「ごただいま〜」
「おかえり〜」
あの猫に会ってから何事もなく家に着いた。母とのいつもの会話が飛び交っている。
「ごはんあと30分位ね。」
「うん。」
そう言って荷物を下ろし、2階に上がった。
僕の家は大家族だ。兄弟で5人もいる。姉に僕でそのあと弟が3人…
周りから「お姉さん大変だ〜」とばっかり言われる。僕も大変だって!

「あ、祥おかえり〜」
「おう」
部屋には次男三男…颯人と竜之介がテレビを見ていた。すると颯人が
「あのね。今日…」
「悪い、明日にして。」
今日はとても話せる状態じゃない。
「そう…」
そう言ってからまたテレビを見ていた。なぜか腹が立った。

僕はその足で寝室まで行った。
なんだか無性に眠い。
二段ベットをよじ登り横になった。

すると不思議なことにそのまま10分もしないうちに寝込んでしまったのである。












……

……はっ

「わっ!!」
おめざめ。とにかく良く寝た。そして気楽に伸びをしてから目覚まし時計を見た。


23時24分!?

「え〜〜〜?」

なんとなくベットにはいったのは16時くらいだったはず。7時間も寝たんか俺…

…ぐぅーー きゅるきゅる

ちょうど良すぎるタイミングで腹が鳴る。
夜ご飯は寝て食べそこなった…

「けっ」
(17時まで時間を戻る。)
また石に頼る。
けれども僕がいる所はすでに17時である。
「ご飯だよー」
またまたグッドタイミング。
「はーい」

そう言って一階まで下りていった。




所変わって1階のリビング
「いただきまーす」
「召し上がれー」
津田家の家族が揃い、夕食だったが…
いつもの野菜たっぷりの料理がどうしても口が受け付けないのだ。母は肉嫌いなので食卓に肉が並ぶことはまずない。
(なんだろ…いつもなら食べれるのに…)
「今日なんか食欲ないみたい。」
「あらそう。大丈夫?」
「分かんない。とりあえず寝るわ。」
「あっそう。おやすみ」
「うん…」
そう言ってリビングを後にして再び2階に戻って寝室まで行き布団に潜り込んだ。
案の定再びおかしい位の睡魔が襲ってきた。

そして5分もする間もなく、また眠りこんでしまった。








……
また起きちゃった。
今度はとりあえず時計を見る。
23時だ。腹が減っているのは変わらなかった。
だけど今度は寝ることにした。
だまって布団に潜り込んだが、あの猛烈な睡魔がどこかへ飛んで行ってしまった。
目が冴えている。周りが明るく見える。
「もーうっ」
そう言ってから眠い…いや、眠かった目をこすった。


ガリッ

は?ガリ??
びっくりして飛び上がった。
どこからか音が聞こえた。
「おかしいな…」
そう言いながら右手を無意識にほほにあてた。

ぷにっ

は!?
いま『ぷにっ』って…
確かにほほを触った!

恐る恐る手を見た。
そこには衝撃的なものがあった。

「肉球!?」

真夜中ながら怒鳴ってしまった。
そう。手が寝てる間に猫の手に変わってしまったのだ。

もちろんこのまま起きなければどうなっていたのか…

あの猫の呪いだ!!
多分そう!!

そしてさっそくブレスレットに手…じゃない。前足をのせた。
(呪いよ解けろ!!)
これで手が元に戻る…はずだったが

(解けない!?)
手は猫の手のままだ。気づいたら足も猫のものになっていた。漆黒の猫毛が生えている…

何で解けないんだ!
石より強い呪い?
石にかなうものか!

そのときあの猫の言い残した言葉を思い出した。
『わたしはここにいます。その時に教えましょう。』
確かにこう言った。
すぐに行かなくては!

僕は急いでベットから降りたが…
「うわっ」
まんまと後ろに転び、頭を強打してしまった。

確かに半分猫の体だと行こうにも行けない。そこで
(人間の体に!)
するとなんとか元の姿に外見は戻って二足で歩けた。
でも恐らく中身は猫のまま… ていうか猫だろう。

そのまま走って1階に下りた。
「何やってんの?」
こんな時に親はまだ起きている!!
「ごめん!」
そう言ってから右腕を母に向けた
(10秒前後の記憶抜けおちろ!)
そう思い浮かべてそのまま外へ駈け出した。
親はポカンとしてから
「何してたんだっけ…」
と言ってからまた仕事に戻った。


ぼくは急いで自転車に乗り、ペダルを思いっきり踏んだ。
あの居酒屋に向かって。

あの猫は?

あの猫は!?


いた!


さっきと同じ所にいた。
僕はすぐさま自転車から飛び降り、その猫の所に行った。念のため鍵は閉めた。
猫は僕をじっと見ている。
(猫と話を!)
その瞬間…
『ふふ。効いてきたようですね。』
「…何をした?」
すぐに聞き返した。
「俺に呪いをかけたのか?」
『いいえ。』
「じゃあなんだ?」
『詳しく言うとかけたより解いたの方がいいですね。』
「は?…」
『…少々ショックを受けるかもしれませんがいいですね?』
「…ああ、いい。」
猫は少し間を空けていった。
『あなたは……もともと猫なんです。』
「猫? 俺の親は人間だが…」
『えっと…そこは話すと長いので…』
「あっそう… んでお前さんは何をしたの?」
『簡単にいえば術を解いたわけです。』
「術…ねぇ、呪いとは違うわけ?」
『ええ。術と呪いは雲泥の差ですね。』
どおりでさっき効かなかったわけだ。
『さあ。とりあえず行きましょう。』
「どこに?」
『先程言った天草下島です。』
「どうやって?」
『幸い今日は満月ですね。』
「うん?」
『とにかくついてきてください。』
そう言ったら路地裏に姿を消した。
「ちょ…ちょっとまって!」
追いかけてみると猫にしか通れないくらいの幅だった。
(人の姿、解けろ!)
すると青い光が自分を包み、あっという間に黒猫に変わった。成り行き的にブレスレットがそのまま首輪になっていた。
『待ってったら!』
そのまま僕は、名も知らぬブチ猫を追うことになった。

 

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