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▽レス始

「皆の笑顔の為に・・・ 第二十一話(GS)」

ファリス (2004-12-30 02:18)
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懐かしい声を掛けられた横島は後ろを振り返り、その人が自分の思い描いた女性であるか確かめた。
そして振り返った先には、横島が思い描いた通りの女性が腰に手を当てて立っていた。
その女性は亜麻色の髪を腰の辺りまで伸ばしていて、セーラー服を着ていた。
立っていたのは、あの世界での自分雇い主だった美神令子だった。

「あ・・・。どうもすんません。
(わ、若いし可愛い!!それに美神さんのセーラー服姿!イイ、すっごくイイ!)」
(こ、こやつ。この時代に戻ってきてから言動がやばくなったな・・・)

まあ、この時代の横島なら仕方ないだろう。
それでも、飛び掛らないだけ自制心はあるみたいだが。

「まったく。中学生が物件なんて見ているんじゃないわよ。
唯でさえ先生に黙って仕事を請けているから、時間が無いって言うのに
(それにしても、こいつどっかで見た様な・・・)」
「え?何か言いました?(やっぱり美神さんだな・・・)」

小声で呟いた美神の言葉も、今の横島はしっかりと聞き取っていたらしい。

「あんたには関係無い事だから気にしないで。で、悪いんだけど通してくれないかしら?
(思い出せないから気のせいね)」
「あ、はい」

そう言われて、横島は身体を少し退けると美神は不動産屋の中へと入って行った。

(ん〜、唐巣神父に黙って違法除霊か・・・。止めるべきか止めざるべきか)
(お主はどうしたいのだ?)
(まだ知られたくは無いんだよなぁ〜。でも、これで怪我でもされたら嫌だしな・・・)
(ならば、隠れて見ていればいいのではないか?
危険になったら変装でもして手助けすればいいだろ?)
(それもそうだな)

刹那の言葉に頷いた横島は、一旦不動産屋の前から離れ美神が出てくるのを待ち、
美神が出てきたのを確認すると中に入って店主に自分も唐巣の使いだと名乗り、
除霊場所を聞き出しそこに向かった。
その途中で安物の黒塗りのサングラスと黒目のワイシャツを買い、
除霊場所である廃工場へと急いだ。


横島が廃工場に到着すると、既に殆どの霊団が除霊されていた。
そして、美神は霊団のボス(人型の悪霊)と対峙していた。

(残っている霊気から察するに、除霊ランクはE+・・・かな?
これ位なら、見習い時代の美神さんでも平気だろ。俺が中二って事は、六女の二年の筈だしな)

横島は忘れている。
あの時代の時に時空消滅内服液で過去に行った時の美神は高校何年だっただろうか?
後輩がいた事から二年生以上である事は確かだが、その時に美神は何と言っていたか?
それは、『私、除霊なんてやったことないのよっ!!』だった。
つまり、まだこの時も殆ど素人と変わらないと言う事だ。
そんな彼女が幾らランクがE+の除霊とは言え、無事に済む筈が無い。


「今、このGS見習い美神令子が極楽に送って上げるわ!!」

美神がそう言いながら、不用意に悪霊に神痛棍を掲げながら突っ込んで行った。

『ヲォォォォォォォォォォ!!』

叫びながら悪霊が右手を払う。
美神はそれを神通棍で防ぐが、壁に向かって吹き飛ばされてしまう。

「きゃっ!・・っ!?(ぶ、ぶつかる!?)」

美神が壁に叩きつけられる覚悟をして眼を瞑り衝撃に備えるが、
何時まで経っても強い衝撃が訪れず、むしろそれと相反するポスンッと言う柔らかい衝撃が訪れた。

「・・・・・・・・・あれ?」
「大丈夫ですか?」
「え?は、はいっ!」

美神が背後から安否を確かめる声がして振り返ると、
其処には黒いワイシャツを着てサングラスを掻けている男性がいた。
この男、横島忠夫である。横島の格好だが普通に見れば怪しすぎる格好だ。
しかし、霊感が強い美神は男性が真剣に自分の身体を気遣っている事が分かっていた。

「除霊を見せて貰っていましたけど、ちょっと油断のし過ぎでしたね。
貴方からは強い霊力を感じますけど、どんなに強い力も正面からぶつかれば、
より強い力に負けます。それが疲労している時ならば尚更ね?」
「・・・はい」

今の横島の雰囲気は中学生の物では無く、熟練の霊能力者が醸し出す雰囲気だった為、
美神も素直に話を聞いていた。

話の間悪霊はどうしていたかと言うと、
横島の放った『縛』の文珠で追い討ちを掛け様とした格好で動きを止められていた。

「じゃあ、それを踏まえてもう一回やってみよっか?」
「もちろん!」

横島の言葉に力強く頷いた美神は、再び神通棍を構えると霊力を通し悪霊に備えた。

『ヲォォォォォォォォ!!!』

美神から少し離れてから文珠の効果を横島が解くと、悪霊は叫びながら横島ではなく美神に向かう。
それに対して美神は先程とは打って変わって飛び掛らず、相手をじっくりと見ながら力を溜めていた。
そして悪霊が美神に向かって腕を振るうと、それとは逆の方向に飛び退き、
悪霊に向かって渾身の一撃を放った。

『ヲォォォォォォォォォォ・・・・・!!』

その一撃は見事に悪霊を一刀両断にし、除仏させた。


少しの間振り下ろした格好のまま肩で息をしていた美神は、
自分にアドバイスをしてくれた男性に御礼を言おうと振り返るがそこには誰もいなかった。

「? あの、何処にいるんですか?お礼を言いたいんですけどぉ〜・・・。
いないのか・・・でも、あの人誰だったのかしら?すごく懐かしい感じがしたけど・・・・・・」

辺りを見回しながら呼びかけるが一向に姿を見せず。
もうここにはいないと思った美神はその場を後にする。
そして美神の姿が見えなくなると、物陰から横島が出てきた。

「美神さんにもあんな時代があったんだな。初々しくて可愛かったぁ〜。
・・・所で、ドラム缶の後ろに隠れている人は何時まで隠れているんですか?」
「・・・・・・気付いていたのかい?」

横島が錆びたドラム缶に向かってそう声を掛けると、ドラム缶の後ろから唐巣が出てきた。

「霊波は隠しているみたいですけど、気配が隠しきれていませんでしたからね」
「なるほど、それは失敗だったね。・・・で、君は何者かね?
封印しているみたいだが、力が強すぎて隠しきれてないみたいだが?」

目付きと気配が鋭くなった唐巣にそう言われた横島は、片手で頭を抑えて唸り出した。

「(しまったぁ〜!昨日の封印解除が抜け切れてなかったぁ〜〜!!
どどどどど、どうする刹那!いっその事唐巣神父の記憶を消すか!)」
(落ち着け!この際仕方ない!この男にも説明しておけ!!
どうやらお主が知っている人間の様だしな。
それに力の方でも人間にしては高い部類だから、味方にしておいて損は無いだろう)
「(わ、わかった)・・・取り敢えず落ち着いてください。
今説明しますから、霊力を落としてください」
「分かった、信じよう。(それに何故だが、この青年の言葉は絶対に信用出切る気がする)」
「じゃあ、何処かでゆっくりとお話出切る場所はありませんか?」
「ここからなら、私の教会が近いからそこに行こう」

唐巣の申し出に横島は少し考えてから頷いた。

(まあ、今日は美神さんも教会には顔を出さないだろう)

そう結論付けた横島は、唐巣の申し出を受けたのである。


場所は変わって唐巣の教会。
二人は椅子に座って話していた。

「未来の世界から来た・・・そんな事もあるんだね」
「俺の話を信じてくれるんですか?」
「私も良くは分からないんだが、君の言葉は信頼出来る気がするんだ。
だから私は、自分のこの気持ちを信じて、君の言葉を信じるよ」
「ありがとうございます」

横島の感謝の言葉を聞いた唐巣は、手を降りながら苦笑いを浮かべる。

「いやいや、感謝される様な事じゃないよ。それで、横島君はこの後どうするんだね?」
「前と同じ様に、美神さんの事務所に入ろうかと思ってはいるんですけど・・・」
「何か問題でもあるのかね?」

其処まで言った横島が渋る理由が分からない唐巣は、横島に質問する。

「問題と言うか、中学卒業までどうしようかと思いまして」
「ふむ・・・なら、美神君が事務所を立ち上げるまで一緒に働いたらどうだね?」
「はいっ!?」

その申し出に横島は素っ頓狂な返事を返してしまう。

「設定としては、最近霊力に目覚めたばかりだが、武術と剣術の腕は達人級って言うのはどうかね?」
「い、いや、ちょっと待って下さい!何でそんな話になるんですか!」
「そういておいた方が、今後何かと便利じゃないのかな?
美神君に雇って貰う時の給料とかにね」
「おお!なるほど!!さすがは、美神さんの師匠!」
「あんまり嬉しくない響きだね」

手をポンッと叩いて褒め言葉を言う横島だが、その言葉を聞いた唐巣は余り嬉しそうでは無かった。

「じゃあ、そういう方向で話を進めよう」
「はい。宜しくおね「先生いますか!?」 もうですか・・・」

諦めろ横島。

「おお、美神君。どうしたんだい、そんなに慌しく入って来て」
「聞いてくださいよ!
さっき除霊したんですけど、ちょっとピンチになった時に助けてくれた人がいたんですね!」

何処か喜びながら言う美神の言葉を唐巣が遮る。
そして、墓穴を掘る美神を見た横島は苦笑しながらその様子を見ていた。

「・・・美神君、GS免許を持たない者がする除霊は違法だよ?」
「げっ!!」
「次からは私を通してやりなさい。それなら文句は言わないから。
さっきのも、不動産屋から連絡を貰っているから安心しなさい」
「はぁ〜い(私の依頼料がぁ〜・・・ってそれ所じゃないんです!
その人のアドバイスで、私やっと一人で除霊が成功したんです!」
「ほぉ〜、それは良かったね?では、祝杯でもしようか?
横島君も一緒にどうだい?」
「えっ!?」

唐突に話を振られた横島はすぐさま返す事が出来ず、
唐巣が声を掛けた人物に眼を向けると自分にアドバイスをくれた人がいた。

「あ〜〜〜!!先生、この人です!私にアドバイスしてくれたの!」
「そうなのかい?横島君」
「え、ええ。まあ(なんで急に話を振るんですか!)」
「それは悪い事をしたね?(何、自己紹介をし易い様にしただけだよ)」

横島はサングラスを外しているのだから、不動産屋の前で会った事を思い出してもいい様な物だが、
美神はその時の事を綺麗さっぱり忘れているらしく、
横島に近づき手を握りながら原作と同じ様にニッコリと笑いながら御礼を言った。

「さっきはどうもありがとうございます。お蔭で助かりました」
「いや、気にしないで下さい。それと、敬語じゃなくていいですよ?俺の方が年下ですし。
(美神さんの手って柔らかくて気持ちいいなぁ〜)」
「え?年下?・・・でも、雰囲気がもっと上みたいだけど?」

年下と分かると急に溜め口に変わった。さすがは美神である。

「物心が付いた頃から武術と剣術を習っていた所為で、戦いの場に立つと精神年齢が上がるんですよ」
「へぇ〜。所で、横島クンだっけ?何でここにいたの?」

美神が横島にそう質問すると、その質問に唐巣が答えた。

「彼は、ここ最近霊力に目覚めたらしくてね。
彼の父親とは知り合いで、それで私の所に相談に来ていたんだよ。
で、これからは彼もここで修行するから仲良くする様に」
「分かりました」

美神が頷いたのを確認すると、横島は右手を差し出して挨拶をした。

「横島忠夫、中学二年です。これから宜しくお願いします」
「美神令子、六道女学院二年よ。宜しくね」


こうして、あの時代とは微妙に変わった時間の流れとなった。
この事がこの先、吉と出るか凶と出るか・・・それは誰にも分からない。


あとがき〜
過去が変わっちゃったぁ〜〜〜〜!!
でも、美神のお金好きは変わらずw
横島の第一印象も悪い所かいい感じですしね。

次回で過去編は終わると思います。
そしたら、やっと原作の流れに入れるかと思います。
それでは、これからも宜しくです。


レス返し〜
柳野雫さん、九尾さん、D,さん、大神さん、レスありがとうございます。
これからも、お付き合いください。

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