「美神さん、ただいまー!!」
「遅くなってすいません。」
横島とおキヌが挨拶をする。そう、二人は修業を終え、美神達のもとに帰ってきたのだ。
「横島君!?おキヌちゃん!?」
それを見て笑顔を浮かべる美神、そして、二人の元に駆け寄り・・・・・・横島を思いっきりどついた。
「ぐべへっ。」
そして横島は1週間前に帰ってきた時のパターンとそっくりだと思いつつ、血の海に沈むのだった。
「な、何するんすか!?」
2分後、復活した横島が叫ぶ。今回、彼は何の非も犯していない筈である。だが、それよりもでかい声で美神が叫んだ。
「うるさい!!おキヌちゃんはともかく、あんたに修行する許可なんてだしてないでしょうが!!あんたがいない間にこっちがどれだけ苦労したと思ってんの!!」
「あっ・・・・。」
元々、横島は幻海に救援を求めに行ったのである。当初の予定から修業を申し込みに行ったおキヌと雪之丞はともかく、横島はどちらにしろ(救援が受けられるか、否か)直ぐ帰ってくるはずだったのだ。戦力的には佐藤がいたので、それほど不足していた訳ではなかったが、横島とおキヌ、最も身近な二人がいない事は美神をそれなりに不安にさせ、先ほどの一撃はその八つ当たりでもあった。
「で、強くなった訳?」
そこで、美神が態度を変え、少し真剣な表情になって聞く美神に二人は頷く。
「はい。それから私は式神も契約させてもらったんです。」
「へえ、かわいいわね。それにかなり強い霊力を感じるわ。」
そして、おキヌはクマタカを見せた。それを見て美神は感嘆しながらも、少し複雑そうな表情をする。戦力が増えたのはありがたいが後輩に追い抜かれたかもしれないというのは彼女にとって面白くない。
「それじゃあ、せっかくだから修業の成果見せてもらおうかしら。ママが作った面白いものがあるのよ。」
「えっ?美神さんのお母さんが来ているんですか?」
そこで、おキヌが口を挟む。美神はそれを聞いて頷いた。
「あ、そういえば、言ってなかったわね。せっかくだから、あなた達がいなかった間にあった事、全部話しておくわ。」
そう言って、美神は今まであった事を話し始めた。 *佐藤の軌跡、参照
「そんな事があったんですか、大変でしたね美神さん・・・。それでお母さんの怪我は?」
おキヌが悲痛な表情をみせ、横島も頷き申し訳なさそうな顔をする。
「どうもすいません。俺達そばにいれなくて・・・・・。」
「まあ、いいわよ。ママもそんなに酷い怪我って訳じゃないし。それより、さっきも言ったように修業の成果、見せてもらうわよ。」
横島の言葉にさっぱりした表情の美神が言う。そこで、横島はさっきの話しを思い出した。
「そういえば、美神さんのお母さんが用意した面白いものがあるって話でしたけど。」
「ええ、でも、横島君達が強くなった事と、あんたの兄弟子の佐藤さんが私専用の武器を作ってくれる事になった事であまり意味がなくなっちゃったものなのよ。けど、今の実力を把握するにはもってこいだからせっかくだから使って見ましょう。」
「へー、佐藤さんが。」
そう言って、美神は感心する横島達を連れてある場所へと連れて行った。
「あれ?雪之丞?」
そこには、雪之丞がいた。彼は横島達と一緒に帰ってきたが、まずは、他のメンバーに会いに行ったのである。
「おう、ここに面白いものがあるって聞いてな。俺も挑戦させてもらう事にしたぜ。」
「まったく、バトルマニアだなあ。お前は。」
それを聞いて横島は呆れた表情をする。そして、そこで美神が面白いものの内容について説明した。
「これは過去に戦った妖怪や魔族のデータをもとにそいつらと戦えるシュミレーションよ。ただし、強さは平均で約10倍にしてあるし、能力や弱点も変化してあるわ。100体倒せばプログラムはそこで終了、ただし、そっちがギブアップするか、こっちで無理だと判断したらそこで止めるから。」
「ひゃ、100体!?」
その言葉にびびる横島。強くなってもびびり癖は変わっていないようである。そして、それと対称的にやる気満々の雪之丞、そして、雪之丞、おキヌ、横島の順でシュミレーションが開始された。
「まさか、ここまで強くなってるなんて・・・・・。」
美神が呆然と呟く。雪之丞は100体コンプリート。クマタカをつれて入ったおキヌは爪の甘さが災いして、83体目で隙を付かれ危険な状態になった所で、美神が終了させて終わり。それにしたって、美神の“後輩が強くなってるだろうに負けてたまるかー”という意地で挑戦した52体という記録を大きく上回っていた。
「さてと・・・・、最後は横島君ね。準備はいい?」
「ええ、いつでもいいっすよ!!」
気を取り直して言った美神に横島が答える。雪之丞が100体抜きを達成した事でかなり余裕な気分になったらしい。だが、その横で美神はこっそりと全ての敵の数値を平均20倍にアップさせていた。
「あ、あれ?な、何か強くねっすか!?」
外から見ていた時との強さの違いに戸惑う横島。最初の数体で結構ボロボロになってしまう。
「流石にやりすぎたかしらね。少し下げた方がいいかしら?」
強くなった弟子に対するちょっとした嫌がらせのつもりで数値を高くした美神だったが、流石にやりすぎたかと思い、数値を下げようとする。だが・・・・・
「はっ!!」
序盤、戸惑っていた横島は徐々に動きをまし、そしてどんどんスコアを伸ばしていく。その光景に目を奪われる美神。
「これで、ラストだああああああああああああああ!!!!!」
流石に精も根も尽き果てたのかへろへろになりながら最後の一体を霊波刀で切り裂き、ばったりと倒れた。
「・・・・・全く強くなっちゃって。」
それを見て横島が自分よりも強くなった事を美神ははっきりと認めた。そして、同時に・・・・。
「ま、今のあいつだったな頼っちゃってもいいかな。」
自分の中の想いを・・・・・。
(後書き)
今回は横島達の現時点での強さをわかりやすく表現する回です。それと美神が想いを認める回でもあります。
ところで、原作で強さ10倍って言ってますけど、犬飼ポチとかを10倍にしたら1体だけでも美神が勝てるはずないと思うんですけど、その辺どうなんでしょうね?それとも所詮CPUだから、技能レベルは低いんでしょうか?
現在のマイト数
横島 236マイト
美神 108マイト(意地でちょっとパワーアップ)
おキヌ 92マイト
雪之丞119マイト