生きた人間が儂の喉を生々しく燕下されていく。 その膨らみがゆっくりと胃袋へ落ち込んでゆく。 儂は体を横にし、燕下を遅らせる。 生々しい音が体内に響き、人間が儂に呑まれていく。 自然に手で膨らみを触らずにはいられなかった。 「んぐぅ・・喉越しも十分じゃ・・・」 手で触れた膨らみからは確かな温もりが感じられる。 気分が良くなり、頬が紅潮した。 まるで、酒に酔ったような気分じゃ。 十分ほどすると人間が胃袋に落ち込んだ。 丸呑みにした生物が胃袋に落ち込む・・・ これ以上に気持ちの良い事はない。 快感に体が大きく震えた。 細い体が人間の分だけ膨らむ。 前脚で膨らみを妖しくまさぐり、舌舐めずった。 「相当お疲れのようじゃ。少し眠るが良いぞ。」 儂の前脚が先程より人間を重く感じ、儂は疲弊したと悟った。甘く囁き、人間を胃壁で取り込んでやった。 儂の伴侶じゃ。優しくせねばな。 人間が眠りに就いたのを胃袋で感じ、体を起こした。 「この人間は儂のもの。あ奴がどのような顔をするか・・・・楽しみじゃのぅ〜。」 唾液で汚れた純白の体が小さく揺れていた・・・ * * * 「・・お母さん・・・」 「だ、大丈夫じゃよ・・奴の事じゃ・・」 不安そうな表情を浮かべ続ける仔黒狼の背を黒狼が優しく撫でる。 人間が連れ去られてかれこれ、数時間。 流石に不安を覚える。 「・・この・・匂いは・・・っ」 その時微かな匂いを黒狼の鼻が捉えた。 生臭い臭い・・多分、唾液だ。そして、あの九尾の匂い。 「主、儂の後ろに来い。」 「う、うん・・・」 怒りを隠しきれない黒狼の声に仔黒狼が大人しく従い、黒狼の後ろへ下がった。 「黒狼や・・怒っておるかの?そうじゃろうなぁ?愛しい人間を奪われたのじゃからなぁ?」 「貴様っ!今更、何用じゃ!!」 黒狼が純紅の瞳をギラつかせ唸る。 「あ奴をどこにやったのじゃ!!言えっ!!」 「フフ・・儂の腹の中じゃ。喰ろうてやった。今、安らかに眠っておるわ。」 「きさ・・・ 「良いことを教えてやろうかの・・この人間は儂のものになったんじゃ。主の伴侶は儂のもの・・ ビシッ!・・・グギュッ! 「ぬぁっ!?」 その言葉が黒狼の怒りの封を斬り裂いたらしかった。 妖力に操られた蔓が九尾を襲い、その身を大木に縛り付ける。 「今、主は何と言うた?もう一度、言うてみぃ?」 口元から牙を覗かせ、目を細めている。 「分かったっ・・喰ろうた事は謝るっ・・じ、じゃからな?・・な?」 それだけで完全に恐れ戦いた九尾は黒狼に懇願した。 「黙れぇ・・誰が主の伴侶じゃと?九尾や、言うてみぃ。」 「お、お主の人間じゃっ・・儂が問うたら“はい”と答えたんじゃから・・」 「それは本当か?本当なんじゃな?」 「う、うむっ・・・本当じゃ。」 ギュウッ・・グググッ・・ 「っぐ!?お・・主っ・・い、いかん・・吐い・・てしま・・う・・じゃ・・ろ・・?」 蔓が肉に食い込む程強く九尾を締め上げる。 それは腹の膨らみにも食い込んでいた。 「当たり前じゃ。あの人間は儂のじゃ、吐き出して貰わんとの。」 グジュッ・・・ニジャッ・・クプッ・・・ 生々しい音を立て、膨らみが食道、喉を上ってゆく。 「・・んぉぅ・・んぐっ!・・ぬ・・主よっ・・んぐっ・・・き、キツい・・ん・じゃ・・がっ・・」 「うるさい。黙っておれ。」 「ごぉっ・・」 ゴパァッ・・ドチャッ・・ 開かれた九尾の口から大量の体液が吐き出され、少し遅れて人間が吐き出された。 意識は失っており、ピクリとも動かない。 だが、胸が微か上下しているため、生きていると分かった 「主っ、何をしておる。早う起きぬか!」 黒狼が人間の頬を叩く。 特に目立った外傷はなかった。ただ、九尾の体液で嫌らしく濡れているだけ。服が多少溶けており、胃袋で可愛がられたらしい。手足首に何かに締め付けられたような痕があったが気にするほどでもなかった。 この人間は生きているのだから・・・ |