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「無限の魔人 第八話GS)」

紅眼の狼 (2004-12-22 15:06/2004-12-22 15:21)
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無限の魔人 第八話  〜メドーサと龍美〜


「んん・・・・」


瞼を徐々に開けていくと朝の光が射し込んできた。


「起きたか、おはよう龍美」


段々と眩しさに慣れ、私を覗き込んでいる界人が目に入った。


「ああ」


私が返事をすると彼は苦笑した。何か間違えただろうか?


上半身を起こし界人をじっと見た。


「龍美、朝の挨拶は[おはよう]だ」

「解った、おはよう界人」

「ん」

満足したように微笑み私の頭を撫でて来た。


夢で感じたような温もりが私の中を駆け巡る。


界人が撫でるのを止めた時、少し物足りないような気がしたが出来たばかりの体を思い、両手を開閉してみた。


 にぎ にぎ


「どんな感じだ? どこか違和感があったら言えよ」

違和感だらけだった。

初めて体を動かすのだからそれも当たり前なのだが。


「問題無いようだ」


慣れない内はそんなものだろうと納得している自分が居る。

それよりも早く体をもっと動かしたいと思う。


「なら良かった。それよりも、お前の服をどうしようか」


はっと気づく、私は簡易ベッドの上で白いシーツの中にいた。勿論裸で、見下ろすと私の胸が丸見えになっている。


「キャアアアアアアア」


叫びながらシーツを手繰り寄せ、胸元を必死に隠した。

顔が熱くなるのを感じる、体も火照ってくる。


「キャアーってお前・・・・いや、これも普通の反応と言えばそうだが」


「ううぅ」


体の火照りが収まらない。

これはきっと小竜姫様の影響だ。

そう思う事にした。


「何を騒いでいるんだい」

その時第三者の声がした。


「おはようメドーサ、良い朝だな」


倉庫の入り口にはメドーサが立っていた。

「何が良い朝だ、それよりあんた・・・女連れこんだのかい?」

「ち、違う!私は龍美だ!!

何故か力一杯否定してしまった。

それが事実なのだが。


「へぇ・・・・元に戻った?・・いや、違うね。作ったが正しいのか・・何より気配が昨晩と・・


メドーサはぶつぶつ呟きながら私をじっと見ている。


「それよりメドーサ、何か着る物は無いか? 龍美はまだ服を持ってないんだ」


私はシーツを体に巻きつけながらベッドから降り立ち上がった。

「それに腹も空いた。味覚も試してみたい」


まだ顔は熱かったが、意識せぬように淡々と語った。


視覚、聴覚、臭覚、そして触覚に痛覚は確認している。


「仕方ない、貸してやるよ。こっちへ来な」

私は倉庫の奥へ進むメドーサの後を、ベッドに腰掛けたままの界人を置いて付いて行った。


倉庫の奥にはロッカーが置いてあった。

メドーサはロッカーを開けて中から服を2〜3着取り出し、私に投げてきた。


「ほら、好きなのを着な。下着はそっちのタンスにあるから適当にね」


「すまない」


そう言ったらメドーサが驚いたように私を見つめてきた。


何か変だったろうか?


「あんた・・・元は小竜姫の竜気のくせに魔族に礼を言うなんてね」


「それは余り関係が無いな、私は私だ」


俺は俺。


界人の言葉が気に入っているようで、自分でも驚いた。


「ふん!私は先に行くからね」


メドーサを中々良い奴だと思った自分が、少し可笑しかった。


たった一日で色々な経験をしている・・・消えなくて良かったと今なら心から言える。


「あんた」


メドーサだけが奥から戻って来た。


どうやら龍美は1人で着替えているようだ。


「俺は界人、昨日そう名乗っただろう?」


「・・・界人、あの子は唯の竜気だったんじゃないのかい?」

やっぱり気になるか・・・メドーサも龍美も、気になることはとことん追求するタイプみたいだ、似たもの同士・・か。


「体は俺が作った。中々良いだろ?」


「ああ、女の私でも見惚れちまったからね・・・・・やっぱり作ったか」


それが一体なんなんだ?


「何か気になるのか?」


「あんたの事よ。超加速は避けるは、体を作っちまうは、おまけに時を止められた魔人と来た。怪しいったらありゃしない、疑問に思わない奴なんて居ないだろうさ。」


そりゃそうだろうな


「なるほど・・・かなり的確な表現だと思ったけど、解り難かったか」


「いいや、寧ろ簡単に推測出来る、例えば・・・あんたと横島の坊やの事から、あんたは未来からの時間移動者。さらに言えば、私や小竜姫なんかじゃ相手にならないほどの実力者だ。それに見た目以上に老齢だ」


やはりメドーサは面白い。


「老齢は酷いな、まだ800と18年だぞ」

「人間にすれば妖怪爺さ、まぁ、神魔族にすれば若輩者も良い所だけどね」

へぇ、神魔族じゃ800歳は若いのか。

そういえばピートも700歳で高校生やってたしな・・・。

俺もまだまだ大丈夫だな・・・うん。


「年なんか俺は気にしないけどな、老けないし」

ちょっとだけ強がってみた。

本当は周りが死んでいくのはかなり・・・。


「ほぅ、界人はそれほど生きていたのか」

龍美の声が倉庫の奥から聞こえてきた。


「ああ、別に隠す事でもないしな」

龍美の姿が目に入った。青いジーパンに白い薄手の肩と胸元が大きく開いているトレーナーを着ている。

メドーサのだから胸元が少し緩いみたいだな。

屈めばかなり胸が見える事になる。

俺が周りに注意を払っとけば平気だろう。


「どうだ? これが一番楽な格好だったのだが・・・」


竜美は不安そうな目でこっちを見てくる。

凄い勢いで精神が成長してるみたいだ。

バンダナの知識だけの時とは既に別人になりつつある。


「ああ、よく似合ってるよ。」


龍美の顔が段々と笑顔になっていく。

メドーサに礼を言わないといけないな、寝床に服に。

借りが二つも出来た。


「メドーサありがとな、この借りは必ず返すよ」

「っ!べ、別に良いよ!」


また顔が赤くなってる・・・やっぱり風邪をひいてるんだろうか。

近づいて額に手を当てる。


「どれどれ・・・「な!界人何をしているのだ!」ん?」

振り返ると龍美が少し怖い顔をしている・・・何か不味い事でもしたのか?


「いや、メドーサの顔が赤いから熱が無いかどうか調べようと」


「い、いつまで触ってるんだいっ!」

   バシッ


手を払われてしまったが、別に風邪ではない様で安心した。

「風邪じゃないみたいだな」

「「当たり前だ!」」


息がピッタリ合っている。

いつのまに仲良くなったのか・・・。


「まぁ、着替えも終わった事だし朝飯でも喰いに行こう。勿論メドーサもな」


龍美とメドーサの腕を引っ張って倉庫の外へ歩き出す。


「な、誰が一緒にな「まぁ良いから良いから、お礼だよ、お・れ・い」


隣を見ると龍美が楽しそうに微笑んでいた。


俺も嬉しくなって笑い返した。


無限の魔人 第八話  〜メドーサと龍美〜

end


<存在力について>

[存在力]は万物が持つ[在る]だけで使われる力、似た様なのに[気]があるが、あれとは性質が違う。
[気]は鍛えれば誰にでも扱え、誰もが大きく出来る。
だが[存在力]は違う。生まれた時に、存在が[始まった]時にその総量は決まる。それは一生変わる事が無く、[気]以上に気づき難い。誰もが死ぬまで意識せずに使っている、それが[存在力]

存在力は常に一定量が消費されている。

存在力は完全に空になると存在が世界から「消える」それは誰の記憶にも残らず、記録にも残らない。
存在が「消えた」者の空白には修正力が働き、何事も無かったかのように何時の間にか空白が埋まる。
普通は死んでも存在力の残滓は残るので「消える」事など無い。


あとがき
あとがきとレス返し書かずに送信してしまいました。
初修正中。

体の出来た龍美とメドーサの相手をする界人君、2人の視点でお送りしました。
今回はあまり言う事は無いんですが、唯1つだけ。
「メドーサはまだ落ちちゃ居ない!?」

レス返し 今回も感想ありがとーです

>紫竜さん
龍美の活躍は楽しみですねー。私も書きがいがありますよ。
ラプラスの能力はそういう意味で最強だったんですね。このまま行っても大丈夫そうです。

>siriusさん
存在力・・・説明せねばなりますまい。あ・・・↑に書いときます。

>法師陰陽師さん
>存在力ですか・・・『灼眼のシャナ』という小説にも似たようなのがありましたね。
なっ!?・・・すでに特許持ってる方が居ましたか(言い得て妙?w
残念・・は!するとこの作品はGS+灼眼のシャナの話になるのですか!?(どっちでもいいですが
灼眼のシャナ・・・今度読んでみます。

>藍さん
自力で考えたものではありますが、既出の考えとは・・・ぁ・・。
まぁ、気にしては駄目です(既に常套句

>九尾さん(レス神さまー)
>界人の女おとしの旅〜。
そんな事を狙ってる訳じゃないんですが、結果そうなるんですかね!?
そのうち月神族も?(まだ香港すら終わってないのにー

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