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▽レス始

「GS美神if外伝 レアカップリングを目指して…3(GS)」

テルヨシ (2004-12-30 21:29)
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草木も眠る丑三つ時。
ここ美神除霊事務所も昼間のにぎやかさが嘘のように、痛いくらいの静けさに満ちていた。


そして応接間には美神のセンスとは似つかわしくない古びた学生机がポツンと置いてある。
美神事務所で事務員として働いている愛子の本体である。

妖怪である彼女は睡眠をことさら必要とせず、今日に限って何故か本体に戻って休む気にもなれず机に腰掛け事務所の外を眺めていた。


どのくらいぼんやりと外を眺めていただろうか?
そんな彼女に話しかけてきたものがいた。


『お休みになられないのですか?』
この事務所の守護者、人工幽霊一号である。

彼もまた睡眠を必要としない。
その為いつもは事務所内にいる住人達が起きてくるまで一人時間をつぶすのが常だった。


GS美神if外伝 レアカップリングを目指して…3


そんな彼らだが意外と二人だけで会話をする機会が無かった。
人工幽霊一号が多弁なほうでもないのもそうだが、住人達が寝静まると二人共休んでいたのだ。
愛子のほうは事務仕事の勉強の為自分の本体にある異空間で色々勉強していた、ということもあるのだが。
第一、お互いに夜は休息すると思い込んでいたのだ。


今回の偶然を機に二人は話をするようになった。
とはいっても事務所からなかなか離れられない人工幽霊一号にさほど話題はなく、
愛子が話すのを人工幽霊一号が聞くか共通の友人である横島達の思い出話がほとんどだった。


それでも一人でただ夜が明けるのを待つよりはるかによく、二人はほとんど毎日深夜の二人だけの会話を楽しんだ。


そしてそれは自然と事務所の住人の知れるところとなり、人工幽霊一号は他の事務所の面々とも今まで以上に話をするようになっていった。
そうするといちいち「人工幽霊一号」と呼ぶのは面倒だし、何よりそっけない。
皆で考えた結果「人工幽霊一号」からとって「ジン」と呼ぶようになった。


そうして彼女達の話を聞いてしている内に、ジンは自分の目で外の世界を見てみたいと思うようになった。
カオス・フライヤー2号などに憑依すれば外の世界を感じることは出来る。
だが憑依は憑依、限界がある。


そういった理由でジンは肉体を欲しいと望むようになった。


「で、俺達の事務所に美神さんが来たわけですか」
「そういうことよ横島クン」
「でも人工幽霊一号、いやジンって自力で外に出れませんでしたっけ? メドーサがらみの事件で美神さんの事務所が破壊された時唐巣神父の教会にきた覚えが?」
横島がそう疑問の声を上げる。

「ああ、それは本人から聞いたけど
『今でも確かにその方法で外に出れなくは無くはありません。
しかしその状態は感覚が鈍いですし、何より周りから見たら不審人物なのでちょっと・・・』
とのことよ。確かにあの格好で愛子ちゃんと外歩いていたらすぐ警察が来るでしょうね」
「なるほど」
美神は少し談笑した後、仕事の為帰っていった。


「技術的なことはさっぱりだからカオスとルシオラ、頼めるかな?」
「おお任せろ。面白そうな研究テーマじゃな」
「久々に技術屋の腕がなるわ」

横島に一任された二人は早速議論に入った。
横島はチラッと聞いていたが、半分以上理解できず、二人に任せることにして自分も仕事へと出かけて行った。


それから数日後。


美神事務所に横島とルシオラの姿があった。

「どうしたの二人して? 美神さんとの合同除霊なんか予定に会ったかしら?」
美神事務所のスケジュール管理をしている愛子がそう二人に聞いてきた。

「いや、そうじゃない。美神さんに頼まれたものが出来たから届けに来たんだ。
作ったのはカオスとルシオラだけどな」
横島はそう言うと持ってきたものを美神が普段使っている机にその物を置いた。
それは横島の文珠と精霊石を組み込んだものとある装置だった。

「ジンさん、これにカオス・フライヤー2号にするように憑依してみてくれないかしら」
『分かりました』
ルシオラに言われたとおり実行するジン。


するとその装置を中心にまばゆいばかりの光があふれ出した。
そしてその光が収まるとそこには執事服を着ている一人の中年男性――――『ロマンスグレー』『かっこいいおじ様』
といった言葉が似合いそうな――――が立っていた。


「これは一体どういうことですか?」
困惑というか驚愕した顔で誰にとも無く呟くジン。
愛子は
「カッコイイ・・・」
と小声で呟いている。


その声にルシオラが嬉しそうに反応し、
「この装置は精霊石と文珠を用いたもので・・・」
と説明を始めた。

以下専門的な説明が続くので省くが、要はこの装置があればジンは五感を感じる肉体を得ることが出来るのだ。


「とても嬉しいですが、でもなんでこんな装置をわざわざ横島さん達が作ってくれたのですか?」
「美神さんからお前さんの悩みを聞いてな。それでルシオラとカオスが作ったんだよ」
「そうでしたか。横島さん、ルシオラさんありがとうございました。カオス殿にもお礼を言っておいて下さい」
「礼なんか良いわよ。以前屋根裏部屋で世話になったお返しだしね。それに私もカオスさんも結構楽しんでいたから」
「そうそう。それに礼なら美神さんに言ってくれ。美神さんがわざわざ俺達の事務所まで来て頼んできたんだから。いつも世話になっているお前さんの願いをかなえて欲しいって、な」
「ちょ、ちょっと横島クン!? それは秘密って言ったでしょうが!」
照れ臭そうに横島に向かい叫ぶ令子。


そんな二人の会話を聞いたジンは、
「美神オーナーありがとうございます」
と深々と頭を下げた。
その仕草はとても板についており、まるで長年主に仕えてきた有能な執事そのものだった。

「・・・いつもあんたには世話になってるからね。ちょっとしたお礼よ」
そんな二人の会話を聞いていた横島は
「美神さんらしい」
と内心苦笑した。


「まあそんな訳だからこれでジンの念願がかなうでしょう。外に出かけてきても良いわよ」
「そうですか? でわ早速。愛子さんスイマセンが一緒に来てもらえませんか?」
「えっ、私?」
「はい。今まで色々と外の世界を教えてくださったあなたにお礼がしたいのです」
「別に御礼されるほどのことはしていないけど、ジンさんがそう言うのだったらお付き合いさせて頂きます」
こうして二人は出かけることになった。


「おっと忘れるとこだった。愛子、お前にも渡すものがあったんだ」
言いながら横島は服と先ほどの装置に似たものを取り出した。

「この服は織姫が作った幽霊でも着れる服だ。あ、ジンにもあるぞ。
せっかくのデートだ、おしゃれしたほうが良いだろう?
でこっちの装置はジンと同じようなもので、机を事務所に置いて行っても外に出られるぞ」
デートのくだりで二人―――特に愛子―――は赤くなっていたが横島の贈り物は素直にありがたかった。

「「ありがとう(ございます)横島クン(さん)」」
「なに、学生のときは愛子にもジンにも何かと世話になったからな。その礼だよ」
こうして二人は初デートへと出かけていった。


追伸

この後も二人はデートを重ねていったが、たまたま愛子がセーラー服で出かけたとき援助交際かと勘違いされそうになったのは余談である。


あとがき

いかがだったでしょうか?

人工幽霊一号の擬人化、しかもかっこいい中年男性。結構レアかな?
モデルとしてはシェーンコップ(by銀英伝でもかの人みたくたらしじゃないですが)などのカッコイイ中年男性を脳裏に浮かべてくれればありがたいです。

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