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▽レス始

「無限の魔人 第十話GS)」

紅眼の狼 (2004-12-24 12:13/2004-12-24 12:19)
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無限の魔人 第十話  〜追う者と追われる物〜


[美神所霊事務所]


プルルルルルッ プルルルルッ  


   ガチャ 


「はいはい、こちら美神所霊事務所。何の御用ですか?」


「あ、えっはい!・・・・なんですって!? ええ、はい、はい、解りました、必ず捕らえてみせます!!」


   ガチャ


「美神さん、お仕事の依頼ですか?」

「こうしちゃ居られないわ!おキヌちゃんは横島の馬鹿を連れてきて頂戴!」

「え、一体どうしてですか?」

「はい、これ持って行って、私の居場所が解るから。私は先に行ってるわ」

   ガチャリ

「え、え!?」

「んじゃね、あの馬鹿に除霊道具一式持たせて来てね」

   バタンッ!

「はぁ・・・一体何があったんでしょう?」


<どうやらラプラスという魔族が逃げ出したらしく、オーナーに仕事が来たようです>


「そうなんですか〜・・・あ、横島さんを迎えに行かなきゃ! 行ってきます」


<いってらっしゃいませ>


[厄珍堂]


   ドンドンドンッ 


「厄珍〜早く出てきなさい!急いでるのよ!」


   ドン!ドン!ドン!


   ガラガラガラガラ


「うるっさいある〜!!!こんな朝っぱらから「それよりも一番良い見鬼君を売りなさい!」

寝巻き姿の厄珍が出て来たところで、美神が詰め寄る。

「令子ちゃんあるか、どうしたね。こんな朝っぱらから」

「ラプラスが逃げ出したのよ!捕まえるからさっさと見鬼君を売りなさい!」

「んも〜分かったあるよ。ちょっと待つある」


店の中に消える厄珍。


「ちっ、早くしないと誰かに先を越されるわ」

「これこれ、このウルトラ見鬼君なら下っ端魔族程度簡単に見つけられるね」

「変な名前ね、まぁある意味わかりやすいけど・・・ところでいくら?」

「んー、令子ちゃんはお得意様あるからな〜・・・大まけにまけて、今履いてるパン「死ね!!」

凄まじい速さで拳が厄珍の顔にめりこむ。

「ブベラッ!」

「ひ、酷いある令子ちゃん・・・ちょっとした冗談なのに」

「いいえ、目が本気だったわ!それより幾らなのよ!?」

「ひぃ、言うから胸倉掴まないで欲しいある」

「さっさと言いなさい!!」

「6せ、ひぃ、5千万で良いある!」

金額を述べようとすると凄まじいばかりの殺気が走り、つい値段を下げてしまった厄珍。

「そ、ありがと。んじゃね」

先ほどまでの殺気が嘘のように消え去り、笑みを浮かべてバイクに跨る。


   ブォオオオオオオオオオオオ


バイクが徐々に小さくなっていく。


「ラプラス捕まえたら、うちの商品のお陰って宣伝しておくあるよ〜!!」


「あの令子ちゃんが動くとなると、賞金は1億円くらいあるかな?」


厄珍の読みは鋭いが、金額の方は全然当たっていなかった。


それから数十分後。


「良いわね、この見鬼君。高いお金出したかいが有ったわ・・・あっちね」

見鬼君が指差す方向へ歩き出す。

顔には怖いほどの笑みが張り付いている。


その頃、朝のニュースでラプラスについて報道されていた。


「見つけた!やっぱり人間に化けて紛れ込んでたみたいね」

ラプラスはスーツ姿だった。

武器らしきものは持っていない。

(逃がさないわよ。一億ドル)

バイクに乗せていた小さ目のリュックから呪縛ロープを取り出す。


ラプラス対策は一応している。

ラプラスは未来を見る対象の体か、又は物に触る事によってしか、その者の未来を見ることは出来ないと言われる。

私が今着ているのは先ほど着ていた物ではない。

その辺に居た人に10万押し付け払って服を売って貰ったのだ。

つまり、この服はまだ私と言う存在に「慣れ」て居ないので、私から未来を読み取る事は不可能だ。

高い買い物だったが、大事の前の小事と気にしない事にする。

(絶対元取ってやるんだから)


ラプラスは私にはまだ気づいていないようで、土手の上をゆっくりと歩いている。

周りには朝のジョギングをしている人やら、犬の散歩をしている人達が居る。

私はゆっくりとした足取りで一歩ずつ確実にラプラスとの距離を詰める。

ラプラスの前方からこちらへ向かって、部活の朝練だろう学生3人がジョギングしながら会話している。


「さっきのニュースみたか? ラプラスって言う魔族に一億ドルの賞金だってよ」

「ああ、見た見た。出来るなら捕まえたいよなー」

「いやぁ、絶対無理だって。魔族って言ってただろ? そういうのはGSの仕事だよ」

「そうだよなー、ラプラスの顔すら分からないし、探し様が無いよな」


(ちっ! もうニュースで流れたか。)

それよりもラプラスに今のことを聞かれた方が問題だ。

ラプラスの方を見ると、しっかりと今の会話を聞いていた様だ。

立ち止まり、ゆっくりと周りを見渡した。


(不味い!このままじゃ見つかる!!)


ここは見晴らしの良い土手の上、隠れる場所などない。


(なら、やる事は1つ・・・見つかる前に―――――――――――


―――――――捕まえる!)


  バッ!


呪縛ロープを放つ!

ラプラスが振り返り、完全にこちらを向く。

(気づかれたっ! でももう遅い!)

ラプラスに呪縛ロープが絡み付く瞬間、ラプラスは着ていたスーツの上着を脱ぎ、それでロープを叩き落とされた。


「なっ!」


一瞬の判断であんな事が出来るとは、伊達に魔族って訳でもないわね。

私はラプラスを侮っていた。

「未来を知る」事しか出来ない魔族。

そう思い込んでいたのだ。


「ちぃ、ならこれならどう!」


腰に刺していた霊体ボウガンを構え、ラプラスの右足に狙いをつけて撃った―――


バシュッ!


―――――――これも避けたっ!?


ラプラスが背を向けて走り出した。


どうやら土手を降りて商店街の方へ逃げる算段のようだ。


「させないわよ!」


ボウガンに次の矢を装填、そして撃つ。


(背を向けていたのは間違いだったわね)


私が撃った矢はラプラスの肩を射抜き、そのまま突き刺さっている。

だが、ラプラスはそれに構うことなく走り続ける。

多少は減速しているが、このままでは逃げられてしまう。


周りを見ると、皆怯えたように遠巻きに見ている。


(まずった。早く捕まえないと、人伝にラプラスの事が知られる)

そうなればGSだけじゃなく、一般市民たちも武装してラプラスを追うだろう。

私はバイクまで戻ると見鬼君の指示に従い、ラプラスを追いかけた。


(くそ、くそくそっ!)


油断していた、そう、考えもしなかったよ。

あのローマの爺がそこまで僕に執着していたなんてね。

ああ、肩が痛い! 

段々熱を持ってきたようだ。

血が止まらない。

止血したいがそれよりも、早く逃げなければ、あの女は危険だ。

未来が1つしかなかった時、世界を巻き込む戦役の中心に居た人物。


美神令子!


「待ちなさいっ!」

(もう追いついてきた!?)

相手はバイクに乗っていた。

(ああ、僕は何て無力なんだ)

「未来を知る」能力を失った今、空を飛ぶ事くらいしか出来ないし、力も人間とそう変りはしない。

しかし、今空を飛べば大勢の人間に見つかり追いかけられ、さらに不味い事態になってしまうだろう。

それくらいの判断はつく。


ドギュンっ!


「なっ!」


いきなり、走っていた前方の地面が爆ぜた。

驚いて足を止め、振り返る。

美神令子が銃を右手に構えながら、バイクを降りて歩いてくる所だった。


(何て危ない事をするんだ! 僕を生け捕れって命令じゃないのか?!)


あの美神令子の事だ、きっと銃弾も銀製だろう。


「大人しく観念しなさい!一億ドル!!」


(やっぱりそれが目的か!)


僕が知る美神令子そのままのようだ。

(未来を書き換える「者」の存在でも、たった一日ではこの女の性格まで変えられないらしいね。)


  クスクスクス


大人しく捕まるつもり等さらさら無いが、大人しい振りをして逃げ出そうと考える。

「僕はラプラス、一億ドルなんて名前じゃないのだけれど? 美神令子さん」


(会話で気をそらさせ、近づいてきた所を隙を突き、銃を奪って逃げる!)


「なっ! なんであんたが私の名前を知ってるのよ!?」


(食いついてきた。)


内心ドキドキしているが平静を装い、会話する。


「僕は未来を知る者、未来において重要な存在の名前くらいは知っているのさ」


血が流れすぎているよ・・・そろそろ限界が近いみたいだ。


「私が未来で重要な存在って事?」


ああ、未来を書き換える「者」よ。


このまま会えずに終わるのかな。


「その通りさ、まぁそれ以上の事は教えてあげられないけど」

「どいうことよ!」

美神令子との距離が縮まっている。


「ああ、(あと5m・・4m)それは(・・3・)世界が(・2・)邪魔を(・1!)ね―――――――


「はっ!」


「くっ!放しなさいッ!」

「放せと言われて放す馬鹿は「バンッ!バンバンッ!!!」

「しまった!」


(うああああああああ)


余りの激痛で声をあげる事すら出来ない。


だが、チャンスだ! 


痛みを精神力で抑え、次の手を考える。

無事な右足で美神の持つ銃を蹴り、そのまま左足で回し蹴りを顔に叩き込む。


「キャァ!」


(逃げ・・・るんだ、僕はま・・だ死ぬ訳には行かな・・・い。)


意識が朦朧としてきた、腹部に2発、右腕に1発銃弾を受けている。

普通の銃弾ならまだましだったろうが、対魔用の純銀製だ。


(足が・縺れ・・る。美神が起き上がる前にもっと距離を――――)


そして、そのまま僕は意識を失った。


無限の魔人 第十話  〜追う者と追われる物〜


end


あとがき
この話はラプラスに賞金を懸けた時点で「美神だな」と思いついた物です。
ストッパー横島君が居なければお金のためならえ〜んやこ〜ら(え
次の話は今回の続きではなく、少し戻ったお話です。
これも1つのお預けプレイ(は?
ゴメンナサイ、調子に乗りました。

ここで気づいた事。香港の前に「ハーピー」が居た!! すっかり忘れてました。
話の順序を覚えていない私・・ふ、単行本本格的に集めねば。


レス返し  感想ありがとう、私の創作意欲の糧にしてますです。

>九尾さん
おお!私と同じ考えの方が居ましたか。メドーサって悪ぶってますけど、殺したとかの描写全く無いんですよね。ビッグイーターで白龍会の人を石化させたらしいですが、元に戻るみたいだし。

>南瓜頭さん
いえいえ、未来が2つに増えたのはあの一瞬で、既に無数の未来の可能性が生まれたのです。ですので、
ラプラスの能力は失われた

未来から解放

解放されたので自身も自由になりたくて脱走

追われる
となりました。

>惨劇現場の料理人さん
界人君は美男子と言う訳ではありません。
醸し出す雰囲気に当てられるのでしょう。
>..グレート・マザーは.界人を見て...混乱するのか.素通りするのか..見てみたいな。。
面白いですね・・・私も見てみたいです・・機会が会ったらやりたいような。

>無貌の仮面さん
今回語られてますがラプラスは無能です。それとヴァチカンは920年も前から居るような所です、何から何まで全部知り尽くしていると言っても過言では無いラプラスが脱走するなど・・・。

>法師陰陽師さん
出てきたのはラプラスでした。まぁ唯出すだけじゃ面白くないのでこんな事に。
>ラプラスは捕まえようとしても未来が見えるから捕まる日が何時なのか、このまま捕まらないのかが分かってますね。
この事ですが、ラプラスは既に未来を知る能力を失っております。ので、全く普通の(?)魔族です。

>トレロカモミロさん
>どうやって脱走したのかが作中で語られることを希望したいところ
ぐっ・・そんな所に時間を掛けると香港編突入が一月中旬に遅くなりますよ!?(泣
会話に重点を置く私では不可能です・・あああぁ。
>しかし、銃声=捕り物……。
ああ、指摘されて気づきました。
流石に短絡的過ぎたかな〜と思いますが、言い訳をば。
そもそも界人君は、気配を消しているメドーサの後をつける事が出来る人物です。
ラプラスと美神令子が争って気づかない訳が有りません。ですので、作中で界人君が言った「銃声!? なんかの捕り物でもしてるのか?」は既に解っていながら二人の為に言った物、と言う考えが私の脳内で既に完了していまして・・ああなりました。

>紫竜さん
>そ〜〜いえばラプラすってどうやって逃げたのでしょうか
ああああ、皆そこを気にしすぎです!さくっと流す予定だったのにぃ
>序に撃たれたのがラプラスじゃないことを願う
>だって日本でそんなこと有る訳ないし
>第一銃刀法違反だし
西条君がジャスティス持って銃ぶっ放したりしてましたね。GSで気にしたら駄目です。・・ふ、勝った!(え
冗談はさておき、GSの装備ですからちゃんと許可は取ってあるでしょう。(多分

>柳野雫さん
ほのぼの感と界人の謎を解くシリアス感の二つが今のところメインですねー。
サブで横島君側のギャグを書くのも良いかもしれませんねー。

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