久しぶりの投稿ですので、最初から読んでいただくとかなり解りやすいです。
(当たり前)
無限の魔人 第二十七話 〜力技と搦め手〜
「まぁ、言い難いんだけど、これから人間を殺すのを止めてもらいたいんだ。」
腕の治療をした後、廃工場に入り込み、従業員の休憩所だろう一室を見つけて、ハーピーに俺たちが未来から来て助けた事を話した。
メドーサとラピスは二人で何か話し合っているが、今はこちらを先に終わらせる。
「で、でも・・・。」
そりゃそうだよな・・・上の命令で人間を殺してたのに、いきなり上司でもないやつから「止めろ」なんて言われてもなぁ。
「うーん、俺は君にあの親子を狙われると困るんだよね。だから止めて欲しいんだ。」
ハーピーは眉をしかめながら必死に考えているようだ。
「界人・・そいつの為にはっきり言ってやったほうが良いよ。」
「いや・・・でもなぁ。」
この場合のはっきり言うとは、「これ以上狙うなら死ぬよ?」ということである。
さすがにこれをはっきり伝える事は俺には出来ない・・・・というか、女性を脅したくない。
それに、何故かメドーサが苛々しているような・・。
「ああ、もう!ハーピー!止めないならここで死ぬことを覚悟しなっ!」
ビクッ!
ああ、言っちまったか。
「は、はいっ!」
ハーピーが反射的に頷いてしまったようだが・・。
メドーサが・・・今回は二股の矛を取り出し、歩み寄る。
「ほぅ・・・いい度胸だね、なら死にな。」
上段に構え、振り抜く――
げ、嘘だろ。
「――ひっ・・ち、違――
「オイッコラ!」
ドォオオオオオオンッ!!
俺とハーピー目掛けて放たれたそれは、恐らく人間が・・・いや、下級の神魔にも防げるような威力ではなく・・・。
「い、いきなり何すんだっ!!」
「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・・・。」
俺はハーピーを抱き、ギリギリで攻撃を回避していた。
後一瞬遅ければ―――メドーサが立っている場所から、円錐状にえぐれている地面と同じ運命を辿っていた事だろう。
一応結界は最初に張っておいたので、メドーサの魔力波がこの部屋から飛び出す心配は無い。
「フンッ!折角助けてやったのに言う事を聞かないからさ。」
助けたのは俺であって、お前じゃ無いだろうがっ!
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・。」
「ああ、もう大丈夫だから・・・怖かったね・・よしよし。」
震えているハーピーを落ち着かせようと頭を撫でて抱きしめてやった。
人に抱かれていると安心するものだ・・・うん、決してやましい気持ちがあるわけではない・・・多分。
こうやって居れば落ち着くだろう。
ハーピーは俺の服を必死に掴んで離す素振りを全く見せないが、今の所は仕方ない。
「メドーサ!お前、いくら何でもやりすぎだぞ!」
間違いなく攻撃目標は「俺とハーピー」だった。
「いつまでも話が進まないからだよ。それに界人なら避けると思ったから遠慮なく攻撃したのさ。」
そんな信頼要らんわっ!
ちなみにラピスはメドーサの右斜め後ろに居た為、何の被害も受けては居ない。
「クスクスクス、メドーサはいつまでもハーピーに構ってる界人に苛ついてたんだよねー。」
「ふん!」
そう言いながら部屋から出て行ってしまった。
はぁ・・・。
仕方が無いので無事な椅子にハーピーを抱いたまま座り、落ち着くように撫でてやる。
所謂横抱き・・・お姫様だっこと言うやつである。
「ああ、悪かったなハーピー。落ち着いて聞いてくれ・・・俺たちは何も君を殺す為に助け出した訳じゃないんだ。もちろんこれから君が誰かに殺される為に助けた訳でもない。これは純粋に助けたかっただけなんだ・・・それは解ってくれるか?」
ハーピーをじっと見つめながら優しく語ってやる。
こくり
ゆっくりとだが頷いてくれた。
「そうか、ありがとう・・・・で、それは置いておいてだな・・・・・殺しの方もう止めてもらえない?このまま続けるなら人間に本気で狩られる事になる。君はつい先ほど負けたばかりだから解ると思うけど・・・人間もそんなに弱い訳じゃない、そりゃ昔に比べれば魔や、妖に対する全体的な能力は落ちたかもしれないけど無くなったって訳じゃない。」
解るね?
そう言うとまたゆっくりと頷いた。
もう震えは止まっていたが、服は掴んだままだ。
「あの・・・人間を狙うのを止めるのは良いんだ・・・ですけど・・。」
「ああ、普段通りに喋ってくれて構わないよ。別に俺は偉い訳じゃないから。」
苦笑しながら硬くならないように諭す。
またゆっくり、こくんと頷いてくれた。
意外だな・・・こんなに素直だったのか・・・。
「え、えっと・・・上の命令に逆らうと、あたいは裏切り者って事になるじゃん・・・命令を守って人間に討たれるか、裏切って魔族に討たれるかの違いが出るだけで、け、結局あたいは殺されるに決まってるじゃん。」
かなり落ち込みながらそう言った。
うーん、そこは考えてなかったな・・・・。
何か良い考えは・・・・アシュタロス一派にバレずに魔界に帰って隠れ住む?
いや、魔界のことは良く解らないが、反デタント派は結構多く、そしてその中にもアシュタロス派のやつらが居ると聞いた事が有ったな・・・却下か。
魔界が駄目なら神界?
それこそ無理だ。
ならば人界に居るしかない訳だが・・・・中立地帯があったな・・・妙神山はどうだ?
・・・あそこなら良いかも知れないな。
でも、人間を殺していた魔族を小竜姫が認めるだろうか?
いや、そんなことを言っていたら魔族とのデタントなんて実現する訳が無いな・・・多分大丈夫だろう。
問題があるとするならば、未だ妙神山・・・いや、小竜姫と俺たちの関係が一切無いという事だろう。
これでは妙神山に行っても追い払われて終り・・・にはならないだろうが、ハーピーを預けるほどには信頼してもらえないだろう。
良し!
「ハーピー、君には悪いが・・・しばらく俺達と行動を共にして貰う。もう暫く経てば恐らく安全な場所に住む事が出来る筈だ。」
「え? 界人、ハーピーも私達と一緒に守ってあげるんじゃ無いの?」
ラピスはどこか楽しそうにそう言った。
「いや、一応妙神山って言う神魔の中立地帯に保護を頼もうかと思ってるんだが・・・・。」
ハーピーを見ると泣きそうな顔して上目使いのまま俺を見つめながら
「・・・守ってくれないんですか?」
何て言われたりして。
ぐっ・・・・・・・・・・・
こう何かぐっと来る物が・・・・
いや、落ち着け俺、冷静に冷静に・・・
もう一度ちらっと見ると、うるうると見つめられたりして・・・・
あああああ、くそっ!
「・・・分った、君も俺の仲間になって貰う。良いね?」
「はいっ!」
嬉しそうに笑顔になり、ぎゅっと抱きつかれた。
はぁ・・・やれやれ、昔から女性には弱い・・・。
ぽんっぽんと背中を叩き続ける。
「くっくっく、やっぱりこうなったね。」
部屋の入り口にはいつの間にかメドーサが立っていた。
可笑しそうにラピスと目を合わせながら二人でニヤニヤと笑っている。
・・・・・。
「お前ら・・・もしかしてわざとあんな事しやがったな?」
部屋に入ってすぐにメドーサとラピスが何か会話していたが・・・これの為か。
「せいか〜い。ハーピー、さっきは脅かしてすまなかったね。私とラピスで一芝居打ったのさ。いくら私でも戦意の無い奴にいきなり攻撃したりしないからね。」
ハーピーも目が点になっている。
「え・・・あ・・・い、いえ・・あ、あたいも殺しなんてつまんなかったし、それに・・・。」
「それに界人と一緒に居られるからねー」
ラピスがハーピーの言葉の後を繋げた。
どう言う事だ・・・俺と一緒にいれば危ない事になる可能性が高いんだが・・・。
危険な生活が好きとか?
ハーピーは真っ赤になって俺にしがみ付いている。
・・・・まさかっ!?
・・・・。
界人っ!お主と言う奴は!!!!
何故か龍美の怒声が聞こえた気がした。
無限の魔人 第二十七話 〜力技と搦め手〜
end
あとがき
皆様久しぶりです。17日ぶりの投稿になりました。
これはとある日の停電が原因で一部データーが・・・・ああ、二度と手に入らないだろうプログラムまで(;´Д`)
茫然自失とはこのことかと体感しておりました。
取り合えず持ち直したので、これからも投稿を続けたいと思います。
話を忘れてしまった方はお手間ですがもう一度初めから読んでいただくとうれしいです。
で、今回はメドーサとラピスの罠・・・・もとい、平和的解決でしたー。
分り難いですか? ごめんなさい。
文才無いんで・・・・何て言い訳してみます。
それとハーピーの名前ですが、次回決定します!
使うのは何時になる事でしょうか・・・(´-`).。oO(皆忘れてそうだな〜)
レス返し
>法師陰陽師さん
鬼道に一体何が起こったのか!? 語るべきか語らざるべきか・・・外伝?なんて。
GSの中でも天皇家は私的にはあんまり能力が有りそうには思えませんね。そんな美味しい話題があるなら原作で既にやってそうですからねー・・・。
>Danさん
果し合いは熾烈な戦いになるのは必至ですね。もう鬼道が本気モードで何故か悟ってますからね。
美鳥を右手に・・・・・あの漫画は結構好きでしたw
>柳野雫さん
そうですね、式神デスマッチが正解です。なんで死神になってるんだろう?
不思議でしょうがないです。
どっちを応援すべきか・・・個人的にはアンチラが好きなので冥子ちゃんに頑張ってもらいたいんですが・・・・難しそうです。
>トレロカモミロさん
鬼道の実力はGSとしては謎ですが、式神使いとしては上位に入るでしょう。
この実力をどう表わせばいいのか、さっぱり解りません・・・・困った困った。