「……っと!これくらいでいいかな……?」

水のある場所には獣も現れやすいと聞く。アルはいつも以上に敏感になりながら寝藁のかわりになるものを集め、なんとか一時間程で集まった。

「一応、食べ物はこういうときの為に前の街で少し多めに買ってきたからなんとかなるかな」

「あら、お客さんかしら……?w」

「ひゃぁ……!?」

持ち物を確認していると、後ろから声を掛けられて飛び上がるアル。
ドクンドクンと驚いた心臓が激しく運動をしているのが自分でも分かる。

「うぅ……すみません…命だけは……」

「クスッ……私は無闇に獣人を襲ったりしないわよ……。さぁ、顔を上げて?」

今にも泣き出しそうになるアルを慰めるように促す声の主。
アルは言われた通りに顔をあげると、何の種族か分からないが、身長は250cmはあるのではないかと思われる大きな女性。
全身が淡い水色に覆われ、お腹は白く長い尻尾に尾びれがついている。

「あの……失礼ですが…貴女の種族は……?」

「フフっ……何に見えるかしら……?」

クスリと笑う女性は質問を質問で投げ掛けてくる。

「お……おさかn……うわっ!?」

言い切る前に尾びれのビンタが飛んでくる。アルは予想もできずにペタンと地面に叩きつけられてしまう。

「失礼な子ね……まぁ、しょうがないか、知らない種族なんだから……。私の名はライラ。種族は…秘密よ♪」

「ごめんなさい……僕は…アルと言います……」

痛そうに頬を押さえながら言うアル。

(別に私の種族も知らないこんな子供が私を捕まえたりするわけないものね…喜怒哀楽も見せる小さな子なんだから……)

「では、アル」

「は、はいっ!なんでしょうか……!」

「まずはその喋り方を止めること。二つ目にここに棲みなさい。
粗方貴方の身体を見てわかるわ。きっと、獣人に追われる毎日なんでしょう……?辛かったわね…私が護ってあげるわ……」

ライラはそう言うと、そっとアルを抱きしめる……。アルも初めは驚いたものの、ライラの優しさに気を許してしまった……。

「あ…ありがとぉ……グスッ」

「ほら、泣かないの……泣く子は食べちゃうわよ……?」

ビクッと身体を跳ねさせるアルを微笑みながら、気のすむまで抱き締め続けた……。

 

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