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▽レス始

「皆の笑顔の為に・・・ 第三十一話(GS)」

ファリス (2005-01-19 12:44)
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シロの悲しみの涙を流させ無い為に・・・


横島は新年を無事に迎え、正月に美神の晴着姿をこの時代で初めて見た事で興奮したり、
妙神山で神魔族組み(特に小竜姫とワルキューレ。そしてヒャクメ)と過ごした。
そんな横島だが、中三になり、五月が終わろうとしている時期に深い森の中を歩いていた。
何故横島が森の中を歩いているかと言うと、あの時代に聞いていたシロの話を覚えていたからだった。
その話の内容とは天狗とシロの父親に関しての話である。
シロの話によると、昔自分が高熱を出した時に父親が天狗と戦い、
片目と引き換えに勝利したと言っていた。
そして、その傷が無ければ犬飼に負けて死ぬ事は無かったかも。とも。
力を手に入れた横島は、シロに父親を亡くす事での悲しみを無くしてやりたいと思い、
霊力が80マイトを超えた辺りで一度、人狼の隠れ里の様子を文珠で探ってみた所、
幼い頃のシロの隣に一人(匹?)の侍が慈しむ様に微笑みながら立っているのと、
シロから聞いていた背格好が同じだった事から父親だと断定し、両目があるか見てみると、
まだあったのでシロが熱を出していない事が横島は分かる事が出来た。
だが、何時シロが熱を出したのか不明確だった為、文珠で人狼の隠れ里から出る者がいるか探っていた所、先程動きがあった為、天狗がいる森の中を微かに感じる霊力を感知しながら歩いているという訳だ。


余談だが、今日は令子の稽古を見る約束をしていた。
だが、こっちに来ない訳にもいかないので、後日買い物に付き合う事で許してもらっている。
クリスマス・セミ以来、令子は横島といる事が多くなっていた。
横島といる時の令子は本当に嬉しそうな表情をしている。本人は頑なに認める事は無いが。


―――余談終了―――


「この辺だな・・・」

霊波を感じ取りながら森を歩いていた横島は、微かに聞こえる金属同士がぶつかり合う音の方へと向かう。

カキィンッ! キィーンッ! ギンッ!

「近いな。・・ちっ!片方の霊力が跳ね上がった!相打ち覚悟の一撃か!?」

横島が感じた二つの霊力にはそれなりの差があった。
しかし、たった今その差がうまった。行き成り霊力が上がる事はまず無い。命を燃やさない限りは。
つまりシロの父親がたった今、命を懸けた一撃を放とうとしているという事が分かった横島は、
金属音の発生地に向かって物凄い速さで走り出した。

「シロの親父さん、早まるなよ!・・・・・・いた!」

横島が到着すると、目の前で雄叫びを挙げながら天狗に向かって行く一人の侍がいた。
その気迫は凄まじい物があった。

「ウオォォォォォォォォォォ!!」
『何と言う気迫!・・・致し方ない!』

天狗はそう言うと刀に霊力を籠め、侍を迎え撃とうとしていた。
二人は眼の前の男に集中していて横島に気付いてはいない。

「まずい!出ろ、文珠!(このままじゃ、あの時代の流れと一緒のはずだ!)」

横島は『停』と込めた文珠を二人の間に投げ込み発動させると、二人は物の見事に『停』止した。

「か、身体が動かん!これは天狗殿の呪術でござるか!?」
『いや!これは拙僧の呪術では無い!・・・! お前の仕業か!?』
「ええ。真剣勝負の所悪いですが、その勝負俺が預かります!」

動きが止められた事で、漸く横島の存在に気付いた天狗が質問すると、
横島はそう答えるが、黙っていられないのはシロの父親だろう。
何せ自分の子供の命が係っているのだから。

「誰だが知らぬが、この術を解いてくだされ!拙者は負けられないのでござる!
拙者の娘の命が係っているのでござるよ!」
「少し落ち着いて下さい。そんな精神状態では良くて相打ち、悪くて死にますよ?」
「それでも構わぬ!」
「その事でお子さんが悲しんでも、ですか?」
「そ、それは・・・」
「安心してください。俺も天狗と戦いに来たんです。
だから天狗には悪いけど、俺が勝ったらその人の分もくれませんか?」

横島がそう聞くと、今まで黙って二人のやり取りを見聞きしていた天狗は黙って頷いた。

『(この男・・・かなり出来る。剣術の腕は拙僧と同等・・・いや、それ以上か)』
「(あの時代じゃ分かんなかったが、天狗の剣の腕は凄い・・・。
この状態の本気で行かないと負ける!?)」

少し離れて対峙した二人は、ほぼ同じ感想をお互いが持っていた。
それは横島に諭され、離れて見ているシロの父親も同じだった。
これは達人級の腕を持つ三人だから分かった事だろう。

『お前、武器はどうした?』
「俺の武器はこれだ」

天狗に聞かれ、横島が出した武器は神龍神刀では無く、栄光の手の派生である霊波刀だった。
しかし、それは唯の霊波刀ではなく、恐ろしく霊波が凝縮された事で半ば物質化し、
一本の刀の様だった。

何故横島が神龍神刀を呼び出さないか?それは、小竜姫達が刹那と修行している事も関係するが、
それだけではなく、横島自身が刹那は暫くの間使わない事にしたからである。
何故使わないかと言うと、人界で解ける封印は現段階で一式まで。
それでは神龍神刀の力に振り回されてしまう。ではどうするか?
霊波刀で代用するしかない。そう思い、久々に出した霊波刀に横島自信も驚いていた。
キーやん達から、自分は霊力の凝縮と固定化に秀でていると言われてはいたが、
霊波刀が物質化するとは思っていなかったのである。

『ほう・・・』

横島が出した霊波刀の凝縮率の凄まじさに天狗は感銘の声を挙げる。

「余り時間も無いみたいですし、始めましょうか?」
『ああ。始めるとしよう。・・・行くぞ!』

天狗はそう言うと同時に姿を消す!
速すぎて目で追えず消えた様に見えるだけなのだが、いくら横島でも目で追う事は出来ない。
しかし、『風の流れ』を感じ『間合い』を計る事は出来る!

ガギィンッ!

『ヌッ!』
「甘い!」

横島は横から斬り付けて来た天狗の一撃を、刀を動かす事だけで受け止めた。
そのまま横島は横蹴りを天狗の腹に向かって繰り出すが、天狗は後ろに軽く飛び退く事で避け、
身体が離れた事で刀も少し距離が開き、天狗は横薙ぎを繰り出そうとしたが、
その時には既に横島が霊波刀を振り下ろしていた為、天狗は攻撃を取止めその一撃を刀で受け止める。
しかし、そうさせる事が横島の狙いだった!

「掛かった!」
『なっ!?』

最後の霊波刀での一撃を出した時、横島の左手は握り拳を作り腰の辺りで溜められていた。
そして、天狗は横島の一撃を受け止めた事で直ぐに行動は出来ない。
それを見て取った横島は足首を少しだけ回す。
そしてその回転は、足首から膝へ、膝から腰へ、腰から肩へと伝わり、
最後に拳へと伝わると鋭さを増すと霊力と合わさり、霊力を含んだ凄まじい回転が発生する!

これが、空手等で使用される『捻り』である!


ギュルッ!

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォ!!


「喰らえ!」


ズドンッ!

鈍い衝撃音と共に、腹にその一撃をくらった天狗の身体は上空へと上がった。
これは良く知られている事だが、極限まで高められた空手の正拳突きをくらうと、
後ろではなく、へと身体は吹き飛ぶのである。

『グハッ!』
「・・・・・・」

上空へと上がった天狗の身体が地面に落ちてくるまで、横島は拳を突き出したままの格好でいた。
何故か?その一撃に絶対の勝利を確信しているからに他ならない!

それが証拠の様に、天狗の腹は拳の形で陥没している。

『ガハッ!ガハッ!・・・・・・拙僧の負けだ。一つ教えてくれぬか?
最後の一撃はなんだ?』
「貴方も霊武道を追及しているなら、『捻り』は知っていますね?」
『うむ。・・・まさか!?』
「そのまさかです。その『捻り』に『霊力』を織り交ぜた事で、一撃の威力を数倍に上げた物が、
今の一撃です。本気で放てば、打撃痕は螺旋状に削り取られます」
『『捻り』と『霊力』を合わせるか・・・考えた事も無かった・・・。
見事であった。お前に薬を渡そう。持って行け。拙僧はまた修行に戻るとしよう。
また何時か、手合わせをしたいものだな』
「ありがとうございます。機会があれば是非に。それでは」

天狗の去り際の言葉に返事を返し、薬を二個受け取った横島はシロの父親の所へと行き、
横島の実力に驚愕しているシロの父親に薬を渡すと、文珠で東京へと帰ろうとしたが、
行き成り呼び止められた。

「ちょ、ちょっとお待ち下され!拙者の名は犬塚リキと申します!
貴方様の名は何と?それに、是非ともお礼がしたいので拙者の村に来て下され!」
「お、俺の名前は横島忠夫って言います。(律儀やな〜)
いや、別にお礼をして貰う様な事じゃないんで・・・」
「何を申されます!あの剣と天狗殿に勝たれる腕前!
お礼と共に指南もして欲しいのでござる!」
「お言葉は嬉しいのですが、俺の帰りを待っている人がいるので、
今回は申し訳無いのですが・・・」
「そうですか・・・では、村の場所を言っておきますので、
近くまで来た時は是非とも御立ち寄り下さい」
「分かりました。その時は是非とも寄らせて頂きます。では」

横島はリキの言葉に答えると、文珠を使い東京へと転移した。

「何とも清々しい青年であったな。シロの婿殿に欲しいものだ。
・・・おっと、こうしてはおれん!シロ!父が今帰るぞ!
(剣だけでなく、花嫁修業もさせるか?)」

リキはそんな事を考えながら、高熱で苦しんでいるシロの元へと急ぐのであった。


こうしてまた一つ、あの時代と違った時の流れとなった。
この出来事が、フェンリル狼事件の時にどう転ぶか。
それは誰にも分からない。(作者にも分かりません。いや、マジで)


さて、東京に戻った横島はと言うと、懐かしい人物が教会にいた。
六道冥子の母である六道冥菜が唐巣と話しながら横島を待っていた。

「あら〜。貴方が横島君なのね〜?う〜ん、和宏ちゃんの言った通り〜、
霊力は既にトップクラスみたいね〜。それに〜、武術の腕も凄いんですって〜?」

冥菜がそう言うと横島は唐巣をギロっと睨むが、唐巣は脂汗を掻きながら横を向いていた。
それを見た横島は深い溜息を吐くと冥菜に挨拶をし、
この時代では『初めて』名前を聞く事にした。

「初めまして。横島忠夫って言います。貴女のお名前を教えて頂けますか?」
「随分と礼儀正しいのね〜。私は〜、六道冥菜って言います〜。宜しくね〜」


横島が礼儀正しいのも当然だろう。何せ、精神年齢は五十歳近いのだから。
と言うか、この時代でも一年過ごしているのだから、精神年齢四十九歳?
親父?横島は既に精神は親父なのか?・・・気にしない事にしよう。


冥菜にそう言われた横島は、軽く頭を下げる事で答えると、何故ここにいるのか聞いた。

「どうも。それで、六道さんはなんでここに?」
「それは〜、横島君を待っていたからよ〜」
「俺を?何で俺を待っているんですか?」

冥菜が自分を待っていた理由が分かるはずも無かったので、
横島がそう質問すると、冥菜はニコニコ笑いながら答えを言うのだった。

「私が〜、横島君を待っていた訳は〜、横島君に〜、来月六道女学院で行われる〜、
クラス対抗戦の特別審査員をして貰いたいの〜」
「はい!?」

冥菜の答えを聞いた横島はやはり、素っ頓狂な声を挙げてしまう。
それもそうだろう。何故なら六道女学院で行われるクラス対抗戦の特別審査員は、
生徒達が呼びたいと思う人に投票して貰い、審査員として呼ぶのだから。

「ちょ、ちょっと待って下さいよ!俺はまだGSでも無いんですよ!?
その俺が何で呼ばれるんですか!?」

声を荒げだした横島がそう聞くと、冥菜では無く唐巣が答えた。

「その理由は私が説明しよう」
「唐巣さん!どう言う事ですか!?」
「先ずは落ち着きなさい。それから説明するから」
「・・・はい。すみませんでした」

唐巣がそう言うと、横島は数回深呼吸をして気持ちを落ち着けた。

「いいかね?じゃあ、説明するね?横島君は覚えているかね?
前に君が美神君を迎えに行った時に、子供の霊を成仏させたね?」
「はい」

唐巣がそう聞くと、横島はゆっくりと頷きながら答えた。

「どうやら、その時の事を殆どの生徒が覚えていたらしくてね?
それに、君が美神君に指導しだしてから、彼女は更に力を付けてね?
今では、一般GS以上の力を学生で引き出してしまったらしいんだよ。
で、後輩に君の事をついつい話してしまったらしくてね。それが理由らしい」
「なるほど・・・つまり、自分の所為って事ですね。
はぁ〜〜。分かりました。お引き受けします。美神さんの今の腕前も見たいですしね」

黙って唐巣の説明を聞き終えた横島は、深い溜息を吐きながらも了承すると、
冥菜は何が嬉しいのか、先程以上にニコニコしだすと横島の手を取り、お礼を言い出した。

「横島君〜、ありがと〜。冥菜さん嬉しいわ〜」
「(本当に冥子ちゃんと話し方がそっくりだな)いえ、自分で蒔いた種ですからね」

横島がそう答えると、冥菜は「色々準備があるから帰るわね〜」と言って帰って行った。

そして、冥菜が教会の扉から出て行くのを並んで見送っていた唐巣と横島だったが、
冥菜が完全に扉の向こうに行くと、唐巣は脱兎の如く走り出したが、
その首根っこを横島がそれ以上の速さで掴んだ。

「さて、唐巣さん・・・覚悟はいいですか?」
「ま、待ってくれ!き、君も自分で言ったじゃないか!自分で蒔いた種だって!」
「それとこれとは別ですよ。ふふふ・・・クリスマスにプレゼントした育毛剤が役に立ちますね?」
「!! か、髪だけは辞めてくれないか!?」
「却下です♪」

唐巣の必死の哀願も横島は即答で切り捨てると、奥の部屋へと一緒に入っていくのだった。
哀れ。・・・いや、自業自得な唐巣であった。


あとがき〜
今回はシロ関係の話を書きました。
シロは原作では昔と言っていましたが、シロがしっかりと覚えているのと、
原作初登場の時の姿とほぼ一緒だったので、二・三年前ではないのか?
と思って書きました。
次回は六道女学院のクラス対抗戦です!恐らく、今日の夜か夜中に投稿できるとは思います。

学生達の能力どうしよっかな〜・・・・・・。
何かいい案がありましたら教えて下さい。お願いします。


レス返し〜
Danさん、渋さん、漆黒神龍さん、weyさん、D,さん、紫苑さん、大神さん、柳野雫さん、
矢沢さん、ぬーくりあさん、A-Zさん、レスありがとうございます。

特にDanさん、漆黒神龍さん、柳野雫さんお久しぶりです。
矢沢さん、ご指摘ありがとうございます。確かにその方が正しい書き方ですね。
気を付けなくては・・・。

それに皆さんに、美神を可愛く感じてもらえてよかったです。
過去の美神は数回しか出ていないので、殆どが自分の考えで書いた様ものなので、
受け入れて貰えるか心配でしたが、沢山のレスが頂けて感涙を垂れ流しています。
これからも宜しくお願いします。

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