ゴオォォォ…! ビリビリビリ…バチィッ! ザバァァァ…! ザシュッザシュッ!

「くそぉっ! どうなってるんだこの遺跡は…?! このアンノーンの数、
キリがないぞ!!」

遺跡に侵入してから五分と経たない内に遺跡を守るアンノーンに囲まれて執拗に攻撃を
受ける、それぞれの技を活かしてなんとか凌いでいるが、時間の問題になりそうだ。

「ふ、二人とも…私…もう駄目…はぁはぁ…」
「ま、マズイ…、サンダースはもう戦えない…守りに徹しなくては…!」

シュババババッ! TRANSFER!(転送) TRANSFER!(転送) ブゥゥゥン!

「うあぁっ…な、何よこれ…?! ウインディさん!! ゴルダックぅ!! た、助け―――」

キイィィィィン…バシュウゥゥゥ!!

「さ、サンダース?! ど、何処へ…?」

サンダースの周りに8体の形の違うアンノーンが取り巻き、彼女の周りを青い光で包むと
その光ごと消し去ってしまう。

「くそぉ! サンダースを返しやがれぇぇぇ!!」

ゴボボボボボボ…! ビシュビシュウゥ! ドガッドゴォッ!!

渾身の一撃でアンノーンの群れに攻撃を仕掛けるゴルダック、その攻撃を受けたアンノーンは
合図で仲間を呼び、ゴルダックの周りを再び囲んでいく。

シュババババババッ!! DEBILITY!(衰弱) RESTRAINT!!(束縛) SEAL!!!(封印) 
ブウゥゥゥン…! ギシィィッ!

「ぐぅっ?!! か、体が重い…?! い、いや…動かない…!!」
「ご、ゴルダック…!! う?!」

シュババババッ!! ABILITY FALL!(能力低下) SUPPRESSION!!(抑制) SKILL LIMITATION!!!(技の制限)
ブウゥゥゥン…! ギシィィッ!

「ぐうぅっ?! う、動かん…! 炎も出ない…?!」

二人はアンノーンの特殊な力によって力が出せず体制を崩されていく。

(こ、こいつらまさか…アルファベットスペルでオイラ達の動きを封じている?!
クソ! 衰弱のスペルのせいで念力を出すための集中力が…!!)

「くっくっく…こりゃあいい眺めだぜ、昨日のクソ生意気なガキが地面に這いつくばっているぜ」
「?!」

不意に声が聞こえる、必死の力で首を動かし、声の方向へ視線を向けるとそこには
昨日追い払ったはずのフシギバナが佇んでいた。

「お前…どうして…? …?! サンダース?!!」

驚愕の目で見る、フシギバナの蔓で巻かれている者、それは先程アンノーンに消された筈の
サンダースだったからだ、彼女は気絶しているのかピクリとも動かない。

「くくっ…、俺も夕べ知ったことなんだがなぁ、お前等が受けた依頼、
半分ガセネタなんだよ、そのことを知った俺とドンファンだったが、
奴は恐れをなして逃げ出しやがった、俺を見捨ててな」
「が、ガセネタだと…?!」
「先ず依頼主だがなぁ、こいつは脅して科学者の格好をさせてウインディにぶつけたんだ、
扉は開いているが中のアンノーンの特殊な力を見極めるための捨て駒にするためにな」
「わ、私を利用したのか?! だ、誰がそんなことを…」
「アンタも知っている御方だぜ、ウインディさんよ…、なんたってアンタが兵士時代の
同僚、バンギラスさんの指示なんだからな!」
「や、奴の指示…だと…?!」

フシギバナの口から誰も想像し得なかった名前が発せられる、ウインディは驚愕の表情を
していたが、ゴルダックだけはそれとは違う表情をする。

「バ…ンギラス…! 奴は…奴は何処にいやがる?! 答えやがれぇ…!!」
「お? なんだお前…、バンギラスさんに恨みでもあるのか? くっははは…!
こいつはいい! 傑作だ!!」

シュルルル…バアァァァン!!

「はぐうぅっ?! う…あぁ…ぁ…」

フシギバナは蔓で捕まえていたサンダースを勢いをつけて叩きつける、
彼女からは悲痛の悲鳴の後、弱弱しい呻き声が上がる。

「さ、サンダース!! き、貴様ぁぁぁ…!」
「おうおう、怖いねぇウインディさん、まぁ聞いてな、このガキは今から
バンギラスさんの指示で二度に渡り大切な者を奪われることになるんだ…、
最高の催しだろ?!」

グアァァァァ! バクゥゥッ!!

「ひぎっ?! 嫌あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

仰向けに倒れているサンダースの足を勢いよく咥え込み、下半身全てをその口内に
引きずり込んでいくフシギバナ。

「や、止めろ…、もう…オイラから大切な者を…奪うな…、喰うならオイラだけにしてくれ…」

哀願の声でフシギバナに頼むゴルダック、しかしフシギバナはそんなことに耳を貸さず、
にたにたと笑いながらサンダースを咥え込んでいく。

ハグッハグッ…ジュルルル…バクウゥン…!

「あ、あぁぁ…うあぁぁぁぁぁ…」
「サン…ダース…!」
「…嫌だ、もう…失うのは嫌だ…、止めてくれ…彼女を吐き出してくれ…!」
「……ふふははは、断る…」

ジュルッビチャァッ…ベロベロ…グチャァァ…!!

『ひぐっ?! きゃうぅっ…ひうぅぅ…』

(美味い…、美味すぎる…、こんな美味いものを吐き出せとは愚かなことを
言ってくれる…! それに…もう我慢の限界だ…)

グググ…ゴクリ…!

『…嫌、嫌あぁぁぁぁぁぁ…』

生き物を飲み込む生々しい音と共にサンダースの声も消えていく、
フシギバナの口にあった膨らみは徐々に腹の根のほうに流れていく…。

「げえぇっぷ! 最高の食事だったぜ…」
「…くそおぉっ!! 動け、動けぇ…!」

満足そうに腹を撫で回すフシギバナ、ウインディはアンノーンに封じられている体を少しでも
いいから動かそうと体を震わせている、しかし、ゴルダックは…、

「…また、オイラは救えなかった…、手にした力も…誰も救えずには
何の意味も成さないじゃないか…」

放心し、うわ言のように呟き続けるゴルダック、戦意が喪失したと判断したアンノーンはその
拘束からゴルダックを解き放ち去っていく…。

「おっと…こいつは好都合だ…、今度は俺の恨みを晴らさせてもらうぜ!!」

シュルルルル…! ガシィィッ!!

蔓の鞭でゴルダックを巻き上げて自分の口に運んでいくフシギバナ、
抵抗の意思を見せないゴルダックはうなだれたまま臓腑までの道のりを
進んでいく…。

バクゥゥゥッ! ジュルッジュル…!

「ご、ゴルダック!! 目を覚ませ…!」
「……………」

ゴプゥッ…ジュルリ…グリュリュ…ゴクン…

先程サンダースを呑みこむ際に溢れていた唾液が押して、スムーズにゴルダックを
呑みくだすようになってしまった。

「げえぇっぷ…!! 抵抗もしなかったな…、まぁ俺にしてみれば邪魔のない
楽しい食事だったけどな…」
「き、貴様ぁぁぁぁぁ!!」

過去に感じたあの無力感がウインディを包む、ボーンと膨らんだ腹を抱えながら
フシギバナはその様子を嘲笑う、そして…彼の腹の中では無力に押しつぶされた者が
大切な人と共に溶かされつつあるのだった…。


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