「アルをたまには食べさせなさいよ……!」

「ライラさんのお腹の中はふわふわで冷たくて気持ちいいけど……よく揉み込もうとするから苦しいもん……!」

なぜ二人はこんな会話になって洞窟内を走り回っているのか……少し振り返ってみよう。

「ふわっ……もう朝ね………ん?」

目覚めると何か柔らかく美味しい味が舌に伝わり、ライラは不思議そうに舌を這わせる。
昨日は木の実だからこんなに美味しいものを食べた覚えはない。

「ひぅ……!」

すると、舌を這わせると側で寝ていたはずのアルがビクッと身体を跳ねさせながら情けない声をあげる……。それとなく、頬も紅潮しているような……。
ライラはゆっくりと口に入ったものを吐き出すと……それはアルの尻尾だった。
既に唾液に濡れ、フワフワだった白狐の尻尾は細い何だかの麺のようだった。

「ライラさん酷いよぉ……。龍族のライラさんは知らないと思うけど……獣人は尻尾には敏感なんだよ……?
獣人を捕まえるなら尻尾を掴めというくらい……」

「あらごめんなさい……起きたらあまりにも美味しいものが舌の上に乗っていたものだから……つい」

そう言うライラにはだんだんと我慢できなくなっていた。アルの身体は初めて食べた時から非常に美味だった。

……まるで感覚を狂わせるように。

「アル……一度私に食べられて……?ちゃんと後で吐き出してあげるから……」

ライラの目は獲物を見るように瞳孔が細くなっていく……。アルからみても、本気にしか見えない。

「なっ!?僕の尻尾だけじゃ飽きたらず、今度は僕を食べるって…!?冗談じゃないよ!?」

こうして二人の鬼ごっこが始まった……!

「もぅ……!いい加減諦めてよぉ……!」

「それはこちらの台詞よ……!大人しくしていれば痛くはしないわよ……!?」

「それでも嫌っ!!」

アルは得意の妖術で煙を立てると、洞窟から逃げ出し、川の中へと飛び込んだ……!

「ケホッケホッ……いい度胸じゃない……水辺の近くで私に勝てると思っているのかしら?」

ライラはどうしても逃がしたくない獲物の残った味に舌舐めずりしながら、滝の中へと飛び込んだ……!

 

 8 / オマケ1 / オマケ2

 

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