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「無限の魔人 第十九話(GS)」

紅眼の狼 (2005-01-07 19:38)
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無限の魔人 第十九話 〜宣戦布告〜


ブレーカーを元に戻し、電気が回る。


「龍美・・・香港へはどうやって行く? 言葉は? その間の金は? 地理に疎くて守れると思っているのか?」

「うぐっ・・・。」


はぁ・・・この性格は直し様が無いみたいだな・・・。


「良いか龍美。俺はお前が危険に突っ込むのを解っていて送り出してやる事はしない。」

「罪無き人々が死んでも良いというのか!?」

「世の中奇麗事だけじゃない、弱肉強食もまた理。自分を守れずに死ぬのはある意味自業自得って事だ。俺が動くのは唯の気まぐれか、俺の領域が侵された時だ」


そう、奇麗事なんて何の役にも立たない。

俺はそれを知っている・・いや、経験している。

数百万の命を奪った俺だからこそ・・・。


「・・・。」

「万人を救おうなんて考えは捨てろ。世の中そんなに甘くない。この世界に神は居るが何の役にも立たないのと一緒だ。・・・お前はこれから人が死ぬのを知っている、それは何故だ? 元々は知るはずの無い事だ、気にしても仕方がないとは思わないか?」

一気に捲くし立ててやった。

これで考え直すなら・・・いや、有り得ないだろうな。

なんたって“あの”小竜姫から生まれたんだ・・・それに、元々知る筈の無い事なんて言ったが、それを言ったら元々存在していない俺は一体どうなるんだか・・自分で言ってて嫌になるな。


「龍美、お前は何がしたい?」


単純に聞いた方が早いか。


「わ、私は!・・唯、罪無き人が死ぬのを知って放って置けぬだけだ!」

「助けたい?」

こくりと頷く。

「何故?」

「そう思うからだ」

「大体どうやって助ける?」

「それは・・・解らぬ」


捨てられた子犬のように落ち込んでいる。


「その辺で許してあげたら?」


ラピスが言う・・・別に怒ってるわけでもないんだが。


「龍美ちゃんも打つ手無いんだから、諦めたら?」

「嫌だ」


「頑固だねぇ・・・ねぇ界人? 何か他にあるんでしょ?」


余計な事を・・・はぁ、そんな期待を込めた目で見るな・・・あーぁ。


「確かに直接助ける事は出来ないが、注意を呼びかける事くらいなら可能だ」

「本当かっ!?」


龍美の顔が喜色一辺に染まった・・・かわいいんだけど・・・・はぁ。


「但し、この方法はメドーサに危険が掛かる」

「「なっ!」」


龍美とラピスが驚いたようだが、メドーサはソファに座ったままだ。


「どう言う事だ!?」

「簡単だ、俺と龍美は存在が認められていない為、俺達のような者が警告した所で信用されない。ラピスは死んだことになっているから絶対に無理。必然的にメドーサしかGS協会に忠告できる奴が居ないだろう?」


「それは・・・」

「さらに、メドーサが直接GS協会に『香港で大規模な風水士殺しがありますよ』なんて忠告したところで、『罠』と思われる方が確実、教えた所でアシュタロス一派にばれたら全く意味も無くなる。」


沈黙。


「全く、界人も意外と意地悪ね・・・私の事は気にしなくても良いよ。どっちにしろ界人が守ってくれそうだしね」


メドーサがそう云ってウィンクしてきた。


・・・・否定出来無い所が虚しい。


「すまぬ、メドーサ」


頭を下げて言う。


「いいさ、これであんたと界人に貸しが出来たからね」


あぁ、俺も甘いな・・。


「さて、メドーサ行くか・・・二人は留守番な、休んでても良いぞ」


「「ああ(OK)」」


雨が止み、風だけが吹く暗い夜道。

俺とメドーサは腕を組みながら歩く。


「で、どうすればいいのさ?」


こちらを見上げながら聞く。


「そうだな・・・GS協会に宣戦布告って形で良いんじゃないか? 下手に忠告なんてすると確実に疑われるからな」


「ん、解ったよ」


優しい穏やかな時間が流れる。


「ねぇ、聞きたかったことがあるんだけど」

「何だ?」

「どうしてあの時、私のところに来たの?」

「行く所が無かったからな、メドーサならきっと泊めてくれるって思ってさ」

「それは何故?」

「俺の世界での話さ、随分経ってから『メドーサは本当は良い奴だったんじゃないかって』そう勝手に思った訳」

「“だったんじゃないか?”?」

「ああ、俺の世界じゃお前は死んだからな」

「・・・そう、まぁ私は今、幸せだから良いけどさ」

「・・・ありがとう」


「さて、行ってくるよ」

「ああ、すまないな、龍美の我侭に付きあわせて」

「いいさ、お陰で二人きりになれたし」


メドーサはそういうと今まで抑えていた魔力を解放し、GS協会の建物に進入して行った。


さてさて、どのくらい暴れてやろうか。

入り口から入るのも芸が無いし、3階の窓から侵入。


バリーンっ!

「なっ!何者だっ!」

「先ほどからの魔力波動はお前か!」


結構広い部屋には白髪の爺さん二人に、30くらいのおっさんが1人。


「その通りさ!」


ブオン


魔力をさらに解放、私を中心に物が吹き飛ぶ。


「おやおや、私のお陰で部屋が綺麗になったじゃないか、感謝して欲しいね」


部屋の中心には既に物はなく、私が立っているだけ。


「くっ!これほどの魔力とは、急いで応援を呼べ!」


「はっ!」


おっさんが1人部屋を出て行った。


「へぇ、私相手に爺二人でやるってのかい?」


この二人からは中々の霊力を感じる。

恐らく人間で言うA級位の力は有るだろう。

1人は神通棍を右手に、左手には3枚のお札を持っている。

もう1人は独鈷を両手に持ってるけど、まだまだ懐にありそうだね。


「さぁ、何を見せてくれる?」


階下には3人程の気配。

残念だけど間に合わないよ。


シュシュッ


お札を投げ、神通棍で殴りかかってくる。


「この程度のお札なんて効果は無いよ」


お札は無視し神通棍を取り出した矛で払う。


カキンッ


そのまま腹部へ軽く蹴りを入れる。


「ぐふっ」


ドゴンッ


「1人目」


もう一人を見ると独鈷が握られていない!


「ちっ!」


いつの間にか私を中心に独鈷が五芒星型に埋め込まれている。


「天地玄妙神辺変通力離!(てんちげんみょうしんぺんへんつうりきじ)」


霊力が独鈷に伝わり、五芒星が描かれる。


私に対して余り効果は無いが、それなりに痛い。


「く・・人間にしては結構な力を持ってるね・・だけど」


まだまださっ!


バチバキバキッ


矛で独鈷を薙ぎ払う。

強引だが相手の能力が私と比べ低いので問題無い。


「なにっ!」


驚いて固まってる相手に詰め、殴り倒す。


「ふむ、こんなもんかね」

後は・・・・・・来た来た。


バタンッ!


「会長!!」


最初に出て行ったおっさんが二人ほど応援を連れてきた。

どうやらさっき殴り倒したのは会長らしい。


「き、貴様っ!!」

「今日は挨拶に来たんだ、そういきり立つんじゃないよ」

「何だと!?」

「あははは、もうすぐ香港で面白い事が起こる、風水士共が次々に死んでいくだろう。頑張って防いでみな、これはゲームだ」

「なっ!ふざけるな!!」


破魔札を投げつけられたが当然矛で落とす。


「くそっ!」

「落ち着いてください、こう言う時こそ冷静に!」


おっさんを二人が羽交い絞めにして抑えている。


「ふ、ゲームは楽しまなくちゃね。私はメドーサ! 精々足掻くんだね」


そのまま入ってきた窓から出る。


「くそっ! 直に手配を!」

「はい!」


「お疲れ様、どうだった?」

「問題無いよ、爺二人を伸して来たけど殺しちゃ居ないし」

「じゃあ、帰ろう」

「ああ」


これで原始風水盤の製作が中止になることは無いだろうが、中々梃子摺る事になるだろう。

龍美もこれで納得してくれるなら良いが・・・いや、無理だろうな・・・仕方ない。


無限の魔人 第十九話 〜宣戦布告〜


end


あとがき
メドーサが失敗したので次は界人が説得。
そして裏で動くの巻(え
今のところ21話を執筆中。難しいですね・・・同時進行って。


レス返し

>九尾さん
テレサは今物凄く考え中です。出来れば助けたいですけどねー。
同時進行にて視点チェンジの妙技を!?(え
中々難しいのですががんばりますっ!

>法師陰陽師さん
>ベルゼブルって他には七つの大罪で『暴食』を司っていて、本来ならアシュタロ>スの上司で七大魔王の一人なんですよね。
こう言う知識はありがたいですねー。私はあんまりこう言うオカルトネタに詳しいってわけでもないですので、また色々教えてください。

>死んでない犬飼やヴラドー
コピーって言う考えは納得できますね。そうすれば色々と辻褄があいますし。

>紫竜さん
横島君からすれば完全な裏方ですよね。
その内ばったり遭遇させたりしたいなーなんて。(ふっふっふ

>B.Bさん
引いては行けない一線が龍美の中ではあるんでしょうねー。小竜姫も多分同じでしょうね・・・頑固。

>トレロカモミロさん
あけましておめでとうございます。
実家に帰省ですか、私も実家で餅つきまでしました。(関係ないけど
>………う〜ん、激しく心配だ。まあ、姫の窮地に王子様が駆けつけるのは当然な>のできっと大丈夫でしょうなw
王子様は界人君でしょうねー。でも、そういう物語には必ず何か一筋縄では行かない物があるので・・・素直には行かないでしょうね。

>柳野雫さん
>・・勘九郎もやっぱりやられちゃうのかなぁ
どっちの「やられちゃう」なのかが気になっていたり(笑
勘九郎って難しいキャラですよね・・・本心で言えば出したくないなーと。(え

>通りすがりにdisturb order
主人公絶対主義というか、寧ろ作者絶対主義です(ニヤリ
それと、別に不快には思いません。私も他の作者さんの作品を読んでいてそういうことはよく思ったりしますので。(感想書かずROMでごめんなさい)
賛成意見だけではスパイスが足らず甘めになりそうですので、どんどん言ってください。それを参考にするかどうかは分りませんがw

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