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▽レス始

「彼女たちのひとりごと2 小鳩 (GS)」

S (2004-12-27 13:17/2005-02-16 01:29)
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コンロの上で、火にかけられたお鍋が、ことことと美味しそうな音を立てている
蓋を開けて、塩胡椒をさっと一振り
刻んだ生姜を落として、軽く掻き混ぜると、台所に漂う匂いに一層深みが増したような気がする

「小鳩〜 もうええんとちゃうか?」

「ん もうちょっとだけ待ってね」

蓋を戻して、火を中火に落とし
その間に、水切りを済ませたレタスを手早くお皿に盛り付ける
上にかけるのは、先日小僧も美味しいを連発していたヨーグルトドレッシング
口の中によだれも沸こうというものだ

小鳩は気付いていないようだが、右足の爪先が、鼻歌に合わせて無意識にリズムを取っている

「なぁ小鳩……一つ、聞いてもええか?」

何となく、今だったらはぐらかされずに答えてくれるのではないかと

「なぁに、貧ちゃん?」

「どうして小鳩は、霊力を磨こうとはせいへんのや?」

小僧の周りにおる連中みたいに

「んー……貧ちゃんは、そうした方がいいと思うの?」

「ワシにはいいか悪いかなんて分からん けどなぁ 小僧が色々ときついときに、一緒に助けたりしたいとかは思わんのかなーって」

聞いてるうちに、分かった
あ これは違うな
料理のリズムに、全く狂いが生じない

「そうね 横島さんの周りって、実際すごい人だらけだもんね
でも、だからこそ、その中で一人だけ『普通の女の子』っていうのは、結構有利なポジションだと思わない?」

そんな暢気な声で言われても、ちっとも策略家っぽくないで

「でも貧ちゃんは、あたしに霊力があるって思うんだ」

「当たり前やないか 何年一緒におると思ってるねん」

曲がりなりにも神である自分と、それこそ生まれたときから一緒にいたのだ
磁石が鉄を磁化させるように
狙っていたわけでもないし、未だ眠りに付いている以上どういう方向性を持っているのかも分からないが
それでも小鳩の中に霊力が備わっていることは間違いない

「あのね 横島さんたちがゴーストスイーパーをしてることは知ってるし、悪い霊とかがいるのも分かってるの
それでも、戦ったり退治したりっていうのは、あたしには、よく分からないんだ」

振り向いて、ちょっと笑う

「それに、誰かにとって大切な家族かもしれないでしょ?」

あたしと貧ちゃんみたいに

その屈託のない笑顔に、胸がじぃんとする ほんま、ええ子やなぁ
小僧には勿体無いで

「でも……横島さんが一生懸命頑張ってるのもよく知ってるから
あたしは、疲れて帰って来た時に、おかえりなさいって言ってあげたいの
お仕事で辛いことがあったとき、知っていたら逆にお互いに気を使っちゃうことだってあるんじゃないかな」

……ああ それで何となく分かった
小鳩は識っとるんやな
何があったのか知らんでも、小僧に辛いことがあって
周りの連中が、知っているからこそ何も言えないでおることに
お前だって、悩んだはずや
自分ひとり置いてかれてるような寂しさとか
それでも、いっぱいいっぱい考えて
知らないことで初めてできるやり方で、小僧を支えてやろう思うたんやな

「ん よし、分かった! さっきの話は全部忘れたで――お、もう本当にええんとちゃうか?」

ことことと言っていた鍋が、いつの間にかくぷくぷという音に変わっている
これは美味しく仕上がった証拠や

「あ そうね――じゃあ、これ、貧ちゃんとお母さんの分ね」

たっぷりとお皿に取り分けて

「あの……お留守番、お願いね」

「おう 早よ行ったれや 今頃、首長ぉして待っとるで」

力が増したお陰か、四六時中べったり張り付いていなくてもよくなった
隣の部屋、2、3時間くらいなら全く問題ない

頬をほんのりと赤く染めながら、お盆に鍋――小僧は大食いだからな――と大盛のサラダを乗せて

「じゃあ、行ってくるね」


ぱくり

「ん! ほんまいける また腕を上げよったな」

これなら、いつでもいい嫁さんになれるで

見えない壁の向こうに向かって、エール

この先どうなるかは分からないが
自分だって福の神の端くれだ
きっと、どうにか上手く行くだろう


「あの小僧のことやから、きっとめちゃくちゃなんやろうけどな」


あとがき
私の頭の中では、横島はまだ誰ともくっついていません
ですから、小鳩はお食事と談笑(……もしかしたら、もうちょっと)をしに行っているだけです
ですが、読んだ方がそれぞれ脳内補正をされるのはありだと思います(そのために、小鳩の年齢も含めて、はっきり描写することを避けてるんですから(笑))
私はハーレムという設定そのものは少し苦手なのですが
GS(だけではないですけど)の場合、それぞれのヒロインが『理想の女性像』の一部を担っているという一面もあると思いますので
「誰か一人を選んでそれで終わり」には、ちょっと抵抗があったりします(だからといって、全員食っちゃえというのも何か違うような気もしますけど(笑))
カップリングというより、ファミリーとしての横島たちが好きなのかも知れません
誰かがどこかで言っていた、姉としての小竜姫さま、娘としての……というの、私も気に入っています

最後に、読んでくださってありがとうございました

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