「ごめんなさい……アル」

ライラは一言だけ答えると、それ以降喋ろうとはせず、ただ食事に手をつけ始める……。

「ライラさん……」

アルの視界は最悪だった。ライラさんの牙は自分の身体を簡単に押し潰せるほどの巨大なもので、絶対に開くことの無い檻と化している。
反対に後ろを振り向くと、糸を引く唾液の滴る大きな舌と落ちたら最期……ライラさんのお腹に入り、生きながら溶かされる胃袋へと繋がる喉。
アルの目には涙も溜まり、夢であって欲しいと願うばかりだった。
しかし、ライラは止めることはせずにアルに襲いかかる……!

「ジュル……ピチャッ……!」

「うわっ!?あぅ……んぅ…!?」

舌が忙しなく動き、薄手のアルの服に涎が染み込む。
そのままアルの白い狐の身体はあっという間に柔らかい舌に巻き取られて上顎に押し付けられていく……!

「くぅ……苦しいよ……ライラ…さん」

(アル……貴方が同じ龍族ならこのようなことも無かったのかしらね……
はぁ……アルの身体は今まで食べてきた獣人の中でも一番……酔わせてくれるわね……)

「グルル……」

ライラはアルの小さな身体を必要以上に弄ぶ。震えるばかりでもう殆ど動かない。でも、今はもうアルは自分のもの……

今まで友達だった幼いアルを容赦なく弄ぶ自分に嫌気が差す。
しかし、アルの惹き付ける何かで止めることができないのだ。
しかし、それももう終盤に近づく……。

「ぐぅ……」

「あぅ……ライラさん……」

ズルズルと喉へと落ちていくアルの身体。もう、叫ぶ力も、起き上がる力も残っていない。
アルは、食道という足から口内とはまた違う感触を感じながら……静かに呑まれていく……

「ゴクリ……!!」

大きな嚥下する音と共に小さな膨らみが喉を滑り落ちていく……。

「アル……もう、怖がらなくていいからね……」

ゆったりと水龍となって、前肢がヒレに変わったソレでお腹をまんべんなく撫でていく……。

しかし、ライラはアルを直ぐには溶かそうとはしない。あれだけ仲良くなったまるで我が子のように幼いアルを長く感じていたいから。
そのまま、ゆっくりと竜人の姿へと変化していき、『自分だけ』の住み処の洞窟へと戻っていく……。

「ライラさん、どうして……」

アルはライラの竜人になってもなお、自分の小さな身体では余裕のある胃袋の中で呟いていた。

ひんやりとしているが、自分を簡単に包み込めるほど柔らかくて…ゆったりと揺れるここはだんだんと眠たくなってきて……。

「ううん、寝たらダメ……ライラさんに出してもらえるチャンスを無くすようなことできないもん」

ギュゥ、と自分の頬をつねり眠気から無 理矢理覚醒する。

「とりあえず…どうしよっか……?」

 

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