魂は肉体に少なからず影響を与える・・・。
横島の葬式は、雲一つ無い青空の下、行われた。
歴史上類を見ない葬式。
神族、魔族、妖怪、幽霊、人間が集まる葬式。
皆、たった一人の人間の死を悲しみ泣いていた。
「く・・・・お前ほどの戦士が・・・・・」
「横島君・・・・・」
魔族のワルキューレとジークは横島の眠る棺おけの前でベレー帽を深く被り、
「うわーーーーん！！」
「ポチ・・・・・」
パピリオはおお泣きし、ぺスパは泣いているパピリオを抱きしめながら涙がこぼれるのを我慢していた・・・。
「横島さん・・・・・」
「横島サン・・・・・・・」
小竜姫も涙を流した。ヒャクメも泣いた。
「横島君・・・・・」
「横島・・・・」
平日に行われたにもかかわらず、横島のクラスの生徒は全員来ていた。
そして全員泣いた・・・。
「忠夫・・・お前には、こんなにも泣いてくれる人がいたんだな・・・・・」
横島の父、横島 大樹。
忠夫の死亡の報告を受けて、ナルニアから、百合子共々帰国。
「・・・・・・・・」
横島の母 横島 百合子。
百合子は、葬式中、何も喋らなかった。
疲れきって、泣きつかれて・・・・。
何も喋れなかった・・・。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
何も喋らないのは、百合子だけではない・・・。
あの時、事務所にいたメンバーは、式に参加しているも、何も喋らなかった。
言う台詞が・・・・無い・・・・
横島は転生できない。
そこにあるのは、魂の無い肉体。
何を言っても・・・横島には・・・届かない・・・。
横島が行くのは、天国でもなく、地獄でも無い。
完全なる無の世界。
言葉も、意思も、感覚も無く、上も、下も、時間も無い世界。
そんな世界に旅立ってしまった横島の肉体に、なんて声をかければいい？
来世で会うこと出来ず、自分達はいずれ死んでも、転生するのだ。
言いたい事は、横島の魂が成仏する前に言った。「行かないでくれ」っと・・・・。
涙は、横島の葬式の前に涙は流して、とうに枯れた。
何も出来ない・・・・。
何も言えない・・・・・・。
葬式は、悲しみの静けさに包まれ、聞こえるのは、横島の死を今日はじめて目の当たりにした者達の悲しみの声だけだった・・・。
プヮーーーーーーーン・・・
横島の遺体が霊柩車に乗せられ、火葬場へと運ばれる。
霊柩車のクラクションが鳴った時・・・、
（もう・・・・千年待っても・・・・無駄なのね・・・）
黒服に身を包んだ美神令子の目から涙が流れた・・・。
（・・・涙なんて・・・・とうに枯れたと思ったのに・・・・）
横島の遺体を乗せた霊柩車が発進する。
（横島クン！！）
両手で顔を隠す美神。
そんな美神を見て、周りの人間も涙を流す。
「令子・・・・・」
美智恵が優しく美神の肩を抱く。
「うわああああああああああああああああ！！」
美神は美智恵の胸の中で、大声を出して泣いた・・・。
ドーカーーーーン！！
突如、葬儀場から１００メートルぐらい離れた霊柩車が突如爆発した。
「なに！？」
爆発に驚いて、泣くのを止める美神達。
火葬場に移動するために、車に乗り込もうとしていた連中も爆発した方を見る。
「困るんだよ・・・・遺体を燃やされたら・・・・」
爆発した霊柩車に駆け寄った美神達が見たものは・・・
「道真！？」
悪霊道真が、横島の遺体を抱きかかえて浮いている姿だった・・・。
「せっかくの文珠使いの遺体だ・・・・私が有効に使わせてもらうよ・・・・」
さて、少し横島忠夫について話をしよう・・・・。
美神令子に会うまでは普通の高校生？（かなり煩悩が高めだが）だった。
だが、美神令子に出会い、様々な経験を積んでいき、今では人間唯一の文珠使い。
物の怪に好かれたり、色々なトラブルに巻き込まれたりする横島忠夫。
だが・・・どのトラブルに巻き込まれても横島は死ななかった。
時空消滅内服液を飲んでも消滅しなかったし、美神の時間移動能力で西暦１２４２年のスイス、イタリア国境付近に飛ばされてヌルの攻撃を受けても、（この時は美神がまた時間移動したが）蘇生可能だった・・。大気圏に生身で突っ込んでも生きてた・・・。
そしてルシオラと世界の選択の時。
横島はどちらを選んでも死ぬ事は無かった・・・。
横島の死
それは宇宙意思が拒絶する。
ってなわけで・・・・。
「どうする？」
「どうするって・・・・まあしょうがないでしょ・・・」
「せやな・・・こうして用意してくれたんやし・・・・」
「ですね・・・ルシオラさんの転生先まで教えてくれたし・・・」
「ほな引っ付けようか？」
ぺタ♪
「ほい完了♪」
「あとはこれを・・・・・」
「第一球！！キーやん振りかぶって・・・・・投げた！！」
ビュン！！
「はい・・・完了・・・」
「ストラーーーイク！！」
「ふざけんなーーーーーーーーーーーー・・・・・・！！（ドップラー現象）」
「お？もう気付いとったみたいやで？」
「さて・・・・この面子じゃ私とて分が悪い・・・・だが・・・」
道真の手には横島の文珠。文字は『爆』。
「この遺体。今ここで破壊する事も出来るのだぞ？」
そう言うと横島の遺体に文珠を近づける。
死体を人質にするという最低な行為に・・・
ブチ！！
「「「「ふざけんな（でござる）！！」」」」
美神除霊事務所
「「ふざけ（るんじゃないワケ）（んじゃないノー）！！」」
小笠原エミ除霊事務所
「「死者に対して・・・・・許さん！！」」
神父、ピート
「あなた〜嫌い〜！！」
冥子
「あなた・・・許さない・・・・」
「マリア・・・・殺れ！！」
「了解」
アリス・カオス・マリア
「ぶっ殺す！！」
「許しませんわ！！」
「ふざけんな！！」
雪之丞・弓・一文字
「貴様・・・・殺す・・・」
「なんで息子を！！」
大樹 百合子
「許さない！！」
「許さん！！」
美智恵、西条
「許しません！！」
魔鈴
「死者に対してなんたることを！！」
「ふざけるんじゃないのよね！！」
小竜姫、ヒャクメ
「貴様・・・・・殺す！！」
「・・・・・・殺す！！」
ジーク、ワルキューレ
「あんた！！なにふざけたこと言ってんだい！！」
「ヨコシマを離すでちゅ！！」
ぺスパ、パピリオ
他にも
「ふざけるんじゃないアルよ！！」
「ぶっ殺す！！」
「ざけんな！！」
厄珍や横井島のクラスの強気な男子達（メガネ）
と、この場にいた全員が本気でキレた。
だが・・・
「動くな・・・・小竜姫よ。超加速を使えばこれを取り返すことなんて造作も無いだろう・・・。だが、貴様が動いたらデタントはどうなる？」
「く！？」
小竜姫はデタントを盾にされ動けず、
「さて・・・・研究材料が減るのは少々残念だが・・・・」
手出し出来ない連中に投げ出されたのは・・・
『縛』
の文殊×３つ。
「きゃあ！！」
「くそ！！」
その場にいた全員が動けなくなる。
「な？なんだ！？」
「う、うごかねえ？」
「な、なんなんだ？」
「ど、どうなってるの？」
急に動かなくなった自分の体に戸惑うメガネ達＆横島夫妻
「くそ！！指輪さえ外していればこんな物！！」
雪之丞がもがくが、縛は解けない。
「さて・・・・私はこれから色々とこれを調べさせてもらうよ・・・・・」
動けないでいるメンバーを上から見下し、嫌な笑みを浮かべる道真。
その顔を見て、美神達の中には悔し涙を流す者もいた。
「それでは・・・・」
道真がこの場から去ろうとする。それはもう勝ち誇った顔をして・・。
だが、道真は気付いていない。
ピカーン
「待て！！」
「ざけんな！！」
「くそ！！」
皆が口々に叫ぶ中・・・
（横島クン！！）
（横島さんを返して！！）
かなり上空から・・・
（先生を返せ！！）
（ふざけないでよ！！これ以上奪われるなんて！！）
横島の遺体目掛けて・・・
（くそ！！死んだ後さえ守れないのか！？）
（俺は横島の遺体まで救えねえのかよ！！）
何かが落ちてきているのを・・・・
（（（（横島！！））））
この場にいた道真も含めて誰も気付いていなかった。
ズゴーーーーーーーーーーーーーン！！！！
「うんが！？」
上から落ちてきた何かが、横島に直撃した瞬間、道真ごと地面に叩きつけられた横島。
「なに！？」
落ちた衝撃で立ち込める砂煙。
「なにが起こったの！？」
急な展開で何があったか調べたいのに、縛のせいで動けない。
「あ〜死ぬかと思った・・・・」
煙の中から聞き覚えのある声。
「ん？うわ？なんだこの格好！？・・・・死に装束？」
「あれ？こいつどっかで見たことあんな・・・？」
煙の向こうで、死に装束を着た男のシルエットが自分の服装に驚いたり、下敷きになって伸びている道真に驚いたりしている。
「ここ・・・どこだ？」
煙が晴れる。
そこに現れたのは・・・・・
「あ、美神さん・・・それに皆・・・・どうしたの黒い服着て？」
のんきにそんな事をほざく、死に装束を着た横島だった・・・。
｛あとがき｝
あけましておめでとうございます！！義王です！！
横島について
横島復活！！
まあ横島だし・・。
宇宙意思について
あれは前々から思ってた俺的な考えです。ダブった人がいたらごめんなさいっス。
葬式について
自分は葬式を経験したことがありません。
なんか変な部分があってもまあ笑って許してください。
次回
タイトル考えてないです。
多分次の次で最終話。