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「無限の魔人 第十七話(GS)」

紅眼の狼 (2005-01-05 00:08)
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無限の魔人 第十七話 〜未来からの預かり者〜


[美神除霊事務所]


「嵐が来るわね」


美神さんが外を見ながら呟いたので、俺も釣られて見てみた。

外は昼間だと言うのにどんよりと暗く、そして厚い雲が空一面を覆っていた。


ゴロゴロゴロ


どこかで雷が落ちた、かなり近い位置だ。


「あ、降って来た」

「本当だ・・・これはかなり降りそうですね」

「おキヌちゃん、今日の仕事は?」

「えっと、『公園に出るワニの幽霊』ってのが有りますけど」


すかさず俺が。


「この雨の中外に出たい? 寒いのに私はやーよ、おほほほ」


小指を立てる細かい芸を見せる。


「・・誰の真似のつもりかしら?」


ゴゴゴゴゴッ!


という幻聴まで聞こえるほどの迫力で睨んできた。

だが俺ももう慣れたもの、すかさず話を逸らす。


「じゃ行くんですか? 公園に」

「濡れるのは嫌よ、キャンセルするわ。」


これだ・・・この人は高い仕事なら雨の日だろうが嵐の日だろうが行くんだが・・・。


「でも、この仕事GS協会の方から急ぎでお願いしますって」


おキヌちゃんが困ったように言った。

そう、この依頼はGS協会の方から回ってきた物だ。

GS協会は勿論美神さんがこんな低料金(と言っても俺には大金)で仕事をする訳が無いと知っているのだが、何と「君のラプラスでの失敗を・・・」との事らしい。

あの美神さんを脅すとは・・・協会も中々にやる物だ。

そういう経緯からか、この依頼は美神さんにとっては急いでやる物でも無いらしい。

と言うか、やりたくないと言うのが本音だろう。


「じゃ、この仕事俺がやりますよ?」

「え? 100万にもならない仕事よ?」

「横島さんやるんですか?」


時給が982円になったとはいえ、未だ給料日まで遠く、前借りもさせて貰えない状況なら仕方が無いというものだ。


「ええ、除霊料金は俺が貰って「1割ね」も・・・・・。」


思った通りだった。


「80万の仕事で1割・・・・8万か・・判りました、じゃ行って来ます」


8万もあればしばらく食うに困らない、と言うか未だにそんな大金一日で手にしたことも無い。


「まぁ死なないようにね」

さらっと言ってくれたが、きっと彼女なりの応援だろう・・・多分。


「頑張ってください!暖かい食べ物を用意しておきます」


何故かガッツポーズで応援されてしまったが、おキヌちゃんはやっぱり良い子だ。


「うん、お願いするよ」


俺は外に出、そして公園へ向かった。


「横島さん1人で大丈夫ですかね?」


「大丈夫に決まってんでしょ、この頃サイキック・ソーサーも自力で出せるようになった見たいだし、ランクDの動物霊なら問題ないわ。」


「え!?このワニは昨日ランクCに再設定されたんですよ。協会からFAXが来たじゃないですか」


「げっ!・・・・ま、まぁ大丈夫でしょう。逃げ足だけは確かだから・・・無理なら戻ってくるわ、それに公園から出れば無害だし」


「横島さん・・・・」


うう寒い、さっさと終わらせておキヌちゃんが作ってくれた暖かい物でも食べよう。


相変わらず雨は降りつづける。


「さーて、どこだーワニー?」


ここ最近の俺は、美神さんが回してくれるようになった簡単な除霊で失敗は無い。


これも心眼のお陰だな・・・。


美神さんは教えると言うよりも、いきなり実践に投入して育てる獅子のような人だった。


お陰で俺は・・・常に除霊の後はボロボロだった。

そのせいも有ってか(生き残る為に)、今ではサイキック・ソーサを同時に両手に生み出せるようになった。


ワニって言うくらいだから池だよな。


池に近づくにつれ、徐々に霊の気配が大きくなる。

近づく人間に襲い掛かるワニの霊・・・昔ペットブームで珍しいからと飼われていたのが、大きくなり過ぎて捨てられ・・・そして死に、悪霊化した物だと言う。


「人間に振り回された一生か・・・恨むのも解るが、関係ない人達に害を及ぼすのは認められないんだ。」


池のほとりに立った。


グオオオオオオオオン!!


ざばああああああん!


水の中から巨大なワニの霊が現れた。


「で、でかすぎるっ!4mはあるぞ・・しかも強そうだし、ひぃ帰りたいっ」


恐怖で逃げ腰になりながら、取りあえず先制攻撃を。


ヴン!


ドガアアアン!


ギロリ


「げ、効いてないし。ランクDってこんなに強いのかよ・・・なら!!」


効かぬなら、効くまで投げる、俺の盾。


「ってそんな事考えてる場合じゃない!うわああああああ」


グオオオオオオン


大きな口を開いて、俺の後ろを追いかけてくるワニ。

霊と言っても成り立ての様で、未だ地面を這って来るのが嬉しい。


「空でも飛ばれたら逃げられんっ!」


必死に逃げる俺。


必死に追いかけるワニ。


ヒィィィィ!


必死に逃げる俺。


必死に追いかけるワニ。


しつけええええ!


必死に逃げる俺。


必死に追いかけるワニ。


しまったっ!

霊に体力なんて存在しないんだった!


必死に逃げる俺。


必死に追いかけるワニ。


ぬぉおおおおお!


必死に逃げる俺。


必死に追いかけるワニ。


はぁはぁはぁ


「いい加減にしろぉお!」


振り向き様、両手に生み出したソーサをワニの口に投げ込む。


パクッ









「そんな馬鹿なあああああ!?」


ワニはソーサを咥えてしまった。


「考えろ、考えるんだ俺。ああ、こうなったのも美神さんのせいだ。
俺の時給が低いせいで、こんな仕事を1人でやる羽目になったんだ。
くそぅ、大体1割ってなんだよ1割って・・・命懸けてやる仕事が8万だぞ?
やってられるか・・・くそう、俺は待遇の改善を当然の権利として要求したああい!・・・・ブツブツブツ・・・・・・・・あ!」


フン!


未だワニの口で光り輝くソーサに霊力を流し込んだ。


ドガアアン!


咥えていたが為に、ワニの口からソーサ2つの爆発を内側から喰らい、ワニの霊は消滅した。


「はぁはぁはぁ・・・全く関係ないことを考えていたはずなのに・・・まぁ良いか」


・・・今考えると何て恐ろしい事を口走っていたんだ俺は・・・周りに誰も居なくて良かった。


「さて、帰るか。おキヌちゃんも待ってくれてるだろうし――――――


カッ!!  ドガシャアアアアアン!!


閃光が視力を奪い、轟音が鳴り響いた。


「なっ!落雷!?」


すげー・・・こんな間近で見られるなんて・・と言うか、良く俺に落ちなかったな。


雷が公園中央付近に落ち、モクモクと煙がたっている。


雷が落ちた場所ってどうなんのかな?


好奇心から、煙が晴れるのを待った。


煙の中から子供を抱いている美人が現れた。


「なっ!?子供の頃の美神さん!?」


抱かれているのはパイパーの能力で子供にされた美神さんそっくりだった。

抱いているの人は美神さんに似ている。


「誰かは知りませんが、詳しい事をお話している時間が有りません。この子をお願いします。きっと迎えに来ますので、どうか令子を・私の娘を・・」


「え、え!?」


訳がわからないうちに、美神さんにそっくりな人から寝ている子供を受け取って居た。


「嵐が行ってしまう・・・では―――――――――


カッ


ドグワアアアアアアアン!


「き、消えた!?」


全く訳が解らない・・・雷に撃たれて消えた美人に、眠る子供、そしていつの間にか止んでいた雨。


「・・・帰ろう」


それが賢明だと思った。


[美神除霊事務所]


「ただいまー」


「「お帰り(なさい)」」


「遅かったじゃな・・・わ、私!?」


「子供の頃の美神さん!?」


俺が預かった子を抱いたまま帰ると、そこには驚いた表情の美神さんとおキヌちゃんが居た。


「あ、やっぱり美神さんは居ましたね・・・てことは、パイパー再臨て事は無いですよね」

「い、一体どうなってんのよ!?」

「はぁ、俺にも何がなんだか・・・取りあえず腹減ったんですけど」


ズコッ!

こけた美神さん・・・うーん今日の下着は白。


「あ、あんたねー・・・まぁいいわ、おキヌちゃん用意してあげて」


飯を食った俺は公園で何があったかを報告した。

「つまり、私そっくりの美人が雷に撃たれて消えた。その時に私の娘をよろしくと言った訳ね?」

「そうっす、あれは本当に美人でしたよ。」

「多分・・・いや、間違いなくママね」

「「え”! ママ!?」」


「・・タイムポーテーションの可能性が高いわ」

「時間移動ってやつっすか?」

「そう・・・ママは腕の良いゴーストスイーパーだったの。何か・・・危険な敵に狙われて・・・・子供の私を守る為に未来に来たのね」


3人が一斉にソファで寝ている子供時代の令子さんを見た。

すやすやと可愛い寝顔を見せて寝ている。


「え・・だったって言いました?」


おキヌちゃんも気づいたか。


「ええ、私が中学校の時に亡くなったわ」


「美神さん死ぬことはちっとも・・・えーと、だから・・・あの・・・・うううう」


おキヌちゃんが泣き出してしまった。


「良いのよ、おキヌちゃん気にしなくても・・・ありがと」


なんて優しい子なんやー。


「ま、それにしてもママにそんな能力があるなんて知らなかったわね。でも、どうして横島君の所に現れたのかしら・・・直接私に頼めばいいのに」


うーんと3人で唸っていると――――――


「あ”あ”えああぁあおおあああああああぁあああああえん」


音波兵器(子供)が起動した。


うるせええええ!!

さすが子供、こちらの都合はお構いなし!


「あ、あのね、ちょっと聞いて――

「ママーーー!ママーーどこなのーーッ!!?」

「ほ、ほらこっちのお兄さん面白いでしょー?」


おキヌちゃんが俺を指差して子供に語りかける・・・俺か!?


「べろべろべー!」


仕方なく、面白いと思われる行動を取る。


「・・・ううううわあぁああ、ママーー!」

く、手ごわい・・この顔がうけないとは・・・ならば次はこれだ!


しばらくして―――。


「はーぁ、はぁはぁ」

「強敵やった・・・しかし、何とか勝利を収めたぞ!」


れーこちゃんを見てみると、おキヌちゃんが必死に宥めていた。

ぐすっぐすっ

「・・だからほんのしばらく我慢してようね。いい子にしてればママはすぐお迎えに来てくれるから」


「あれが私になるなんて・・・世の中不思議で溢れてるわね・・。」


美神さんが疲れたように言っている・・・が、俺もそう思うので何とも言えない。


「れーこ・・ママが来ゆまでまってゆ・・」

「えらいわ、れーこちゃんは強いのね」

ニコっと笑顔で

「うん!れーこママの子だもん!つよくてかっこいいごーすとすいーぱーになゆの」

なんて言ってくれた。


美神さんがれーこちゃんに抱きついた。


「かわいい!!さすが私だわ!」

「かわいい!!これがあの美神さんになるとは信じられんっ!」


俺は思わず涙してしまった・・・美神さんどこで捻じ曲がってしまったんだっ。

今なら唐巣神父の苦悩がわかる気がする・・。


「さーてと、ママが迎えに来るまでこの子の面倒みなくちゃね」

「一体いつまでっすか?」

「・・・さぁ?」

「だぁっ!自分の事じゃ無いっすか、覚えてないですか?」

「それが全然・・」

「仲良くしましょうね、れーこちゃん」


おキヌちゃんだけは楽しそうだった。


無限の魔人 第十七話 〜未来からの預かり者〜

end


あとがき
ようやく始まったハーピー編。香港はまーだまだです。
事務所でのやり取りは原作とほとんど変りが無いので、別に読まなくても良い場面になってしまったのが悲しいです。(でも直さず
次回は・・・界人君です!

レス返し 

>岩飛酉さん
メドーサの行動は次の次辺りで明かされます!(多分

>九尾さん
GSって丁度良い具合に謎を残してくれてますので、勝手に話を作りやすいですよねー。私が一番気になったのは美神の少しだけの時間移動・・・あの場面ですね。
あそこを起点に何か話が出来ないかなーっと思って作ったのがこれです。
愛は勝つ・・・良い言葉です うん。是非幸せになってもらいたいですね。

>法師陰陽師さん
参加する場合は・・・・スパイ?
しない場合は・・・裏切り者として狙われる? それとも隠れて平穏に暮らす?
今のところはこの3つが選択肢ですね。・・・スパイって面白そうかも。

>シンさん
>小竜姫がそのままでも復活可能だったのでしょうと語ってますがあれはどう贔屓目に見ても助かるはず無いですからね。
だって横島のあのケガ、心臓と肺が完全にミンチになってますよ。時間移動で事象そのものを改変しなきゃ助かるはず無いですし。

ええ、まったくその通りだと思います。カオスが、ヨーロッパの魔王と呼ばれたDr.カオスが「死んどる」って言ったんですよ!? その場に居なかった小竜姫に何がわかるんでしょうかね・・・。

>AZCさん
>話が変わりますが、ぜひ香港編の特別編で出た女優をレギュラーで
お願いします!!(土下座
そ、そんなぁっ!あんな一般人怖くてレギュラーにはできませんよぅ。
速攻死んでしまいそうな予感・・・。
>長いあいだ仕事でパソコンの前に座れなくてレスが書けませんでした。この場でお詫びします、また暫らくレスが書けません(せっぷく
いえいえ、大丈夫ですよ。むしろレスが多くて返すのがめんど(いやいやいや)大変ですので。(え

>通りすがりにdisturb orderさん

は!精神的誘導ですね!?(違
私はそんな物に引っかかりませんよ!(やっぱり違
私はあくまで私の道を行くのです!!

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