が多いとやっかいだな。文珠も一つしかない
 し・・・とりあえず式神を使って美神どのに知らせるべきだ。後は人気の無い所に誘
 い込め。』
「了解!!とりあえず、オキヌちゃん。じっとしてて!!」
「キャッ!?」

とりあえず式神を作ろうにもすでに霊団が迫っていたためオキヌを脇に抱え逃亡を開始
する。普通、見知らぬ男にそのような事されれば抵抗するのだが、オキヌは逆に安心し
きった顔をする。横島は足に霊波を重点的に纏って高速移動する。その動きは霊団を
離すには十分な速さであったが、今は人気の無い所に引きつける必要があったので一定
の距離をとりながら移動をしていた。

(どうしてだろ、この人なら何とかしてくれるって思えるのは?)

オキヌが横島に触られても嫌じゃない事を思っている最中に横島はようやく鳥の式神を
作成する。そしてその鳥に一言だけメッセージを吹き込む。

「え〜と、霊団に追われオキヌ危ない。」
「エートレイダンニオワレテオキヌアブナイ。」
「え〜とはいらんわ!!」
「エートハイランワ!!」

流石は横島の式神といったところか、某CMの真似事までしてくれる。このやり取りは
呆れた悠闇がツッコむまで続けられた。実に大した余裕である。

「とりあえず、美神さんに伝わるまで何とか逃げなきゃな。」
『Gメンも動いているしな、すぐに片付くだろう。』
「西条には助けてもらいたくない・・・でもオキヌちゃんが絡んでるし。」

横島が逃走しながら悩んでいると前方にて小鳩と貧、そしてその二人に見知らぬ女性が
話しかけている所に遭遇する。

「あぁーーー逃げて逃げてーー!!」
「「えっ!?」」
「アレは―――(横島忠夫!?)」

こちらに気付いた三人だが、いきなり逃げてと言われて逃げられるわけもなく呆然とす
る。その後に横島とオキヌの後ろから迫ってくる霊団に気付くがすでに時遅く、逃げて
いる時間は無くなった。仕方なく横島は舌打ちをしながらオキヌを下ろして霊団に向き
かえる。

『横島、何とか文珠で凌ぐのだ!!』
「文珠一個でこの状況を変える方法って、ンな事思いつくかーーーーー!!

口ではそういいながらも何とか限りない時間で考え始める。文珠一つでは出来る事は
かなり限られてくる。《壁》、《護》といった防御系では一時凌ぎに過ぎない。今は
防げても次に一般人に遭遇したら助けることは出来ない。かといって《浄》、《爆》
いった攻撃系でも一撃で倒せるような数ではない。横島が必死に考えていると悠闇が何
かに気付く。

『あの霊団はどうやってワレらを見極めて・・・そうか、横島!!目だ、目を潰せ!!』
「目?・・・アレか!?」

すかさず横島はサイキックブレットを二つの目に向けて放つ。その弾丸は見事標的に直撃
して霊団は目標物を見失い暴れ始める。

「おい、心眼!!これじゃ、近所に迷惑がかかるんじゃ!?」
『安心せよ、これでアヤツらを操作する事など造作もない。・・・こうするのだ。』

《引》

「・・・おい、心眼。」
『なんだ?』

最後の文珠を勝手に使われて怒るべきところなのだが使った文字を見て青ざめる横島。
わかってはいるがわかりたくないので、心眼に《引》の真意を尋ねる。

『簡単であろう。横島、おぬしがオキヌどのに変わって霊団を《引》き寄せるのだ。』
「やっぱりかーーーーー!!!って来たーーーーーー!!!」

霊団は霊波を見る目を潰され何をわからないはずなのに横島を追走する。横島はここに
いればオキヌは小鳩、そして見知らぬ美女に危険が迫るのですぐに移動する。

(折角のチャンス、逃がさないわよ!!)
「あっあの!!」
「小鳩ちゃん、悪いけどオキヌちゃんを事務所に―――」

見知らぬ女性は誰にも気付かれないように何かを横島に投げつける。一番気付けそうな
悠闇は霊団に集中していたため、何の霊力も発していないモノに気付けるわけはなかっ
た。オキヌは何か横島に言おうとしたが、横島は構っている暇もなく逃げながら小鳩に
オキヌを任せて完全にこの場から姿を消す。小鳩と貧はこの嵐のような出来事にしばら
く呆然とするしかなかった。

「・・・ああ、そうだ!!お久しぶりです、オキヌさん。え〜と・・・」
「あっはい!(この人誰なんだろう?ああ、でも向こうは知っているみたいだし私この
 ままじゃすごく失礼な事しちゃうんじゃ!!)」

小鳩が戸惑っているのはオキヌに久しぶりに会った事ではなくオキヌが何故か生き返っ
ていることであった。だからといって”何で生き返っているんですか?”など聞けるわ
けもなくどうオキヌに接しればいいか戸惑っていた。対するオキヌも先ほどから自分が
知らない人達から名前を呼ばれ自分がど忘れしているのではないかとこちらもまた別の
理由で戸惑っていた。

「小鳩、とりあえずオキヌちゃんを事務所に連れて行ったらいいんとちゃうか?」
「そっそうですよね!!オキヌさん、小鳩と一緒について来てください。」

貧の提案によって小鳩はオキヌを事務所へ連れて行くことに決定する。オキヌは自分を助
けてくれた横島の言葉なのでそれに頷く。

「あの、そういうことですから記者さん。お話はこれで・・・」
「そうね、こちらこそいろいろ話してもらって助かったわ。」

記者と呼ばれた女性はそのまま小鳩たちが立ち去っていくのを確かめた後、カバンから
何かを取り出す。

ピッピ・・・ピッ

「・・・どうやら近くの森に向かっているのかしら?」

どうやら取り出したのは、レーダーで先ほど横島に投げつけたのは発信機であった。
女性記者はタバコを吹かしながら近くに止めてあったバイクでレーダーに従って横島の
もとに向かう。

「さ〜て、おもしろくなってきたわ!!これなら部数UP間違い無しよ!!」


「くらいやがれ!!」

バァァァン

横島は逃げながらサイキックソーサーをぶつけて少しずつ霊団を削っていく作戦を実行
していた。もちろん焼け石に水という事は分かっているがそれでも他に方法を無いので
こういった地道な作業をするしかなかった。

「くぅ〜美神さんはまだ来ないんか!?」

横島は愚痴りながらではあったが、確実に人気の無い所に誘い込む事に成功しつつあっ
た。文珠の効果もすでに切れかけていたがこれなら大丈夫といったところだろう。

『・・・どうやらようやく来たみたいだな。』
「やっと助かった!!ってうぉ、あぶねっ!?」

横島は安堵している隙をつかれて霊団に接近を許すがその程度で今の横島に触る事は出来
ない。うまく回避をしながら美神たちの方を見つめる。そこでは美神と途中で保護された
のか対象であったオキヌも一緒にいた。小鳩は関係ないので連れてこなかったのがオキヌ
の場合、ほっとけばまた違う悪霊に捕まる恐れがあったので仕方なく美神は一緒に連れて
来ることになったらしい。

「横島クン、よくオキヌちゃんを保護したわ!!ちょっと待ってなさい!!」

美神はそう言って手に持った普通じゃない笛を吹き始める。しかし霊団が収まっていな
い所を横島からすれば何をしているんだろうといった感じであった。

「音が出ない、やっぱりダメ!?」

美神が吹いているのはネクロマンサーの笛と呼ばれて吹くことによって霊を操る事ができ
る代物であった。しかし特殊な技能を必要とするため吹ける物はGメンでも3人しかいな
いらしい。

『それはネクロマンサーの笛か!?・・・もしや・・・』
「考えておらんで、何とかしてーーーーー!!!

悠闇は美神がしたい事に気付いたらしく何かを考え始める。そんな中横島は必死に霊団
から逃げ回る。いくら横島の体力、霊力といえど限界はある。しかも美神が来てくれた
という安堵感から一気に緊張感が抜けてしまったので早い話ピンチであった。

(この人たち・・・死にたくないよね・・誰もが好きで死んだりしないよね・・)

オキヌは目の前の霊団の嘆きに共感してしまう。それは自分が長い間幽霊であったのが
関係しているのかもしれない。いやそれとも、この悪霊と化した霊にさえ慈悲という愛
を与えられるのがオキヌという人間なのかもしれない。

『やはりか!!美神どの、オキヌどのに笛を渡すのだ!!』
「えっ!?・・・それじゃオキヌちゃん、試しに吹いてみて。」
「わっ私ですか!?」

悠闇はオキヌの様子をうかがってオキヌなら笛が吹けると確信する。しかしオキヌはいき
なり笛を渡されどうすればいいか悩み始める。しかしそう悩んでいる暇もないようだ。
霊団は目を失い、横島にダメージを与えられ続けられたのが原因なのかバラバラに霊が
別れ始めた。

「なっなんじゃこりゃーーーー!?」
『まずいな、下手をすれば一つに纏まっていた霊団より性質が悪いぞ。』

すでに霊団として形成されなくなり代わりに大量の悪霊が暴れまわる。すでにヘトヘト
の横島はいきなりの360度から来る攻撃に対応できずこの戦闘初めてのダメージをも
らってしまう。

「うげーーー!!」
「やめてっ!!その人は大切な―――(何っ!?大切な何!?)」
『ちっ!!―――オキヌどの、おぬしならできる!!笛を吹くのだ!!』

横島が攻撃を受け過敏に反応するオキヌ。後少し、後少しで何かを思い出そうとするが
それができない。オキヌは自分の思考に入ってしまい悠闇の声は届かなかった。


(何か・・そう、何か・・・私はあの人を知っている。だって・・だって!!)


オキヌはポケットから財布を取り出しそこから一つの玉を取り出した。


「オキヌちゃん、それ!?」


美神はその玉の存在に驚く。何故ならそれは自分がオキヌに与えたものだったから。


(だって、私は・・私たちの《心》は・・・離れたりしないって―――)


オキヌは笛を口にくわえる。その目に迷いは感じられなかった。当たり前である。迷う
必要など何処にもないのだ。何故なら彼らの《心》は離れていないのだから。


(―――ねぇ、横島さん。)


キィィィィィィィィィィィィン


笛が鳴る。


「もう、やめようよ。・・・みんなお帰り・・・」


慈しみの音を奏でる。


ギャァァァァァァァァ


その音色は霊を浄化するには十分過ぎる力を放った。全ての霊は天高く舞い上がっていき
安らかに眠るだろう。オキヌはようやく終わったと実感したのか地面に座り込む。

「オキヌちゃん、大丈夫!?」
「美神さん、私全て覚えています!!私、全部思い出しました!!」

オキヌは泣きそうになりながら美神といつの間にか復活した横島に駆け寄る。美神も横島
もオキヌが記憶を取り戻した事に驚くも今は、再び戻ってきた仲間との再会によって喜び
にひたっていた。


「ただいま!!美神さん、横島さん!!」


今、チームは再び完全に戻る。


――心眼は眠らない その35・完――


おまけ


「うぅ、いい話じゃないの・・・」

一連の出来事を遠くから見つめていた女性記者は感動中であった。あの発信機は盗聴器
の役割も果たしていたらしい。

「・・・あぁもう、こんな感動のシーン見せられたこんな記事載せるわけにはいかない
 しな〜。」

女性記者はそう言ってカバンから原稿を取り出す。そしてその原稿をライターを使って
燃やし始めた。

「まぁっいっか。それならそれで他に方法もあるしね♪」

女性記者はそういい残した後、バイクにまたがり家路に帰っていった。その原稿の
タイトルの部分にはこう書かれていた。


”今や世界の女優となった白春香に恋人発覚!?お相手は日本の高校生!?”


あとがき

まずは始めに・・・

前回は本当にアホな事をしてしまってすみませんでした。年号を間違えるなんてアホ
ですね。自分もちょっと変だな〜と思ったんですよ。(いいわけですが・・・
そんなわけで修正してみたのでもう一度見ていただけたら幸いです。


香港の女優の名前ですが、白麗の’白’と、とある漫画のヒロインから取りました。
次回はその35の裏話になります。

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