空から来たる者は
死を招く魔の翼
時を越えた親子の運命
今始まる。
エピソード八 時空より来たるモノ
「なんだか・・・嵐が来そうね。・・・そういえばおキヌちゃん、今日の仕事は?」
外で雨が降るのを見ながら美神が呟いていた。すると美神は何かを思い出したようにおキヌに尋ねる
「確か今日は公園に出るワニの幽霊ってのがありますけど」
おキヌの言葉にあ~とガシガシと髪をかきながら顔をしかめる。
「雨か~~~。濡れるの嫌だからキャンセルしようかしら?」
「私が行ってもいいわよ」
声が上がった方を見るとそこには金髪のナインテールを持つ妖弧の
タマモの姿があった。
「いいの?外は今雨よ」
「別にいい。でも一つ条件があるわ」
「何よ?」
「ヨコシマ借して」
≪ピシ≫
タマモの言葉に固まるおキヌ。
「いいわ、今横島君は家にいるはずだし家に寄ってそのまま直行して。あと、終わったらそのまま“帰って”いいわ」
「わかった」
そう言って部屋を出て行くタマモ。この時の“帰って”いいという意味は後で知る事になる。
「まあタマモと横島君ならなんとかなるでしょ。依頼も特にランクは高くないし。さてと、おキヌちゃん、お茶でも入れて・・・・・」
そう言っておキヌの方を向いた美神は固まった。
そこには
いつもの天然な幽霊少女でなく
微妙に黒化した
おキヌの姿があった。
「横島さ~~~~~~ん」
でもやはり泣き出してしまった(苦笑)やはり根がいいと完全に黒にならないようだ。
(あんのバカ♯後で覚えときなさい)
おキヌを落ち着かせなければならない美神がそんな事を思ったその時・・・。
≪カッ!!・・・ドガシャアアアアアアアアアアアアアアアア≫
突如雷鳴と共に落雷が事務所の前に落ちた。それに驚き我に返ったおキヌを連れて落下場所に向かう美神。そこには、小さな女の子を抱えたロングコートの女性が現れた・・・。
「ったく、何でこんな雨の日に仕事しなきゃなんないんだよ」
「いいじゃないこういうのも、それとも・・・私と一緒にいるのはイヤ?」
「バカいうな!!いい女と一緒にいたくない男がいるわけ無いわ」
「・・・・・♥」
タマモに腕を絡まれながら除霊現場に向かう横島(現在心眼は体力温存のため家で休養中)。この所の急激な成長を見て美神に単独での除霊を任され始めていた(低級霊限定だが)。給料のほうも前より上がり自給500円となった(それでも一般より低い)。そして更に・・・。
「今度からは新しい能力を手に入れる度に+250アップしてあげるわ」
と言われたのだ。
「さってと、ここが依頼のあった公園か」
横島とタマモは依頼された除霊場所である公園に着いた。雨が降っているためかそこには人の気配は全くしなかった。横島とタマモが警戒しながら中に入るとそこには・・・。
「ワーニワニワーニワニパニック!!」
最後の辺り何かの商品名をくっちゃべっているワニの姿があった。
「どっかで聞いたことあるような・・・」
「?」
横島はなんとなく分かっていたが、現世に復活したばかりのタマモには分からなかった。
「・・・とりあえずパッパと除霊すっか」
「そうね。じゃぁ横島、前方お願いね♥」
「おう。後方支援頼むぞ」
そう言って右手にサイキックソーサーを発動させる横島。それに気付いたワニがこちらの方を向く。
「お前に恨みは無いが、皆が迷惑してるし成仏してくれ」
そう言ってソーサーを構えたまま走り出す。ワニは大きく口を開け
「やかましい!!シバくぞアホが♯」
横島に向けて“声”をぶつけた。
「うわヤバ!?」
間一髪ソーサーを向け防御するが余りの霊波の波動に吹き飛ぶ横島。
「痛ってぇーーー!!」
「大丈夫ヨコシマ!?」
突然の出来事に驚きながらも駆け寄るタマモ。
「ああ、大丈夫だ。それよりあのワニ、前に美神さんが持っていた本に書いてあった“言霊使い”だ」
言霊使い・・・使用者の発した言葉の意味を声に込めてぶつける事が出来る。
横島は驚きつつも立ち上がりワニを見据えながら何かを考え始めた。
「どうしたのヨコシマ?」
「いやな、あのワニ今間違いなく自我意識を持っていたんだ。もしかしたら、説得できるかもしれない」
「でも近づいたらまた吹っ飛ぶわよ」
「だいじょぶ。俺を信じろって」
そう言ってタマモの頭を撫でる横島。撫でられているタマモの頬は赤く染まっていた。そして撫でるのを止めると、ワニの方に近づく。
「さっきはスマンかった!!状況も考えず突っ走ってしまって本当にスマン」
横島はワニの前に立つとイキナリ土下座して謝った。それを見て驚くタマモ。
するとワニが後ろ足で立ち上がった。
「若いモンにしちゃ筋が通ってるじゃねーか」
ハハハと笑う二足歩行ワニ。その声を聞き横島が顔を上げる。
「アンタ・・・立てるのか?」
「アタリめえじゃ!!ワニが立っちゃいかん法律はあるまい」
もっともなセリフを吐くワニ。
「にしてもおめえ中々いい奴じゃねえか。気に入った!!」
「はぁ」
「いや俺もそろそろここは潮時だと思ってたんだが、なかなかいい場所が無くて困っとったんじゃ。そこでものは相談なんだが、俺をおめえンとこにしばらく置いてくれねえか?」
ワニの言葉に困り果てる横島。視線をタマモに向けるが微妙に顔を逸らしていた。だが次の言葉で横島の気が変わった。
「もちろんただとは言わん。おめえに言霊を使う方法を教えてやるよ」
「ま、マジか!?」
「おう。俺は嘘は言わん主義だ」
横島は正直迷っていた。止めるにしても部屋が狭いため厳しいが、言霊を使う方法も捨てがたい。横島はすがる思いでタマモを見る。すると・・・。
「私はヨコシマの考えに従うわ」
タマモの言葉に後押しされ、横島はワニを居候させてやる事にした。
「ちなみに俺の名前は鰐橋きたろうだ。よろしくな」
やっぱりどこかで聞いたことのある名前である。
「時間移動だわ・・・!それしか考えられない」
場所は変わって美神除霊事務所。部屋には美神とおキヌ、そして先ほどのロングコートの女性に抱かれていた女の子がいた。
「時間移動・・・ですか?」
「ええ、きっとママは時間移動であの場所に現れたのよ」
おキヌの疑問に即座に答える美神。するとおキヌはある単語に疑問をもった。
「ママって事は、美神さんのお母さんですか?」
「そうよ、ママは腕のいいGSだったの。多分何か危険な敵に狙われて・・・子供の私を護るために未来に来たのよ」
「腕のいいGS・・・だった?」
「ええ、私が中学生の時に亡くなったわ」
美神の言葉を聞き泣き出すおキヌ。それを慰めながら美神は今後の対策を考えていた。
(とりあえず明日にならなきゃ始まらないわね。横島君とタマモが来たら何か考えないと・・・)
その様子を外から見る一つの影があった。黒い鴉を回りに引き連れたその姿は人と鳥を組み合わせたような姿だった。
「フ、来たようじゃん。この日をずっと待ってたんだ、あのガキはあたいが必ず殺してやるじゃん!!」
その黒い影に美神たちはまだ・・・気付いていない。
おまけ
「あ~、油揚げおいしい~♪」←タマモ
「お!この惣菜なかなか」←きたろう
「あ、俺の分取るな!!」←横島
三人は横島の部屋でのんびりと夕食を食べていた。
(ZZZ・・・・・)
ちなみに心眼はまだ寝てます(笑)
あとがき
最近話書くため寝不足なweyです。
今回またオリキャラ(?)を作ってみました。
皆さんのレスの結果ハーピー編を書くことにしました。元始風水盤編を期待した方申し訳ないです。
それと、三重のレスという馬鹿きわまりない行為をしてしまって申し訳ありませんでした。
>皆さん、読んでくださりありがとうです。
>零紫迅悟さん
クウガワールドみたいに忙しくはないので学業のほうは問題ないっス。といっても横島君は普通に学校行ってませんからね(苦笑)
>御気さん
ゴウラムですが、もうちょっと待ってて下さい。
>クンさん
確かにこの世界ならクウガもそれほどは目立ちませんからね。横島君からすれば都合はいいはずです。
>法師陰陽師さん
え~とこの質問なんですが、これは高島のさらに前のリントの頃の前世の事なんです。混乱させたならすいません。
>柳野雫さん
免許の件ですが・・・ご想像にお任せします♪(スンマセン)