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▽レス始

「皆の笑顔の為に・・・ 第二十三話(GS)」

ファリス (2005-01-03 11:27)
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今、一人の男が教会の庭で刀を振るっている。
その刀捌きや足運びからかなりの熟練者だと言う事が見受けられる。
しかし、この刀捌きを見た者は刀の型を見ていると言うより、剣舞を見ていると言う感想を言うだろう。
それほど今男、横島がやっている事は洗練された動きだった。

横島は神龍剣の型を続けながら、刹那に話しかける。

「(どうだ、刹那?
基礎の応用技までは、型では再現が出来る様にはなったと思うが?)」
(うむ、問題ない。だが、お主はもう少し自分身体を大事にせねばならんな。
自身の霊力で隠してはいるが、既に身体中が傷だらけではないか・・・)
「(時間が足りないんだよ・・・これぐらいしないと、皆を守るなんて事は出来ない。
それに雪菜とお袋達がナルニアに行ってからもう三ヶ月だからな。
暦も十一月に入って寒くなってきたし、あの時と同じ時になるまで二年と半年しかもう無いからな)」

二人が心の中で会話を続けていると、
同じ師を持つ事になった美神が横島を窓から呼ぶ形で、その横島の姿に見惚れていた。

「横島クン、ここにいる・・・の・・(うわぁ〜〜、綺麗ぃ〜〜)」

そんな美神に気配で気付いた横島は、最後に刹那を鞘に収めると一気に抜刀し、
その格好でピタッと動きを止め、暫くの間その状態でいたが、
身体の力を抜いて自然体になると刹那を鞘に収めて美神の方を向いた。

「ふぅ〜〜・・・。で、どうしました美神さん?」

横島が近くに置いていたタオルで汗を拭きながら美神に話しかけると、
美神は真っ赤になりながらも返事を返した。

「せ、先生が横島クンを呼んでいるから呼びに来ただけよ!!」
「分かりました。唐巣さんには、直ぐに行くって伝えておいて下さい」

横島の返事を聞いた美神は頷いた後勢い良く窓を閉めると、
後ろを振り返って走り去って行った。

「? 走っていかなくてもいいんじゃ?・・・よ〜、分からん」

そんな美神を見て、出入り口に向かって歩きながらそう呟いた横島に、
刀の中で刹那が頭を抑えていたとか・・・。


横島が礼拝堂に着くと、待ちかねたと言わんばかりに唐巣が横島に話しかけてきた。
そして、唐巣の話の内容を聞いた横島は固まってしまう。

「やっと来たね。それで話なんだが・・・。
横島君には妙神山に行って貰おうかと思っていてね」
「な、何ですか!?何で俺が妙神山に行かないといけないんですか!?」
「実はね、妙神山の管理人である小竜姫様から手紙が来てね。
それで、お願いしたい事があるから来て欲しいと言う事なんだが、
私もちょっと用事があってね。それで、代わりに横島君に行って貰おうかと思ってね」
「はぁ〜〜・・・。分かりました、そういう理由なら行って来ます。
今日は土曜ですから、学校を休まないで行けますからね。行くのは、俺一人でいいんですよね?」
「ああ。助かるよ。これは妙神山の麓までの交通費だよ」

唐巣はそう言うと懐から封筒を出して横島に渡し、
それを受け取った横島は教会を後にして妙神山へと向かった。

横島が教会を出て行くと、唐巣は額に掻いた冷や汗を拭うとこう呟いた。

「た、助かったぁ〜。ま、まさか妙神山からこんな内容の手紙が来るとは・・・」

唐巣を恐怖させた小竜姫からの手紙の内容とは?
秘密です♪(by小竜姫 他数名)


唐巣がそう言い終ると同時に礼拝堂に美神が入ってきて、
横島が何処に行ったのか聞くと、唐巣は“何故か”遠い目をして

「横島君はいないよ。遠くへ・・・そう、遠くへ行ったよ・・・・・・」

と言って、それを聞いた美神がダラダラと汗を掻いていた。


さて、そんな会話があったとは露知らず。
横島はこの数時間後に、妙神山が天国とも地獄とも言える場所になっているとは欠片も思っていなかった。


〜〜数時間後、妙神山の門前〜〜

「つ、着いた・・・。この山道ってこんなにきつかったか?」

そう言いながら、少し肩で息をしている横島だが、
この山道をたったそれだけの疲労で登りきれる人物はそういないだろう。

「(おっ!これ懐かしいなぁ〜)」

横島の眼の前には、
『この門をくぐる者
汝一切の希望を捨てよ
     管理人』

と書かれた板と鬼の面があった。

それを懐かしそうに見ていた横島だが、そんな横島に話し掛ける者がいた。

『お主、何様で参った!』
「うおっ!しゃっ、喋った!(わざとらしいかなぁ〜)」

そんな横島の考えも杞憂に終わり、鬼達は話を続ける。(何も考えてないとも言う)

『我らはこの門を守る鬼、許可なき者我らをくぐることまかりならん!』
『この右の鬼門!』
『そしてこの左の鬼門あるかぎり、
お主のような未熟者には決してこの門開きは「うるさい!!声量を落とせ!!」ぬぬぬ・・・』

横島がそう言うと鬼門は唸りだすが、その門は簡単に開かれた。

「あら、お客様?」

そう言って出てきたのは、横島にとっては懐かしい人物だった。

『しょ、小竜姫様ぁぁぁぁぁ!!』
『不用意に扉を開かれては困ります!我らにも役目というものが・・・!!』
「カタイことばかり申すな!ちょうど私も退屈していたところです」

そんなやり取りを懐かしそうに見ていた横島は、
小竜姫が自分を横目で愛しそうに見ている事に気付かなかった。

「それであなた、名はなんと言いますか?紹介状はお持ちでしょうね」
「俺は横島忠夫と言います。
で、俺は修行で来たのではなく、唐巣さんの代わりで着ました」
「なるほど、そうですか。それなら鬼門と手合わせする必要はありませんね。
では、中に入って下さい」
「分かりました。って、えええええええ!!??」

横島が小竜姫の言葉に頷くと、“何故か”小竜姫は横島の腕を組んで中へと入って行った。

『のう、右の・・・』
『何も言うな左の・・・』
『『はあ〜〜・・・我らの出番はこれだけか・・・・・・』』

安心しろ、鬼門達よ!後、数回は今度出してやる!!


中に入った二人はと言うと、

「しょ、小竜姫様!?なななな、何で腕を組んでいるんですか!!?
(む、胸が微妙にあたる感触が!き、気持ちいい!!)」
「・・・・・・・・・」

しかし小竜姫は横島の問い掛けに答えず、無言で歩みを進めていく。
そんな小竜姫に横島は話し掛ける事が出来ず、そのまま腕を組まれたまま一室に連れて行かれるのだった。


小竜姫に連れて行かれた横島は、小竜姫に案内された部屋に入ると、
雪女に凍らされた位に、ナイトメアに心を凍らされた位固まった。

それはもう盛大に
ピキッ
と言う音を響かせて。

その一室では、この時にいる筈の無い人物達が和気藹々と茶を啜りながら語らっていた。
二人は軍服を着込み、一人はタイツの様な者を着ていて、もう一人(?)は猿。

そんな四人だが、小竜姫が部屋に戻ってきた事に気付き、
小竜姫の他に男性が一人いる事に気付くと、嬉しそうな顔で横島に話しかける。

「久しぶりじゃな、小僧。元気じゃったか?」
「お久しぶりです、横島さん」
「横島さん、お久しぶりなのね〜。さすがに中学生だと若いのね〜」

固まった横島に、猿・・・基、老師、それとジークとヒャクメが挨拶を言う。
しかし、小竜姫とワルキューレは無言のままだった。
そんな二人に気付かず、横島はこの有り得ない事態に壊れだしていた。

「あ、有り得ない・・・なんで、今ここに、ワルキューレ達がいるんだ?
そ、そうか!これは夢だ!夢なんだ!きっと、現実では山道で倒れているに違いない!
うん、きっとそうだ!?そうに決まってる!あ、あはははははは!!」

壊れる一歩手前まで横島が逝くと、この部屋に来てから初めて小竜姫が口を開いた。

「・・・これは夢ではありませんよ、横島さん・・・。私達は“あの時代”の私達です」

小竜姫に続いて、今まで無言だったワルキューレも口を開く。

「・・・ああ、私達は“あの時代”の記憶と想いを持っている」
「な、なんじゃそりゃーーーーー!!責任者出てこぉーーーーーーいぃぃ!!」

小竜姫とワルキューレにそう言われた横島は庭に飛び出ると、空に向かってそう叫ぶ。
すると、空から一枚の便箋が降ってきた。
それを横島が取り中を読むと、再び叫んだ。

「ふざけんなぁーー!あの別れの時の俺の気持ちを返せぇぇーーー!!」

横島の元に届いた手紙の内容。それは、

【言い忘れていました。神族と魔族は肉体がありません。
ですので、その存在自体が記憶を持っているので、想いを過去に飛ばすと、
その存在自体が過去に来てしまいます。
なので、デタントのテストケースとして、ワルキューレ大尉とジークフリード少尉を、
妙神山に行かせておきました。存分に喜んで下さい。  神界最高指導者】


横島がそう叫んでから部屋に戻ると、部屋には小竜姫とワルキューレしかいなかった。

「あれ?老師達はどうしたんですか?」

腹を括った横島は(何に!?)、あの時代と同じ様に話しかけ、
老師達がいない事を小竜姫とワルキューレに聞くが、二人は答えない。

「あのぉ〜、小竜姫様?ワルキューレ?・・・何で黙っているんですか〜?」
「・・・横島さん」
「はい、何ですか?」
「・・・私達は怒っているんだぞ?」
「え?(な、何で二人は泣いているんだ!?)」

横島がそう思った様に、横島を見詰める二人は涙を流しながら見詰めていた。

「・・・私達が怒っている理由は分かりますか?」
「・・・・・・」

小竜姫の言葉に横島は無言で首を振る。

「・・・私達が怒っている理由は、またお前が一人で全てを抱え込もうとしているからだ!!」
「っ!?」
「・・・横島さんの事です。この時代では、私達とは一定の距離を保って付き合って行き、
自分の所為で降りかかる事は全て自分で解決しようと考えていたのでしょう」
「・・・・・・・・・」

入り口に立ったまま俯き、二人の言葉を黙って聞いていた。

「何で!何でですか!?何で、全てを一人背負い込もうとするんですか!?」
「約束したじゃないか!決して一人では背負い込まんと!」

涙を流しながら叫ぶ二人に、横島は何処か泣きそうな顔で言葉を返す。

「・・・仕方ないじゃないですか。
いくら想いがこの時代に来ていても、ある意味全員が別人ですよ?
俺が覚えていようと、向こうは俺を覚えていない。
なら一定の距離を保って、影ながら助けて何時か姿を消せば、
俺と言う存在は誰の心にも残らないじゃないですか。
それに、そうすれば俺一人が背負い込めばいいことでしょ?」

横島が二人にそう言うと、

パンッ! パンッ!!

と言う甲高い音が部屋に響いた。

横島が言い終わると同時に小竜姫とワルキューレは立ち上がり、
横島に近づくとそれぞれ一発ずつ左頬を叩いたのだ。

「ふざけるな!!お前は私達の想いがその程度の物だとでも思っていたのか!?」
「確かに、私達はあの時代の私達です!
でも、あの時代の記憶の無い、美神さんの横島さんへの態度はどうですか!?
ヒャクメにお願いして見ていましたけど、今でも意地っ張りで思った事を行動できていません。
でも、明らかに横島さんに好意を寄せているじゃないですか!?」
「・・・・・・・」

その二人の言葉に、横島では無く刹那が答える。

『ふぅ〜、小竜姫とワルキューレとやら。そう、横島を責めないでやってくれないか?』
「だ、誰ですか!?」
『これは、申し遅れた。我は刹那。横島が持つ刀に宿る者だ』
「横島を責めるなとはどう言う事だ?」

小竜姫が刹那の名前を何処かで聞いた様な気がして考えている間に、
ワルキューレは刹那に質問した。

『横島はな、恐れているのだよ。お主達も、神族と魔族なら陰陽の理は知っているのだろう?』

その言葉にワルキューレは頷き、小竜姫は一つの事に思い至った。

「刹那とは、『武神龍帝・刹那』の事ですか!?」
『・・・嘗てはそう呼ばれていた事もある。それで、お主は陰陽の理は知っているのか?』
「はっ、はい!」
『クックック・・・そう畏まるな。
それでな、横島が恐れている事だが、その陰陽の理に関係しているのだよ』
「「?」」
「おい、刹那。何を言おうとして『うるさい、お前は眠っていろ!』・・・・」

刹那の言葉に待ったを掛け様とした横島を、刹那は精神に衝撃を与える事で眠らせた。
そして、眠って崩れ落ちる横島を小竜姫とワルキューレが支え、
どっちが膝枕をするかで揉めたが、ジャンケンでワルキューレが勝ち、
ワルキューレがする事になった。そのワルキューレの浮かべる表情は至福の表情だった。
それを、目に涙を溜めながら睨む小竜姫と言う図柄が構成されていた。

『それでな、横島が恐れている事だがな。
お主達は、横島が抑止力と言う事は知っているか?』
「「・・・はい(ああ)」」
『うむ。でな?その抑止力にも陰と陽の存在がいるらしいのだ。
我も定かな事は分からん。だが、横島はその存在を本能で感じ取っているらしくてな。
そしてその存在は、抑止力状態の横島よりも力は上のようなのだ』
「「!?」」

刹那のこの言葉には、小竜姫とワルキューレは驚きを隠せなかった。
それもそうだろう。聞いていたのだから。
抑止力の時の横島が、神界と魔界の最高指導者と同等以上の力を持っている事を。

『これで、横島が何を恐れているか分かったな?
その抑止力の陰の存在が何時襲ってくるか横島にも分からない。
そして襲って来た時に、その存在を止める事が出来るのは横島だけだろう。
しかし、今のこやつでは一分も足止めなど出来ないだろうな。
たった三ヶ月と言う期間でここまで力を取り戻したと言うのにな。
自分の身体が傷だらけになるのも構わずな・・・』
「「横島(さん)・・・・・・」」

何故横島が、一人で背負い込もうとしたのか理解した小竜姫とワルキューレは、
そんな横島の優しさと身勝手さに喜びと怒りを感じながらも、
横島の名を優しく慈しむ様に呟き、横島が目を覚ますまで頭を優しく撫で続けるのだった。


あとがき〜
どうも、皆さん。
明けましておめでとうございます。今年も頑張って行こうと思います。
さて今回は、神界と魔界の方達のご登場でしたね。
そして、何で横島がここまで頑張れるのかも書いたつもりです。
それが皆さんに伝わっていれば、嬉しい限りです。

P.S 誰か、雪菜と神龍神刀を持った横島、横島に絡みつく刹那。
それと美神がいる絵を描いてくれませんか?私、絵が描けないんです・・・。


レス返し〜
柳野雫さん、大神さん、紫苑さん、九尾さん、D,さん、t.カズさん。
書き込みありがとうございます。
やっぱり、神父の栄養失調が目立つんですねw
はい、これからも頑張らせていただきます。

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