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「無限の魔人 第二十一話(GS)」

紅眼の狼 (2005-01-09 13:52)
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無限の魔人 第二十一話 〜過去の鳥〜


・・・・・。


「何を考えてるんだい?」

「・・・いや。」

「そんな顔をされてたら『気にしてください』って言ってるようなもんさ」

「そうそう、気になることがあるなら言っちゃわなきゃ」

「皆仲間であろう?」


3人にこうまで言われれば言わざるを得ないか。


「ふぅ、敵わないな全く。これでもポーカーフェイスは得意になったんだが」

「はっ!確かにポーカーフェイスだけど、雰囲気が全然違うよ」


笑いながらメドーサが言った。

・・雰囲気か、そんなのが読める奴なんて今まで居なかったからな。


「そうか、次からはばれないように工夫する。」

「いや、そんなことを言ってるじゃなくて、何を考えてるか聞いてるんだよ?」


ちっ、話が逸らせなかったか。


「分った分った、俺が考えていたのは・・・」


「「「考えていたのは?」」」


「ハーピーの事だ」


「「「ハーピー?」」」


「ハーピーとは誰だ?」

「「ハーピーね(か)」」

「ハーピーってのは魔族の殺し屋的存在だな。日本名は人面鳥だったかな」

「それがどうしたのさ?」

「いや、美神親子を狙って封印されちまうんだが、そろそろ復活するはずなんだ」

「ふぅん」

「そやつを倒すのか?」

「いや、殺し屋って事は頼まれたから殺してるんであって、自分の楽しみのためにやってるんじゃないしな。その辺りはGSと同じだな。霊、妖怪、悪魔を祓う・・・な?」

「それはそうだね、GSってのは依頼で人外の者を祓うからね」

「それで、どうするのだ?」

「うーん、そこを悩んでるんだ」

「「何故?」」

「いやー、美神親子を狙われるのは正直言って困るんだけど、ハーピーって俺にとって完璧な悪人って訳でも無いからさ・・・狙うのを止めるなら助けようかなって思ってるんだけど」

「なら助ければ良いではないか」


うんうん とメドーサとラピスが頷いている。


「ああ、だけど何時助けようかなって」

「「「何時?」」」


最近3人でのシンクロ率が益々上昇しているな。


「ハーピーを助けるのは結構簡単だ。今だともう勝手に封印が解かれるから無理だとして、美神令子に退魔される瞬間に助けようとすると私念が残って、狙うのを諦めてもらうのは無理だろうしな」

「では助けられないでは無いか」

「そうなんだよ・・・」


うーん


「だったら封印されて直に助ければ良いんじゃない? 未来はもう自由を得ているんだし」


ラピスがそう言った。

そうだよな、時間移動してしまえば・・。


「・・・そうか、その通りだな。ラピスでかした」


ラピスの頭を撫でてやる。

「えへへへ」


そういえばラピスとメドーサって俺より年上だよな・・・妙に子供っぽいんだが。


「界人」

「ん?」

「時間移動・・・出来るのかい?」

「ああ、文珠を使えば可能だと思うが」
「皆で行けるのか?」

「うーん、やってみなきゃ分らないけどな・・・そもそも文珠で時間移動なんて初めてだから」


時間移動なんてやろうとも思わなかったからなぁ。


「俺1人なら間違いなく行けると思うが、皆で行ってみるか? 俺の予想では成功率86%だが」

「失敗した場合どうなる?」

「さぁ、時空間を彷徨ってどこか別の時間帯に落ちるか、そのまま彷徨い続けるか・・・後は分らないな」

「私は一緒に行くよ」


メドーサが言った。


「俺としては皆に留守番してて欲しいんだが・・・」

「僕も行くよ、時間移動一度は体験してみたかったんだ!」


・・・観光気分。


「龍美はどうする?」

「私も勿論行く、1人で留守番など耐えられん」


前振りはしたし・・・飛ばしてやるか。

どういう結果になるかは龍美次第だ。

理想と現実をもっと知るべきだからな。


「よし、んじゃ全員で行くぞ。念のために1人4つずつ文珠をやる、使いかたは分るな?」


「「「ああ(うん)」」」

「別の時間に行ってしまっても俺が直に行くから安心しろ」


文珠を全員に渡し、改めて時間移動に使う文珠を作る。


[時][間][移][動][追][跡]


俺達を光が包む。

その時に


[転][移]


を作り投げた。


「着いたみたいだな」

「もうかい・・・一瞬だったね」

「あんまり楽しく無いね」

「お前は時間移動に何を求めていたんだ?ラピス」

「うーん、空を飛ぶ以上のスリルを」

「炎の狐で十分だろ」

「い、いや、あれはもう相当なあれだけど・・・」


焦ったように手を振りながら言った。

改めて回りを見渡せば、美神除霊事務所の公園だった。

カップルが二組に・・・居た!


「二人ともこっちに来い」


小声で二人に話し掛ける。


「へ?二人?」


ようやく気づいたか。


「龍美ちゃんは?」


周りを見て言った。


「香港だろうね、全く甘いんだから」


メドーサだけはあの一瞬を見ていたらしい。


「ふ、まぁ行くぞ。あの人に見つかるとやっかいだ」


美神美智恵が公園内を見鬼君を持って歩いている。

こちらに反応されないように、文珠で気配を[絶]っているので見つかる心配は無い。


「ねぇねぇ、龍美ちゃんは香港って本当?」


3人で公園内の林の陰に隠れている。


「ああ、あの忠告だけじゃ内心満足してないみたいだからな、世の中の厳しさを一度は知るべきだ。」


それがあいつの為・・・俺と共に居るなら甘い考えでは生きてはいけない。


「へぇ、あの女結構やるみたいだね。あの攻撃を避けるなんて」


見るとハーピーの攻撃を全て避けたところだった。


「ああ、あの人はGSの中でトップクラスだからな」

「ハーピーじゃ荷が重いのも確かだね」

「ハーピーは人界専属の暗殺者だろうね、あの程度なら魔界じゃ通用しないよ」


それはそうだろうな、魔界じゃ軍が大きく幅を利かせているから、あの程度の力じゃ蹴散らされる。

下級魔族の中でも強いってわけでもなさそうだ。


「遠くからの狙撃が避けられるなら、罠を張って決定的なチャンスを作り出すしか無いな」


「・・・そこまで考えるかね?」


「無理じゃないかな? ハーピーは人間にしたら強すぎるくらいだから、初めてあんな強敵と戦ってるはずだよ。初めて経験する状況で罠を考えるなんて無いと思うよ。」


「その通りだろうな―――さて、ハーピーも逃げたし、飯でも食いに行くか」

「そだね」「ああ」


ハーピーを美神美智恵に退けられる前に説得する事も考えたが、そうすると美神美知恵が死んだ事にはならないだろう・・・これは修正力が働いたとしても非常に大きい歪みがでる。そうなると予想も出来ない事が起こる可能性が高いので止めた。


およそ20年もの間封印される・・・か、どんな気分になるだろうな。


そんな事されれば、任務に関係なく恨みを抱くだろう。


その前に助け出さなければ。


その後美神美智恵と接触するのも面白いかもしれない。


無限の魔人 第二十一話 〜過去の鳥〜

end


あとがき
会話・・・が多いぃ・・・地の文を増やさねばー。
ところでハーピーって強いのかな? 
拳銃乱射されたら・・・うーん、そう考えると強そうだなー。

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