無限の魔人 第十三話 ~ラプラス改め~
「だから、あの時は仕方ないだろう? ラプラスが完全に死んだと思わせるためじゃないか」
「だからと言って、何も教えぬ事も無い筈だ!」
「しかし、文珠とはねぇ・・・あんたなんでも有りだね」
「そうでも無いけど・・・龍美いい加減機嫌を直せ」
声が聞こえる・・・。
まだ生きているみたいだ・・・ね。
あれ、痛みが・・・消えている!?
「お、気づいたか」
目を開ければ僕を覗き込む優しげな瞳が・・・・・。
ああ、何故だろう、僕は自分の心が分からない。
やっと会えた僕の救世主・・・ずっと待っていたよ。
何でこんな事を思うんだろう・・。
「う、うわあああああああああ」
「な、何だどうした!?」
「界人!何を泣かせておるかっ!」
僕にも分からない、だけどこの人を見たら謝りたくて、救ってもらいたくて、そしてずっとこの人を待っていた気がして。
泣きたくなった。
「ああ、よしよし・・・もう大丈夫、大丈夫だ」
「ぅぅ・・ぐすっ・・・ああ・・ぐすっ・・。」
「全く、一体何がなんだか」
「まぁそういうなメドーサ。殺されそうになってたんだ、仕方ないさ」
「所で、なんで龍美はそんな遠くに居るんだい」
「さぁ・・・なんでだ?」
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「で、少しは落ち着いたかラプラス?」
「ああ、悪かったね・・・別に殺されかけたから泣いた訳でもないんだけど、何故かな、君を見たら泣きたくなってきたよ」
「それは誉められてるのか?」
「さぁ、僕にも分からない感情だから何とも言えないね。」
「そうか。所で、そろそろ体を放してもらえると助かるんだが?」
「いや、何か放したくないみたいでね。全く不思議だね、体が・・いや、心がそれを拒否してるみたい」
僕は未だ彼の胸に抱きついている状態だ。
全然嫌な感じはしない。
それよりも、ずっと待っていた人にやっと会えたような・・・そんな気持ちが。
放したくない・・・ね。
ああ、もう安心だ・・・やっと来てくれた・・・・やっと来てくれた!?
どういう事だろう・・分からない・・・・何故そう思うのか・・。
「さっさと離れぬかっ!」
「うわぁ」
僕は彼と引き離されてしまった。
「何をするんだい!」
「ええい!いつまでもくっ付いて居るからだ」
綺麗な女の人が怒っている。どうやら僕が彼に抱きついていたのが許せないらしい。
「あんた、いつの間にこっちに来たのさ」
飽きれたように魔族の女性が言った。
「ふん、いつだって良い」
「まぁまぁ少し落ち着け」
「お主が悪いのを自覚しておるのか!?」
「俺が悪いのか・・・ごめん」
彼が頭を下げた。
そうなの?
「分かれば良い」
どこか満足げな彼女は、わざわざ椅子を持ってきて彼の隣に座った。
「はいはい、もう良いからさっさと本題に入りな・・全く、なんで私がこんな事」
どこか姉御肌な魔族の女性。
恐らく竜神族の1人だろう。
「取りあえず自己紹介しようか。俺は界人、自称賢者の魔人だ。こっちは龍美にメドーサ」
「僕はラプラス、元は前知魔と呼ばれていたよ」
僕はベッドに入ったままだ。
服は着替えさせられている・・・下着は変わってないが、白いシャツを着ている。
下は下着のみのようだ。
毛布で見えないがきっとそうだろう。
「で、そのラプラスが何で脱走なんてしたんだ? そうしなけりゃ死に掛けることも無かっただろ」
「あんたは元々全てを知っていたから、ヴァチカンから出る事すらしなかったんだろう?」
「そうだね、その通りだよ。だけど、昨日それが変わったんだ」
「「変った?」」
龍美という女性と魔族のメドーサが声を揃えた。
「未来が不確定になったんだ、それはこの世界を書き換える可能性を持った人物が現れたから」
「俺か?」
界人は自分の役目を知っているのかもしれない。
「そう、だから僕は君に会わなければならなかった。僕と世界を救ってもらう為に・・・そして謝罪する為に・・何故そう思ったかは良く解らないけど」
本当に不思議だけれど、僕はその時に思ったんだ「会わなきゃ」ってね。
「いやぁ、本当に幸運だったよ。助けてくれたのが君で」
僕は心からそう思ったね。
「ところで、僕はどうやって助けられたんだい?」
「ああ、それは文珠でな」
「文珠!?それは凄いな・・僕が知る限り文珠能力者は歴史上3人のみだよ」
彼が語った僕を助けた方法は次の通りだった。
1.龍美ちゃんとメドーサが美神の気を引いている間に、僕の傷を治療。
2.僕の[存在力]と言う力を少し貰って、彼の霊力で僕の偽物を作る。
3.僕をここに[転][移]させ、僕の偽物を美神に引き渡す。
「じゃあ、僕はもう死んだ事になっているんだね?」
「ああ、それは間違いないな。さっきテレビでお前の死が報道されていた。」
「生け捕れって事だから、死体を渡した美神令子には1銭も入らないだろうな」
「「「自業自得(だ)ね」」」
「それは置いておいて、ラプラス、これからどうするんだ?」
界人が真面目な顔で聞いてきた。
「僕は君に会う事だけを考えてたからね、何も考えてないよ」
「そうか・・・じゃぁここに居るか? 今放り出しても捕まるのが落ちだ」
「そうさせて貰うよ。ありがとう」
僕は界人の傍に居るととても落ち着くみたいだ。
何故かは知らない、それほど人生経験豊富って訳でもないからね・・・ずっと寝て過ごしてたし。
「そうなると、やっぱり公衆の面前で「ラプラス」とは呼べないから名前を決めなきゃな」
どことなく嬉しそうだ。
僕の名前か・・・・僕の名前は僕が決めた訳じゃなくて、何時の間にかそう呼ばれていたんだ。
前知魔・・・それは能力の名前なのに酷いよね。
「ラピス、ラピス・クォーツでどうだ?」
ラピス・クォーツ・・・か、悪くないね。
「うん、良いと思うよ、ありがとう」
嬉しくて抱きついたら龍美ちゃんに睨まれちゃったよ。
クスクス それもまた楽しいと感じてる。
「メドーサもついでに名前どうだ?」
「私は人間の姿の時はアメルと名乗ってるよ」
「そうか・・・残念だ」
本当に残念そうにしている・・・名前付けるのが好きなのかな?
「それとラピス、余り楽観しない方が良いな・・・もし生きてる事がバレたらどうやって逃げる?」
考えていなかった。
「飛んで「それは止めておきな。例えラプラスだと知られなくても、魔族が街中を飛び回ってたらGSがやってくるよ」
「・・・」
手立てが無い・・ね。
「そうか、魔族として空を飛ばなきゃ良い訳だろ? なら、いい方法がある」
「文珠を使うのか界人?」
隣にいる界人をきょとんとした顔で見上げている龍美ちゃん。
どこか幼い感じを受ける。
体は大きいんだけどなぁ。
「いや、魔法の箒さ」
ニヤリと笑った界人。
黒いイメージの界人には中々に似合う。
彼はラプラスを仲間に加え、倉庫内は少し賑やかになった。
そして彼は徐々に孤独ではなくなっていった。
だが、彼の心は未だ癒される事は無く、それ以上広がりもせず。
唯、この世の不条理を思う。
無限の魔人 第十三話 ~ラプラス改め~
end
あとがき
龍美が、龍美が会話に混じってない!!
ラプラスと界人の会話で全てが終わりました・・・_| ̄|○
こんなもんさ・・・そうそう・・・所詮私はこんなもんさ。
ラプラス女性化に賛否両論多数の声、いや、若干否定的な声が多いか・・むぅ。
別に意味も無く女性化させた訳でもないんですよ、禿げたキャラを書きたくない!ってのも有りましたが、もう1つ・・・まぁ、最初の設定付けでそういう関係になってしまっただけです・・・GSの「常識に囚われてはダメ」ですよ。
原作ラプラスとこの話のラプラスは別物だと思ってください。それで解決(何
次回は九尾さん案の炎の狐!? ご期待ください。
レス返し~
名前応募有難うございました。選定方法は5人の脳内会議で決めました。
まぁラピスってラプラスと似てる?とは思いますが、ばれないでしょう。多分
>メリアさん
初めまして。楽しみにして頂いて有難うございます。
>saraさん
綺麗な名前を有難うございました。残念ながら使う事は有りませんでしたが、感謝しています。
>数学小僧さん
初めまして。素晴らしい名前を有難うございました。名前は他の物に決まってしまいましたが、ラプラスについての知識を得られました。ありがとうです。
>法師陰陽師さん
二つもの名前を有難うございました。パンドラの箱って解釈の仕方が多数有るので困っちゃいますよね(関係なし
陰念は・・・ぶっちゃけ考えてませんでした! いやー、気づかせてくれてありがとうです。今後出るかは・・・分りません。
>九尾さん
>ラプラスの名前ですか~。ど~も原作のハゲな姿が浮かんで女ってイメージがわかないんですよね~。
原作の禿げとこの話のラピスは別物です・・・気にしちゃダメです(またもや
名前応募ありがとうございました。マチという名前に至るまでの思考も態々有難うございます。とても納得しましたw
>にもさん
初めまして。
>正直、理由の弱過ぎなハーレム化に落胆気味です。
いつか分る時が来ます!・・・多分。(え
これからも「ふぅん?」って位の感じで読んでくだされば幸いです。
>MAGIふぁさん
>ラプラス女性化に萌えは無いと感じたので名前が思いつきませぬ。
>なんとなく仲間になってるが、それでいいのかメドーサも。
いえいえ、名前は簡単に思いつくものではないと思います。私も全然思いつかず皆様に頼りました故。
メドーサは・・・次回お楽しみに。
>無貌の仮面さん
初挑戦って萌えますよね(字が違う
素敵な名前を有難うございました。残念ながら採用されませんでしたが、めげないで下さい(ぇ
>通りすわりさん
初めましてー。
>ラプラス女性化、面白い展開です♪
>名前の案ですが、単純にラプラス、そして時計関係のクォーツから
>『ラピス・クォーツ』
>というのはいかがでしょうか。
通りすわりさんのラピス・クォーツが採用されました。
どうもありがとうございました。これから作中でラピスが活躍(?)するのを楽しみにしてください。
>Danさん
紫杏・ラプラとラピス・クォーツで最後まで競っておりましたが、残念ながら負けてしまいました。どうもありがとうございました。
>柳野雫さん
>ラプラス女化ですか・・。イメージわきませんねぇ・・(汗
全く別物と考えると良いです。無理に当てはめようとするから無理が出る(変な説明になってます。
横島君にはまだまだ良い思いなんてさせてあげません!(何