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▽レス始

「心眼は眠らない その24(GS)」

hanlucky (2005-01-10 13:33)
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「ちわ〜郵便ですぞ〜。」
「あっ八兵衛さん、いつもありがとうございます。」

場所は竜神界の小竜姫の家、副業で郵便屋さんを営んでいる八兵衛と小竜姫が世間話に
花を咲かせていた。八兵衛は神界、竜神界、人間界など様々な場所に配達を
しているのだ。

小竜姫が自分の家にいるのは最近、小竜姫の両親が孫の顔を見たいと何度も
言っているのだが先ほども縁談を断ってきたばかりであった。

「そういえば知ってますかな?数日前あのフェンリル狼が復活したことを?」
「えっ!?じゃあ人間界は大変な事になってしまったのですか!?」

小竜姫はその凶報に動揺する。人間界には大切な知人が何人も住んでいる。
こんな時に限って人間界を離れていた自分を迂闊に思う。
しかし八兵衛は何が嬉しいのかわかりづらい笑顔で話を進める。

「安心なされよ、フェンリル狼はとある御仁が退治したそうですぞ!
 それも小竜姫どのが知っている人間ですぞ!」
「私が知っている?・・・まさか!?」

八兵衛と小竜姫の顔に笑顔が浮かぶ。
小竜姫はまさかと思いつつも、彼しか浮かばなかった。
自分の師に手傷を負わせた彼、自分が一番初めに素質を見出した彼。
喜びを隠し切れず、大きな声で彼の名を叫ぶ。


「横島さん!?」


――心眼は眠らない その24――


八兵衛はいきなり大声を出した小竜姫に多少驚くもその通りと答える。
その後、小竜姫が横島自慢を始めていると奥から以外な人物が現れた。

「横島がどうしたというのだ?小竜姫よ?」
「あっ!?殿下、聞いてください!!」
「おお!!これはこれは天龍童子様!!」

暇なんで小竜姫の家に遊びに来ていた天龍が現れる。
八兵衛は天龍の登場に驚くも礼儀正しく挨拶する。
小竜姫は横島がフェンリルに勝利した事を伝える。

「ほほ〜しかし当然じゃな。余の第一家臣ともあろう者が狼ごときに遅れを
 とられては困るというものじゃ。」

辛口なコメントだが、胸を張りながら言っていては説得力が皆無な天龍である。
それを微笑ましく見守る小竜姫と八兵衛。

「では、それがしはまだ配達が残っておるのでこれにて!」
「お疲れ様です、では。」
「余もこれから宮殿に行ってくるかの〜。折角余の家臣が頑張ったのじゃ。
 余の眼力を皆に伝えねば!!」

天龍はスキップを踏みながら王宮に向かっていく。
小竜姫は天龍の姿が見えなくなった後、鼻唄を歌いながら家に入ってく。


竜神界は今日も平和であった。


で、その横島であるが人狼の里にいた。
人狼たちはお礼という意味で横島たちを呼んだようだが実は・・・

「・・・今、なんて言ったんすか?」
「そう照れんでいいですぞ、横島どの。ではもう一度言いましょう!」

フェンリル戦で大きなダメージを負ったシロガネであったが、設備の整った医療施設、
横島のヒーリング、何より人狼の生命力などのおかげでほとんどの人狼は里に
戻っていた。ちなみに美神やエミ、魔鈴といった女性陣は次の日に退院していた。
理由はいうまでもなく横島ヒーリング(女性バージョン)のおかげである。
ヒーリングの最中に美神とエミには殴られたが、魔鈴は大人の女性らしく口で
注意するだけのようであった。

人狼の里には事務所の面々で来たので、現在シロガネの家に居るのは美神、オキヌ、
横島、シロ、シロガネである。

横島はシロガネのセリフによって美神たちから発生したオーラにビビっていた。
実際は美神たちもシロガネの言葉をよく理解していなかったのであるが。
シロは父親の言葉に尻尾の動きを最高速度まで引き上げていた。


「ですから、シロを嫁にどうですかな?」
「ちょ「ちょっと待ってください!!」
   「待ちなさいよ!!」
   『待ってーーーーい!!』
あっあの・・・」

横島が反応する前に、他の皆が素敵なオーバーリアクションをしてくれる。
だがここは武士と呼ばれる男、華麗に流して話を続ける。

「拙者が言うのもなんですが、シロは器量良しですし、性格も明るいですし、
 人狼族ゆえ貧乏も関係ござらん、どうですかな?」

シロガネ、親バカになってしまったようだ。それともこれが地なのだろうか?
その後は横島の事をべた褒めしていき、ぜひとも孫が見たいとか言い出してきた。
シロは体をクネクネさせながら横島を見つめている。

「待ってください、結婚だなんて突然すぎます!!」
「オキヌちゃん!!もっと言ってやりなさい!!」
『ワレとしては横島は修行の身、そのような事賛成できん!!』

白熱する美神陣営、対して冷静沈着というか天然な犬塚親子。
美神たちの言葉は取り入れず、横島に直接交渉する。

「先生は拙者のこと嫌いでござるか?拙者は先生に胸を揉まれても拒まなかった
 のに・・・それに一晩中拙者を抱きしめてくださったのに・・」
「ほほ〜横島どの、手が早いでござるな。」
「横島ーーーー!!」
「ちがっ・み・・か・みさん・・ごか・い」

説明不足ではあるが誤解も何も事実な事なのでオキヌは何もいえない。
シロは泣きはじめるし、シロガネは責任をもってもらわねばと言っている。
美神はちょっと無視され続けたこともあって怒りを横島にぶつける。
血まみれにはなってはすぐに再生と、繰り返す横島。本当に人間だろうか?


(現在、リンチ中)


ようやくリンチも終わり一息つく美神陣営。
しかしそれに誤魔化されずに話を続けようとするシロガネ。

「せ、ぐす、せんせ〜。」
「シロ・・・(かっかわいいじゃねえか・・・はっ!?違う、違うぞ
 俺は違うんやーーーー!!・・・でも成長すればシロだって・・・はっ、
 だから違うんやーーーー!!)」

シロの泣き顔に萌える横島。あやうく陥落しそうになるが、なんとか押しとどまる。
彼の脳内に源氏物語が浮かんだのは仕方ないことであろう。

「シロ!!ウソ泣きは止めなさい!!」
ちっ・・・バレたでござるか。」

横島に通じても美神にはそんな芝居など通じないようであった。
シロが舌打ちしたような気がするが気のせいと思いたい。

「横島どの、何もすぐにとは言いませぬ。人間には法律というものもあるらしいですし
 横島どのが結婚できる年になるまでしっかり考えてくだされ。」

実に大人な考えであるが、顔が笑っていないので怖い。
横島もとりあえず今は危機を脱出するのが先だと思い頷く。


横島たちが里からでた後、

「シロよ、狼は一度狙った獲物は逃さないということを思い知らせてやれ!!」
「はい、父上!!」


何だかんだいって結局は横島に平穏は訪れないようであった。


とある屋台の出来事である。

「親父さ〜ん、もう一杯お願いします。」
「おい兄ちゃん、飲みすぎじゃねえか?」

屋台の親父は心配そうに客にやめるのは勧める。
しかし客は忠告を聞こうとはしない。というか酔っ払って聞こえているのか
怪しいところだ。

「うぃっ、別にいいじゃないですか〜、ひっく、どうせ僕は哀れですよ〜。」

客は独り言を始めたようである。親父はしかたねえな〜といいながら愚痴を
聞いてやることにした。

「聞いてくださいよ〜、本来ならあの式神使いの位置には僕が居たはずなのに、
 今はこんな屋台で飲んだくれているんですよ〜。」
「おいおい兄ちゃん、こんな屋台ってのは酷いんじゃねえか?」

客はいつもの礼儀さを忘れて少しやけになっているようであった。
コップをテーブルに叩きつけて話を続ける。

「はっ!!最近なんか、タイガーまで活躍しだしたっていうのに僕はこんな
 ところでギャグキャラ扱いですか!?」

怒り上戸とでも言うのか、キレながら親父にとってはわけのわからない事を連呼する。
タイガーという単語があったからプロレスか?と思ったほどだ。
しかし客の体格からプロレスラーとは思えないし、話の続きを聞く。

「僕なんて、アレですよ!!あのオカマ野郎にやられるは、蛇女との時は
 セリフすら無しですよ!!」
「そっそうか(汗・・・ 兄ちゃんも大変だな〜オカマに襲われるとはな〜
 兄ちゃん美形だもんな〜。蛇女って事はよっぽどしつこいヤツだったんだな〜」

”オカマ野郎”、”蛇女”、”やられる”こんなセリフ聞いたら一般人が
誤解するのも無理ないだろ。屋台の親父がいうように客は金髪の美形、
美形ってのも大変だな〜と思う親父。

「なのに、ぐす、タイガーなんて、ぐす、横島さんを助けるなんて、ぐす
 そんなおいしい、ひっく、役柄してるんですよ!!」

客は泣き上戸に変わってしまったようだ。親父は泣き出した客にため息をつきながら
それとなく励ましてあげる。

「親父さん!!本当にわかっているんですか!?僕は、僕は」

いるんだよね、酒飲むと意味不明な言動で絡むヤツ。

胸倉を掴まれた親父は客を落ち着かせようとする。
幸い現在の客はこの一人だけなので大したことにならず収める。

「出番がないのはしかたないです!!だからってタイガーに負けるのだけは
 死んでも嫌なんです!!・・・あぁ神よ、僕に出番を!!」

いきなり地面に膝をついて手を胸の上で組みお祈りを開始する客。
どうやら、クリスチャンのようだ。言っている事はわけわからんが。

「神よ!!僕の出番がないならタイガーの出番もなくていいじゃないですか!!」

客はよほどタイガーと呼ばれるヤツに負けたくないようだ。
自分の出番を祈っている時の数倍の声の大きさで叫ぶ。

(・・・もう、帰ってくれ)

屋台の親父の願いは一時間後、髪の薄くなりつつある神父がかなえた。


横島たちの裏では悲劇(喜劇?)が起こっているという事である。


――心眼は眠らない その24・完――


あとがき

八兵衛と小竜姫という珍しい組み合わせはどうでした?
実はシロとの結婚ネタがしたかったからシロガネを生かしたもんです。
屋台の客の正体は・・・おわかりですね?(壊れ表記はつけた方がいいのかな?

1、魔鈴
2、小鳩
3、愛子
次はこれでいこうと思っているんですが、

あとなんかリクエストがあったら書きます。(ネタをプリーズ

それではもう1,2話ほどほのぼの

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