泣き疲れて眠ってしまったヒャクメをベッドに寝かしつけた横島の後ろには、
二人の夜叉が仁王立ちしている。その夜叉達の名前は小竜姫とワルキューレと言う。
「ほぉ~。それじゃあ何か?
忠夫は修行していた数十年間、新しく出来た女と逢引きしていたと?」
「いや・・・別にそう言う訳じゃ・・・・・・」
『(むぅ・・・恋する乙女は恐ろしい物だな・・・)』
刹那が心の中でそんな事を考えているとは露知らず。
横島は椅子に縛り付けられて・・・はいないが、二人の余りの迫力に動けず、
脂汗をダラダラと流しながら言い訳をしようとしていたが、
「酷いです・・・・・・私達が悲しんでいる時に忠夫さんは、
私達を忘れて新しい女性と・・・グスッ」
と小竜姫に泣かれながら言われてはどうしようもない。
悲しいかな、横島は何処まで行っても横島だった。
早い話が、女性に頭が上がらないと言う事だ。(特に美人に対して)
「ごめんなさい・・・だから泣かないでくれ。
・・・でも、雪菜と会ったら仲良くして欲しい。
修行の時に俺を支えてくれたのは、お前達への想いと雪菜なんだからさ」
「「何を当たり前な事を言っているんだ(ですか)?」」
「へ?」
顔は笑っていたが、目が笑っていなかったワルキューレはいいとして(いいのか?)、
泣いていた筈の小竜姫もが普通の顔になってそう言い放てば、
この横島の反応も当然と言えば当然だろう。
「だって、その雪菜と言う方も忠夫さんの事を愛しているんですよね?」
「それに、お前を支えたって言うのも本当だろうしな」
「え~~と」
そう言われても今一状況が掴めていない横島は、頭をポリポリと掻いていた。
「あ~、気にするな。単なる私達の嫉妬だ」
「・・・嫉妬?」
「私達は武に関わる者です。ですから、忠夫さんの成長を間近で見ていたかったんです。
それにですね。わ、私達だって。
だ、大好きな忠夫さんの傍にずっといたかったんですから(真っ赤)」
ワルキューレはそっぽを向きながらも頬を染めてそう言い。
小竜姫も頬を染めながら、上目使い+潤んだ瞳で見上げながらそう言った。
二人の今までに無い反応を見てしまった横島は、
「か・・・」
「「か?」」
「可愛い!可愛すぎる!」
「え?・・きゃっ!」
「うわっ!」
プルプルと震えながらそう言って二人に飛び掛って抱きしめた。
「二人共可愛過ぎ!ワイはもう二人を離さへんで!」
「「ぁぅ・・・(真っ赤)」」
抱きしめられ耳元でそう言われた二人は顔を真っ赤にして固まってしまった。
このまま、寝ているヒャクメも混ぜてベッドイン?かと、思いきや。
「・・・横島、その辺で止めとけ。話が出来ん」
「しょがね~な」
「「ぁ・・・・・・」」
刹那に言われて横島が離れて行くと、二人は寂しそうな声を挙げてしまった。
だが、刹那はそんな事を気にする性格では無いし、
これ以上長くなるのを嫌がっていた為、本題に入った。(お前、折られるぞ?)
「さっきの話だが、お主達は横島と共に戦いたいのだろう?」
「「(コク)」」
「ふむ・・・。あ、先に言っておくが、先程の我と寝ると言うのは冗談だからな?
・・・では我がお主達に修行をしてやろう。
そこで寝ているヒャクメとやらも修行をすると言ったのでな。
お主達の事も見てやろう。・・・と言う事だ。いいか?斉天大聖」
「うむ。小竜姫に神龍剣を教えてやってくれ」
「老師様!」
何時の間にか来ていた老師に言われた小竜姫は驚いてしまった。
「ワシでは剣術はそこまで教えられんからの。
ただし、小竜姫よ!途中で投げ出す事は許さん!横島と共に戦いたいのだろう!?」
「はいっ!・・・刹那様、これからご指導、宜しくお願いします」
「うむ」
老師の激励にしっかりと返事をした小竜姫は刹那を様付けして呼び、
挨拶を交わした。ワルキューレはと言うと。
「刹那殿、私はどうしたらいいのですか?」
老師と対等な口をきいているのと、かつての双璧と言われた為、
ワルキューレは刹那に敬語で話し出した。
「・・・お主は北欧神話のヴァルキュリアの一人で良いのか?」
「はい。私の天使族の時の名はブリュンヒルデ」
「ほう、ヴァルキュリアのリーダーか。と言う事は、オーディンの娘だな?」
「はい」
「では、槍が得意な筈。お主、槍は持っていないのか?」
「・・・堕天させられた時に消滅しました」
「ふむ。・・・お主の父であるオーディンは魔界にいるのか?」
「? いますけど、それが?」
「ちょっと待っているがいい」
刹那はそう言うと横島の所に行き何かを耳打ちすると、
二人は口の端を持ち上げてニヤッと笑い、刹那に文珠を四個渡した。
すると、刹那は文珠に『転』『移』と書き込み何処かに行ってしまった。
~~数分後~~
刹那が数分すると戻ってきた。
そして、その手には神々しいまでの光と稲妻を放つ一本の槍が握られていた。
「なっ!そ、それは!」
「これならばお主の役に立つだろう。
オーディンの娘なのだから、振るえない筈が無い」
「刹那殿!こ、これは父様の神器グングニル!ど、どうしたのですか!?」
「ん?魔界に行って、うばっ・・・ゲフンゲフン!
娘に渡すと言ったら、涙を流しながら快く譲ってくれたぞ」
「・・・(汗 (嘘だ!絶対に嘘だ!ならば、その右手に付いている血は何だ!?)」
冷や汗を流しながら心の中で突っ込むワルキューレだが、
さすがのワルキューレでも、口に出して言えないのだろう。
~~魔界軍の一室~~
色んな所が陥没している部屋の片隅で、体育座りしている最強クラスの将軍がいた。
その背からは哀愁が漂い、のの字を床に書いていたとか・・・。
哀れな・・・・・・。
デタント崩れないよな?(しらね)
そんなこんながあったが、小竜姫には神龍剣を教え、ワルキューレには槍術を教える事が決まった。
ヒャクメは、基本スペックの向上。それだけで、見える物が格段に上がる。
そして神龍神刀を消さずに残し、妙神山に置いとく事が決まり、
妙神山にいる全員が帰る横島を見送りに来ていた。
「じゃあ、また暫くの間お別れだな」
横島がそう言うと涙ぐむのが三人程いたが、これ以上引き止める訳にもいかないので、
普通に別れの挨拶をする。
「また、近い内に会いましょうね、忠夫さん」
「忠夫、私も強くなる。お前と共に戦う為に」
「横島さん、今度は私ともして欲しいのね~」
別れの挨拶を交わすと横島は三人に近づいて行き、頭を撫でてから触れるだけのキスをし、
老師たちの方に向き直った。・・・キスされた三人は真っ赤になってフリーズしてるが。
「横島、辛い道程だとは思うが、頑張るんじゃぞ」
「はい。老師もお体に気を付けて」
「まだまだ、お主に心配される程、年はとっとらんわい」
老師にそう返された横島は、はははっと笑いながらジークの所に行った。
「横島さん・・・いえ、義兄さ ドガッ! バキッ! ザシュッ!・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・(汗 ぉ~ぃ」
返事が無い。唯の屍のようだ。
「・・・じゃ、じゃあ刹那。三人の事頼んだぞ」
「う、うむ!任せろ!」
どうやら横島と刹那は、何があったのか見なかった事にした様だ。
「じゃ、じゃあなぁ~~」
そう言うと、横島はさっさと山を下って行った。
その後ろでは・・・。
「ねぇ、ヒャクメ。次の生ゴミの日はいつでしたっけ?」
「次は明日なのね~。袋に入れて出しておくのね~」
「・・・・・・・・・」
そう言って、嘗ては英雄とまで言われた男がゴミ袋に入れられていた。
姉であるワルキューレは心の中で、
「(すまん、弟よ!だが、余計な事を言ったお前が悪い!)」
と言っていた。
・・・まあ、気にしたら負けだ。
そして、横島と共に戦う為に小竜姫、ワルキューレ、ヒャクメは、
刹那の地獄の特訓が始まった。
(そのうち書くかもしれません)
東京に戻った横島を待ち受けていたのは・・・。
めちゃくちゃ不機嫌な美神と、『何故か』ボロボロになっている唐巣だった。
唐巣の横には昨日見た妙神山からの手紙が落ちていた。
その内容は敢えて言わないが、それを見た美神がこれまた『何故か』不機嫌になり、
唐巣に当たっている時に横島が帰って来た訳である。
第三十話に続く!
あとがき~
え~と、哀れなオー○ィンとジークでした!・・・あと、唐巣もか(笑
横島がギャグ出来ないなら、他のでやるしかないでしょ!(断言)
つ~事で、ギャグ担当はジークに決定?(本編で増えますけどね。虎とか虎とか虎とか・・・
次回!可愛い?美神が見れるかも?(俺、美神が好きなもので)
レス返し~
D,さん、大神さん、矢沢さん、紫苑さん、weyさん、MAGIふぁさん、渋さん、
レスありがとうございます!
D,さん、ランスアタックってどんな技なんですか?
結構前にも同じ様な事を書かれたんで、創作を読んでみたんですけど名前しか分かんないです。
大神さん、それは原作の時からの呼び名ですよw
長く付き合えば付き合うほど、離れられなくなるってのがありましたからw
矢沢さん、ん~、結構後に書く予定なんですけど、反デタント派と横島達が戦いますw
だから、ある意味VS神魔界かなっと。
紫苑さん、俺も小竜姫達と雪菜の争いが早く書きたいですねw
weyさん、ヒャクメ可愛かったですか?それは良かったです。
可愛く書けてなかったらどうし様と思ってました。
MAGIふぁさん、えっとですね。
老師が心配しているのは、わざと横島を切れらされる事で、攻撃が単調にされる事を危惧しているんです。
で、小竜姫達はの考えは思い過ごしっていうのは、
戦いの面ではなく、心を支えていると言う事で思い過ごしと言ったんです。
渋さん、ありがとうございます。
前作から呼んで頂けているとは・・・嬉しいです!嬉し涙が止まりません!
はい!これからも頑張らせて頂きます!