「ふぁ……ライラさんおはよぅ……」

「ん……アル、起きたのね」

起きた頃には既に日が暮れ始め、ライラのお腹も元に戻っていた。

「………アル、話を聞いて?」

「そんな悩んだ顔をしてどうしたの……?僕に相談できることならなんでもするよ♪」

前には掟に従い、我が糧にしなければならないアルが優しく微笑んでいる……。

「目を瞑って?何があっても目を開けちゃだめよ……?」

……ライラは決心した。アルを喰らうことを。

「はぁい♪」

アルは何か楽しいことが始まると思っている。そんな子供の純粋な心も全て呑まなければならない……。
ライラは静かに洞窟の中で水龍の姿へと変わっていく……。

「いただきます……」

ライラは静かに呟いた。目の前の小さなご馳走を見据えて……

「バクン……!」

ライラはアルを口の中に収めてしまう。

「ライラさん……?ひぁ……!?」

突然の浮遊感に驚いて、静かに目を開けてしまう。その中はひんやりとして冷たく……なおかつ、生暖かい空気を帯びた先の見えない洞窟。
そう……先程のライラのいただきますという言葉……。
少し遡れば、ライラさんがお腹を膨らませて帰ってきて……怪物はどこにもいなくて……。
アルは全てに気づいてしまった。

「ライラさん……!出してっ!食べないで……!」

 

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