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「皆の笑顔の為に・・・ 第二十話(GS)」

ファリス (2004-12-29 02:20/2004-12-29 03:27)
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横島復活!!(はい?


今、一人の男が不動産屋の前で物件と睨めっこをしている。
その男はまだ中学生位だが、その表情からはもっと上の年の様にも思われる。
男の格好だが、中学の学ランを着て頭には白いバンダナを巻いている。
皆さんはお分かりだろう。この男、横島忠夫である。
何故横島が不動産屋の前にいるかと言うと、話は昨夜に戻る。


百合子が部屋から出て行って五分程経つとようやく横島は復活を果たし、
辺りを見回してからポツリと呟いた。

「・・・逃げるか?それに、何かムラムラと懐かしい気持ちが出て来て・・・」
「忠夫様?」
「・・・・・・雪・・菜ぁぁぁぁぁぁ!」
「きゃっ!?」

横島の様子が可笑しい為、雪菜は横島の顔を覗き込みながら名前を呼ぶと、
行き成り横島に名前を呼ばれながら布団に押し倒された。
その反動で、雪菜の着物の胸の辺りが少しだけ肌蹴てしまった。

「逃げる前に・・・・・・な?雪菜」
「た、だ・・お様」

雪菜は不安げに横島の名前を呟く。
まさか、魔の力が暴走したのかと雪菜は考えているがそれは違う。
暴走しているのは若気の至り。所謂、精力の暴走である。
早い話が、肉体年齢が大幅に若くなった事で昔の横島に戻ったと言う訳だ。

「さて、じゃあ・・・いっただきまぁ〜・・・「いい加減にしな!」
ブベラッ!!」

横島が雪菜に『何故か』覆い被さろうとした瞬間、
鋭い蹴りが声と共に横島の顔面に減り込み後ろに倒れた。
横島を蹴った人物。皆さんはお分かりだろう。横島のグレートマザー。
横島 百合子である。

「まったく!何時までも降りてこないと思ったら、
こちらのお嬢さんを傷物にする一歩手前だなんて・・・。
あんたはしっかりと、あの宿六の血を継いでいるんだね!」

そう言うと百合子は、また身体を痙攣させている横島の首根っこを掴んで引っ張って行った。
其処に残された雪菜は何処か残念そうな表情を浮かべていたが、
慌てて百合子達の後を追って行った。


「じゃあ、忠夫。説明して貰おうかしら?と言うか、言いなさい」

雪菜が居間に入ると既に横島は復活していて、雪菜が来るのを待っていた様子だった。
そんな横島には、先程逃げようとした雰囲気は何処にも無かった。
どうやら、腹を括ったようだ。
そして雪菜が入って来て百合子がそう言うと、
横島は先程の気持ちも何処かにやり真剣な顔で話し出した。

「親父、お袋。俺が今から言う事を信じて欲しい」

そう言うと二人は互いの顔を見た後頷き返し、横島は話し出す。
自分がこの先にある未来の一つから戻ってきた事。
そして、戻ってきた理由を。
しかし、戻ってきた理由を話すと言う事は、
アシュタロスの乱の時に自分に何があったのかを話すと言う事。
その事を話した時、大樹と百合子の二人はいくらなんでも最初は信じる事は出来なかったが、
横島の二人を見詰める眼を見た瞬間に、これが本当の話なのだと信じた。
眼を見ただけで信じる事が出来たのは、二人がいい意味でも悪い意味でも並外れた人だったからだろう。


そして、横島が全てを話し終えるまで黙って聞いていた百合子と大樹だったが、
横島が話し終えると同時に口を開いた。

「お前の話は分かった。それとお前が何で戻ってきたのかな。
それで、お前はどうしたいんだ?」
「今の時期から身体を鍛えておきたいんだ。
だから高校には進むから、今の時期から一人暮らしを許して欲しいのと、
傷を負って帰って来ても心配して止めないで欲しい」

大樹の質問に横島がそう答えると百合子と大樹は頷き返し、雪菜の方に向き直った。

「それじゃあ、貴方は未来の世界から忠夫に着いて来たって言うのかい?」

その問いに対して雪菜はすぐさま頷き返した。

さて、そんな健気な雪菜に大樹が言い寄らなくて不思議に思っている読者の皆さん。
皆さんはあの天下無敵のグレートマザー百合子の眼の前で浮気が出来ますか?
答えは出来る訳がないですねぇ〜〜。


「あなたは嘘偽り無く、本当に忠夫が好きなのかい?
もしかしたら、その気持ちも忠夫があなたに植え付けた物かもしれないよ?」

その言葉に対して雪菜が取った行動はテーブルを力一杯叩き、
身を乗り出してその言葉を否定した。

「そんな事ありません!私のこの気持ちは誰に植え付けられた物ではありません!
それ以前に、忠夫様がそんな事をする訳がないじゃないですか!!」

雪菜のその言葉に満足そうに頷いている百合子だったが、
そう言われて喜ぶべき人物が汗を流しながら横を向いていた。

「どうしたんだい忠夫?」
「い、いや、何でも無いぞ、お袋(昔、一回だけ文珠でやった事は口が裂けても言えないな)」
「ふ〜〜ん・・・(これは昔に、それに近い事をやったかもね)」

そんな横島を疑いの眼差しで見ていた百合子は、
心の中で「(まあ、この宿六の息子だしね)」と呟いていたとかいなかったとか・・・。

そんな百合子だが、約十年近い先で横島に十人の妻を出来るとは予想外だろう。

「まあいいわ。それであんたはさっき『一人暮らし』って言っていたけど、
彼女はどうするんだい?」
「俺が高校二年になるまでお袋達の所に置いていて欲しいんだ」

横島がそう言うと雪菜は少しだけ悲しそうな表情を浮かべる。
それを見た百合子は、雪菜が本気で横島を好きだと分かった。

「それは当然だな。いくら何でも、中学生や高校一年で同棲はな。
高校二年ならまあ、世間様も特には何も言ってこないだろうな。
分かった。それまでは俺達が責任を持つ。
それに、調度うまい具合にナルニアへの転勤の話が出ているからな。
(あの糞野郎の所為でな!)」

今まで黙って聞いていた大樹が口を開いて言った言葉が、
雪菜をナンパする言葉ではなく、世間体の言葉を言った事を百合子と横島は心底驚いていた。

・・・仕方ないと言えば仕方ないが、哀れな大樹である。


まあ、それは置いといて。
自分の言った事を信じてくれて、
色々と心配までしてくれる二人に横島は感謝をしていた。
しかし、横島は一つだけ疑問に思っている事があった。
父である大樹の転勤の話である。

「ナルニアに転勤?こんな時期にか?(こんな早い時期に言われていたっけか?)」
「ん?ああ、その話な。唯単にこの話はお前の中学卒業と同時に言おうと思っていただけだ。
まあ、お前がそう言った事情ならさっさとナルニアに行って、
実績を上げて日本に帰ってくるさ。だから、お前は明日にでも物件でも見て来い」

男らしい笑顔で言う大樹の言葉に、横島は不覚にも涙を流しそうになった。

そう言えば、前の時代から親父は俺が真剣にやりたいと言った事を反対した事がなかった。
ミニ四駆の時でも、高校卒業と同時にGSになる事も。

その事を思い出した横島は、二人に深々と頭を下げて感謝の言葉を言おうとしたが、
その頭を二本の手が軽く叩いて止められ、きょとんとした顔でその叩いた二人を見た。

「馬鹿野郎、何頭なんか下げているんだ忠夫。
いいか?お前はどんな事があっても俺達の息子なんだ。
未来から来ようがなんだろうがそれは変わらないんだから、頭なんか下げるな」
「息子の歩いていく道を塞ぐ親が何処にいるって言うんだい?
それが真剣に言った事なら尚更ね。だから、泣くんじゃないよ忠夫」

そう言われた横島は自分の頬に手を当てて、初めて自分が泣いている事に気が付き、
ただ唖然としながら涙を流す横島を大樹と百合子の二人は椅子から立ち上がり優しく抱きしめた。


その光景を見ていた雪菜は、自分の両親もこんな親だったのだろうかと、
遠い記憶を思い出そうとしていた。しかし、どんな親だったのか思い出す事が出来ない。
そんな事を考えている雪菜に百合子が話しかけた。


「まったく。何時まで経っても子供なんだから。
・・・ああ、そうそう。えっと、雪菜ちゃんだっけ?名前は忠夫から聞いているよ。
あなたも私達と一緒にナルニアに少しの間だけ行くんだけど、
私達の娘として連れて行くからね?」

その言葉に今度は雪菜がきょとんとしてしまった。

「娘、ですか?」

雪菜の呟きに、百合子と大樹はさも当然だと言った感じで頷き返した。

「当たり前でしょ?
たった数年と言っても一緒に暮らすんだから家族でしょ?
だから、あなたは私達の娘なの。いい?」

百合子にそう言われた雪菜は静かに涙を流しながら感謝の言葉を言った。

「ありがとうございます。お母様、お父様」

かつての両親は思い出す事は出来ない。
だけど、きっとこの両親の様に自分の子供を大切にする親だったに違いない。
雪菜は心の中でそう思い、百合子と大樹に感謝の言葉を言ったのだった。


その後夜中の三時頃まで四人で話し込み、家族の絆を深めていった。


そして、中学の授業が終わり不動産屋に着たのが冒頭と言う訳である。


(おい、横島)
(何だよ、刹那)
(我はお主に感謝せねばならぬ)
(はあ?何だよ、急に)

物件を見つつ、心の中で刹那と会話をしていた横島は、
行き成り刹那に感謝された意味が分からなかった。

(雪菜の両親の記憶が無い事に、お主は疑問を感じなかったか?)
(千年以上も経てば忘れちまうだろ?現に俺も過去での殆どの出来事を忘れているんだからな)
(ふむ、それはお主の頭が弱い所為であろう)
(ひどっ!・・・お前、初めて会った時に比べて随分と性格変わったな)
(お主と一緒にいれば自然とな・・・。それは置いといてだな。
実は雪菜の両親なのだが、いい親とは嘘でも言えない者達だったのだよ)
(!!)

そう言った刹那の声には、隠しても隠し切れない怒りが含まれていた。
それに横島は少なからず驚いた。

(雪菜は生前の頃から、かなりの霊力を保有していた。
それこそ嘗て、神事の時に神に捧げる踊りである神楽舞を踊る神子以上のな。
そう言った者達は二通りの扱いを受ける。
神子と崇められるか、化け物として扱われるかの二通りの扱いをな)
(まさか雪菜は・・・)
(そのまさかだ)

刹那の言葉を聞いた横島は、怒りを我慢する為に拳を強く握る。
その力が強すぎて手の皮を破り、地面に赤い点を幾つも落として行った。

(・・・もっと悲惨な事だが、雪菜は両親に撲殺されたのだ)

ギリッ

続いて出た刹那の言葉にも、横島は奥歯を噛み締める事で何とか耐えた。

(そして、そんな悲しみの塊の様な状態で空を彷徨っている所を我が見つけ、引き取ったという訳だ。
その時に、我は雪菜のその記憶を消した為、雪菜は両親の記憶が無いと言う訳だ。
一つ言っておくが、あの試練は雪菜が引き受けると自分で言ったのだからな?
だから、その事で我に切れるなよ?)

・・・ある意味責任転換をする神龍・・いいのかそれで?

(・・・分かった。それで?俺に感謝するって言うのはどう言う理由でだ?)
(ああ。お主の両親だが、さすがはお主の育ての親だな。
真に暖かい心根の持ち主だ。あの二人の者達の元なら雪菜も両親の暖かさを得られるだろう)
(別に感謝される必要はねえよ。唯単に、雪菜に俺の事情で危険にしたくなかっただけだ)

横島のその言葉に刹那は心底驚いていた。
神界と魔界の最高指導者達が懸念していた事を、横島が気付いている事に。

(気付いているのか?)
(ああ。抑止力に一度目覚めたお蔭だな。そのお蔭で世界の理が理解出来た。
この世界は陰と陽、光と闇と言った感じで表と裏がある。
それが抑止力にも適用されないはずが無い)
(そこまで理解していたか。お主も其処まで馬鹿と言った訳ではないな)
(・・・まあいい。で、そいつがいつ現れるか分からないからな。
力をそこそこ出せる様になるまでは、出来るだけ一人でいたいからな)

そこまで話すと心の中での会話を終わらせ再び物件のチラシに眼を戻すと、
背後から懐かしい声で話しかけられた。

「ちょっとあんた。何時までも見てられる邪魔なんだけど?
冷やかしなら退いてくれないかしら?」

そう言った女性の髪は亜麻色で腰の辺りまで伸ばされ、
見る者を魅了させる強い意志を持った瞳を持った女性だった。
(まあ、横島は声と体の抜群のプロポーションに眼が行っているが)

果たしてこの女性は!?
(ばればれですけどね?)


あとがき〜
読んでくれている読者様、長い間お待たせしました。
色々と書き直していたらこんなに時間が掛かってしまいました。
今回は両親に事情を話して一人暮らしを始めるのと、雪菜の人間だった頃の話でした。
雪菜は悲しい過去を生きていたんですね・・・。


短編のレス返し〜
LINUSさん、まさのりんさん、紫竜さん、柳野雫さん、九尾さん、
朧霞さん、偽バルタンさん、くれさん、
ありがとうございました。
特にくれさん、ご指摘ありがとうございます。
そう言った意見を言っていただけると、私も次回に活かせるかと思います。
これからも宜しくお願いします。

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