最初はお互いの共通の友人である横島を介して出会った。
アイドルとファン、ただそれだけの間柄であった。
でもいつしかだろうか？
それ以上の関係になりたいと願い、思うようになったのは・・・。
でも今の関係を壊したくなくて後一歩が踏み出せなくなったのは？
ＧＳ美神if外伝 レアカップリングを目指して…2
おキヌは横島達の仕事について行った際、近畿剛一こと銀一に初めて出会った。
その仕事が終わった後、皆で食事に行った際は横島と銀一の思い出話で盛り上がった。
その後もたびたび横島とその友人で集まり、遊ぶようになった。
最初は近畿剛一として見、接していたおキヌ達であったが、すぐに等身大の銀一として接するようになった。
銀一も自分をありのまま受け入れてくれる横島達と付き合う時間は楽しかった。
ほとんど横島の連れはカップルが成立している為、自然と銀一とおキヌが話す事が多くなる。
おキヌは銀一の誠実な、飾らない性格に。
銀一はおキヌのやさしさ、穏やかな雰囲気に。
お互いに惹かれるのにさして時間はかからなかった。
だが彼らの中はまったく進展しなかった。
お互いに忙しく、そんなに簡単に会えない、今のままの関係で良いと思う気持ちがあるのだろう。
横島達はおせっかいと思わないでもなかったが、二人をために一計を案じる事にした。
ある日、おキヌはルシオラ、かおり、魔理と魔鈴のレストランを訪れた。
食事を取りながら雑談をする四人。
そして話題はいつしか銀一のことになっていった。
「氷室さん、銀一さんのことどう思ってらっしゃるんですか？」
「どうって大切なお友達ですよ」
そうかおりに答えるおキヌだが、頬は赤く染まり恋する乙女そのものである。
『いえそれ以上の存在です』
と答えているのも同然である。
「おキヌちゃん、そんな表情していてただのお友達はないだろ？」
「私達でよければ話くらいは聞けるから」
魔理とルシオラの言葉におキヌは自分の気持ちを彼女達に話し始めた。
同時刻
男達もどこかで集まっていた。
「銀ちゃん素直になれば？」
「何のことや横っち？」
流石俳優、おキヌと違い顔に感情を表すことがない。
ただそれでも周りにおキヌへの気持ちが分かったのはそれだけそれが強い気持ちだったからだろうか？
「まあ銀ちゃんがそう言うんならこれ以上言うことはないけど、後悔しない選択をしなよ」
そう銀一に語りかける横島の顔はいつもの顔と違い大人の表情だった。
「俺は・・・」
横島の作りだす雰囲気にうながされた銀一は自分の本当の気持ちを口にした。
二人の話はほぼ一緒だった。
詰まる所、今の関係が崩れることを一番恐れ、お互い後一歩が踏み出せないでいた。
告白して断られ、今の関係が壊れるよりは今のままの方が良い。
そういうことだった。
おキヌ、銀一とも自分の気持ちを口にしたことで少しは気が楽になったようだが。
「じゃあそろそろ帰りましょうか」
女性陣は食事をしていた部屋からでた。
「じゃあそろそろ帰るか」
男性陣もそこから退室した。
「おキヌちゃん！？」
「銀一さん！？」
彼らはお互いが隣の部屋から出てきたことに驚きを隠せなかった。
「横っちどういうことや」
「ルシオラさん、これは一体・・・」
種明かしをすれば女性陣が先に店に入り、時間差をつけて男性陣も魔鈴の店の個室に案内してもらったのだ。
「舞台は整えたけど俺達は強制も何もしない。この状況を利用するもしないも銀ちゃんしだい。じゃあな」
おキヌと銀一を残し、他の面々は自分のパートナーと立ち去って行った。
最初は唖然とする二人であったが、二人しておせっかいな友人たちに対し苦笑すると彼らもどこかへと移動した。
暗くなった夜道を腕を組みながら帰る横島とルシオラ。
「あれで良かったのかな？ ヨコシマ」
「分からん。大きなお世話だとは思う。けど二人には色々世話になったから幸せになって欲しい。でも決めるのはあの二人の意思だからな」
「そうね、幸せな結末を迎えられると良いんだけど」
「そう祈るばかりだな」
彼等のこれまできた道程を思ってか、二人はそこで沈黙した。
だがその沈黙は忌むべき物ではなく、二人の関係の深さを物語るどこか温かいものだった。
銀一とおキヌが彼らのような関係を築けるのを願う、星が綺麗な夜。
この星空の元、二人はいかなる答えを導き出すのだろうか？
あとがき
いかがだったでしょうか？
おキヌと銀一。書いたはいいが動かしにくいったらありゃしない（苦笑）。
もちろん他のキャラが動かし易いって訳でもないし、明らかに私の実力不足なんですが。
注意
この先は『おキヌちゃんは横島以外とくっ付くのは見たくない』
という方はお読みにならないほうがよろしいかと思うオマケです。
それから数年後。
とある芸能関係のニュースが新聞・雑誌のトップを飾ることになる。
人気演技派俳優の結婚報道である。
お相手は超有名除霊事務所の一員であり、世界でも稀な能力を持った一歳年下の女性であった。
彼女はＧＳとしても有名でその優しき性格は広く知られているところであり、俳優のファンも少しだけ残念がったが二人の結婚そのものは歓迎し祝福した。