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「心眼は眠らない その17(GS)」

hanlucky (2004-12-31 01:52/2004-12-31 03:19)
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「父上!!父上!!」
「シ・・ロ・・・よ・・・」

すでに横島はヒーリングを止めていた。いや完全に霊力を消費して気絶してしまって
いたのだ。そして目の前ではもうすぐ訪れる別れが存在していた。

「なんでござるか!?父上、なんでもいいから死なないで!!」
「ふ・・ふふ・・シ・・・ロよ、強く・・生・きろ」

横島が放った最後のヒーリングもすでに大した効果は現れなかった。
犬飼の凶剣はあまりにも深すぎたのだ。シロガネの体からはすでに生気など
感じられない。我が子に最後の言葉を告げるために最後の力を振り絞り、
言葉を綴る。

「強く・・・生きろ・・つ・よ・・・・・」
「ちちうえ?・・・・父上、父上


 父上ーーーーーーーーーーーーー!!!


――心眼は眠らない その17――


「はっ!!・・・なんだ、夢でござるか。」

(はい、夢オチです。)

思わず出てしまった涙を拭いた後、辺りを見渡す。
シロが部屋を見渡すと、自分の父親であるシロガネが寝ていた。
シロは近づいていき胸が上下に動いている事を確認して胸をなでおろす。
父親の無事を確かめた後、次にシロが向かった場所は横島のところである。

横島達が寝ている部屋では現在、鬼道と雪之丞の姿は見られず、昨夜ヒーリングに
成功したのを確かめたあとぶっ倒れた横島が眠っていた。
シロは横島がまだ寝ているのか確認するために布団に近づいて横島に声をかける。

「横島どの、起きているでござるか?」
「んっ、ん〜シロか、どうしたんだ?」

横島はすでに起きはじめているようだった。横島がシロの顔を見てみると、
何かの覚悟を決めた悲壮感が漂っていた。

「横島どのにお願いがあるでござる!!横島どのは犬飼を退治するのでござろう?
 それに拙者も連れて行って欲しいでござる!!」
「えっ!?」

シロは昨夜、横島が倒れた後の鬼道と雪之丞の会話を聞いていた。犬飼が人里に出れば
間違いなく殺人を犯す。それを防ぐ手段を考えていた。

「おっ横島はん、ようやくお目覚めですか。」
「ほら、起きたんだったらとっととあのクソヤロウをぶっ潰しにいくぞ!!」

朝食を済ませて来た鬼道と雪之丞が部屋に入ってくる。
シロは二人にも自分の同行を願い出るがあまりいい顔はしない。
それもそうだろ。シロの実力は間違いなく自分達よりかなり下に位置する。
足手まといを連れて行くのは避けたい所であった。だが、

『横島、連れてってやった方が後々面倒が無くて済むと思うんだが、
 コヤツ、我らが連れて行かねば勝手に一人で行くぞ。』

心眼の鶴の一声で鬼道が賛成派に回り、横島も仕方なく了承した。そうなると
雪之丞も反対しても無駄と悟ったのかしぶしぶ了承する。
ちなみに鬼道にとって心眼は心の師匠になっているようだった。

「かたじけない!!横島どの、よろしくお願いするでござる!!
 そこで何でござるが、拙者が強くなるために霊波刀を教えて欲しいでござる!!」

シロにとっては横島は父親の命の恩人。自然と懐くのは当然だろう。
一番教わりやすい上、霊波刀を体得している横島に教えを請う。
横島は心眼にも勧められシロに霊波刀を教える事を約束する。

「ふっ、とうとう俺も教える立場になってしまったか。」
『何をバカいっておる、勘違いするな。』

カッコつける横島に心眼が忠告する。
心眼には他人に教える事によって自信の能力を再確認してもらえればという思惑が
あったらしい。

その後、シロは長老の許可も取り、犬飼退治に参戦する事が決まった。


―――1日前の美神サイド


「私の名はワルキューレ、美神令子、お前を守りに来た。」
「ワルキューレって!!・・・この気配、あんたもしかして魔族!?
 しかも守りに来たって、どういうことよ!?」

美神はすぐに距離を取り霊体ボーガンを構える。
対するワルキューレは特に慌てた様子も無く言い放つ。

「もう一度いう、私の任務は美神令子、お前の護衛だ。よく考えて見ろ。
 お前を殺すだけならこんなまどろっこしいことなどせす、すでに始末している。」

ワルキューレが嘘など吐いていない事は美神にもわかった。
なぜならワルキューレから発せられる雰囲気は間違いなくメドーサ級なのだ。
そのような相手が人間一人を抹殺するのに紛らわしい手など使うはずが無い。
だがらといって簡単に信用するわけにはいかない。今さっき横島から
昨夜自分を狙った魔族の存在が確認されたばかりなのだ。

美神はしばらく考えた後、


「とりあえず詳しい話を聞かせてくれない?まぁ上がって。」


美神はワルキューレを自分のオフィスに向かい入れる。
オキヌはご丁寧にワルキューレに粗茶を出す。

「で、いろいろ聞きたいことがあるんだけどまずは、昨日の魔族も私を狙っていたのね?」

ワルキューレは美神の質問に答え始める。昨夜の事件、実はワルキューレも
あの魔族をいつでも狙撃できるような地点に潜んでいた。ワルキューレは、
魔族が戦闘を終了させた瞬間発する油断を待っていたのだ。あいにくそのような
機会は訪れなかったが。

「その前に正式に自己紹介されてもらおう。我が名はワルキューレ、
 魔界第二軍所属特殊部隊大尉である。ではその質問についてだがその通りだ。
 大体の事は聞いているのではないのか?その魔族を倒したの者の中には
 お前の助手もいたはずだが。」

それからワルキューレは美神の質問に答えられる事のみ答え始める。
今回、美神を狙っている魔族は合計三鬼。その内の一鬼はすでに死亡。
残りの二鬼は自分と同等に近い実力を持っていること。こうやって名乗り出たのは
すでに状況は伝わっていると思われるので本当のことを話して直接護衛した方が
効率が良いと判断した事。

「ところ美神令子、横島は何故ここにいない?」
「横島クンなら2,3日休むって。でアイツがどうしたのよ?」

突然、横島のことを聞いてくるワルキューレに多少の驚きを感じる美神。
ここでさらに、


「何、使える戦力を使わなくてどうする。単純な戦闘能力なら美神令子、
 お前より上だぞ。

「なっ!!!」
「横島さんっていつの間にか、そこまで強くなってたんですか〜」

ワルキューレから凄まじい言葉が飛び出てくる。その後もワルキューレは
何か言っているが美神には聞こえない。オキヌはいつも通りマイペースだ。

ワルキューレが何故このような事をいったのか、それは先の戦闘で横島が
サイキックモードに入った瞬間の人間としては異常なまでの霊圧の上昇や
あのアパートに向かっていった魔族の霊波砲を消滅させた印象があまりにも大きかった。
そして止めは、魔族に向かって投げたサイキックソーサーの爆発をつかっためくらまし。
霊的コントロールの優秀さ、戦術としても悪くは無い。

第一印象って大切なんだな〜ということがよく分かる。ワルキューレは他にも
香港の事件、ロンドンの事件の調査し、美神と横島の実力を見極めていた。
その結果、短期決戦に持ち込んだら、横島が十中八九勝つことが推測されたのだ。

(確かに最近の横島クンの成長振りは認めるわよ。だからってこうもはっきり
 言われるほど、アイツの方が私より上だっていうの?あんな霊能を覚えて
 一年にも満たない期間でこの私を超える実力を持ったっていうの・・・)

美神は葛藤する。あの猫親子の事件で横島の実力が自分に迫りつつあるのはわかっていた。
だからこそ自分も再び妙神山に行き、あの猿神と命を賭けた試練に打ち勝ったのだ。
だが目の前にいる魔族はそれでも横島の方が上だという。ロンドンでは
西条が負けた怨霊を最終的には一人で倒したと聞いた。西条とはすでに仕事を
何度か一緒にした事があるので大体の実力は把握している。冷静に判断して、
西条の実力は自分が二度目の妙神山の試練を受けるまでの実力を超えている。

ここで美神は横島には百戦錬磨の心眼がサポートについている事を忘れている。

これはPCにもいえることだが、性能とはハードとソフトの両方が均等に
優れていなければならない。いくらハード(横島)がよくてもソフト(横島+心眼)が
悪ければその実力を発揮する事はできない。
そして横島には心眼がついているのだ。実力以上のものが発揮できるのは当然である。

(認めなくちゃいけないの?・・・でも認めてしまったら・・・)

認めてしまったら、美神令子という存在が揺らめく。

これからどう横島に接すればいいかわからない。


・・・


で、結論。


「考えてみればそんな事他人に決められる筋合いないわ!!ていうよりあのバカが 私より強いからって勝負になれば単純バカに私が負けるわけないもの!!」

なかなかタフネスなお方である。しまいには”だったらこき使ってやる”と
横島の使い道も決めていた。

「やっと帰ってきたか。では本題だが、おまえにはしばらくの間、ここからの外出
 を禁じてもらう。」
「なッ何でアンタにそんなこと決められなくちゃいけないのよ!!」

ワルキューレの提案に憤怒する美神。ちなみに美神からすればワルキューレの印象など
すでに最悪に近かった。いきなり横島の方が自分よりも上といってくれたのだ。
好印象を抱けというには無理がある。

「そういうな、残りの二鬼を倒したらすぐに拘束も解除してやる。それまでの間は
 辛抱してもらいたい。嫌だと言っても強制的にいてもらうからな。」
「くっ!!」

ワルキューレからすれば人間を守る事など任務でもなければやっていられないのだ。
だがやるからには最善を尽くす。残り二鬼にはこの結果も大した意味を持たないだろ
うが、それに属する下級魔族には十分通用する結界なのだ。この中に入っていれば、
注意する相手は二鬼で済む。

美神からすればワルキューレの気遣いなど知ったことではなかった。自分の身は自分で
守るのが当たり前になっていたからだ。何よりおとなしく言いなりにされるのが
気に食わない。ワルキューレが来なかったら西条の力も借りて、自ら打って出る
つもりだったのだ。だがそれも、目の前の魔族は意地でもさせないといってきた。
相手の言うとおり、抵抗した所で何の準備もしていない今、無駄であろう。

美神はとりあえず今は降参した。


一日経過――― 


ワルキューレが来てからすでに一日が経過している。その間、本当に一度も事務所から
出さしてもらえずすでに機嫌は最悪であった。
昼過ぎに横島から電話で夕方にはそちらに行くといっていたが、とりあえず意味も無く
しばく事を決定する。

「ね〜何度も言ってるけどせめて監視みたいにずっとこの部屋にいるのはやめてくれない?」
「・・・」

時刻はすでに夕方、オキヌも今はワルキューレから退去命令を受け、横島の部屋に
避難していた。美神の声はもうすでに無視されていた。

それからまた部屋は沈黙に支配される。
だがここで美神にとっては待ちに待った瞬間が訪れる。


「殺気っ!!」
「えっ!?」


ワルキューレの姿が変身し、魔族形態に変わる。
そして手に現れたライフルを窓に向ける。


バァァン


そのまま発砲するワルキューレ。

「ちっ!!外したか!!美神令子、来るぞ!!」

美神は答えず戦闘準備に入る。準備といっても神通根を構え、窓際から距離を
取るぐらいであったが。

「で、相手はどっちなの?デミアンってヤツ?ベルゼブルってヤツ?」
「ベルゼブルだ、ヤツの特徴は覚えているな?」

美神はワルキューレから残り二鬼の特徴を聞いていた。デミアンという方は
魔界でもかなり名が通っている割には、その能力などは明かされていないらしい。
ベルゼブルは別名”蝿の王”と呼ばれていて自らの体を小さくしたりできる。

突然、窓ガラスが飛び散る。

「死ねーーーー!!」

ベルゼブルは手のひらぐらいの大きさで現れ美神に突撃する。

それを迎撃に走る美神。同時にワルキューレは自らの体をベルゼブルに合わせる。

美神の神通根が鞭状に変化させそれを振るう美神。

「フン、そのような者にあたるとおもうか!!」

交わしながら美神の肩を切り裂く。

「くっ!!」

苦痛に声を漏らす美神、ワルキューレもベルゼブルの反応速度についていく事ができない。

「貴様も死ね!!裏切り者が!!」
「早いっ!!」

ベルゼブルはワルキューレの背後を取り翼を引き裂く。

「ギャァァァ!!」
「ワルキューレ!!」

そういいながらも美神はドア付近に駆け寄る。


「逃がすか!!」


そんな声等、知ったことかとそのまま廊下にでる。


それを追跡するベルゼブル。


出てみると反対側の場所で美神が待っていた。

「いい覚悟だ!!逃げるなよ!!」
「あら、逃げる必要ないわよ♪だって―――


「死ぬのは君だからね。」そういうこと♪」
「誰バァァァァァン


ベルゼブルを中心に爆発が起きる。

隠れていた西条が精霊石を投げたのだ。

複雑な館の構造を活かした戦い方。
代償は破壊された廊下と高純度の精霊石数個(オカルトGメンの物)。

「敵が来るって分かってたら万全の準備はするのは当然よ」
「まぁあの横島クンには出来ない戦いだね、令子ちゃん。」

美神は横島の代わりを西条に頼んだ。おかげで西条は別室でずっとデスクワークを
する事になってしまった。まぁ美神のためならなんとやらというヤツだろう。
密かに横島の評価も落とそうとするところ流石だ。

美神と西条はワルキューレの元に向かう。そこでは元の大きさに戻った
ワルキューレがいた。急いで二人はかけよる。

「大丈夫?」
「心配・・いらん、魔族士官・・は伊達ではない。」

美神は手当てを始める。

「しかし外に配置していた隊員が無駄になったな〜。」

西条、オカGをかなり動員していたらしい。魔族が関わっているから正しい事は
正しいのだが、西条と美神が関わっていると公私混同に見えてしまうのは何故だろう。

ワルキューレが人間の援軍を許可したのは横島たちの戦いを見たのが大きかったの
だろう。その結果、今まで人間を過小評価していたのを多少は見直したのだ。

ベッドに運び込まれるワルキューレ。
西条は隊員を呼びヒーリングをかけさせる。

「これで残すは後一鬼ね、さっさと終わらしたいわ。」
「仲間がやられたんだ、すぐ来ると思うよ。」

西条は隊員に指示を与える。

「しかし横島クンもやっかいな事をしてくれる。人狼だって?
 おかげで今日からは深夜の見回りもしなくちゃいけなくなったよ。」

すでに横島の電話から犬飼のことを聞いていた美神と西条。
オカGとしては犬飼の凶行を見逃すわけにはいかず、対策を取り始めていた。


しばらくの時間が経った時、一人の隊員が血相を変えて部屋に入ってきた。

「西条副隊長!!大変です、魔族が突然現れて!!」
「何があったんだ!!落ち着いて話してくれ!!」

隊員の説明から魔族が現在外の隊員を殺害し始めていた。
西条は急いで現場に向かう。美神も決着をつけるべくそれについていく。


現場に着いた二人は思わず目を覆いたくなった。
文字通り、辺り一帯、血の海と化していた。
原型を留めていない死体、地面に倒れこみうめき声を上げる隊員。
恐怖に怯えその場から動けなくなっている者も居た。

この根源ともいえる存在は目の前で腕を伸ばし隊員を突きさしていた。
隊員は抵抗する気配も見えない。アレはすでに息をしていないだろう。

その存在は上半身は小学生ほど子供にしか見えないが、下半身からは異形の化け物が
繋がっていた。この者こそが最後の一鬼デミアンである。

「ほぉ、退屈しのぎに隠れていた連中を皆殺しにしようと思っていたが真打ち登場か。」
「・・・言いたい事はそれだけかい。」

怒りに震える西条、それでもなんとか冷静さを保ち生き残っている隊員に指示を与える。

「君、隊長はどうしたのだね?」
「・・・多分、もう」

実質の指揮を取っているのは西条だが名目上の隊長の所在を聞いておく。
隊員からは絶望視した答えが返ってきた。

隊員の生存率は酷い事になっていた。被害が少なかったのは射撃部隊、救護部隊
のみで他は散々であった。主に接近戦を担当する部隊は恐怖に負けた連中を除くと
壊滅である。

西条は今回の対魔族戦が初めてというわけではない。だがこれほどまでの上級魔族と
出会ったことはなかった。敵の戦力を舐めたわけではない。今までの経験からして見れば
むしろいつもより配備を強化したのだ。

「ザコが何人いようが私に勝てると思っているのが大間違いということだ。」
「確かに今回は僕のミスだ。だが君にはここで滅んでもらうよ、デミアン。」

西条はジャスティスと銃を取り出す。
美神は西条の隣に立ち神通根を構える。

「君たちはこの場から離れるんだ!!ここは僕と令子ちゃんが抑える。」
「ふんったった二人でか・・・さっさとこの命令も終わらせてやる。」

西条は銀の銃弾が入った銃でデミアンに発砲を繰り返す。
打たれるたびに損傷と再生を繰り返すデミアン。
美神も神通根を鞭状にして攻撃を開始する。


ザァァン


「くっ私をここまで裂くとは。」

ムチはデミアンの異形の部分を大きく引き裂いた。
だがすぐに再生を始めてしまう。


デミアンから生えている魔物の口から霊波砲が飛び出てくる。
それを回避する二人。


西条は接近戦を仕掛けジャスティスで魔物の首を刎ねる。


ザシュッ


すかさずその場から離脱する西条。


再び距離を取った西条だが、デミアンを見るとすでに再生が始まっていた。

「残念だが、私にダメージを与えられるものなどおらん。とっとと死ね!!」


デミアンは己の分身ともいえる魔物を一斉に美神に向けて襲い掛からせる。

「まずいっ!!令子ちゃん!!」
「まだ、こっちは大丈夫よ!!」

美神は神通根と精霊石を使用して第一波を防ぐ。


すかさず第二波が美神を襲おうとするが―――


バァァァァン


―――突然デミアンの頭が吹き飛ぶ。


「「えっ!?」」


その隙に何とか合流に成功する美神と西条。
頭を吹き飛ばされても再生を開始するデミアン。

「くそ、ワルキューレめ!!」
「えっ、ワルキューレ!?」

デミアンは何かが飛んできた方向を見つめて叫ぶ。


バァァン


バァァン


バァァン


すかさず援護射撃が続く。
そのたびにデミアンの体の一部が弾けるがその瞬間に再生を開始する。

「なんで死なないのよ、アイツ!!」
「何かあるはずなんだが、・・・(何故こんな時に限って彼はいないんだ!!
 こんな時こそ横島クンの霊視が必要なのに!!)」

今は決して口には出さないが、横島の実力はロンドンの件で嫌というほどわかっている。
西条は横島の事を頭に浮かべるがいない人間を当てにするのはやめ、目の前の戦闘に
集中する。

「バカモノ!!対処法が分からないのに相手をするな!!」

援護をしてくれたワルキューレから撤退しろという忠告がくる。
だがデミアンがそう簡単に逃走を許すわけがない。

すかさずデミアンの魔物が霊波砲をワルキューレに向けて放つ。

「くっ!!」

すでに重症のワルキューレは何とか回避するもライフルを失ってしまう。

西条は何とか敵の正体を見極めようとするが、横島ほど優れた霊視が出来るわけ
ではない。しかも敵の攻撃を回避しながらであるためまともに集中できない。

美神も切り札である精霊石が大して効いていないことを先ほどの防御で分かってしまった。
神通根を振るってもすかさず再生するデミアンに半分お手上げ状態であった。

「ワルキューレの相手をするつもりは無いさ。私は貴様さえ殺せたらいいのだからな」
「できるものならやってみなさい!!」


再び美神を標的に定めるデミアン。
霊波砲と魔物の頭の部分が同時に襲い掛かる。


美神もムチを振るい応戦するが突進され吹き飛ばされる。
西条はジャスティスで美神に加勢するが数が多く美神と同じ運命をたどる。

「きゃっ!!」
「ぬぉっ!!」
「―――死ね。」


デミアンがとどめの攻撃として霊波砲を繰り出す。


地面に叩きつけられた二人は反応できない。


(だいたいこんな時に限ってなんであのバカはいないのよ!!ハーピーの時も、
 私は一人じゃないっていったくせに、メドーサの時も調子のって現れた癖に、
 いつの間にかあの女優とは仲良くなってるし、マリア(姫)には好かれてるし、
 冥子にはいつの間にか懐かれてるし、だいたい魔鈴って誰よ!?小鳩って子いつの間に
 隣に住んでんのよ!?私がピンチなんだからいい加減さっさと来なさいよ!!
 横島の、横島の、横島の―――――)


この間、わずか0.1秒、
というか美神、魔鈴とかどうやって知ったんだ?(・・・・・西条です。


「横島のバカァァァァァ!!」
「はっはい!!」


ドォォォォン


いきなり美神の前に現れた横島。別に隠れていたわけではない。
ようやく事務所付近まで帰ってきたと思えば、オカGの隊員がやってきて、
横島達に事情を話したのだ。急いでここまで来たと思えば、ちょうど美神と
西条が吹き飛ばされた所。デミアンはとどめの攻撃を繰り出さんばかり。
西条は置いといて、美神の場所に走ろうとした瞬間の出来事だ。
美神の声を聞いた瞬間、本能というのか勝手に体が動いたのだ。
その速度は明らかに限界を超えていたのは何故だろう。


ともあれデミアンの攻撃を栄光の手を楯状にして最高出力で防ぐ横島。


「横島クンッ!!(えっ何で!?)」
「み、美神さん、とりあえず離れますよ!!
 (くぅ〜折角カッコよく登場するつもりが〜)」
「きゃっ!!」


突然現れた横島に驚く美神。
横島は驚いてる美神を片手で抱き上げこの場から避難する。
普段重い荷物を持たされている横島にとって美神の体重等無きに等しかった。
内心ではかなりろくでもないことを考えていたが。


「ぬぉぉぉぉお!!」
「ちょっと横島クン!!おろしなさいよ!!」

何故か顔を赤くして怒る美神であったが必死にデミアンの攻撃を避ける横島には
聞こえなかった。

横島が逃げる先には魔装術状態の雪之丞と夜叉丸を出していた鬼道がいた。

「まかせたぞーーーー!!」
「「おうっ!!」」
「ちょっちょっと、ちょっと!?」

4人がすれ違う瞬間、男3人は親指を立てる。

混乱する美神、何故雪之丞がここにいるのか、というか前と姿が違うので声を聞くまで
誰か分からなかった。

もう一つ、何故鬼道がここにいるのか。というかお前ら知り合いかい!!
と心の中で一人ノリツッコミをしてしまった。しかも鬼道の式神まで姿が変わっている。

「あーーーいつまで触ってんのよ!!とりあえず全部説明しなさい!!」
「いってえ!」
「先生!!」

とりあえず、横島を一発しばいて下ろさせる。横島としてはもう少し美神の感触を
味わいたかっただろう。残念そうに触れていた手を開いたり閉じたりしている。

「先生!?アンタ何ワケわかんないことになってるのよ!!とりあえず全部
 説明しなさい!!」
「はいっ!!」

美神の剣幕によって直立不動の姿勢をとる横島。思わず右手で敬礼してしまう。

それから簡潔に雪之丞の事、鬼道の事、そしてシロの事を教える。


(何なの!?本当にこのバカは・・・いつもいつも、肝心な所で私を・・・助けて
 ・・・いつの間にか・・・私よりも・・・)

「あの〜美神さ〜ん、もしかして怒ってます?」
「怒ってないわよ!!本当にアンタは何もわかってないんだから!!」
「ヒッ!!」
「助けてもらったのに先生に失礼でござるよ!!謝れ!!」

相変わらず女心を読めない横島、まぁ美神の気持ちなんて読めるほうがスゴイが。
シロも霊波刀を教えてもらっている横島が理不尽に怒られているのを見て、美神に
噛み付く。


「黙ってなさい!!」
「「ヒッ!!」」


横島、シロ、師弟仲良く美神にビビる。本能で美神が恐ろしいと感じたようだ。

美神はとりあえずデミアンを倒す事に集中するため、横島にデミアンの特徴を伝える。


「美神さんが俺を頼りに・・・コレは愛の告白じゃーーーー!!

ゲシッ

「違うわよ!!」

飛びつこうとするのを叩き落す美神。すかさず謝りまくる横島であった。

「いい?アンタのその人間離れした霊視であの魔族の弱点を探るのよ、分かった!?」
「なんか、えらい言われようやな〜」

ぶさくさ文句をたれながらも霊視を開始する横島。
というか速攻復活する横島、うたれ強さはGS1という噂は伊達ではない。

「う〜ん、あのポケットから全身に霊波が流れているように見えるんすけど?」
『つまりあの場所に本体がいるという事だ、あの二人には見えておらぬようだな。
 いくぞ、横島。』
「げっ、・・・はぁ〜分かりましたよ!行けばいいんでしょ、行けば!!」

美神や心眼に睨まれ、雪之丞と鬼道の元に向かう横島。
シロもついていこうとするが、美神に止められる。
デミアンの攻撃を回避した際、美神は足を挫いてしまい、戦線離脱してしまう。


美神は戦場に向かう横島を見つめる。


(本当、いつの間にあんなに立派な背中するようになったのよ。)


その目には何かの思いが宿っていた。


――心眼は眠らない その17・完――


あとがき

夢オチ、先を読めた方はおめでとうございます。
え〜と、・・・ごめんなさい。(一回やってみたかったんや〜〜〜

あとなんとなくデミアンに一般のオカG連中をぶつけたらどうなるかと思いました。

それとですね、神谷鷲治様、水霞涼風様、本当にありがとうございました!!
まさか、本当に描き直してくれる人が出てくるとは思いませんでした。しかも二人!!
心眼の絵、実にキレーっす!!肌の色使いもいい感じでしたよ〜。

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