「薬剤? 好きなだけ持ってくといいっす、ここにあるのは折れた刃のガラクタと
戦の平定に尽くした者の亡骸だけっすからもう必要が無いっす…」
「見たところ、アンタは東側の大国の兵士のようだが…、そうだ…、これを…ここから3キロ先にある
レプシアの町にいる俺の息子と女房の所へ届けてくれないか…?」
「な…何…?」

体のあちこちに傷や返り血を纏ったゴルダックとサンドパンがアジトに横たわる彼らの仲間らしき
ポケモンに弔いをした後、二人から一本ずつ双剣を渡される。

「あ、あんた等…俺にこんなものを渡してどうするんだ?! そんなことするよりも
今ある薬剤で傷を治してあんた等が家族の下へ行けばいいだろう?!」
「俺達が行ったら誰が町に襲い掛かる奴等を食い止める? いいか?
俺達は目先の安心よりも、長く続く幸せの方が大事なんだ」
「見ず知らずの君に頼むのも失礼かもしれないけど、可愛い息子のためなら
なんでもする、それが親なんすよ」

そう言ってウインディの肩をポンっと叩いてアジトを後にする二人、
しばらく立ち尽くしたままだったウインディは涙を流しながら、遠ざかるゴルダックとサンドパンの
影に叫ぶ。

「…必ず届ける…! あんた等の子供に…この双剣を…、あんた等の雄姿を…!!」

外光に照らされながら振り向く二人、そこにはふっと笑う安心の表情があった……。


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