僕は黒狼の頬に手を添えた後、九尾に歩み寄る。
「・・賢明な判断じゃな。儂ならお主を丁重に扱おうて。」
「・・その仔を離せ。」
「・・・全く、うるさい奴じゃのう・・」
「早く離せ。その喉笛を掻っ切るよ?」
「分かった、分かった。喉笛を切られてはたまらんからのぅ。」
仔黒狼が尾の戒めから解かれ涙を浮かべ、僕に寄りかかって来た。
「お兄ちゃんっ!ぼ、僕っ・・僕っ・・」
「よしよし・・怪我はない?」
「うん・・でも・・でも・・・お兄ちゃんがっ・・」
「いいんだよ・・ほら、お母さんの・・・」
シュルルルッ・・ググッ・・
「っぐっ・・・」
「いつまで喋っておる。お主は儂のものじゃ。」
九尾の尾が僕を巻き取り、仔黒狼から引き離し締め上げる
「お、お兄ちゃんっ!!」
「フフフッ!こ奴は貰ってゆくからのぅ。」
嫌らしい笑みを浮かべた九尾に僕は連れ去られてしまったのだった。

 * * * 

意識がぼうっとする。九尾に捕まってからどれだけの時間がたったのだろうか?
「主よ?どうした?元気がないぞ?」
「う・・るさ・・いっ・・」
体が重く、喋ることが億劫に感じられた。
「もうそろそろ良いかの・・主の生気も十分味わったしのぅ・・・」
まだ、黒狼の庭でもある森の中、広い空間の地面に荒々しく投げ放られた。
そして、僕は目を疑った。人狼状態が解けていたのだ。
「人狼でないお主など、儂の敵ではないのじゃ。」
ベロッ・・・
九尾の口から現れたピンク色の舌が首筋をじっくりと舐め上げる。抵抗しようにも体が重く自由がきかない上、前脚に押さえられ身動き一つ出来ない。
「・・何という美味じゃ。黒狼め・・このような人間と交わっているとはのぅ・・・」
「だ、黙・・れっ・・」
「そうじゃ・・主、儂のものになれ。そうすれば命だけは助けてやるが・・どうじゃ?」
「い、嫌・・だと・・言ったら・・?」
「それまでじゃ。責め苦を味わわせて呑み込むまでじゃ。」
「・・・い・・」
ベロッ・・グチュグチュッ・・ヌチュッ
グプッ・・・ニチャッ・
「うぅ・・あ・・ああっ・・」
言葉が終わる前に九尾の舌が踊り出す。
僕の体を余すこと無く舐め回す。
唾液が体に塗り込まれ、服も唾液を吸いぐっしょりと重くなった。
獣の生臭さを放つ生暖かい唾液が僕を苦しめた。
「どうじゃ・・儂の責めは黒狼とは違うじゃろ?どうじゃ・・虜になるじゃろぅ・・・?」
白い頬を赤らめ、僕の首に舌を巻き付け笑みを浮かべる。

 

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