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▽レス始

「彼が選んだ道−1−(GS)」

リキミ・スキッド (2005-01-07 17:12)
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世界の修正力というものは強大にして無慈悲たる圧倒的な力の本流だ。
アシュタロスの行動はその本流から抜け出す為に画策されたものであった。
そして横島の行動はそこから抜けるのではなくそこから消えるための行動だった。
故に横島という未熟な後釜が用意されていて、世界そのものから消えたのではなく世界の中で生きて死んだアシュタロスと比べれば横島の行動は完全に意味合いが違っている。
アシュタロスという穴を横島という栓で蓋をして起用することでバランスを保とうとしていた世界は、それすらも凌駕する世界への反逆により書き換えが要求された。
横島は死んだのではない。
消えたのだから、最初からいなかったものと処理したのだから、横島忠夫という存在の後釜を無理やりにでも当てはめなければならなくなったのだ。
横島がした行動を他の誰かに、横島のたどった運命を他の誰かに、今度こそ自分の思い通りに動く、世界に住む数多くの者達が滅びることのない世界を作り上げる、英雄として祭り上げられる存在を横島のいた位置に据えなければならない。
時は過ぎていた。横島の生きた時の分だけ時間は過ぎていた。だが、それを知る者が存在しない世界が此処に誕生した。


美神令子は事務所の前に雇用者を募る張り紙を張っていた。
札や、その他もろもろの仕事に使う道具を持つ肉体労働者と整理整頓が得意というほうでもない美神を補佐する事務係を募るためだ。
そしてその様子を見ている男がいた。
「――あの後姿・・・・・・ママに似ている。うっうぅママーーーーーーーー!!」
「はっ殺気!」
美神の背後から美神を抱きしめるたびに飛び出した男は美神の完全なるカウンターである肘うちを顔面に叩き込まれ、その場に沈んだ。
「あがががががが。」
「なによこのガキは。」
「あがががががががが。」
「いつまでも寝転がってないで立ちなさいよ!!」
「ばっ馬鹿やろう!! あんな肘打ち食らってすぐに復活できるわけねぇだろうが!!」
「うるさいわね! いきなり背後から飛び掛られたら問答無用で攻撃するのは当たり前じゃない!!」
「はぅっ。怒る姿もママに似ている。」
「ったく、何で私に抱きついてきたのよ。」
そう言われて雪乃丞は逃げるように視線を這わせ、そしてある単語で目が止まる。
それは美神の張った張り紙に書かれている単語。
GS。ゴーストスイーパー。
「あんた、GSなのか?」
「そうよ。って、私の質問をはぐらかすな!!」
「ちっ違う。はぐらかそうとしたわけじゃねぇ! だからその拳はしまえ! 蹴りを放とうともするな!!」
「わかったわよ。でも、次は無いと思いなさい。」
「でっ弟子。弟子にしてくれないか? 俺、ゴーストスイーパーになりたいんだ!!」
「はぁ?」
「ママに、俺はママに強くなるって誓ったんだ!!」
「黙れマザコン。」
美神は問答無用で雪乃丞を殴った。
人の往来がある時間帯にそれも事務所の前でママなどと叫ばれてはイメージダウンだからだ。
「それって、私の弟子になりたいって事よね。私、弟子とる気ないのよね。」
「頼む! 弟子が駄目ならアルバイトとして雇ってアンタの戦いの仕方をまじかで見せてくれ!」
その言葉になにかぴきーんと来るものがあったのか、美神はにやりと笑みを浮かべた。
それは妖艶であり、背筋が凍る程の悪寒をもたらすあくどい笑み。
「報酬は私の戦いをみることも考慮に入れて、時給350円!」
「えっ、あっいやそれでかまわねぇ!」
一瞬、その金額は無いだろと思った雪乃上だが強くなるためには耐えなくてはならない試練だと思い、すぐにそれに喰らいついた。
ここに美神の奴隷、伊達 雪乃丞誕生である。


その場所と同時刻に彼は目覚めていた。
魔界に存在する山にある洞窟の中でゆっくりと彼は立ち上がる。
「――生きている。」
彼は自分の手を眺め、そして自分の体に手を触れさせた。
そこにはかつての自分が、といっても感覚的に数分前までの自分を覆っていた甲羅のような皮膚は無い、人としての弾力を持った、人に似た体を彼は持っていた。
人に似た体という表現を無意識のうちにしていた彼はそれに気づき、笑みを浮かべる。
「人に似た体だが、強度などは魔族のモノだな。俺に、魔族として生きろとでもいうつもりか? 宇宙意思。」
彼、横島忠夫は侮蔑にまみれた声でそう言い放つと近づいてくる気配を感じた。
「敵か? いやそもそもここに俺を狙う輩がいるのか?」
ぶつぶつ呟きながらも気配を消していく。その手には右手には文殊、そして左腕には霊波刀が形成される。
近づいてくる気配は突如、横費島の気配がなくなったことで警戒の色を強めた。
「・・・・・・。」
横島に近づいていた気配は無言で、指のみの動作で後方に続く仲間に指示を送ると横島にしてみればまだまだと言うしかないのだが、それにしても立派な陰行法で気配を消す。
横島は近づいてきていたものの気配が限りなく薄くなっていくのを感じながら、文殊を発動させた。
その文殊は対極図にも似たデザインの二つの文字を込められる文殊。そして刻まれている文字は無敵。
これは横島が天界、もしくは魔界の刺客に狙われていたときに編み出した戦闘前に必ず行う行為。
未熟な横島が少しでも敵を倒しやすくするために作り出した苦肉の文殊。
その文字のとおりに最強とまではいかないが、それでも攻撃力と共に防御力もある程度は上がるお得な文殊なのだ。
「ぐっ。」
そして、それを発動した後に横島は体の違和感を感じた。
しんどいのだ。霊波刀を出現さしたままにしているのが辛く、そして霊力もどんどんと消費されていく。
「やばい。この体、なんの修行もされていないナマクラだ。」
呟いた直後、飛んできた霊波砲をぎりぎりのところで横島はかわす。そしてそれと同時に霊波刀も消す。
霊気の量が魔王だった頃と比べて格段に劣っている。
霊波刀を維持させながら戦うという戦闘スタイルは効率が悪いということを如実にそれはあらわしていた。
「懐かしい戦い方をさせやがる。」
攻撃のときのみに発動させ、すぐにまた逃げる。情けないが、己の実力にあった戦闘スタイルを横島は思い出す。
だがそんなものを思い出したところで事態が好転するわけでもなかった。
文殊の使用、霊波刀の維持によって横島の霊気は限りなく失われている。
「あかん。このままじゃかてねぇ。」
敵は一人ではない。大勢の敵、それもかなりの強さを持っている相手にこのままでは勝てない。
「こっこうさーーーん!!」
そう言って警戒を解くと同時に首筋に衝撃を受ける。一瞬で意識が混濁し、普通に機能するのは耳ぐらいになってしまう。
「膨大な霊力を感じたと思って部隊を率いてきてみれば生まれたばかりの魔族が一人か。」
「どうします大尉?」
「――連れて帰る。生まれたばかりにしては高い戦闘能力だ。利用の仕方によっては役に立つ。」
「はっそれでは。」
「撤退だ。軍への連絡を忘れるな。」
大尉と呼ばれた女性、ワルキューレは足元で伸びている横島を見る。
「本来ならば脅威になる可能性の為に葬るのだがな。」
魔界では弱肉強食が当たり前だ。
生まれつき戦闘能力の高いものは後々脅威にならないともいえないために殺すのが常識である。
だが、その常識を知っていながらもワルキューレの中に横島を殺すという考えは浮かばなかった。
育てれば強くなる。ぞくりと体が震えるのをワルキューレは感じるのであった。


あとがき
横島君魔族化。宇宙意思さんもなにかしらの思惑があって自分を狙う横島君を魔族にしたんでしょう。もしくは、本来なら有り得ない出来事で横島君を亡き者にしようとした反動のどちらかでしょう。横島の後釜には雪乃上を当てました。横島の誰もが認めるライバルであり、親友である彼ならば横島がやってきたものを彼なりの方法で超えていくでしょう。

>wey様。 他の二次創作などを呼んでいた際に結局横島が原因でどの世界でもなにかしらおこるんじゃねぇのとかんがえたからです。アシュタロスという抜けた穴を埋めるには丁度いい位置にいますしね。どの道を選んでもハルマゲドンの危機に接してそうです。横島君は。

>秋斗様  他の二次創作などを呼んでいるとやっぱり究極の選択なんですよね、これって。完全に魔族になるか、人として死ぬかのどちらかしか選択は無いと俺も思っていますし。半分魔族化というのもありますけど、細胞レベルでのことを心の力や霊気などで何とかできるとは思えませんし、やっぱり人として死ぬか・魔族化しか選択はないと思います。魔族化を遅らせるという手もあるけど、決断するのが遅いか早いかの問題ですしね。

>九尾様  最高指導者も対処はしたんですよ。ですが、時代のうねりというものもありますし、抗えなかったんでしょう。というよりも横島君を引き金としてますが両者の鬱憤のたまった連中が爆発したんでしょうね。片方は横島を守るといって、片方は世界の秩序とかいって綺麗な言葉並べてすき放題やったに違いありません。

>D,様  GS美神には時間移動能力で本来ならば数多の可能性を持つ未来を一本道にしちゃう人もいましたのでそれと同じ理論です。未来の横島君の前にそのまた未来の横島君が現れた時点で未来の横島君が過去の横島君のところに行くことは決定してしまったんですよ。
そういう意味では未来が一本化した親殺しが確立される世界というわけです。実際には親殺しではなく、存在の消去でしたけどね。
未来だのまた未来だのややこしいな横島君は。
それとルシオラの件ですが、死んだ人はどこまでいっても死んだ人なんですよね。私、生き返ったの? と死んだ人が言ったところで本当にその人が死ぬ前のその人だったという証拠は皆無ですから。死んだらそこで終わり、復活したところでそれは所詮、死んだ人に似た誰か
というのが僕の考えです。

>アント様  Fateっすね。自分で呼んでてもアーチャーと士郎の戦いを彷彿とさせます。というよりも過去の自分と戦うというテーマに沿えばどうしてもああいう形になるんですよ。笑って見逃してあげてください。

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