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▽レス始

「心眼は眠らない その22(GS)」

hanlucky (2005-01-08 09:07)
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(西条の野郎!!美神さんに魔鈴さんの事を何て言いやがった!?)

横島は現在目の前で展開されている修羅場に完全に腰が引けていた。
普通の目には決して見えていないのだがここは横島。
横島には両者からは何らかのオーラが立ち上がっているようにしか見えなかった。
二人を見つめた後、その二人に挟まれた状態にある西条を睨みつける。

(ははは!!横島くん、がんばりたまえ!)

西条の顔もかなり青ざめていたが、皮肉は欠かさないようであった。
何故か手元には胃薬が置いてあったのが実に不思議だ。
横島がこっちを睨んでいるのに気付き微妙に引きつりながらも笑みを浮かべる。

”いや〜令子ちゃん、ロンドンでは横島くんは魔鈴くんと実にいい仲でね〜。
 本当にお似合いの二人だったよ!!”

西条は横島の隙を見ては美神へロンドンでの横島と魔鈴の関係を誇張して話していた。
毎日食事を食べさせてもらったとか、横島が魔鈴とデートをしていたとか。

とりあえず自分の障害になる者はコツコツと排除に取り掛かる地道な作業を続けている
西条であった。


さて、ここで肝心な両者であるが、


(この女・・・人の物に手出して唯で済むと思ってんの!?)
(横島さん、以前より大分成長していますね。やはり私の目は間違いなかったようです♪)


・・・美神令子、完全に無視されていた。


――心眼は眠らない その22――


『・・・そろそろいいか?』

いい加減話を進めたくなったのか、心眼がこの状態を断ち切る。
そこで胸を撫で下ろすのはもちろん男連中とシロである。

現在、一同が集まっている場所は美神の事務所で集まっている面々は
美神、横島、オキヌ、雪之丞、鬼道、シロ、西条、魔鈴、エミ、タイガーである。

まず、横島と心眼が昼中に犬飼と遭遇したときの事を改めて一同に伝える。
その事に雪之丞と鬼道がえらくへこんでいたのは仕方ないだろう。

『では肝心な策についてだが、横島と魔鈴どのとタイガー。三人が今回の鍵
 になるのだ。準備に抜かりがないように。』

そうして改めて策について打ち合わせを始める。

犬飼はフェンリルの復活によって絶対の自信を持っているのか決戦の場所を
こちらが指定しても言いといってきた。これをうまく利用して少しでも自分達に
有利な場所で戦える事ができるようになったのは大きい。

「じゃあ勝負は向こうがフェンリルに化けた時だというのだね?」
『左様、無論人型の状態で倒せるというならそれに越した事はないが、時期的に
 犬飼はいつでもフェンリルになれると見込んだほうがいいだろう。だからこそ
 早い段階で向こうに本気を出してもらう必要がある。』

今回の作戦でGメンから来るのは西条だけである。これは一般職員では犬飼に
対抗するのは不可能と西条が判断したのだ。これ以上隊員を失うわけにはいかず、
Gメンの代表として西条だけは残ることになった。

その後も皆は作戦の細かな部分を練っていった。


そして、満月の夜を迎える―――


「文句のつけようもない満月だ、殺しをやるにはちょうどいい!!」

犬飼は現在、己の嗅覚を頼りに横島たちが待ち構えている場所に向かっていた。
そしてその表情には負けを予感させない絶対の自信が浮かんでいる。
すでに犬飼の形体は人間の姿をしていなく狼とよべる姿をしていた。

一歩一歩、決戦場に向かっている時、突然犬飼は殺気を感じる。


シュゥゥゥゥン


「何っ!!」


目の前から光の矢が迫ってくる。

すかさず八房を振るいっ叩き落そうとするが、


ザシュゥゥン


一条の閃光は八房の刃を物ともせず、そのまま犬飼に迫る。
それを犬飼は八房を貫かせ同様するも身体能力をいかしてなんとか回避に成功する。

ホッとするのもつかの間、すかさず第二射が迫る。

「ふざけおって!!」

今度は全力で八房を振るい、その閃光の相殺に成功するが、
休む間もなく何故か、空中から殺気を感じる。

「連続霊波砲!!」

聞き覚えのある声が響くと同時に複数の霊波砲が犬飼を狙い追い詰める。
だがこの猛攻すら八房を駆使し回避しきる犬飼。

「前にあった時はえらい違うな。」
「けっ、相手がどれだけ強くなろうが関係ねえよ!!」

先に光の矢を放ったのは鬼道、そして現在空中にて霊波砲を放ったのは雪之丞であった。
犬飼は二人の姿を確認して、相手も前回とは一味違う事を理解する。

横島たちの作戦の第一段階は雪之丞、鬼道が犬飼を追い詰めフェンリルにすることである。
そのためにはこちらも余程の使い手を送る必要が、最近コンビで動いているこの二人
が最も適任と思われたのだ。

「以前、拙者と戦った二人か・・・舐められたものだな、たった二人で止めようとは!!」

犬飼は地上と空中の両方に八房を振るう。
その刃の速さは先日横島と戦った時よりもさら上がっていた。
それもそのはず、今は夜、そして今日は満月。
人狼族が己の力を最大限に引き出す事が可能なのである。

鬼道はすかさず夜叉丸の装備を剣と盾に切り替え防戦に徹し始める。
雪之丞はその飛行技能をいかし犬飼に単身、突撃を開始する。

「くたばりやがれ!!」
「ふんっ!!小癪な!!」

雪之丞の蹴りを八房で受ける犬飼。
そしてそのまま接近戦を開始する。

雪之丞の拳を犬飼は驚異的な身体能力で防ぎ、いなす。

「ぬるいな、とっとと終わりにしてやる。」
「なっ!?」

犬飼はさらにその動きを速くする。


ザザザッ

「ぐぉっ・・・ちっくしょう!!」

雪之丞は八房を至近距離で受けてしまう。
なんとか魔装が生身を守ってくれたのか霊力を吸収されなかったが、
そのまま遥か後方に弾き飛ばされる。

犬飼が雪之丞にとどめをさそうとするが、


シュゥゥン


「僕を忘れんといてや!!」

鬼道がそれをさせない。絶妙なタイミングで矢を放つ。
だが犬飼はそれを叩き落す。


何故犬飼がここまで強いのか?
始まりは里から脱走した後、最初に生贄になったのがGメンの連中であった。
除霊部隊であったGメンは一人一人が一般のGSに匹敵する能力を
秘めている。その連中から犬飼は霊力を大量に奪う事を成功し、その強さはすでに
里から脱走した時の比ではなかった。そして次の夜には横島とシロの霊力を奪い、
すでにその時点でフェンリルの復活は可能になっていた。

なら二度目の横島との戦いの際、何故犬飼が深手を負ったのか?
それは横島のふざけた奇策の効果もあったが、何よりその時の時刻が
昼であり、全力を出すことが不可能であった。

そして何より直前に横島がシロの胸を揉んでいたのが大きかったのかもしれない。
いやそうに決まっている、煩悩パワー恐るべし。

そして満月までの間までさらに修練を積み上げ、今は人狼にとって最高の環境である。
その強さは妙神山でさらなら強さを手に入れた雪之丞、鬼道でさえ相手ではない。


「思った以上にやっかいやで、伊達はん大丈夫か?」
「あぁ、くそったれが!!」

鬼道の傍まで飛ばされた雪之丞がようやく立ち上がる。
その間にも犬飼は再び前進を開始する。

「もうすぐ、子の刻(0時)が訪れる。そのときこそ拙者も全力で貴様らを葬ってやる。
 それまではせいぜい遊んでやるか・・・」

犬飼は依然余裕の笑みを浮かべている。

「伊達はん、聞いたか?」
「なめやがって!!それまでにてめぇをぶっ殺してやろうじゃねえか!!」

雪之丞と鬼道、二人の正念場である。


舞台は犬飼たちから少し離れた場所にある広場である。

そこでは何か巨大な魔方陣が描かれており、中心には横島と魔鈴とシロそしてタイガー
が陣していた。また美神、エミ、西条は魔方陣の外で三角形を組んでおり、魔方陣の
効果を高める役割をしていた。ちなみにオキヌは美神の傍にいる。

「遅いわね?それほどまでに苦戦しているってこと!?」

あの二人の実力をよく知っている美神はその二人を相手にしてまだフェンリル
にならない犬飼に驚嘆していた。

「ところで令子ちゃん、他の人狼たちはやはり協力してくれなかったのかい?」
「・・・それがまだ渋っててね。最後まで考えさせて欲しいって。」

美神の言葉にシロは思わず顔を伏せてしまう。
ちなみに美神が里に訪れた時はシロガネの容態も大分回復していたらしい。

「しかし結局文珠のストックは5個だろ?あの策が失敗したら予備の策が使えねえな。」
『ふん、おぬしがあの時、ひとつ無駄にしようしなかったら予備の策もできたのだぞ。』

今回の策、当初は二段構えのものであったが、先の犬飼戦で《肉》なんてものを
使ってしまったため、4個の文珠で行う策しかできなくなってしまった。
せめて後1個の文珠があれば二つ目の策があったらしい。

しかしあの時は文珠を使わなければどうしようもなかったのも事実であり、心眼も
強くは怒れない。


そして時刻は0時に差し掛かる―――


ヴォォォォォォォォォ


「来たわね!!」


美神たちの視界には巨大な生き物。

そう、北欧神話ではオーディンでさえ食い殺したといわれている、

伝説のフェンリル狼がいた。


「狼!?ほとんど怪獣じゃねえか!!」
『落ち着け、横島。所詮は紛い物、我らの策に掛かれば大した事などない。』

あまりの巨大さに慌てる横島だが、心眼がすぐに落ち着かせる。
フェンリルは雪之丞と鬼道と戦っているのかまだこちらには気付いていない。


ダァァン


ドォォォォン


フェンリルがいる場所では凄まじい勢いで森が破壊されていた。

だがしばらくすると、フェンリルは大人しくなり辺りは見渡すようになる。

「まさか、あいつ等やられちまったんじゃ・・・」
「!!皆さん、アチラはこちらに気付いたようですよ。」
「皆!!準備はいいわね!!」

フェンリルはこちらに気付いたのか視線をこちらに向けている。


ガァァァァァァァ


恐ろしい速度でこちらに向かってくるフェンリル。

だが一同は、集中しそのことは意識から外す。


「では、いくでじゃけんのーー!!」

タイガーが人間の顔からトラに変わり精神感応力を始める。

「いきますよ、横島さん。これがあのイメージです。」
『ワレのイメージも受け取れ。』

魔鈴と心眼がタイガーの精神感応力を応用して、横島にあるイメージを伝達する。

そして美神たちは魔方陣を通して、霊的コントロールをすこしでもうまくいくように
サポートを始める。この魔方陣は一種の霊力の増幅器等の役割を果たしていた。

だがこの間にもフェンリルとの距離は徐々に詰まっている。
見ていることしか出来ないオキヌは慌てるが皆の邪魔をするわけにはいかず
祈りをささげていた。

(こんな時、何で私は無力なんですか!!)

内心では己の無力さを不甲斐なく思いつつ。

魔鈴が今回の作戦に呼ばれた理由。
それはあるイメージを横島に伝達するのに心眼を除けば最も適した人材であったからだ。
現代の魔女と呼ばれるほどのあらゆる知識をもつからこその抜擢である。


――猫の足音――


文珠が伝説とまで言われるのはそのあまりの非常識さであるが、今回注目するのは
文珠は使用者を選ばないというところである。


――女の髭――


だが文珠とはその文珠の生成者が使用してこそ本来の力が発揮される。
その一番の理由は生成者でなければ文珠を連結して扱う事が
できないというところであろう。そして文珠とは二個より三個、
三個より四個と重ねあわせればあわせるほど強力な力を発揮する。


――岩の根――


そのため魔鈴が文珠を使用した所で、同時に使用できる文珠は一つに過ぎない。
例外としては心眼で心眼の場合は横島の霊力を間接的に扱う事が可能だからである。


――熊の腱――


そのため今回、タイガーの力を利用して魔鈴のイメージを横島をパイプ役に
する事によりあたかも擬似的であるが魔鈴が複数の文珠を使用している状態を
作り出す事が可能になるのであった。


――魚の息――


ここでポイントになるのは魔鈴のイメージだけでも、心眼のイメージだけでも
横島を介しているため足りないという事である。そのため二人が協力することによって
フェンリルの天敵とも言われる神話の武器を生み出すのである。


――鳥の唾液――


《魔》《法》《足》《枷》


”グレイプニル”

別名、魔法の紐、魔法の足枷と呼ばれ、ラグナロクが起きるまでフェンリルを封印
することができた神話の武器である。その材料は猫の足音等で今の地上にはないと
言われている。

しかし失われた魔法を再発見するほど魔鈴ならばその材料からどのような者が
出来上がるかを正確に把握するような神業が可能である。

そして横島が《魔》《法》《紐》としなかったのは少しでも強く具現するためである。
なお今の横島は精神が安定状態であるならば最大4個まで同時制御する事が
可能なレベルである。


そして今、横島の手には黄金に輝く紐が握られていた。


「シロ!!」
「はい、横島先生!!」


もはやフェンリルとの距離は殆どない。
出来たばかりにグレイプニルをシロに渡す。
これは犬飼だけでなくシロも満月の夜により強さが増しているためその動きは
皆の中で一番だからである。


第二段階、グレイプニルの生成―――完了


――心眼は眠らない その22・完――


あとがき

今作、文珠の独自解釈がありましたがなにか矛盾点があればいってください。
一応コミックスを何度も見直して調べたので大丈夫と思いますが。


皆様、前回はたくさんの名前を考えていただき本当にありがとうございました。
予想を上回る多さにちょっとびっくりしました。
前回は予備調査ということもありこの中から作者が心眼の”アレ”等に最も
イメージがあった名前を数名選び、そこで皆様が投票するという形にさせてください。
本当に名前を考えてくださった皆様ありがとうございました。

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