無限の魔人 第十二話 ~賞金の行方は~
「なっ血まみれ・・・・界人、こやつ魔族だぞ」
「ああ、だろうな・・・ラプラスの可能性が高い」
「もうすぐ逝っちゃいそうだね。そうなると追っ手が居る」
ラプラスらしき魔族は右肩にボウガンの矢が突き刺さり、腹部と右腕から血が流れている。
「ラプラス自身には何の罪も無いはずだろう、助けられぬか?」
何故か私は魔族を助けようとしている。
これは界人の影響かも知れぬ、元は消える運命にあった私だから・・・。
「しかし・・・」
界人が険しい顔で何かを考えている。
「どうした界人、何か問題が?」
「いや、ラプラスって美人の姉ちゃんだったとは・・・意外だ」
「「そこが問題か(い)っ!」」
頭が痛くなってきた。
確かにラプラスは美人だが・・。
短めの金髪に、今は閉じているが先ほど見たところ綺麗な青い瞳をしていた。
スーツ姿で違和感無く着こなしている。
やはり横島が根本になっているのかと改めて思った。
「ま、待ちなさい。ラプラスは私の獲物よ」
その時、1つ先の交差路から現れたのは頬を押えた美神だった。
右手には銃を構えて、こちらへ歩いてくる。
私は無言の内にラプラスと美神との間に割って入った。
「退きなさいっ!そいつは魔族なのよ!GSの私が捕らえます、退きなさい!」
界人を振り向けば何時の間にかサングラスを掛け、ラプラスの傍らにしゃがみこんでいた。
(界人なら平気だろう)
界人なら・・・か・・・ふ。
「あははは、美神令子昨日は楽しかったよ。偶然とは言え今日も会えるとはね」
私の隣に立つメドーサが自ら美神に気づかせた。
「あんたはメドーサ!まだこの辺りに居たなんてね。さっさと魔界に尻尾巻いて逃げたかと思ってたけど、今度は仲間でも連れてきた訳?」
「ふん、相変わらず気に食わない女だね、お前は!」
美神の簡単な挑発に乗るメドーサ・・・矛まで呼び出し戦闘体勢に入った。
「こら、いきなり挑発に乗る馬鹿が居るか」
界人がメドーサに冷静になれと促す。
見ると未だにラプラスの傍らに居る。
まだ助からないか・・・。
「ちっ!命拾いしたねあんた」
「それはそっち「あんたもあんただ、たった一人でメドーサに喧嘩を売ってどうする?」
「ふん、メドーサとつるんでる奴なんかに言う事は無いわ!」
「それより、さっさとラプラスを渡しなさい!」
「上からは何て言われてたんだ? デッド・オア・アライブ?」
「・・・唯捕らえろと言われただけよ」
「ふーん・・・なら持っていくが良い。もう死んでる」
「なっ!界人それ「ちょっとあんたは黙ってな」
メドーサに口を塞がれ、倒れたままのラプラスの傍に引っ張られる。
ラプラスを見ると既に呼吸は止まり、体が硬くなりつつある。
「界人!お主なら助けられたのでは無いのか!!」
私は怒りが湧いてくるのを感じていた。
界人ならと、信じていたのだ・・・・それを!
「龍美、メドーサ、帰るぞ」
界人は振り返り、美神に見えぬように文珠を二つ作り出した。
[転][移]
一瞬後には3人であの倉庫にいた。
「さて、何か言いたそうだな龍美」
「当たり前だ!界人ならあの状態でも助けられただろう!!何故助けなかった!?」
「落ち着くんだね、そしてあっちを見てごらん」
界人への怒りは依然収まらないが、取りあえずメドーサの指差した方へちらりと視線を向ける。
な!
「ラプラス!?」
ラプラスが今朝方まで私が寝ていた簡易ベッドに横たわっていた。
もちろん、呼吸はしている。
「どういうことだ!ラプラスの霊基が消えているのを確かに確認したのだぞ!」
「敵を欺くにはまずは味方からってな」
ニヤリと笑う界人。
「説明になっておらん!」
先ほどまでの怒りは収まったが、今度は私まで騙していた事に対する怒りが湧いて来た。
「ああ、悪かった悪かった。ちゃんと説明してやるから首を絞めるな」
「全く、少しはメドーサを見習え」
隣を見るとメドーサが落ち着いた様子でソファに腰掛けていた。
ちなみにこの倉庫には、ソファ2つに大き目のテレビ、ベッドが3つ。
そして奥には何故かタンスとクローゼット等が置いてある。
白竜会の陰念、雪之丞、勘九郎の3人が隠れていたらしい。
「私は最初からラプラスがどうなろうと関心が無かったからね。それに界人が妙に時間を掛けていたから、何かしたんだろうと当たりをつけただけさ」
「そうか・・・ほら龍美、いつまでも膨れてるんじゃない」
五月蝿い!
「・・・・」
「はぁ、やれやれ・・・」
なっ!
「消えた?」
周りを見渡すがあの3人は何処にも居ない。
ラプラスが倒れているだけだ。
「あ、それよりもラプラス!」
(・・確かに死んでるわね・・・生け捕りって言われてたかしら?)
唯捕らえろと命令されただけだ。
生きて捕らえろとは聞いて居ない。
「んまぁ考えても仕方ないわね。連絡して引き取ってもらいましょう」
・
・
・
「ええ、そうよ。ええ、早く引き取りに来てね。一般人に見られると不味いわ。見た目普通の人間だから、ええ待ってるわ」
・
・
・
しばらくして黒塗りのワゴンがラプラスを引き取っていった。
「さて、帰るか・・・しっかし、あの馬鹿は肝心な時に間に合わないし・・・当分値上げは無しね」
あの馬鹿が居ればメドーサに対しても囮位には使えたかもしれないのに。
「ただいまー」
「あれ?美神さんもう終わったんすか?」
扉を開けると大きいリュックを背負いかけていた横島君が居た。
「はぁ・・・役立たず」
「そ、そんなぁー。走って学校からここまで来たのに」
プルルルルルッ プルルルルルッ
ガチャ
「はい、こちら美神所霊事務所です。あ、はい、美神さんですね」
「美神さん、お電話です。協会の方らしいです」
「ああ、来た来た!私の一億ドル♪」
「はい、お電話代わりました~♪ ええ、そうです、私です。ええ・・・・なんですって!? それは一体どういうことよ!一億ドルは!? そ、そんな理不尽です! あ、ちょっとまって「ブツッ・・ツーツーツー」
「あのー、美神さん? 一体何が有ったんですか?」
「ふ」
「「ふ?」」
「ふざけんじゃ無いわよーーーーーー!!!!」
「「きゃぁ(うわぁ)~」」
「はぁはぁはぁはぁ」
<オーナー、一体何が有ったのですか?>
「「み、美神さん?」」
「わ、私の一億ドルがああああ、うわあああああん」
その後泣き崩れる美神を宥める2人の姿が目撃されたとか何とか・・・・。
「一体何が有ったんじゃーー!?」
無限の魔人 第十二話 ~賞金の行方は~
end
あとがき
はい、ラプラス女でした。僕って言ってたのも、スーツってしか描写してないのもこの布石の為です・・・ふ。
まぁ、“僕”にはまだもう1つの意味が有ったりしますが、それはまだ後で。
ここでラプラスの人名募集します。♀って事を考えて頂ければいいです。
金髪に碧眼のラプラスです。期限は明日の十三話投稿時までです。
(名前考えるのめんどくさいなー、なんて思ってません、ええ、ええ思ってませんとも)
レス返し 今回もどうもありがとう!
>九尾さん
ふ、横島君に誰が会わせたりしますか!!?
私はそんなに太っ腹じゃないですよー(ふっふっふ
>法師陰陽師さん
>表向きはほとんど原作通りなのに横島の感じが違いますね~~。
界人君の影響が少しずつ出ているんでしょうね、もう少し横島君が頼れるようになれば良いですけど・・・。
>ラプラスは美神達から逃げ切れるのか!?
逃げ切ったのかな?w
>Danさん
>この調子で界人サイドと横島サイドの物語をつむいでゆくのも面白いかと…
一応そのつもりでやってるんですけど、長いって言う欠点がw
>金谷さん
うーん、微妙でスイマセン。
>ななしのゴンタさん
教えてくれて有難うございました。また間違いが有りましたらお願いします。
>紫竜さん
全てが終わった時に事務所に居ました(笑
タイミング悪!
>柳野雫さん
あの二人と会えたのは美神令子唯1人でしたね~、いやー可哀想に横島君。