狐の心を染めた闇
奪い失われる事しか生み出さない闇
それを救えるのは、それとは真逆の救いの光
今、光の追撃が始まる。
エピソード七 鋼鉄の馬
「なあ、一体どこに向かっているんだ?」
「まあ落ち着きたまえ、すぐ分かる」
慌てている横島を押さえながら西条がある場所に向けて車を走らせていた。そしてそのままある場所で車は止まった。そこは
『警視庁』
だった。そして車を降りると西条に連れられ横島とおキヌと心眼は警視庁に入った。
入っていくと途中で目を点にして固まった警官が多数存在した。
「なんで皆さん固まっているんでしょうか?」
「たぶんおキヌちゃんみたいな幽霊が珍しいんじゃないかな?」
(そんなものか?)
「・・・・・」
天然な横島とおキヌと心眼を呆れつつも連れて行く西条。そしてあるドアの前で立ち止まった。西条は胸ポケットから警視手帳を取り出すとドアの脇に付いていたセンサーに当てた。
≪ICPO超常犯罪課・西条輝彦・確認≫
機械音が鳴りドアが開く。
「こういうのを“はいてく”っていうんですよね」
「とりあえず入りたまえ」
おキヌの天然な言動がキツイのか流して部屋に入る。そこには、破魔札マシンガン・ウルトラ見鬼くん・精霊石弾頭ミサイルなどのオカルト武器が所狭しと置かれていた。西条は部屋の一番奥にあるシャッターで閉められた格納庫に向かうと、暗証番号を打ち込む。
「0・3・1・8・・・と」
番号を打ち終わるとガラガラとシャッターが開く。
そこには
黒のボディに銀のラインを持ち
二つの眼のようなライトを持ち
神通棍のグリップを持った
オートバイがあった。
「こ、こいつは!?」
「GCα『ゴーストチェイサーアルファ』、オカルトGメンと科捜研のスタッフの共同作業により、オカルト技術と今まで白バイに付け加えれなかった物が、このバイクには全て搭載されている。更に言えば、このバイクの動力は・・・“精霊石”だ」
「な、何ですとーーーーーーーーーーーーーー!!」
(何ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?)
横島と心眼は度肝を抜かれた。非常に貴重で高額な精霊石をエンジンに組み込んでいる。これは普通では考えられない事である
「で、でも。何でこいつを俺に?」
「君の報告によるとその豹は異常なほどの加速力や俊敏力を持つそうじゃないか。そんな奴に対抗するにはこのGCαぐらいしかない。時速は最高で250`は出せる」
西条の言葉に驚く横島。そんな横島をよそに西条はポケットから一枚のカードを取り出し、横島に渡す。
「君にこれを渡す以上、絶対に失敗は許されない。必ず令子ちゃんを救出するんだ!!・・・・・出来るね」
西条の問いに横島はバイクに跨りながら
「当たりめぇじゃ!!美神さんは必ず救いだす!!」
そう答えた。
(ふむ。そなたもどんどん男らしくなっていくな)
心眼も満足そうであった。横島はGCαに付属しているカードリーダーにカードを通す。
≪CODENAME・KUUGA・認証完了≫
機械音と共にエンジンがかかる。
(ってか何で空牙って知ってるんだ!?・・・・まあいいけど)
(おそらく以前のGS会場での時知ったのだろう)
(あっ!!そっか)
心眼の言葉に納得し疑念を振り払い横島はグリップを握る。
「横島さん!!頑張って下さい!!」
「ありがとうおキヌちゃん(笑顔)」
≪ボン≫
横島の120%の笑顔におキヌは顔を真っ赤にする。西条がニヤニヤしてるが“今”は気にしないでおこう。そして横島がヘルメットを着け発進する瞬間
「ところで横島君、君・・・免許は持っているんだろうね」
西条の言葉を受けずっこけそうになる。
「アホか!!親父に無理やり取らされたわ!!」
(・・・実は私もそれが気になっていた)
「おめーもかい!!」
西条と心眼にそう言って今度こそ発進した。救うために・・・。
「さて、そろそろ計画を実行しようか。玉藻前!!あの女を連れて来い」
守信の命を受け部屋を出て行く。そして数分後・・・。
(・・・連れてきたわ)
豹に連れられた美神が現れた。
「アンタが守信ね」
「左様」
「一つ聞くけど、私を攫った目的は?」
直球で問う美神。それを受け守信はクククと邪な笑みを浮かべながら答える。
「いいだろう。何故私がお前を攫ったか・・・それはお前の前世に関係がある」
「なんですって!?」
守信の言葉に動揺する美神。それを無視し守信は続ける。
「現在の“クウガ”の前世はな、お前の前世とは深い関わりがあったのだ。それこそ妻と言っていいほどの仲だった。私の主であるあの御方はお前や他の奴等との絆によって生まれた力によって現世まで封印されてきたのだ」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!一体そのクウガって何なのよ!?」
「分からぬか?私たちの同種族である蜘蛛を倒した・・・あの戦士だ」
守信の言葉に頭の中がクリアになる。
(あの戦士って確か・・・横島君よね。・・・って事は!?私の前世は横島君の前世の妻だったって事ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?)
パニックに陥りそうな美神に守信が冷酷な言葉を放つ。
「今のお前が死ねば、現世のクウガは力を前世ほどの力を使うことはまず出来なくなる。あの御方のために・・・死んでもらう」
そう言って守信は一本の霊刀を取り出す。その言葉で我にかえった美神は守信と一気に間合いを取る。
(く!マズイわね。全く武器持ってないからマジでヤバイかも)
美神が考えているうちに守信が霊刀を振り上げる。
「しまった!!」
「死ねーーーーーーーー!!」
不意を突かれた美神は避けることが出来ない。そのまま霊刀は美神目掛け振り下ろされた。
≪ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォン≫
突如外から何かがぶち破られる音が鳴った。その音に霊刀を止める守信。そして次の瞬間
≪ブォォォォォォォォォォォォォォォン≫
部屋の壁を破りバイク音を響かせながら
「美神さーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!」
“ヒーロー”が“見参”した。
「横島君!?」
突然の横島の登場に驚く美神。横島はGCαの前輪を霊刀にぶつけ守信の体勢を崩す。
「美神さん!!だいじょぶっスか!?」
「え、ええ。私は大丈夫。それより横島君。そいつは私に任せてそこにいる豹を救ってやって」
「ええ!?」
「実はあの豹、私が除霊の依頼を受けた九尾の狐なの。だけどアイツが何かしたせいであの姿でいるのよ。アンタの変身した姿ならアイツを開放出来るはずよ。お願い」
「分かりました!!・・・じゃあ美神さんこれを」
そう言って横島はポケットから神通棍を取り出し美神に渡す。
「これは!?」
「ここに来る途中に美神さんの道具を見つけて一つ持ってきました」
「ナイスよ横島君!!ここは任せて!!」
そう言って神通棍を構え守信と対峙する美神。そして首だけを横島に向けて
「死ぬんじゃないわよ!!アンタは私だけの丁稚なんだから」
笑顔でそう言った。その瞬間、横島の頭の中である言葉が浮かんだ。
『心清く身体健やかなる者・戦士クウガとならん』
その瞬間横島は両手を下腹部に当てた。すると中央を赤に染めた銀色のベルトが現れた。そして右腕を左前に突き出し、左腕を腰に溜める。そしてそのまま右腕を水平に右に移動させ、腰に溜めてある左腕と重ねた。その瞬間
全身を真紅に染め
金色の二つの角を持ち
両手首に赤い宝玉を宿した
戦士“空牙”が、姿を現した。
「・・・・・・横島君」
驚きながらも優しく見つめる美神。
「じゃ、行って来ます!!」
そう言って空牙は豹目掛けてGCα走りらせる。豹は空牙が破ってきた穴を通り外へ逃走した。
「さ〜て、シバかれる覚悟は出来てるでしょうね〜♯」
怒り心頭の美神を見て霊刀を構え直す守信。
「いくわよ!!」
そう言って先手を打つ美神。神通棍を横に一閃させる。
≪ガキィィン≫
それを防ぐ守信。しかし美神の霊力が増加しているため霊刀が悲鳴を上げだす。そして・・・。
「私から現世利益と所有物を取り上げようなんて・・・・・・一千億年早い
わよ!!」
そう言った瞬間、神通棍の霊波が青緑に結晶化し始めた。そしてそれは完全物質化し、精霊石の刀身を持つ神通棍へと姿を変えた。
「な!?“精霊神通棍”だとーーーーーーーーーー!!」
そう言った瞬間完全に霊刀にヒビが入った。そして完全に砕け、そして
≪バキン≫
霊刀は完全に折れた。
「く、ならここは一旦引かせてもらおう。・・・また会おう」
そう言って守信は姿を消した。
(どうやら美神どのは神通棍の霊波を物質化したか。恐ろしいものだ)
心眼は美神が何をしたのかを理解していた。
「心眼!!ボっとしてないで助言くれ!!」
(ん?すまない。美神どのはあの豹を救えといったのだな?)
「ああ」
(ならもしかすれば、あの豹の中にいる九尾の狐と霊石を通じて会話できるかもしれん。試してみろ)
心眼に言われるがままに豹に向けて問いかける。
(なぁ)
(何よ?)
(俺はお前を救いたい)
(アンタなんかに出来るわけないわ。この身体が私の魂を奥底に沈めてるんだもの。それに・・・アタシに居場所なんか」
(あるわい!!)
空牙の言葉に豹は驚きを見せる。
(居場所がないなら、俺の所に来い!!俺が護ってやる。お前を傷つけようとする奴から!!だから・・・・・諦めんなよ!!)
空牙の本気の言葉に豹は暖かさを感じていた。今まで感じた事のないものを
(・・・名前)
(え?)
(アンタに頼る以上、名前教えてくれないと)
(・・・横島、横島忠夫だ。・・・お前は)
(・・・タマモ)
(タマモか・・・いい名前だな)
(約束だよヨコシマ。責任・・・取ってよ)
(ああ、約束だ)
そう言って空牙は数歩下がり、一気に走り出す。そして空中へ跳躍し
救世の思いを込めた、キックを放った。
(イライラ)←美神
(むーーー)←おキヌ
今日もまた美神除霊事務所の人間は機嫌が悪かった(笑)何故こんなにも機嫌が悪いかというと
「ヨコシマ〜♥」
「よ、よせってタマモ。美神さんやおキヌちゃんが怒ってる(汗)」
そう、美神除霊事務所に新しい所員が入った。名はタマモ。皆も分かっていると思うが九尾の狐である。所員といってもアルバイト感覚でやっているようなものである。もっとも、ここに来る理由の大半は・・・この男と一緒にいたいため(苦笑)
「ヨコシマが悪いんだから、あんなに優しくされたの、初めてだもん」
「・・・タマモ」
「それに・・・責任とるっていったじゃない♪」
≪ピク≫
その言葉に反応する美神とおキヌ。
「横島君、それはどういう意味かしら〜♯」
「よ〜こ〜し〜ま〜さ〜ん♯」
そしてタマモのフィニッシュブロー。
「言葉通りよ。身も心もね♥♪」
この言葉の後、美神の精霊神通棍によるお仕置きとおキヌの食事抜きが一週間続きました♪
あとがき
遅くなってしまったweyです。
バトル少なすぎたっス。むずいっすね(涙)
更にバイクシーンあんまり書けなかったっス
今回美神が出した精霊神通棍は劇場版GSの時に出たアレを活用したです。
横島の前世の話は皆様の希望があれば外伝で書くと思います。
さて次回ですが、
1.ハーピー編
2.元始風水盤編
のどちらかでいこうと思います。
>御気さん >ATK51さん >柳野雫さん >九尾さん
読んでくださり本当にありがとうございます。
>法師陰陽師さん
ゴウラムですが、もうしばらく出番はないと思います。
では次回まで、さらばです。